
レオパレス21 2027年3月期 第1四半期決算:成約家賃単価が過去最高を更新、外国籍需要と開発事業が牽引する成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/08/27 09:55
Sentiment Analysis

エグゼクティブサマリー
レオパレス21(8848)の2027年3月期第1四半期(1Q)決算は、 売上高1,159億200万円(前年同期比+3.7%) 、営業利益121億2,300万円(同△1.1%) 、経常利益122億7,900万円(同+6.2%) 、四半期純利益70億3,400万円(同+1,166.2%) となり、期初計画に沿った堅調な進捗を示しました。
主力の賃貸事業では、首都圏を中心とする底堅い法人需要を背景に、 6月の成約家賃単価指数が「123」と過去最高を更新 したほか、 1Q平均入居率も87.23%(前年同期比+0.98ポイント) と計画を上回る推移を維持しています。また、成長領域である開発事業においても、関西・九州エリアへの営業拠点拡大と中大型案件の獲得により、受注高の通期計画進捗率が 34.1% に達するなど、順調な滑り出しを見せています。
1. 業績ハイライトおよび財務・コスト構造の推移
損益計算書(PL)の概況
当第1四半期における損益構造の特徴は、売上高の着実な増加とともに、将来を見据えた人的投資やDX投資を計画的に実行した点にあります。
- 売上高 : 1,159億200万円(前年同期比+3.7% / 計画比△0.2%)
- 売上総利益 : 265億1,100万円(前年同期比+5.6% / 計画比+1.2%)
- 販管費 : 143億8,800万円(前年同期比+12.0% / 計画比+3.5%)
- 営業利益 : 121億2,300万円(前年同期比△1.1% / 計画比△1.4%)
- 四半期純利益 : 70億3,400万円(前年同期比+1,166.2% / 計画比△0.9%)
売上原価は、物件メンテナンスの強化等により前年同期比+27億円の893億円となったものの、マンスリー契約における水熱費単価上昇が想定を下回ったことで計画比では5億円抑制されました。販管費は、従業員待遇改善や人員増(YoY+242名)による人件費増加(+8億円)、システムライセンス利用料等のDX推進費用(+5億円)により増加していますが、これらは中長期的な管理運営効率化に向けた先行投資と位置付けられます。純利益の大幅増は、前年同期に計上された自己新株予約権消却損(約100億円)の剥落によるものです。
財務基盤(BS)の強化
営業キャッシュフローの着実な創出により、 現預金は前四半期末比78億円増の657億1,900万円 へ拡大しました。利益剰余金の積み上げ(同+53億9,900万円)に伴い、 自己資本比率は26.3%(前四半期末比+2.5ポイント) に改善し、財務の健全化が着実に進展しています。
2. 賃貸事業:プライシング戦略の奏功と高い入居率の両立
賃貸事業においては、高水準な入居率を維持しつつ家賃単価を引き上げる戦略が明確な成果を生んでいます。

成約家賃単価の上昇トレンドと先行性
上記のスライドが示す通り、成約家賃単価指数(2016年4月=100)は右肩上がりの上昇を続けており、 2026年6月には過去最高となる「123」を記録 しました。同社は今期計画において入居率とのバランスを考慮し保守的な単価設定を行っていましたが、首都圏を中心とした強固な法人需要に対して適切なプライシング戦略を展開した結果、計画を大幅に上回る推移となっています。
成約家賃単価は新規契約の単価を示すため、 既存入居者を含む「稼働家賃単価」の先行指標 となります。質疑応答でも言及された通り、マンスリー契約の抑制により一時的に退去件数が減少し(前年同期比約1,200室減)、新規入替の回転速度はやや緩やかであるものの、高単価契約への入替が継続することで中長期的な収益押し上げ効果が期待されます。
入居率の地域別動向
1Q平均入居率は 87.23%(前年同期比+0.98ポイント、計画比+0.19ポイント) と高水準で推移しています。地域別では、 東京都96%、埼玉県・千葉県94%、神奈川県93% と首都圏が全体を牽引。地方都市においても、青森県(84%、YoY+7p)や秋田県(95%、YoY+7p)のように発電所やダム等のインフラ建設需要を取り込んだ地域で大幅な改善が見られました。
3. 需要構造の深掘り:法人需要の安定性と外国籍人材の急伸
入居者の属性別構成では、 法人利用比率が66.5%(前年同期比+1.8ポイント) と過去最高水準を維持しています。

外国籍利用戸数の継続的拡大
同社の賃貸需要を力強く下支えしているのが、上記スライドにある 外国籍人材の利用拡大 です。当第1四半期における外国籍利用戸数は 66,719戸(前年同期比+20.3%、前四半期比+1.3%) に達し、 全利用戸数に占める構成比は14.2% と過去最高を更新しました。
深刻な人手不足を背景に、医療・福祉(YoY+20.2%)、飲食・宿泊(YoY+13.3%)、卸売・小売、建設などの業種において、企業が社宅としてレオパレスの物件を一括確保する動きが加速しています。繁忙期である第4四半期(1〜3月)を通過した後の第1四半期においても戸数が増加基調を維持している点は、季節変動に左右されない構造的な需要の強さを示しています。
4. 開発事業の再成長と提携戦略

開発事業の進捗状況
管理物件の供給基盤を再構築する開発事業では、従来の首都圏・名古屋に加え、 大阪府・広島県・福岡県へと営業拠点を拡大 しました。この拠点展開が早期に奏功し、1Q実績は以下の通り極めて順調な進捗となっています。
- 受注棟数 : 31棟(前年同期比+2棟 / 進捗率22.1%)
- 受注戸数 : 476戸(前年同期比+46戸 / 進捗率25.1%)
- 受注高 : 45億7,800万円(前年同期比+6億4,400万円 / 進捗率34.1% )
同社の過去実績における1棟あたり平均戸数(約16戸)に対し、今期は1棟あたりの規模が大きい案件の獲得が進んだことで、受注高の進捗が計画(通期134億円)を大きく上回るペースで推移しています。
リロエステートとの業務提携
2026年7月末には、社宅代行最大手のリログループ傘下である株式会社リロエステートとの提携を公表しました。社宅市場において家具・家電付き物件のニーズが高まる一方、市場供給が限定的であるという課題に対し、同社が持つ全国約54万戸の管理ネットワークと家具・家電付きアパートのストックを連携させることで、法人社宅需要のさらなる取り込みを図る方針です。
5. 資本政策およびDX戦略の方向性
決算説明会および質疑応答では、今後の経営基盤強化に関する重要方針が示されました。
- 資本政策と株主還元 : 手元資金が650億円規模に積み上がる中、利益剰余金は約330億円まで回復。大株主の株式売却意向や分配可能額の制約を注視しつつ、適切なタイミングでの自社株買いや株主還元を機動的に検討する姿勢が示されました。
- DX・AI投資によるオペレーション効率化 : 個人契約における電子契約の普及やスマートロックの導入に加え、営業活動のAI分析や全国約54万戸の物件管理業務の自動化に向けたテック投資を継続。販管費への一部前倒し計上を伴いながらも、中長期の運営コスト削減と収益性向上を推進しています。
まとめ
2027年3月期第1四半期のレオパレス21は、 「成約家賃単価の上昇」「高入居率の維持」「外国籍人材を中心とする法人需要の獲得」「開発事業の拠点拡大に伴う大型案件受注」 の各要素が噛み合い、通期計画の達成に向けて極めて堅調なスタートを切りました。蓄積された新規契約の高単価が稼働家賃単価へ浸透していく時間軸とともに、リロエステート提携などのシナジー発現が今後の注目点となります。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。