
アソインターナショナル 2026年6月期 決算ディープダイブ:過去最高益の更新とデジタル・海外展開が牽引する持続的成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/08/26 09:56
Sentiment Analysis

1. 2026年6月期 決算ハイライト:連続最高業績の更新
歯科矯正専門の歯科技工物受託で国内最大手である アソインターナショナル(証券コード: 9340) の2026年6月期決算は、売上高・各段階利益ともに過去最高を更新し、極めて堅調な事業拡大を示す結果となりました。
- 売上高 : 4,166百万円 (前年同期比 +9.7%増 、期初計画比 103.8%達成 )
- 営業利益 : 723百万円 (前年同期比 +9.9%増 、計画比 97.0%)
- 経常利益 : 734百万円 (前年同期比 +16.3%増 、計画比 101.3%達成 )
- 当期純利益 : 518百万円 (前年同期比 +18.2%増 、計画比 102.9%達成 )
- 売上高営業利益率 : 17.4% (前年同期比 +0.1pt改善)
主力の歯科矯正技工物の需要拡大に加え、デジタル技術を活用した高付加価値製品の伸長や3Dプリンター等の商品売上が大きく寄与し、トップラインと利益の双方が力強く成長しました。

業績推移と収益性指標が示す企業価値向上
上記のグラフが示す通り、同社は上場(IPO)以降、右肩上がりの増収増益トレンドを維持しています。 特筆すべきは、売上高の拡大に伴って営業利益率が 17.4% 、当期純利益率が 12.4% と高水準で推移している点です。また、資本効率を示す 自己資本利益率(ROE)は16.8% に達しており、資本コスト(CAPM基準 9.6%)を大きく上回る エクイティスプレッド(7.2%) を創出しています。強固な参入障壁と高い収益性を両立する独自のビジネスモデルが、数字として実証されています。
2. 製品別・事業別の収益構造分析:デジタルシフトと商品売上の伸長
2026年6月期の売上構成を精査すると、従来の歯科技工の枠組みを超えた構造改革が進んでいることが分かります。

技工物ポートフォリオとデジタル化比率
売上高の内訳は、 歯科矯正技工物製品が81.4%(3,392百万円、前年同期比+8.1%) 、商品・その他売上高が18.6%(726百万円、前年同期比+18.4%) となっています。
技工物製品の内部構成では、保定装置である リテーナー(構成比22.4%) やアプライアンス(24.9%) といった安定需要品が基盤を支えつつ、CAD/CAMや3Dスキャナデータを活用する デジタル製造領域が37.8% (技工物売上ベース)にまで拡大しています。
- アライナー(マウスピース型矯正装置) : 構成比 17.7%
- IDB / セットアップ(間接接着・位置決め技術) : 構成比 24.6%
デジタル製造比率は前年同期の31.1%から着実に高まっており、技工プロセスの自動化・効率化と納期短縮、高品質化を実現しています。また、3Dプリンター本体や関連材料を販売する商品売上高が前年同期比+18.4%と急成長しており、技工物の受託製造にとどまらない総合ソリューションプロバイダーとしての立ち位置を確立しています。
3. 国内強固な顧客基盤と市場環境の追い風
同社の強みの源泉は、国内の矯正歯科市場における圧倒的な顧客基盤にあります。
- 全国29校の全歯科大学・歯学部との取引網
- 日本国内に存在する国公私立大学すべての歯学部(29校)に技工物を納入しており、教育・臨床研究の現場から歯科医師との強固なリレーションを構築しています。
- アクティブユーザー医院数の拡大
- 定期的に発注を行うアクティブ医院数は 6,848院 へと増加(登録医院数は20,000件超)。
- 一般歯科医(GP)による矯正治療参入の増加
- 全国の歯科診療所数は約66,378件と微減傾向にある一方、 矯正治療を手掛ける歯科医院数は約28,000院へと増加傾向 にあります。むし歯治療等の減少に伴い、収益機会として矯正治療を導入するGPが増加しており、専門知識や高度な技工技術を外部委託するニーズが同社の受注増を後押ししています。
4. グローバル市場への攻勢:北米・欧州市場の開拓
国内での強固な基盤をテコに、同社は海外展開を急速に加速させています。

海外事業売上高の急拡大と北米での躍進
2026年6月期の海外売上高は 248百万円(前年同期比 +34.3%増) となり、売上比率は 6.0% に達しました。 特に海外事業単体の四半期推移では、 第4四半期の売上高が前年同期比 +85.7%増 と爆発的な成長を見せています。北米エリア向け売上高が 前年同期比 +59%増 と牽引しており、ハワイ拠点(アソハワイ)に加え、 米国本土での営業・マーケティング強化 が実を結び始めています。
世界の歯科矯正市場において、北米市場は 世界シェアの約45%(2024年推定40億ドル) を占める世界最大のマーケットです。2024年から2030年にかけて 年平均成長率(CAGR)14.9% で成長し、2030年には 92億ドル(約1兆4,720億円) 規模に達すると予測されています。同社はこの巨大市場へ直接アプローチすることで、中長期的なアップサイドを狙っています。
5. 新製品および商品戦略:成長を加速させる2大ドライバー
① 新リンガル矯正装置「AIS(Aso Indirect bonding System)」の市場投入
- ソルベンタム社(旧3M)より承継した舌側矯正装置「インコグニト」の技術をベースに、同社独自のデジタルリニューアルを施した新装置 「AIS」 を開発・投入。
- 見えない裏側矯正(リンガル矯正)の需要が高い欧州(ユーロ圏)や日本国内において、IDB技術と組み合わせた高収益の柱として育成を進めています。
② 3Dプリンター「LuxCreo社 iLuxPro Dental」によるSAM拡大
- アライナーのプリントにとどまらず、 ソフトデンチャー(樹脂製義歯) 、補綴物、睡眠時無呼吸改善マウスピース(EMA 3D)など、矯正以外の歯科領域(SAM: 有効市場規模)へも3Dプリンティングソリューションを展開し、収益多角化を推進しています。
6. 財務健全性と資本コストを意識した経営
同社のバランスシートは極めて健全であり、投資余力と強固な安全性を誇ります。
- 総資産 : 3,740百万円
- 純資産 : 3,244百万円
- 自己資本比率 : 86.8% (無借金経営、財務レバレッジ 1.15倍)
- 流動資産比率 : 74.9%(うち現預金 1,428百万円、有価証券 500百万円)
営業キャッシュフローは +454百万円 と潤沢な現金を創出しており、設備投資(761百万円の投資CF)を実行しつつも極めて盤石なキャッシュポジションを維持しています。
7. 2027年6月期 業績見通しと株主還元方針
通期業績予想
2027年6月期も増収増益の継続を計画しています。
- 売上高 : 4,402百万円 (前年同期比 +5.7%増 )
- 国内事業: +4.3%増
- 海外事業: +24.8%増 (海外事業部 +38.2%増、アソハワイ +6.7%増)
- 営業利益 : 790百万円 (前年同期比 +9.3%増 )
- 経常利益 : 798百万円 (前年同期比 +8.7%増 )
- 当期純利益 : 555百万円 (前年同期比 +7.0%増 )
- 設備投資計画 : 110百万円 (デジタル製品増産のためのメタルプリンター、ワイヤーベンディングマシン等)
積極的な株主還元方針
同社は資本効率と株主還元を重視した配分政策を掲げています。
- 年間配当金 : 1株当たり28円 を予定(中間14円・期末14円、 前年比2円増配 )
- 配当性向(PR) : 49.8% (目途とする50%水準を維持)
- 株主資本配当率(DOE) : 8.1% (目標である5%以上を大幅にクリア)
- 上場以来、配当額は 35円増配(IPO直後比で約2.7倍) となっており、業績成長に連動した安定的な還元姿勢を示しています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。