
サイフューズ 2026年12月期 第2四半期決算:売上高は前年同期比3.5倍へ急拡大、末梢神経・骨軟骨など主要3D再生医療パイプラインの治験が本格進展
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公開日時: 2026/08/21 09:52
Sentiment Analysis

エグゼクティブ・サマリー
独自技術である 「バイオ3Dプリンタ」 を用いて、足場材料(スキャフォールド)を使わずに細胞のみで構成される立体的な組織・臓器の再生医療等製品および研究用ツールの開発を進める 株式会社サイフューズ (証券コード: 4892)は、2026年12月期第2四半期決算を発表しました。
当第2四半期累計期間における業績は、受託事業の進捗や既存デバイス・消耗品の売上拡大により、 売上高1億4,321千円(前年同期比+254.6%・約3.5倍) と大幅な増収を達成しました。先行開発投資を継続しつつも、パートナーシップによる効率的な開発推進により営業損失は △4億1,750万円 (前年同期は△4億7,124万円)と赤字幅が縮小しています。財務基盤においても 現預金約33.9億円 を確保しており、中核パイプラインの治験推進に向けた盤石な資金力を維持しています。
事業面では、「再生医療」「創薬支援」「デバイス」の3事業領域すべてにおいて戦略の具現化が進展しました。特に再生医療領域では、 同種(他家)末梢神経再生の医師主導治験が順調に進捗 しているほか、 骨軟骨再生パイプラインにおいて治験届の提出を完了 するなど、2028年頃の承認取得を見据えた臨床開発が大きく前進しています。
1. 2026年12月期 第2四半期 決算実績と財務ハイライト
業績概要と要因分析
- 売上高 : 104百万円(前年同期 29百万円、前年同期比 +254.6% )
- 売上総利益 : 64百万円(前年同期 14百万円、前年同期比 +341.9% )
- 営業損失 : △417百万円(前年同期 △471百万円、 赤字縮小 )
- 経常損失 : △433百万円(前年同期 △401百万円)
- 中間純損失 : △434百万円(前年同期 △402百万円)
受託開発の拡大およびデバイス関連の販売増加により、トップラインは前年同期比で約3.5倍に拡大しました。販管費は4億8,230万円(前年同期比△0.7%)と研究開発を積極推進しながらも適正にコントロールされており、増収効果と相まって 営業赤字の圧縮 に成功しています。
盤石なキャッシュポジションと財務健全性
- 総資産 : 39億2,580万円
- 現金及び預金 : 33億9,152万円
- 純資産(自己資本) : 26億2,218万円(自己資本比率 約66.8% )
バイオベンチャーにとって死活問題となる研究開発資金について、同社は33億円を超える手元流動性を確保しています。これにより、臨床開発および商業化を見据えた生産技術開発を中断することなく推進できる強固な財務体質を維持しています。
2. 3事業領域における多面的ビジネスモデルと進捗
サイフューズは、自社開発のバイオ3Dプリンティング技術を核として、短期・中期・長期でキャッシュポイントを生み出す重層的なビジネスモデルを構築しています。

スライド解説:3事業領域の戦略的シナジー
上記の構造図が示す通り、同社は短期的なベース収益を生む 「デバイス領域」 、中期的な成長と収益多様化を担う 「創薬支援領域」 、そして将来的に巨大な企業価値創出を実現する長期の 「再生医療領域」 を並行展開しています。この3本柱の相互作用により、研究開発フェーズにおける収益基盤の安定化と技術プラットフォームの高度化を同時に実現しています。
- 再生医療領域(将来のコア成長ドライバー)
- 末梢神経再生(自家・同種)、骨軟骨再生、血管再生の3大パイプラインに注力。
- クラレ、太陽ファルマテック、慶應義塾大学、京都大学など産学官連携による開発を加速。
- 創薬支援領域(中期的ベース収益の拡大)
- 機能性細胞デバイス(FCD®)のラインナップ拡充。
- 新製品 「ヒト3Dミニ肝臓®(病態モデル/脂肪肝モデル)」 の販売を開始。
- 新たに「ヒト3Dミニ小腸」の開発を進め、2026年内の販売開始を予定。シスメックスや富士フイルム和光純薬等との販売網強化を推進。
- デバイス領域(短期的収益の獲得とエコシステム拡大)
- 臨床向けバイオ3Dプリンタ「Cystrix」や研究用「S-PIKE®」の販売・設置に伴う消耗品売上が増加。
- 新製品として折りたたみ式コンパクト型分注機 「CAP」 の販売を開始し、周辺機器ラインナップを拡充。
3. 再生医療パイプラインの開発進捗と臨床ステージ

スライド解説:主要パイプラインのタイムラインと進捗
上記パイプライン一覧は、サイフューズの臨床開発が「非臨床」から「治験ステージ」へ着実に移行していることを明確に示しています。特に 「末梢神経」 と**「骨軟骨」** は治験フェーズに到達しており、国内承認取得(2028年頃想定)に向けた最重要マイルストーンを通過しつつあります。
① 末梢神経再生パイプライン(自家細胞・同種細胞の二刀流開発)

スライド解説:自家細胞製品と同種(他家)細胞製品の戦略的ポジショニング
末梢神経損傷治療において、同社は 第1世代(自家細胞) と第2世代(同種細胞) を同時並行で開発する独自の戦略を採用しています。
- 第1世代:自家細胞製品
- 患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶リスクが極めて低く、先行して企業治験の準備段階に到達。
- 太陽ホールディングス/太陽ファルマテックおよびPHC等と連携し、商業生産を見据えた製造検証体制を構築中。
- 第2世代:同種(他家)細胞製品(AMED採択事業)
- 臍帯由来の間葉系細胞をあらかじめ備蓄(細胞バンク利用)することで、 製造期間の大幅短縮 と急性期医療への適応 を実現。
- 京都大学医学部附属病院および東京大学医科学研究所との連携により、 2026年1月より医師主導治験を開始し、現在順調に症例登録・移植を実施中 。
外傷性末梢神経損傷患者は国内で6.8万〜17万人、米国で約140万人に上り、既存の人工神経(コラーゲンチューブ等)では困難であった長期・広範な神経再生を細胞100%導管によって実現することを目指しています。
② 骨・軟骨再生パイプライン(世界初:骨と軟骨の同時再生)
変形性膝関節症や骨壊死等により骨下層まで損傷が及んだ症例に対し、 骨組織と軟骨組織を一体型で同時に再生させる細胞製3D構造体 を開発。
- 開発進捗 : 慶應義塾大学・藤田医科大学との産学官連携のもと、製造プレランを完了し、 治験届の提出を完了 。2026年第4四半期(4Q)に医師主導治験の開始を予定。
- 市場規模 : 国内の潜在患者数は約3,000万人(顕在患者約1,000万人)に達し、従来の軟骨のみの再生治療や人工関節置換術の間を埋める革新的な治療選択肢としての普及が期待されます。
③ 血管再生パイプライン(透析用シャント)
重症腎不全患者の血液透析に用いる 「小口径細胞製人工血管」 を佐賀大学と共同開発。人工材料を使わないことで感染症リスクや血栓形成を低減する臨床研究を継続中です。
4. 商業化・量産化に向けた戦略的提携アライアンス
サイフューズは自社単独での開発にとどまらず、素材・エンジニアリング・製薬分野の大手企業と強力なアライアンスを締結し、再生医療等製品の 「大量生産技術」 および 「グローバルサプライチェーン」 の確立を推進しています。
- 日本精工(NSK) : 再生医療・3D細胞製品の商業生産に向けた次世代型バイオ3Dプリンタの共同開発。
- クラレ / ZACROS / 千代田化工建設 : 4社協業により、将来の社会実装を見据えた細胞の大量培養技術および自動化生産プロセスの開発を推進。
- PHC : 商業生産を見据えたデバイス開発連携。
5. 今後の見通しと注目ポイント
- 末梢神経再生治験のデータ集積と自家製品の企業治験移行
- 同種神経導管の医師主導治験における安全性・有効性データの進捗と、自家細胞製品の治験開始タイミング。
- 骨軟骨再生の治験開始(2026年4Q予定)
- 治験届提出完了に伴う第1例目投与の開始および臨床現場での運用体制確立。
- 創薬支援・デバイス事業の売上伸長
- ヒト3Dミニ肝臓(脂肪肝モデル)の国内外販売拡大および新製品「ヒト3Dミニ小腸」の上市による収益貢献。
- グローバル展開への布石
- 福岡県助成事業を活用した海外市場調査の進展と、米国をはじめとする海外承認取得に向けたレギュラトリー戦略の具体化。
サイフューズは、プラットフォーム技術の強みを活かしてパイプラインの価値最大化を図りつつ、商業生産基盤の整備を着実に進めています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。