
【ゼロ 2026年6月期 決算】売上・営業利益ともに過去最高を更新、自動車流通インフラ企業への進化と次期増益見通し
StockClub
公開日時: 2026/08/24 10:02
Sentiment Analysis

株式会社ゼロ(証券コード: 9028)は、2026年6月期の通期決算を発表しました。国内新車市場の低迷や2024年問題に伴うコスト上昇といった逆風がありながらも、 中古車輸送の受託拡大と適正単価への改善、M&Aや新規業務受託の寄与 により、 売上収益・営業利益ともに過去最高 を達成しました。また、中期経営計画に掲げた重要目標(売上高1,500億円以上、営業利益100億円以上、ROE 14.0%以上)を前倒しで達成しています。
1. 2026年6月期 決算ハイライト
2026年6月期の連結業績は以下の通りです。
- 売上収益 : 1,505億5,600万円(前期比 +1.8% / 前期実績 1,478億4,300万円)
- 営業利益 : 103億1,100万円(前期比 +0.8% / 前期実績 102億2,800万円)
- 営業利益率 : 6.8% (前期 6.9%)
- 税引前利益 : 103億800万円(前期比 +0.9% / 前期実績 102億1,300万円)
- 親会社の所有者に帰属する当期利益 : 72億1,200万円(前期比 +0.5% / 前期実績 71億7,900万円)
- ROE(自己資本当期利益率) : 15.9%
- 年間配当金 : 140.30円 (配当性向 33.0% )
上期は新車輸送の落ち込みを中古車輸送で補いきれず一時的に減益傾向となりましたが、下期にかけて中古車輸送の受託強化や機材稼働率の向上、輸送経路の効率化が進展したことで挽回し、通期予想を上回る着地となりました。
2. 外部環境と各セグメントの動向
外部環境としては、国内新車販売が依然として力強さを欠き、ゼロの主要元請先である日産自動車の国内販売台数が前期比で減少した一方、三菱自動車向けの増加や、 中古車オークション(USSなど)の出品台数拡大(USS全体で355万台規模) が追い風となりました。
セグメント別の概況
- 国内自動車関連事業(売上収益: 712億円 / 構成比 47%) 新車輸送は減少したものの、中古車輸送における粗利重視の営業活動と受託拡大、単価改善が進展。さらに「ゼロ・プラス・メンテナンス(ZPM)」の子会社化や、国内最大規模のオークション会場である USS東京を含む2会場の構内運営業務受託 が大きく貢献しました。
- ヒューマンリソース事業(売上収益: 237億円 / 構成比 16%) 自家用自動車の運行管理(送迎)における不採算現場の料金改定や新規契約獲得が進捗。ドライバー採用機能をHR事業へ一元化したことで採用効率が向上し、派遣需要を着実に取り込みました。
- 一般貨物事業(売上収益: 68億円 / 構成比 5%) 撤退したCKD事業の遊休資産を有効活用した新規倉庫案件の立ち上げや、バイオマス燃料等の港湾荷役量増加により堅調に推移しました。
- 海外関連事業(売上収益: 487億円 / 構成比 32%) マレーシア向け中古車輸出は港湾ひっ迫に伴う船枠制限を乗り越えて回復・増収を確保したものの、中国市場における日系メーカー不振や前年の一過性利益剥落により、セグメント営業利益は減益となりました。
3. 営業利益の増減要因分析
営業利益の変動要因については、国内事業の収益力強化と戦略的投資のバランスが鮮明に表れています。

上記のスライドから読み取れる通り、営業利益の主な増減要因は以下の通りです。
- 国内自動車関連事業(+4億6,100万円) : 輸送機材の稼働率向上や経路見直し、M&A・新規受託効果、前年計上した減損損失の反動が増益に寄与。一方で、乗務員の処遇改善やシステム投資、2024年問題対応の分業体制構築コストを吸収しました。
- ヒューマンリソース事業(+1億3,500万円) : 料金改定効果と業務効率化が、最低賃金引き上げ等による労務費増を上回りました。
- 一般貨物事業(+2億4,700万円) : 倉庫新規案件の立ち上げや賃料改定、減損損失戻入益などが寄与。
- 海外関連事業(▲4億5,500万円) : マレーシア向け中古車輸出の料金改定やタイのACT連結化効果はあったものの、前年同期の一過性増益要因の剥落や中国新車輸送の単価下落要請が下押し要因となりました。
4. 成長戦略: 「自動車流通のインフラ企業」への進化
ゼロは単なる「完成車輸送会社」から、新車・中古車流通の全工程を網羅する 「自動車流通インフラ企業」 への進化を加速させています。

本スライドは、完成車メーカーからディーラー、ユーザー、中古車オークション(AA)、解体・輸出に至るまでのバリューチェーン全体において、ゼログループが展開する事業領域の広がりを示しています。
- 納車前整備(PDI)および整備事業 : ゼロ・プラス・メンテナンス等の連携による高付加価値化
- オークション構内オペレーション : オークション会場内作業・運営業務の受託拡大による収益基盤の多角化
- マイカー・送迎・人材供給 : 人材派遣・運行管理を担うジャパン・リリーフとの連携によるドライバー供給網の自社完結
中期経営計画の基本方針である 『品質への原点回帰』 (営業品質・物流品質・人的品質・財務品質)のもと、価格転嫁(適正単価の収受)と人材基盤の強化、DXによる配車・運行最適化を一体で推進しています。
5. 2027年6月期の業績見通しと株主還元方針
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2027年6月期の通期連結業績見通しは、以下の通り 増収増益および増配 を見込んでいます。
- 売上収益 : 1,550億円 (前期比 +3.0% )
- 営業利益 : 110億円 (前期比 +6.7% / 営業利益率 7.1% )
- 税引前利益 : 110億円 (前期比 +6.7% )
- 親会社の所有者に帰属する当期利益 : 73億円 (前期比 +1.2% )
- 基本的1株当たり当期利益(EPS) : 429.18円
- 年間配当金 : 141.60円 (中間 57.00円 / 期末 84.60円、配当性向 33.0% )
新物流法の施行やドライバー不足への対応として、 「現場人財戦略部」の新設による採用・育成・定着の一体推進 、Web受注・配車システム等のDX推進、原価と提供価値に見合ったプライシング戦略を継続することで、持続的な利益成長を目指す方針です。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。