
Terra Drone 2027年1月期第2四半期決算:増収基調を維持し防衛・UTM領域でグローバル展開が加速、120億円の成長資金調達完了で下期上振れへ
StockClub
公開日時: 2026/09/14 09:54
Sentiment Analysis

1. 2027年1月期 第2四半期 決算ハイライト
Terra Drone株式会社(証券コード: 278A) の2027年1月期第2四半期累計決算は、主力事業である「ドローンソリューション」および「運航管理(UTM)」がいずれも順調に拡大し、 売上高2,235百万円(前年同期比+15.0%・+292百万円増) と増収を達成しました。
利益面では、グローバルでの体制強化や防衛領域への本格参入に伴う先行的な販管費の増加により、 営業利益は▲819百万円(前年同期比▲153百万円) 、親会社株主に帰属する当期純利益は▲680百万円(前年同期比▲286百万円) となりましたが、これらは期初計画通りの進捗となっています。

連結PLの要点と背景
上記のスライドにある通り、売上総利益は 1,009百万円(前年同期比+173百万円) と着実に拡大しており、粗利率は改善傾向にあります。調整後営業利益(営業利益に国内UTM関連補助金を加えた指標)は ▲781百万円 となり、補助金収入の期ずれ・減少影響を含め、事業投資フェーズとしての計画線上で推移しています。
同社ビジネスは下期偏重の傾向があり、特に第3四半期以降に防衛事業の売上計上が始まることから、 通期の連結業績は期初想定を上振れる見通し となっています。
2. セグメント別動向:ドローンソリューション事業
ドローンソリューション事業の売上高は 1,906百万円(前年同期比+116百万円増) 、営業利益は ▲444百万円(前年同期比▲149百万円) となりました。体制拡大に伴う販管費増(▲289百万円影響)があったものの、売上総利益は全事業で伸長し 889百万円(+139百万円増) へと拡大しています。
① 測量・災害復旧事業
- 売上高 : 1,194百万円(前年同期比+17百万円)
- 動向 : 国内事業(本社およびTDX社)が売上高 935百万円(前年同期比+84百万円) と全体を牽引。TDX社のPMI進捗によるオペレーション改善と天候要因等により災害復旧案件が増加しました。一方、サウジアラビア拠点は中東情勢不安に伴うドローン飛行承認の遅延から売上高 107百万円(▲61百万円) となりましたが、第1四半期に受注した 年額約4億円の石油・ガスパイプライン監視案件 が今後本格化する見込みです。
② 点検事業
- 売上高 : 339百万円(前年同期比+64百万円・+23.3%増)
- 動向 : 自社開発の屋内点検ドローン「 Terra Xross 1 (点検ハード)」の本格販売を開始し、ハード売上が 64百万円(前年同期比+49百万円) と急伸。顧客層からの引き合いは極めて強く、下期は上期以上の販売台数を見込んでいます。
③ 農業事業
- 売上高 : 372百万円(前年同期比+35百万円増)
- 動向 : 第1四半期の減収から大型案件の受注により第2四半期で増収に転換。インドネシア子会社での火災事故影響は軽微に留まり、継続的なコストコントロールにより 売上総利益率は前年同期の8%から33%(+25pt改善) へと大幅に回復しました。
3. セグメント別動向:運航管理(UTM)事業の世界展開
運航管理(UTM)事業は、売上高が 328百万円(前年同期比+177百万円・+117.2%増) と倍増しました。営業利益は ▲374百万円(前年同期比▲3百万円) と、開発先行投資を継続しながらもほぼ横ばいで着地しています。
ベルギー子会社の Unifly社 は、為替影響および現地通貨ベースでの堅調な案件積み上がりにより売上高 282百万円(前年同期比+137百万円) と力強く成長しました。

ベルギー国防省向け案件受注の意義
上記のスライドに示されている通り、Unifly社は ベルギー国防省管轄の空域におけるUTM導入・運用案件を受注(受注額: 約2億700百万円、期間: 21か月間) しました。
この案件には以下の決定的な意味があります:
- 国防軍向けUTM受注として「世界初」の実績 :民間空域(航空局管轄)で培ったグローバルNo.1の実績を、軍管轄空域へと展開した初の事例。
- 地政学リスクの高まりに伴う世界的ニーズ :欧州を中心に軍用ドローン飛行が急増し、空域混雑を防ぐUTMが不可欠に。
- 高収益リカーリングモデルの横展開 :民間向け同様にスイッチングコストが高く継続収入が期待できる一方、既存機能の流用が可能なため追加開発コストを抑制可能。
さらに、欧州防衛最大手 MBDA社 とのカウンタードローン(不審ドローン検知・識別・対処)プラットフォーム連携など、防衛・保安分野への拡張が着実に具体化しています。
4. 資本政策と強固な財務基盤:120億円の資金調達完了
同社は事業拡大を加速させるため、2026年7月に総額約145億円のターゲット価額設定型新株予約権を発行しました。発表後の株価伸長に伴い、極めて短期間で資金調達が進展しています。

資金調達の進捗と株主還元
上記スライドの通り、2026年9月14日時点で ステージ1〜4の新株予約権行使が完了し、累計約120億円の資金調達を達成 しました。
- 防衛事業の充当予定額(65億円)を既に確保 しており、今後の成長投資において資金面の制約が解消されました。
- 残るステージ5(行使価額30,000円)がすべて行使された場合でも、現時点からの 希薄化率は約0.9%に留まる 見通しです。
- 既存株主への配慮と企業価値向上への強い確信から、 下限行使価額の修正条項は今後発動しない方針を決定 しました。
- さらに、株式の流動性向上と投資家層の拡大を目的として、2026年10月1日付での 1株につき2株の株式分割 を実施します。
5. 防衛事業の進捗と下期以降の成長ロードマップ
2026年3月に本格参入を発表した防衛装備品市場において、Terra Droneは明確なポジションを築きつつあります。
主な進捗状況
- 迎撃ドローンの量産契約締結 :防衛装備庁初となる「迎撃ドローン早期取得プログラム」において、 全申込38社の中で唯一、同社が量産調達契約を締結 。
- 国産サプライチェーンの構築 :経済安全保障の観点から不可欠な国内サプライチェーン構築に向け、 国産ドローン向けバッテリー事業への参入 を発表。
- グローバル連携 :ウクライナでの実戦配備・連携に加え、UAEの防衛プライム企業「EDGEグループ」からの受注、マレーシア「DEFTECH」との戦略的協業など、中東・アジア・欧州で同時並行的に展開。
今後の見通し
第3四半期以降、期初業績予想には織り込まれていなかった 防衛事業の売上計上が開始 されます。民間ドローンソリューションの安定成長、UTMのグローバル展開、そして防衛装備品ビジネスの立ち上がりが重なることで、通期連結業績の期初想定からの上振れが強く期待される局面に入っています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。