
ミラタップ 2026年9月期 第3四半期決算:増収・大幅黒字転換と「飛躍期」に向けた事業基盤の進化
StockClub
公開日時: 2026/08/27 09:52
Sentiment Analysis

株式会社ミラタップ(旧社名:株式会社サンワカンパニー)の2026年9月期 第3四半期決算は、社名変更に伴う先行投資フェーズを経て、売上高が第3四半期累計として 過去最高 を更新するとともに、営業利益が前年同期の赤字から 大幅な黒字転換 を果たす力強い進捗を示しました。本レポートでは、業績ハイライト、収益構造の改善要因、カテゴリ別動向、AIを活用した生産性改革、そして中長期の成長戦略について深く掘り下げて解説します。
1. 2026年9月期 第3四半期 業績ハイライト:売上高過去最高と営業黒字化
当第3四半期累計期間における業績は、売上高が前年同期比 +3.4%増の118億8,800万円 、売上総利益が同 +2.0%増の44億3,900万円 (売上総利益率37.3%)となりました。利益面では、営業利益が 2億6,700万円 (前年同期は1億3,900万円の営業損失)、経常利益が 2億3,200万円 (前年同期は1億3,900万円の経常損失)、四半期純利益は 2億3,300万円 (前年同期は1億7,200万円の純損失)を計上し、前年同期比で 大幅な増収増益・黒字転換 を達成しています。

上記スライドの通り、通期計画に対する進捗率は、売上高が 69.8% 、営業利益が 75.7% 、経常利益が 71.5% とおおむね計画通りのペースで進捗しています。特に四半期純利益は通期計画(2億2,700万円)に対し 102.8% に達しており、期初目標を前倒しで達成する水準です。第4四半期における追加の費用執行や事業環境の変動を考慮して通期予想は据え置かれているものの、収益性の改善が極めて順調に進んでいることが確認できます。
2. 四半期売上高の推移と需要動向
四半期単体(3Q)の売上高は 40億100万円 となり、前年同期比 +6.4%増 と第3四半期単体として 過去最高 を記録しました。全体の顧客数拡大には一部課題が残るものの、同社のコア基盤である ロイヤルカスタマーを中心とした注文単価および注文回数の増加 が業績を力強く牽引しています。
また、2026年5月に投入されたオリジナル家電「インヴィエラ ビルトイン冷蔵庫」や、最上位フルセラミックキッチン「ジオーラ」といった高付加価値な新商品が好調なスタートを切り、新規リードの獲得と商談化が進んでいます。SNS発信やデジタルコンテンツの強化によって獲得した見込み顧客の受注転換が、第4四半期以降の売上を支える見通しです。
3. 営業利益の増減要因分析:広告宣伝投資の正常化と構造改革
前年同期の営業損失1億3,900万円から当期2億6,700万円へと、営業利益が 4億600万円改善 した背景には、明確なコスト構造の変化があります。

スライドに示された増減要因の内訳を見ると、利益押し上げの最大要因は 広告宣伝費の適正化(+3億6,000万円) です。前期に実施した社名変更(サンワカンパニーからミラタップへ)に伴う一時的な大規模プロモーションが一巡し、投資対効果を精査した効率的な広告運用へシフトしたことが大きく寄与しました。また、前期に発生していた倉庫移転に伴う二重賃料や移転費用、本社移転に伴う備品取得費用の剥落(それぞれ+5,600万円、+4,000万円)も利益回復を後押ししました。
一方で、将来の事業拡大を見据えた 人件費の増加(△6,200万円) や、本社移転・東京新事務所開設に伴う 賃借料の増加(△3,100万円) 、基幹システム・顧客管理システム等のソフトウェア取得に伴う 減価償却費の増加(△2,100万円) といった先行投資費用が発生していますが、これらを増収効果と固定費の正常化で十分に吸収する構造が確立されています。
4. 財務体質とキャッシュフローの改善
2026年6月末時点の総資産は 88億3,500万円 (前期末比4,500万円増)となりました。流動資産では売上拡大に伴い売掛金が11億4,700万円(同2億200万円増)となった一方、営業活動によるキャッシュ創出により、 現金及び預金は14億5,200万円 (同1億4,400万円増)へ増加しました。
負債面では、短期借入金8億8,800万円の返済を進めつつ、一部を長期借入金(1億3,300万円)へシフトさせた結果、 借入金総額は7億5,500万円純減 しました。純資産は四半期純利益の積み上げにより 30億3,400万円 に達し、自己資本の拡充と有利子負債の削減による 財務体質の健全化 が着実に進展しています。
5. 商品カテゴリ別売上高の動向
商品別の売上構成では、主力の水廻り分野が高い存在感を維持しています。
- 洗面・水廻り : 売上高 54億3,500万円 (前年同期比 +6.0% )、構成比 45.7% 。ミニマリズムを追求したミラーボックス「スミス」や、1ミリ単位でオーダー可能な「ピッタミラー」などが牽引し、全社売上を支える柱となっています。
- キッチン : 売上高 21億6,300万円 (同 +3.5% )、構成比 18.2% 。デザイン性と機能性を両立させた商品群が堅調に推移しています。
- バス : 売上高 4億8,200万円 (同 +16.2% )と、2桁の高い成長率を記録しました。
- 建具・エクステリア・タイル : 建具が8億4,600万円(同△6.7%)、エクステリアが5億5,400万円(同△6.6%)と一部で伸び悩みが見られるものの、新商品の投入やラインナップ拡充によって早期の回復を図っています。
6. ブランド認知度とSNSマーケティングの成果
社名変更直後に一時的に低下した認知度は、集中投資の結果、一般層で 6.9% 、住宅検討層で 18.4% まで回復し、旧社名時代と同等水準を取り戻しました。
公式SNSの総フォロワー数は 39.1万人 に達し、特にInstagramは20万人を突破、TikTokも1.9万人を超えるなど、デジタルネイティブ世代や住宅一次取得層への直接リーチ力が一段と強化されています。Web検索環境の変化を見据え、ECサイト流入数からSNSフォロワー基盤へのKPIシフトを進め、実購買への転換率向上に注力しています。
7. 中長期成長戦略:事業領域の拡張と高付加価値化
同社は、中期経営計画において現在を「 飛躍期 」と位置づけ、市場の成長率を大きく上回る高成長を目指しています。

上記ロードマップに示される通り、戦略の柱は 「商品力の強化」 と**「販売戦略の高度化」** です。
- 家電カテゴリへの本格進出 : 2025年5月のオリジナル照明「トアール」に続き、2026年5月には同社初となるオリジナル家電「 インヴィエラ ビルトイン冷蔵庫 」を発売。空間との調和を追求したフラットデザインにより、住宅設備と家電を統合したトータル空間提案を実現しています。
- フラッグシップ商品の拡充 : フルセラミックキッチン「 ジオーラ 」や超大判タイル「 バサルティ 」など、ハイエンド市場をターゲットとした新商品を投入し、客単価の引き上げを図っています。
- 販路とプロモーションの多角化 : 建築プロプラットフォーム「SUVACO」の事業譲受、Amazonでの一部商品販売開始、TVCMから見逃し配信型TV広告(TVer)への最適化、全国展示会への出展継続など、認知獲得から購買までの導線を複線化しています。
8. AI活用による全社的業務変革(DX)への取り組み
労働力不足の克服と生産性向上に向け、同社は先進的なAI活用を全社規模で推進しています。2026年4月には独自の AI社員「美楽 ニーナ(みらにーな)」 が入社し、展示スペースでの接客業務を開始したほか、決算説明動画のAIアバター化など対外的な発信にも活用しています。
社内では、全社員への生成AIツール付与に加え、独自のスキル可視化指標「 mirAIs(ミライズ) 」を導入。当期は全社が「レベル0(未着手)」から脱却し、 「AI-Ready(AIを有効活用できる基盤が整った状態)」 へ移行することを目標としています。接客や定型業務の自動化により捻出した人的リソースを、より収益性の高いBtoB法人営業領域へシフトさせる戦略です。
9. 構造改革の進展とまとめ
ミラタップは、2026年9月期より旧連結子会社(株式会社ベストブライト)の全株式売却に伴い 非連結決算へ移行 しました。不採算要因を切り離したことで利益構造が筋肉質化し、単体としての収益力がストレートに業績へ反映される環境が整いました。
業界初の「 Web直販・ワンプライスモデル 」という強固な差別化要因をベースに、家電を含む商品領域の拡張、AIによるオペレーションの効率化、そして財務基盤の健全化を同時に推し進める同社の「飛躍期」に向けた取り組みは、着実な成果として数字に表れ始めています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。