
トビラシステムズ 2026年10月期第3四半期決算:ソリューション事業が牽引し過去最高売上を更新、設立20周年記念配当と成長投資を加速
StockClub
公開日時: 2026/09/10 09:57
Sentiment Analysis

1. 決算概要:ソリューション事業の急成長により過去最高売上を達成
トビラシステムズ株式会社の 2026年10月期第3四半期累計(2025年11月1日〜2026年7月31日)の業績 は、売上高が 2,636百万円(前年同期比27.1%増) となり、第3四半期累計期間として過去最高の売上高を大幅に更新しました。
営業利益は 755百万円(前年同期比0.6%減) 、経常利益は 771百万円(前年同期比1.0%増) 、親会社株主に帰属する四半期純利益は 516百万円(前年同期比0.1%増) となりました。中期経営計画2028に基づく積極的な人材採用や開発投資、オフィス移転などの事業基盤強化施策を計画通り進めながらも、売上高の大幅な伸長によって高い収益性を維持しています。

ハイライトスライドの意義と業績要因の分析
上記のハイライトスライドは、同社の事業ポートフォリオにおける構造変化を象徴しています。従来の中核であったセキュリティ事業が堅調な基盤として機能する中、 「ソリューション事業」の牽引力が急速に拡大 している点が明確に示されています。
- セキュリティ事業 :売上高 1,497百万円(前年同期比4.1%増)
- モバイル向けは開発案件の期ズレや一部アプリの減収影響で1,240百万円(前年同期比1.3%減)となったものの、固定電話向けが迷惑電話ブロックの標準サービス化に伴う契約数増加により 256百万円(前年同期比56.8%増) と急成長を遂げました。
- ソリューション事業 :売上高 1,139百万円(前年同期比79.0%増)
- ビジネスフォン向けサービスである「トビラフォン Biz」が 793百万円(前年同期比70.6%増) 、クラウド型PBXサービスである「トビラフォン Cloud」が 346百万円(前年同期比101.8%増) と、いずれも前年同期を大幅に上回る猛烈な拡大を記録し、第3四半期累計時点で前期の通期実績を超える水準に達しています。
2. 収益構造の進化:ストック収益の積み上がりとフロー収益の拡大
同社の強みである高収益なビジネスモデルは、四半期推移からも確認できます。四半期売上高は右肩上がりのトレンドを継続しており、2026年10月期第3四半期単体では売上高 962百万円(前年同期比37.0%増) を記録しました。

収益性の質的変化とストック性の強み
上記スライドのストック・フロー収益推移は、同社のビジネスモデルが強固なディフェンシブ性と高いトップライン成長力を併せ持っていることを示しています。
- ストック収益の安定拡大 :
- 第3四半期単体のストック収益は 733百万円(前年同期比27.0%増) に伸長。セキュリティ事業の盤石な月額基盤に加え、ソリューション事業における月額利用料・ライセンス料の積み上がりが加速しています。
- フロー収益の急伸 :
- 第3四半期単体のフロー収益は 228百万円(前年同期比82.4%増) となりました。これは「トビラフォン Biz」の端末販売台数が四半期ベースで過去最高を記録したことや、「トビラフォン Cloud」の導入に伴う初期費用が増加したことによるものです。
- 特筆すべきは、端末販売(フロー)の増加がそのまま将来の5〜7年におよぶ長期ライセンス料(ストック)の契約負債・収益計上へと直結する循環モデルが機能している点です。
3. セグメント別動向とKPI分析
(1) ソリューション事業:社会課題を捉えた需要急増
- トビラフォン Biz :
- 累計販売台数は 8,588台 に達しました。近年社会的な関心が高まっている 「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」 としての通話録音・警告機能の需要や、手軽に導入できる「Biz Lite」による新規顧客層の開拓、代理店を含む販売チャネルの強化が成長の主因です。
- トビラフォン Cloud :
- 課金ID数は 17,399件 と急拡大しており、四半期における課金ID純増数は過去最高を記録しました。

トビラフォン CloudのKPI解説
上記スライドの課金ID数推移と平均月次解約率は、同社のクラウドサービスが極めて高い顧客定着率とスケーラビリティを保持していることを証明しています。
- エンタープライズ(大手・中堅企業)向け直販案件の獲得 が進展し、単一案件あたりの導入規模が拡大しています。
- 平均月次解約率は1%未満(第3四半期実績は約0.7%) という極めて低い水準を維持しています。業務インフラとしての必須性が高く、導入後のスイッチングコストが高いことが低解約率を支えています。
(2) セキュリティ事業:固定電話向けが牽引
- モバイル向け :大手キャリアを通じた複数の契約モデル(月間利用者数×単価、契約者数×単価、定額固定契約)を組み合わせて展開しており、2026年4月に実施された単価改定効果が第3四半期より3ヶ月分フル寄与しています。
- 固定電話向け :警察庁の統計によると2026年上半期の特殊詐欺被害額は 1,816億円 と依然として拡大傾向にあります。特に高齢者層を狙った詐欺対策として、通信各社での 迷惑電話ブロックの標準サービス化 が進み、契約者数が順調に純増しています。
4. 通期業績予想に対する進捗とコスト構造
2026年10月期通期業績予想に対する進捗率は、極めて高い水準で推移しています。
- 売上高 :進捗率 78.3% (通期予想3,366百万円に対し累計2,636百万円)
- 営業利益 :進捗率 96.2% (通期予想785百万円に対し累計755百万円)
- 経常利益 :進捗率 96.9% (通期予想796百万円に対し累計771百万円)
- 純利益 :進捗率 97.3% (通期予想531百万円に対し累計516百万円)
第4四半期の投資計画と着地見通し
利益面の進捗率はすでに通期計画の96%を超えていますが、会社側は通期予想を据え置いています。これは以下の 計画通りの成長投資が第4四半期に集中 するためです。
- 人材採用の加速 :第3四半期末時点の正社員数は138名(前期末比24名増)。8月・9月で計10名の入社が決定しており、通期計画155名に向けて順調に推移しています。
- 拠点整備・ブランディング費用 :東京オフィスに続く 名古屋本社オフィスの移転完了に伴う関連費用 や、設立20周年に合わせたコーポレートサイトリニューアル費用の計上を予定しています。
- 開発投資 :新規プロダクト開発や新商材の投入に向けた研究開発費の執行を継続します。
5. 資本政策・トピックスと今後の成長戦略
① 設立20周年記念配当の実施
業績が期首想定を上回って推移し、成長投資に必要な資金を確保した上で資金余力があることから、株主還元を強化。期末配当予想において 1株当たり20円の普通配当に加え、20円の記念配当を実施(合計40円/株) することを決定しました。
② 株式会社プロディライトとの資本業務提携
クラウドPBX「トビラフォン Cloud」の販売加速とシェア拡大に向け、クラウドPBX事業を展開する 株式会社プロディライトとの資本業務提携(議決権所有割合5.948%の株式取得) を締結しました。両社の顧客基盤や販売網、開発力を相互に活用し、クラウド電話市場におけるポジション強化を推進します。
③ 財務健全性とキャッシュフロー
第3四半期末の総資産は 6,737百万円(前期末比1,356百万円増) となり、現預金は 4,301百万円(前期末比565百万円増) と潤沢な流動性を確保しています。「トビラフォン Biz」の販売増に伴い、前受収益に相当する契約負債が増加したことで流動負債が増加し、自己資本比率は 45.6% となりましたが、実質的なキャッシュ創出力と財務基盤は極めて強固です。
6. まとめ
トビラシステムズの2026年10月期第3四半期決算は、中核の迷惑電話対策サービスで培った独自の迷惑情報データベース基盤を武器に、カスハラ対策や企業のクラウド移行需要を捉えた ソリューション事業が第二の柱として力強く開花 したことを示す内容となりました。豊富な手元資金と高い収益性を両立させながら、中期経営計画2028の達成に向けた人材・インフラ投資を加速させています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。