
Welby 2026年12月期第2四半期決算:疾患プラットフォームへのモデル転換が進展、ストック収益と医療機関連携が拡大
StockClub
公開日時: 2026/08/28 09:52
Sentiment Analysis

1. エグゼクティブサマリー
株式会社Welbyの2026年12月期第2四半期決算は、売上高が 376百万円(前年同期比+30.7%) 、売上総利益が 255百万円(同+27.8%) と力強い増収を達成しました。特に主力の 疾患ソリューション事業が売上高244百万円(同+81.2%) と大きく伸長し、業績全体の成長ドライバーとなっています。
一方で、将来の成長に向けた組織拡大やプラットフォーム開発などの先行投資を継続しており、営業利益は -256百万円(前年同期は-249百万円) となりました。しかし、事業構造面では従来の「個別薬剤ごとの患者サポートプログラム(PSP)」から「疾患領域単位のプラットフォームモデル」への転換が進み、 ストック売上比率は61%(231百万円) に達するなど、中長期的な収益基盤の構築が着実に進展しています。
2. 業績ハイライトおよび財務状況
主な業績数値の推移
第2四半期累計期間における主要な経営成績は下表の通りです。

上図の決算サマリーに示されている通り、売上高は前年同期比で +88百万円(+30.7%)の増収 となりました。通期予想である 売上高1,466百万円、営業利益-30百万円 の達成に向けて、下期における受注積み上げと投資回収フェーズへの移行が計画されています。
- 売上高 : 376百万円(前年同期比 +30.7%)
- 疾患ソリューション事業 : 244百万円(前年同期比 +81.2% )
- マイカルテ事業 : 132百万円(前年同期比 -13.7%)
- 売上総利益 : 255百万円(前年同期比 +27.8%)
- 売上総利益率 : 68.0% (高水準の利益率を維持)
- 営業利益 : -256百万円(前年同期は -249百万円)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益 : -223百万円(前年同期比 +19百万円の改善)
- プラットフォーム投資金額 : 98百万円(前年同期比 +19.5%)
収益構造の特徴:高粗利とストック性の向上
Welbyの強みであるPHR(Personal Health Record)プラットフォームを活用した企業向けソリューションの展開により、 売上総利益率は68% と高水準を維持しています。 また、売上構成における ストック売上は231百万円(前年同期比+11%、構成比61%) となり、2024年第2四半期の121百万円(66%)、2025年第2四半期の207百万円(72%)から金額ベースで着実な拡大基調にあります。加えてフロー売上(初期開発費やライセンス等)が前年同期の79百万円から 145百万円へと大幅増加 しており、これが翌期以降のストック積み上げにつながる構造となっています。
営業損益の変動要因と財務健全性
営業利益の増減分析では、売上高増加に伴う粗利貢献があったものの、売上原価および開発コストの増加(-55百万円)、将来の組織拡大に向けた販売コスト増(-15百万円)、間接コスト増(-23百万円)が先行しました。これらの先行投資効果は、今後の事業規模拡大に伴い遅行して顕在化する見込みです。
財務面では、2026年第2四半期末時点で 流動資産593百万円(現預金435百万円) 、純資産108百万円 となっています。会社側は、株価向上施策の実行による新株予約権・新株予約権付社債の行使促進など、純資産および現預金残高の増強に向けた適切なマネジメントを実施する方針を示しています。
3. 注力領域における事業進捗とKPI
Welbyは「プライマリー領域(生活習慣病・循環器等)」と「オンコロジー領域(がん等)」を重点領域と位置づけ、医療機関連携と社会実装を急速に進めています。

上図のスライドは、同社の事業基盤の厚みを示す極めて重要なKPIをまとめています。
プライマリー領域の社会実装KPI
- マイカルテ契約医療機関数 : 7,270軒 (対象市場である内科系医療機関6.4万軒の 11.3% をカバー)
- 中期目標(2027年)の 1.0万軒 に向けて順調に進捗。
- アプリ累計ダウンロード数 : 150万DL を突破。
- かかりつけ医療機関数比率 : 循環器内科で 61.5% (5.9pt上昇)、糖尿病内科で 74.0% (15.5pt上昇)、一般内科で 57.0% と、専門診療科における定着率が顕著に高まっています。
オンコロジー領域の進捗
- がん診療連携拠点病院等における契約機関数 : 68軒(シェア14.7%) に到達。
- 2026年目標の100軒、2027年目標の 150軒(シェア32%) に向け、日本肺癌学会など各医学会と連携した「マイカルテONC」の導入加速を図っています。
4. ビジネスモデルの転換と競争優位性
同社の今後の持続的成長における最大のドライバーは、従来の 単一薬剤特化型PSPから疾患領域単位のプラットフォームモデルへの転換 です。

モデル転換がもたらす価値の変革
上図に示されている通り、従来のビジネスモデルでは製薬企業ごとに個別薬剤向けのアプリを開発していたため、契約が単発・短期になりがちでした。しかし、疾患領域プラットフォームへの統合により以下のメリットが生まれています。
- 製薬企業へのメリット : 疾患横断・薬剤横断的なリアルワールドデータ(RWD/PHRデータ)の利活用が可能となり、 長期契約・高LTV化 を実現。
- 患者へのメリット : 複数の薬剤や疾患を抱えていても、単一のUI/UXで統合的に自己管理が可能。
- 医療機関へのメリット : 患者の疾患横断的なデータを一元的に閲覧でき、診療効率化と治療アウトカム改善に直結。
プラットフォームの技術基盤とアライアンス
国際標準規格 HL7 FHIR に対応したデータ連携基盤「Welby PHR & Data-Portability Platform (WPDP)」を構築し、オムロンやテルモ、アボットなどの各種バイタル測定機器、マイナポータルの健診・処方情報、電子カルテ・検査会社との連携を包括的に実現しています。さらに、日本郵政、NTTドコモ、日本生命、スズケンといった大手プレイヤーとの強力なアライアンスを通じて社会実装を加速させています。
5. 中長期の成長戦略と事業展開ロードマップ
Welbyは、中長期的に以下の4つの事業ドメインを展開し、持続的な企業価値向上を目指しています。
- 疾患領域単位のPHRプラットフォーム事業(中核事業・B2B) : 生活習慣病、オンコロジーに加え、中枢神経疾患、希少疾患、自己免疫疾患へと領域を拡大。受託開発型からOEM・月額利用料モデルへの移行によりストック収益基盤を強化。
- 自治体向け事業・重症化予防(拡大事業・B2B2C) : 特定健診受診率向上(みなし健診)や重症化予防プログラムを提供し、地域医療機関ネットワークと自治体連携を深耕。
- 患者向け医療教育プラットフォーム(中核事業・B2B) : PHR利用患者の個別データに連動し、製薬企業等の医療コンテンツを最適なタイミングで提供。
- PHRデータ利活用事業(拡大事業・B2B) : 患者の許諾(インフォームド・コンセント)に基づき、他社が保有していない日々の症状や服薬ログなどの「患者ジャーニーデータ」を製薬企業や保険会社、研究機関へ提供・マネタイズ。
今後の成長イメージ
短期的には 疾患ソリューション事業 とマイカルテ事業 の収益拡大により投資回収を進め、中長期的には蓄積された医療ビッグデータを核とした PHRデータ事業 および パーソナライズサービス事業 を上乗せすることで、総合的な医療ITプラットフォームへと進化していく計画です。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。