
【And Doホールディングス】2026年6月期 決算深掘り:事業ポートフォリオ再構築と在庫健全化の過渡期を経て、2030年に向けた成長再加速へ
StockClub
公開日時: 2026/08/21 09:52
Sentiment Analysis

1. 2026年6月期 決算総括と構造改革の全体像
株式会社And Doホールディングス(3457) の2026年6月期連結業績は、売上高が 49,617百万円 (前期比23.4%減、期初計画比9.8%減)、営業利益が 1,120百万円 (前期比57.3%減、期初計画比61.4%減)、経常利益が 1,120百万円 (前期比61.9%減、期初計画比62.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が 1,452百万円 (前期比38.0%減、期初計画比47.6%減)となりました。
当期は、従来の資本集約型モデルから資本効率を重視した筋肉質な事業構造への転換期にあたり、 「事業ポートフォリオの再構築」 と**「保有資産の健全化」** を集中的に推し進めた決算となりました。売上・利益ともに前期実績および期初計画を下回る着地となったものの、これは一時的な事業縮小や滞留在庫処分の影響が大きく、将来の資本効率向上に向けた布石としての側面を強く持っています。
2. 当期未達要因の分析と構造改革の進捗
当期の計画未達の背景には、複数の要因が重なっています。事業の選択と集中を進める中で生じた一時的な収益下振れと、将来の成長に向けた先行投資のタイムラグが主因です。

スライド解説:進捗施策と未達要因の構造
上記スライドは、当期における中期経営計画の進捗と未達要因を整理した極めて重要な資料です。事業構造改革の「光と影」が明確に示されています。
- 進捗した施策 :
- リフォーム事業の譲渡、不動産流通事業の不動産売買事業への統合、ハウス・リースバック(HLB)事業の意図的な縮小など、 「事業の選択と集中」 を断行。
- 主力となる不動産売買事業の期中平均営業人員を 59.3名から91.1名へと大幅増強 。
- 中古住宅の仕入契約件数が 16.5%増 、売上比率も 31.7% へと上昇。
- 総資産を圧縮し、自己資本比率の向上など財務健全性を改善。
- 計画未達となった課題 :
- 想定していたHLBファンドへの資産譲渡が一部期ズレ・未実現となったこと。
- 資産回転率向上のために 長期滞留在庫の早期処分 を実施し、一時的に利益率が圧迫されたこと。
- 大型案件の決済持ち越しが発生したこと。
- 営業人員の積極採用に伴う先行費用が発生した一方、 人材の戦力化・育成にリードタイム(1年〜1年3ヶ月)を要し、仕入・在庫の積み上げが期後半へ後ろ倒し になったこと。
これらの要因は、事業モデル転換に伴う「成長痛」と位置づけられ、次期以降の収益回復への土台固めとなっています。
3. 財務基盤の健全化とキャッシュ・フローの推移
収益面では調整局面となったものの、 バランスシートの健全化とキャッシュ・フロー創出は着実に前進 しています。
- 資産・負債の圧縮 :総資産は前期末比4,174百万円減の 67,798百万円 となり、棚卸資産は39,823百万円(3,355百万円減)、有形固定資産は6,125百万円(2,125百万円減)へと縮小しました。負債総額も48,780百万円(4,740百万円減)へと減少しています。
- 財務指標の改善 :自己資本比率は前期末の25.6%から 28.0%(+2.4pt) へ改善、D/Eレシオは2.6倍から 2.3倍(▲0.3倍) へと低下し、財務レバレッジの抑制方針が反映されています。
- キャッシュ・フロー創出 :仕入ペースが後ろ倒しになった影響等もあり、フリー・キャッシュ・フローは 5,652百万円のプラス を維持し、3期連続で高水準の資金創出を継続しています。
4. セグメント別の業績動向
(1) 金融事業:高成長・高収益の牽引役
- 売上高 :641百万円(前期比 +13.8% )
- 営業利益 :262百万円(前期比 +46.3% 、営業利益率 40.9% )
- リバースモーゲージ保証 が首都圏を中心に好調に推移し、累計保証残高は前期末比71.6億円増の 353.4億円(前期末比+300件、2,308件) を突破しました。資本効率が極めて高く、安定したストック収益源としてグループの利益率向上に寄与しています。
(2) フランチャイズ(FC)事業:盤石のストック収益基盤
- 売上高 :3,324百万円(前期比 +3.5% )
- 営業利益 :1,928百万円(前期比 +0.4% 、営業利益率 58.0% )
- 累計加盟店舗数は 733店舗(+8店舗) 、累計開店店舗数は 637店舗(+13店舗) に達しました。契約済み加盟店の立ち上げが進み、新規開店店舗数は111店舗(前期比+32.1%)と大幅に伸長。高い利益率を維持し、グループの強固な基盤となっています。
(3) ハウス・リースバック(HLB)事業:事業縮小プロセスの進行
- 売上高 :9,595百万円(前期比 ▲50.7% )
- 営業利益 :889百万円(前期比 ▲60.7% )
- 資本集約型モデルからの脱却方針に基づき、保有資産の圧縮と新規仕入の厳選を進めた結果、大幅な減収減益となりました。保有残高の適正化が進み、事業リスクの低減が図られています。
5. 成長ドライバー「不動産売買事業」の変革と在庫健全化
グループの中核事業である不動産売買事業(旧不動産流通事業を含む)は、売上高 35,246百万円 (前期比10.8%減)、営業利益 1,713百万円 (同32.7%減)となりました。
短期的な減益要因となったのは、開発期間が長く資本拘束が大きい多区画・大型案件から、回転率の高い 「中古住宅・小型案件」へのシフト と、それに伴う 長期滞留在庫の徹底的な処分 です。

スライド解説:在庫保有期間の劇的な改善
上記スライドは、不動産売買事業における保有区画の期間別構成比と在庫保有期間の中央値を示しています。
- 1年以上の長期滞留在庫の圧縮 :2025年6月期末時点で33.0%を占めていた「1年以上」の在庫比率が、当期末には 26.1%へと大幅に低下 しました。
- 在庫保有期間の短縮 :在庫保有期間の中央値は 293日から214日へと約79日間短縮 されました。仕入決済後半年未満の新鮮な在庫比率が31.5%へと高まっており、資産回転効率が急速に改善していることが数値として実証されています。
新築と中古住宅の価格差拡大を背景に、中古住宅の買取再販需要は構造的に拡大しています。住宅系売上高に占める中古住宅比率は 29.0%から31.7%(+12.4%増収) へと着実に高まっており、仕入から売却までのサイクル短縮が進んでいます。
6. 2027年6月期の業績見通しと配当方針
2027年6月期の連結業績予想は以下の通りです。
- 売上高 :45,000百万円 (前期比9.3%減)
- 営業利益 :1,400百万円 (前期比 +25.0% )
- 経常利益 :1,350百万円 (前期比 +20.5% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 :891百万円 (前期比38.7%減)
- 年間配当金予想 :1株当たり46.00円 (前期と同額を維持、 配当性向103.1% )
リフォーム事業譲渡およびHLB事業のさらなる縮小(HLB売上予想:4,190百万円、▲56.3%)により売上高は減少を見込むものの、 不動産売買事業の回復(営業利益+18.5%) と金融事業の飛躍(営業利益+128.5%の600百万円) が牽引し、本業の営業利益・経常利益は大幅な増益に転じる見通しです。純利益の減少は、前期に計上された事業譲渡益(特別利益1,382百万円)の反動によるものです。株主還元については、過渡期においても安定配当を維持する方針が示されています。
7. 新中期経営計画(2026/6〜2030/6期)の成長ロードマップ
同社は、2030年6月期に向けた長期的な成長シナリオを掲げています。

スライド解説:人材投資を起点とした利益成長の青写真
上記スライドは、2030年6月期までの売上高および経常利益の長期目標を示しています。
- 計数目標 :2030年6月期に 売上高800.0億円、経常利益80.0億円 を目指します。2026年6月期の実績11.2億円を起点とすると、 経常利益の年平均成長率(CAGR)は22.1% に達する野心的な成長軌道です。
- 成長メカニズム :
- 不動産売買事業において、営業人員を当期の91.1名から 2030年6月期には250名へと約2.7倍に増強 。
- 「営業人数増 → 仕入件数増 → 在庫回転・売却件数増 → 売上・利益拡大」というサイクルを構築。
- 採用から利益化まで1年〜1年3ヶ月の育成リードタイムを見込み、当期〜次期に先行投資した人員が2028年6月期以降の本格的な収益急拡大を牽引する構造となっています。
- 資本効率目標 :過渡期に一時低下した ROICは2030年6月期に6%以上 を目指す方針です。
8. まとめと今後の注目ポイント
And Doホールディングスの2026年6月期決算は、事業再編と滞留在庫処分の影響で減益となったものの、 「資本効率の高い事業へのシフト」「在庫回転期間の短縮」「財務健全性の向上」 という構造改革の狙いは着実に実行されています。
今後の注目ポイントとしては、
- 先行投資した売買営業人員の戦力化進捗と、中古住宅買取再販の回転率維持
- 高収益なリバースモーゲージ保証事業(金融事業)の提携金融機関拡大と残高成長スピード
- 2028年6月期以降に予定される中期経営計画の利益急拡大フェーズに向けた立ち上がりの確度
などが挙げられます。変革期を抜けた同社が、掲げた成長ストーリーをどのように実現していくかが注視されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。