
【決算深掘り】ヘルスケア&メディカル投資法人(3455)第23期決算と公募増資による「資産規模1,000億円突破」の成長戦略
StockClub
公開日時: 2026/09/14 09:59
Sentiment Analysis

ヘルスケア&メディカル投資法人(証券コード:3455)は、高齢者向け施設や医療関連施設などのヘルスケア不動産に特化して運用を行うJ-REITです。同法人が発表した 2026年7月期(第23期)決算 および 第4回公募増資 を含む成長施策に関する要点を、重要トピックに沿って詳細にまとめます。
1. 第23期(2026年7月期)決算実績ハイライト
第23期の運用実績は以下の通り、当初予想を上回る着地となりました。
- 営業収益 : 2,659百万円(予想比 +2百万円、前期比 +25百万円)
- 営業利益 : 1,341百万円(予想比 ±0百万円、前期比 △0百万円)
- 経常利益 : 1,016百万円(予想比 +4百万円、前期比 △41百万円)
- 当期純利益 : 1,015百万円(予想比 +4百万円、前期比 △41百万円)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む) : 3,174円 (予想比 +14円、前期比 △112円)
- 1口当たりNAV : 140,273円
利上げタイミングの想定(当初2026年4月見込み)のズレなどにより支払利息負担が抑制されたことや、前期取得物件の通期寄与などにより、営業収益・当期純利益・1口当たり分配金のいずれも 公表予想を上回る実績 を達成しました。
2. ポートフォリオの運用状況と高水準の稼働率
- 期末稼働率 : 100.0% (前期同様にフル稼働を維持)
- 固定賃料比率 : 100.0% (安定した賃料収入基盤)
- 期末含み益 : 130.5億円 (含み益率 15.6%)
- 賃貸借契約の平均残存年数 : 9.8年
全物件において固定賃料による長期の定期建物賃貸借契約等を締結しており、経済情勢の変動下でも景気変動の影響を受けにくいディフェンシブなキャッシュフローを創出しています。
3. 財務マネジメントと金利動向への対応
- 有利子負債総額 : 465.7億円( 全額ソーシャルファイナンス による調達)
- LTV(総資産ベース) : 52.6%(時価ベース: 45.9%)
- 固定金利比率 : 75.7%
- 平均調達金利 : 1.12%(前期比 +0.04pt)
- 格付 : JCRより「 A+(安定的) 」を取得
金利上昇環境を注視しつつ、LTV水準を総資産ベース55%、時価ベース50%を巡航上限として適切にコントロールしています。
4. 第4回公募増資の実施と資産規模1,000億円の達成
本投資法人は上場時からの目標であった 「資産規模1,000億円」の突破 を実現しました。

スライド解説(資産規模の推移)
上記スライドの通り、2015年の上場時(250億円・24物件)から公募増資を重ね、第4回公募増資において 14物件・取得価格計217億円 を取得したことで、資産規模は 1,065億円(全70物件) へと拡大しました。 2025年10月には主要スポンサー体制が従来の3社から 5社体制 (東急不動産、京阪神ビルディングが参画)へと強化され、デベロップメント機能やウェアハウジング機能が一段と拡充されたことが、この大規模な外部成長を可能にしました。
5. 資産入替とポートフォリオの質的向上
新規資産の取得と同時に、保有期間10年超となる「グッドタイムホーム不動前」(譲渡予定価格21.9億円)の譲渡を決定し、 戦略的な資産入替 を実施しています。

スライド解説(本取組みの効果)
上記スライドは、今回の資産取得および譲渡前後におけるポートフォリオ構成の変化を一覧化したものです。
- 三大都市圏比率 : 82.4% → 83.3% に向上
- 首都圏比率 : 46.2% → 51.5% へ大幅上昇(50%超を達成)
- 平均築年数 : 20.2年 → 19.0年 へ若返り
- 平均鑑定NOI利回り : 5.4% (償却後4.0%)を維持
特に将来的な高齢者人口の増加が顕著な 首都圏中心の厳選投資 が進み、築浅物件の組入れによって中長期的な修繕費負担の平準化と資産価値の向上が図られています。
6. J-REITにおけるヘルスケア市場シェアNo.1の確立
本取組み後のヘルスケア不動産保有割合において、本投資法人は シェア29.5% を占め、 J-REIT市場第1位 のポジションを確固たるものとしました。SOMPO、ベネッセスタイルケア、ニチイ、ツクイ、SOYOKAZEといった国内大手オペレーターとの強固なリレーションを構築し、優良な物件パイプラインを安定確保できる体制を築いています。
7. アセットタイプの多様化と「病院不動産(底地)」の追加
有料老人ホーム中心のポートフォリオに対し、認知症高齢者グループホームの新規追加や、東京都新宿区に所在する「 春山記念病院(底地) 」の取得(取得価格34.39億円)を実施しました。 救急医療に強みを持つ好立地の病院底地を組み入れることで、長期安定的な地代収入を確保するとともに、多様なヘルスケアニーズを取り込むポートフォリオへと進化しています。
8. フリーキャッシュフローの創出と成長加速
築浅物件の取得により資本的支出(CAPEX)を抑制しつつ、償却費の増加に伴う留保可能資金が拡大しました。これにより、第24期(2027年1月期予想)以降の フリーキャッシュフロー創出能力は期あたり3.7億円〜3.9億円規模 へと向上し、再投資や投資主還元に向けた原資が厚みを増しています。
9. 安定的な分配金と投資主還元の実現メカニズム

スライド解説(分配金安定化と内部留保の活用)
本投資法人は、物件譲渡で発生する 譲渡益約3.4億円 について、租税特別措置法(長期買換特例)を活用して 一部を内部留保 (53百万円)し、残る290百万円を第24期の分配金として還元する方針を策定しています。 さらに、内部留保した資金は 第25期(2027年7月期)に1口あたり117円分を取り崩して分配 に充当することで、譲渡益の剥落期における分配金水準の急激な落ち込みを防ぎ、 巡航3,170円水準の安定的な投資主還元 を実現する設計となっています。
10. 今後の業績予想(第24期・第25期)と中長期戦略
公募増資および物件譲渡・取得を反映した今後の業績予想は以下の通りです。
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第24期(2027年1月期)予想
- 営業収益: 3,515百万円
- 当期純利益: 1,625百万円
- 1口当たり分配金: 3,440円 (譲渡益の分配寄与等)
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第25期(2027年7月期)予想
- 営業収益: 3,258百万円
- 当期純利益: 1,204百万円
- 1口当たり分配金: 3,170円 (利益分配2,753円 + 利益超過分配417円)
中長期的には、ポートフォリオ全体の約41.0%が今後5年以内に契約満了または賃料改納期を迎えるため、オペレーターとの信頼関係を基盤とした 賃料改定交渉(内部成長) を進め、インフレ環境下でも着実な成長と安定分配を目指す方針です。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。