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ROIC(投下資本利益率)とは

ROICは、会社が事業に投じたお金(借入と株主のお金)に対して、本業でどれだけ稼いだかを示す指標です。資金を集めるコストであるWACC(加重平均資本コスト)と比べると、その会社が資本コストを上回って稼いでいるか、つまり企業価値を生んでいるかを読み取れます。

ROICの計算式

ROIC = 税引後営業利益(NOPAT)÷ 投下資本 × 100

投下資本 = 有利子負債 + 自己資本 + 非支配株主持分

税引後営業利益(NOPAT)は、営業利益から税金分を差し引いた本業の利益です。投下資本は借入(有利子負債)と株主のお金(自己資本・非支配株主持分)の合計で、期首と期末の平均を使います。本業の利益を使うため、投資や資産売却の損益に左右されにくい指標です。

ROICを計算する

金額は同じ単位(例:億円)で入力

計算結果

投下資本に対する税引後営業利益の割合

8.4%

投下資本=有利子負債+自己資本+非支配株主持分(現金は差し引きません)。分母は期首と期末の平均です。

Stock Club Data

日本株の現在のROIC分布

株価基準日: 2026年10月19日

ROIC 中央値

5.6%

算出できた日本株の中央値

ROIC 四分位範囲

2.8% – 9.9%

中央50%の銘柄が入る範囲

ROICがプラス

3,232銘柄

90.1%・マイナス 356銘柄

集計できた銘柄

3,588 / 3,958

算出しない・できない 370銘柄(下記)

ROICの分布

ROICを算出できた日本株を集計しています。ETFとREITは含みません。各区間は下限を含み、上限を含みません(例:「0〜5%」は0%以上5%未満)。

0%未満
356
0〜5%
1,270
5〜10%
1,082
10〜15%
494
15〜20%
205
20%以上
181

ROICを出さない銘柄

空欄をゼロで埋めず、理由ごとに件数を示します。

金融業(銀行・証券・保険)
141銘柄

負債の構造が事業会社と異なるため、ROICを算出しません。

金融事業を持つ事業会社
15銘柄

販売金融などの借入が投下資本に入り、ROICが実態より低く出るため空欄にします。

そのほか算出できない銘柄
214銘柄

営業利益や自己資本のデータが無い、投下資本が0以下などの銘柄です。

金融事業を持つ事業会社として確認した会社のうち、非金融事業の数字で計算 4社・空欄 15社・金融の借入が小さく連結のまま計算 29社です。

業種別のROIC中央値

ROICを算出できた銘柄が10以上の業種を掲載。設備や在庫の重さで水準が変わるため、まず同業種で比べます。

  • 水産・農林業
    中央値
    5.0%
    銘柄数
    12
  • 建設業
    中央値
    7.6%
    銘柄数
    150
  • 食料品
    中央値
    4.4%
    銘柄数
    125
  • 繊維製品
    中央値
    2.5%
    銘柄数
    50
  • パルプ・紙
    中央値
    2.6%
    銘柄数
    24
  • 化学
    中央値
    4.8%
    銘柄数
    202
  • 医薬品
    中央値
    -0.8%
    銘柄数
    74
  • ゴム製品
    中央値
    5.9%
    銘柄数
    16
  • ガラス・土石製品
    中央値
    4.7%
    銘柄数
    51
  • 鉄鋼
    中央値
    3.8%
    銘柄数
    37
  • 非鉄金属
    中央値
    5.9%
    銘柄数
    31
  • 金属製品
    中央値
    3.9%
    銘柄数
    89
  • 機械
    中央値
    5.1%
    銘柄数
    206
  • 電気機器
    中央値
    5.3%
    銘柄数
    225
  • 輸送用機器
    中央値
    4.8%
    銘柄数
    76
  • 精密機器
    中央値
    6.5%
    銘柄数
    50
  • その他製品
    中央値
    4.6%
    銘柄数
    105
  • 電気・ガス業
    中央値
    3.6%
    銘柄数
    26
  • 陸運業
    中央値
    3.6%
    銘柄数
    60
  • 海運業
    中央値
    2.4%
    銘柄数
    11
  • 倉庫・運輸関連業
    中央値
    3.0%
    銘柄数
    33
  • 情報・通信業
    中央値
    9.5%
    銘柄数
    589
  • 卸売業
    中央値
    5.3%
    銘柄数
    287
  • 小売業
    中央値
    5.4%
    銘柄数
    321
  • その他金融業
    中央値
    4.1%
    銘柄数
    36
  • 不動産業
    中央値
    4.9%
    銘柄数
    131
  • サービス業
    中央値
    8.0%
    銘柄数
    530

時価総額上位銘柄の例

推奨順位ではありません。ROIC・WACC・その差とROEの関係を実データで確認するための例です。WACCは前提を置いた推定値です。

ROICはWACCと並べて、差がプラスかどうかで読みます。 ROIC − WACC で日本企業を比較する →

ROICの見方:WACCとの差が稼ぐ力

稼ぐ力 = ROIC − WACC

ROIC > WACC

資本コストを上回って稼いでいる状態。集めたお金から、提供者が求めるリターン以上の利益を生んでいると読めます。

ROIC ≈ WACC

稼ぎと資本コストがほぼ同じ水準。利益は出ていても、企業価値は大きく増えていないと読めます。

ROIC < WACC

資本コストに届いていない状態。事業の見直しや資本の使い方の改善余地を確認します。

WACCは、借入の金利と株主が期待するリターンを、資本の構成比で平均した資金調達コストです。ROICとWACCの差はEVAスプレッドとも呼ばれ、東京証券取引所も資本収益性の評価としてWACCとの比較でROICを使う例を挙げています。差がプラスでも、それだけで投資判断は決まりません。

WACCガイドで、WACCと株主資本コストの計算式、Stock Clubの前提(無リスク金利・市場リスクプレミアム・修正β)を確認できます。

ROICとROEの違い

ROIC(事業全体の目線)

税引後営業利益 ÷(有利子負債+自己資本+非支配株主持分)。借入と株主のお金を合わせた資本に対する本業の稼ぎで、比べる相手はWACCです。

ROE(株主の目線)

親会社株主に帰属する利益 ÷ 自己資本。株主のお金に対する最終利益で、比べる相手は株主資本コストです。借入を増やすと上がりやすい点に注意します。

ROEガイドでは、ROEの計算式・デュポン分解・日本株の分布を確認できます。

Stock ClubのROIC算出方法

WACCと同じ土台で比べるための算出ルール

  • ROIC = 営業利益 ×(1 − 税率30%)÷ 投下資本。税引後の営業利益(NOPAT)を投下資本で割ります。
  • 投下資本 = 有利子負債 + 自己資本 + 非支配株主持分。期首と期末の平均を使い、現金は差し引きません。
  • 分母に非支配株主持分(子会社の外部株主の持分)を含めるのは、分子の営業利益が子会社の利益を100%含むためです。ROE(分母は親会社の株主の持分だけ)とは分母が違います。
  • 金融業(銀行・証券・保険)は算出しません。投下資本が0以下の会社も空欄です。
  • 販売金融などの金融事業を持つ事業会社は、借入が投下資本に入りROICが実態より低く出るため空欄にします。有価証券報告書で金融事業と非金融事業を分けた貸借対照表を開示している会社(トヨタなど)は、非金融事業の数字で計算します。
  • 一覧やスクリーニング、資本コストで比較する一覧と同じ値を使います。空欄をゼロで補うことはありません。

ROICの分母の定義に一律の決まりはなく、会社や情報源によって現金の扱いなどが異なります。表示値は投資助言ではなく、同一基準で比較するための参考情報です。

ROICを見るときの注意点

現金の多い会社は低めに出る

Stock Clubは投下資本から現金を差し引きません。使われていない資金も資本効率の評価に含める考え方で、現金を多く持つ会社ほどROICは低めに出ます。現金を差し引く定義もあるため、会社が開示するROICと一致しないことがあります。

業種で水準が大きく違う

工場や在庫を多く抱える業種と、設備の少ない業種では投下資本の重さが違います。ROICの絶対値で業種をまたいで並べず、同業種の中央値や自社の推移と比べます。

1年の数字で決めない

営業利益は景気や一時的な要因で動きます。ROICとWACCの差が続いてプラスかどうかを、決算の推移で確認します。

WACCは前提で変わる推定値

ROICと比べるWACCは、金利・β・市場リスクプレミアムの前提を置いて計算した推定値です。絶対値より、同じ前提で計算した他社との相対比較に使います。前提の値はWACCガイドで確認できます。

ROICのよくある質問

ROICは何%なら高いですか?

一律の基準はありません。ROICは、その会社の資金調達コストであるWACCと比べて読みます。ROICがWACCを上回っていれば、資本コストを上回って稼いでいる(企業価値を生んでいる)と読めます。業種によって水準が大きく違うため、同業種で比べます。

ROICとROEの違いは?

ROEは親会社の株主の持分(自己資本)に対する純利益で、株主から見た効率です。ROICは借入と株主のお金を合わせた投下資本に対する税引後営業利益で、事業全体の効率です。借入を増やすとROEは上がりやすくなりますが、ROICは借入も分母に入るため影響を受けにくくなります。

なぜ投下資本から現金を差し引かないのですか?

ROICの分母の定義に一律の決まりはありません。Stock Clubは、WACCと同じ「負債+株主資本」の土台で比べるため、現金を差し引かない定義を使います。このため、現金を多く持つ会社はROICが低めに出ます。現金を差し引く流儀もあり、会社が開示するROICと一致しないことがあります。

銀行や証券会社のROICが表示されないのはなぜですか?

銀行・証券・保険は負債の構造が事業会社と異なるため、ROICを算出しません。販売金融などの金融事業を持つ事業会社も、借入が投下資本に入ってROICが実態より低く出るため、原則として空欄にします。

ROICを銘柄分析につなげる

資本コストで比較する一覧では、日本企業のROIC・WACC・その差を業種で絞って並べられます。ROE・DOE・配当性向と組み合わせると、稼ぐ力と株主還元の関係を確認できます。

サポート

動画で見る

各ページで分かることや、指標の読み方を動画で紹介します。

ROIC と WACC の意味と、「資本コストで比較」の見方を紹介します。

1分48秒・音声あり

ROIC の計算式・WACC との比べ方・落とし穴を、指標シリーズで解説します。

1分39秒・音声あり

動画内の銘柄は表示例です。過去の数値や会社の方針は、将来の結果を保証するものではありません。投資の推奨ではありません。