
マーキュリアホールディングス、AUM拡大とマルチアセット展開で収益基盤を強固に——バイアウト3号・大型航空機オープンエンドファンド始動
StockClub
公開日時: 2026/09/03 09:52
Sentiment Analysis

エグゼクティブサマリー
株式会社マーキュリアホールディングス(東証プライム: 7347) は、オルタナティブ投資に特化した独立系アセットマネジメントグループとして、強固な株主基盤(日本政策投資銀行、伊藤忠商事、三井住友信託銀行)とクロスボーダーのネットワークを武器に持続的な成長を遂げています。
2026年12月期第2四半期決算説明会資料によると、同社は伝統的資産と異なる 「低流動性市場(オルタナティブ資産)」と「資本市場」を繋ぐリスクマネーの資金循環 を担うプラットフォームとして存在感を高めています。 運用資産残高(AUM)は3,449億円 に達し、過年度には営業総利益67.4億円、経常利益25.5億円と過去最高益を更新しました。
足元では、 バイアウト1号ファンドが成功報酬ステージ(DPI 1.66倍) に入り利益貢献を継続する中、438.5億円規模の バイアウト2号ファンドの運用進捗 、ならびに目標規模500億円を見込む バイアウト3号ファンドの募集開始 が進んでいます。さらに資産投資部門では、国内初となる本格的な 「航空機オープンエンド型ファンド(目標資産規模1,500億円)」 をローンチするなど、管理報酬の安定的積み上げと成功報酬の獲得に向けたマルチ戦略が加速しています。
1. 経営基盤と主要指標の推移:AUM 3,449億円への飛躍
マーキュリアグループは、2005年の設立以来、マクロ環境の変化を先取りしながら投資領域を拡大してきました。2016年の株式上場、2021年の持株会社体制移行を経て、現在は東証プライム市場上場企業として高いガバナンスと信用力を確立しています。
以下の主要経営指標の推移スライドは、同社がどのように受託資産と収益規模を拡大してきたかを示しています。

【スライド解説:主要経営指標の成長軌跡】
上記スライドが示す通り、同社の AUM(運用資産残高)は右肩上がりで拡大し、3,449億円を突破 しました。2011〜2015年頃の1,000億円規模から、2021年の2,000億円突破、そして直近の3,000億円突破へと成長スピードが加速しています。
収益面では、安定的なベースとなる 「運用管理報酬」 に加え、投資回収期に発生する 「成功報酬」や「自己勘定投資リターン」 が上乗せされる構造を持ちます。2025年12月期には営業総利益67.4億円、経常利益25.5億円と過去最高益を達成しました。一時的な市場変動の影響を受ける期間はあるものの、新規ファンドの組成と残高の積み上げにより、収益基盤の中長期的な底上げが着実に進んでいます。
2. 事業投資部門の進捗:バイアウトファンドの成果と次号展開
事業投資部門では、「バイアウト投資(マジョリティ投資)」「ストラクチャード・エクイティ投資」「グロース/ベンチャー投資」の3つのアプローチを組み合わせ、企業の事業承継やカーブアウト、成長支援を行っています。

【スライド解説:バイアウト1号・2号の運用実績と投資先】
上記スライドは、同社の主力事業であるバイアウトファンドの規模拡大と運用実績の推移を詳細にまとめています。
-
バイアウト1号ファンド(213億円規模) :
- 2016年8月組成。計10件の投資を行い、すでに泉工業、ぺんてる、ツノダ、東京電解、シンクス、小島製作所など 6件のイグジットを完了 。
- ネットIRR 15%超、ネット投資倍率2倍超 を達成し、ハードルレートを超過して 成功報酬ステージへ突入(DPIは1.66倍) 。残存する3件のポートフォリオ企業(水谷産業、宮武製作所、イーテック)のバリューアップと追加エグジットにより、さらなる成功報酬の積み上げを目指しています。
-
バイアウト2号ファンド(438.5億円規模) :
- 2022年3月組成、2023年9月に1号ファンドの2倍強となる規模でファイナルクローズ。
- 投資期間中の 年間管理報酬は約8億円 と安定収益源として機能。すでにミューチュアル、SOLUPT、旭鉄工グループ、CBGMなど計8件の投資を実行(1件イグジット済み)。
-
バイアウト3号ファンド(募集開始) :
- 2号ファンドの順調な投資進捗を受け、 目標規模500億円 を掲げて募集活動を開始。さらなる管理報酬基準資産の拡大が見込まれています。
3. 多様化する投資戦略:縁ファンドとグロース投資の深化
同社はマジョリティ買収に留まらず、日本企業のニーズに即した新たな投資ソリューションを提供しています。
-
ストラクチャード・エクイティ(縁ファンド / 180億円規模) :
- 日本政策投資銀行(DBJ)およびタイ最大級の財閥である CPグループ(Charoen Pokphand Group) と連携し、2025年2月に運用開始。
- 上場・非上場問わず、企業の 15〜49%の大口マイノリティ持分 を取得。CB(転換社債)や優先株式を活用した柔軟な資本ストラクチャーを設計し、CPグループのグローバルネットワークを活かして投資先企業の海外展開(特にアジア圏)を伴走支援する独自のコンセプトです。
-
BizTechファンド(31億円)& サプライチェーンファンド(30億円) :
- 不動産・物流・サプライチェーンのDX・産業革新をテーマにしたグロース投資。
- BizTechファンドではハッチ・ワーク(東証グロース上場)やLUUP、bitkeyなど17件に投資。
- サプライチェーンファンドではトヨコーの上場実績に加え、LocationMind、MENOU、RECOTECHなど先端テクノロジー企業へ投資を実行し、産業課題解決とイグジット益創出を推進しています。
4. 資産投資部門の新機軸:航空機投資のオープンエンド化と拡大戦略
資産投資部門において、不動産(Spring REIT等)や再エネ・インフラに次ぐ第3の柱として急速にスケールしているのが 「航空機投資」 です。

【スライド解説:航空機投資戦略の新フェーズ突入】
上記スライドは、航空機投資における国内運用会社のフロントランナーとしての同社の戦略的進化を示しています。
-
ファンドのトラックレコード :
- 1号ファンド(2018年設立) : コロナ禍を乗り越え、市場回復トレンドを捉えて 全資産エグジットが間近 。
- 2号ファンド(2022年設立) : 想定を超える好リターンで順調に運用中(2028〜2029年頃イグジット予定)。
-
3号オープンエンド型ファンド(2026年本格ローンチ) :
- 期限付きファンドから、継続的に資産を拡大・運用できる 「オープンエンド型」 へと進化。アイルランドのAirborne Capitalと共同運営。
- 日本政策投資銀行がアンカー投資家 として参画し、大和証券グループとの協業体制を構築。米ユナイテッド航空向け最新鋭ボーイング737 MAX 9新造機2機を皮切りに資産組み入れを開始。
- 今後2〜3年間で 投資資産規模1,500億円 を目指し、金融機関、年金基金、事業法人、将来的には個人投資家層への販売拡大を図る計画です。
航空機は、世界的な旅客需要の拡大とインフレ耐性、高い流動性(米ドル建て資産)を持つ実物資産であり、機関投資家の代替運用ニーズに合致した有望な成長ドライバーとなっています。
5. 不動産・インフラ領域の進捗とグローバル展開
- Spring REIT(香港証券取引所上場) :
- 北京の高級オフィスビル(14.5万㎡)および恵州の商業施設(14.5万㎡)等を保有(資産総額2,720億円、時価総額491億円)。
- 高稼働を維持しているものの、中国マクロ経済や金利動向に伴う単価下落に対し、市場対話を強化して対応中。
- 再エネ・インフラ投資 :
- エネクス・インフラ投資法人の運用支援や台湾太陽光発電プロジェクトを推進。案件の早期回収および後続案件の開発を精査。
- アジア拠点の活用 :
- 中国(北京)、香港、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン)、シンガポールに拠点を展開。連結従業員における 外国人比率は41% に達しており、クロスボーダーでの資産調達・運用能力が強みとなっています。
6. まとめと今後の成長ストーリー
マーキュリアホールディングスは、以下の成長サイクルを確立しつつあります。
- 安定的な管理報酬の拡大 : バイアウト2号(438.5億円)の運用に加え、 バイアウト3号(目標500億円)の組成 と航空機オープンエンドファンド(目標1,500億円)の資産積み上げ により、固定的な運用報酬ベースを大幅に拡張。
- 成功報酬の持続的獲得 : バイアウト1号の残存案件エグジット(DPI 1.66倍からの上乗せ)や、順調に推移するバイアウト2号・航空機1号/2号からのエグジットリターン。
- 独自ポジショニングの確立 : DBJや大手商社、CPグループ等との戦略的アライアンスをテコに、日本とアジアを結ぶ「低流動性オルタナティブ・マネージャー」としての地位を確立。
プライム上場維持基準を充足し、自己勘定投資の公正価値開示などガバナンスと市場対話を一段と進化させる同社の今後の動向が注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。