
ジャパンエクセレント投資法人 第40期決算分析:物件入替と賃料増額の加速により持続的なDPU成長へ
StockClub
公開日時: 2026/08/21 09:55
Sentiment Analysis

ジャパンエクセレント投資法人(証券コード:8987)は、第40期(2026年6月期)決算を発表しました。マーケットの賃料上昇局面を背景とした力強い 内部成長 と、低利回り・低成長物件から高質物件への 戦略的物件入替(外部成長) 、そして機動的な 財務・資本戦略 が連動し、1口当たり分配金(DPU)の継続的な引き上げに向けた道筋が示されています。
---### 1. 第40期(2026年6月期)決算ハイライト
第40期の実績は、 営業収益11,604百万円 (前回予想比+50百万円)、 営業利益5,265百万円 (同+137百万円)、 経常利益4,400百万円 (同+128百万円)、 当期純利益4,399百万円 (同+128百万円)となりました。
既存物件における稼働率の高水準維持や賃料増額改定の進展に加え、水熱費収支や販管費の抑制が寄与し、 1口当たり分配金(DPU)は3,070円 と前回予想(3,050円)を20円上回って着地しました。また、 期末稼働率は98.1% と極めて高い水準を維持しており、含み益は 833億円(含み益率29.9%) 、1口当たりNAVは178,272円 へと拡大しています。
2. DPU・EPUの持続的成長に向けた中長期ストーリー
同法人は、巡航的な収益力を示すEPU(1口当たり当期純利益:譲渡益除く)の持続的成長を年平均2%以上とし、それに伴うDPUの継続的な拡大を目指す明確な方針を打ち出しています。

上記のスライドは、同法人が描く2030年に向けた DPU・EPU成長のメカニズム を示した重要な資料です。
- 賃料増額効果(+190円/期) :マーケットの賃料上昇を捉えた積極的な賃料改定が最大の牽引役。
- 物件入替・自己投資口取得(+30円/期) :ポートフォリオの質的改善と機動的な資本政策の寄与。
- コスト増の吸収 :金利上昇に伴う金融コスト増(▲90円/期)やその他費用増(▲60円/期)を上回る収益成長を実現。
さらに、第40期末時点で 2,820百万円(1口当たり2,185円) にのぼる 内部留保残高 を有しており、物件入替に伴う一時的な収益変動を平準化しつつ、安定的に増配基調を維持できる強固なバッファーとなっています。
3. 業績予想:第41期・第42期ともに連続増配を計画
今後の業績見通しについて、同法人は以下のように予想を上方修正しています。
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第41期(2026年12月期)予想
- 営業収益: 13,123百万円 (前期比+1,519百万円)
- 当期純利益: 5,529百万円 (前期比+1,130百万円)
- 予想DPU:3,100円 (前期比+30円増配)
- 物件譲渡益2,130百万円を計上しつつ、買換特例を活用して1,529百万円を内部留保へ圧縮積立。
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第42期(2027年6月期)予想
- 営業収益: 11,080百万円
- 当期純利益: 3,751百万円
- 予想DPU:3,130円 (前期比+30円増配)
- 譲渡益(323百万円)に加え、内部留保の取崩し(287百万円)を組み合わせることで、物件譲渡先行期においてもDPUを成長させる計画。
4. 外部成長:戦略的物件入替と譲渡代金の活用戦略
同法人はポートフォリオの質的改善を目的に、ポートフォリオの約1割(約300億円)の入替を推進しています。第39期以降、 累計207億円の譲渡決定(進捗率約70%) と累計139億円の取得決定(進捗率約46%) を着実に実行しています。

上記スライドで示されている「台場ガーデンシティビル」の譲渡は、ポートフォリオ改善の象徴的な事例です。
- 含み損の解消と高値売却 :帳簿価額86億円に対し鑑定評価額が83億円と含み損を抱えていた物件を、鑑定評価額を29%上回る 107億円 で譲渡。
- 17億円の譲渡益創出と内部留保 :発生した譲渡益17億円のうち 15億円を買換特例圧縮積立金として内部留保 。
- 資金使途の柔軟性 :確保した成長投資資金は、新規優良物件の取得、自己投資口取得、短期借入金の返済などに機動的に配分され、中長期的なEPU成長の原資となります。
5. 内部成長:賃料改定の加速とマイナス賃料ギャップの活用
内部成長においては、オフィスマネジメントの強みを活かした積極的な賃料増額が結実しています。

上記スライドが示す通り、既存テナントとの 賃料改定 において大幅な改善が確認できます。
- 増額改定面積と割合の急拡大 :第40期の増額改定面積は 13,425坪 (前期比+6,430坪)、増額改定割合は 69.0% (前期比+22.1pt)に達しました。
- 改定率の上昇トレンド :賃料改定率は第40期に 4.0% (前期比+1.6pt)となり、第41期見込3.8%、第42期見込 6.9% (増額改定率9.2%)へとさらなる加速を見込んでいます。
加えて、ポートフォリオ全体の 賃料ギャップは▲8.4% (全体の72%がマーケット賃料以下)までマイナス乖離が拡大しており、今後の契約更改時における賃料引き上げ余地が極めて豊富であることを裏付けています。
6. 財務戦略とESG推進
- 財務健全性 :有利子負債残高は1,361億円、 総資産LTVは45.5% (時価ベースLTVは 35.6% )と健全な水準を維持。平均残存期間3.9年を確保しつつ、固定金利比率74.7%と短期・変動調達を適切に組み合わせることで、金利上昇下でのコスト抑制を図っています。格付はJCRより AA-(安定的) を維持しています。
- ESGへの取り組み :GRESBリアルエステイト評価において最高位の 「Green Star」を11年連続で取得 (4 Star)。保有物件の グリーンビル認証取得割合は87.8% (29物件)に達し、CO2排出量およびエネルギー消費量の削減目標も順調に進捗しています。
まとめ
ジャパンエクセレント投資法人は、 「戦略的物件入替によるポートフォリオの質的向上と内部留保の積み増し」 、「旺盛なオフィス需要を捉えた賃料増額改定の加速」 、そして 「規律ある財務運営」 を三位一体で推進しています。一時的な物件売却に伴う収益変動を内部留保で巧みにコントロールしながら、 第41期3,100円、第42期3,130円への増配 と中長期的な年平均2%以上のEPU成長を目指す強固な運用体制が確立されています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。