
澁谷工業 2026年6月期 決算深層レポート:過去最高売上・最高純益の達成と、中期経営計画2027最終年度に向けた成長ロードマップ
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公開日時: 2026/08/18 09:53
Sentiment Analysis

澁谷工業 2026年6月期 決算深層レポート
澁谷工業株式会社の2026年6月期決算は、ボトリングシステムを中心とするパッケージングプラント事業の堅調な需要や半導体関連の回復に支えられ、 売上高および親会社株主に帰属する当期純利益が過去最高を更新 する結果となりました。一方で、原材料価格の上昇や人件費・減価償却費の増加が利益率を押し下げ、営業利益は前期比で微減となったものの、期初計画を上回って着地しています。現在推進中の中期経営計画2027(シブヤ上げ潮戦略)の折り返し地点において、次世代プラットフォームの開発や生産体制の増強など、中長期の成長基盤を着実に構築しています。
1. 2026年6月期 連結業績ハイライト
2026年6月期の連結業績は、売上高が 前期比5.1%増の1,356億1,300万円 、営業利益が 前期比4.9%減の130億8,100万円 、経常利益が 前期比1.5%減の135億6,000万円 、親会社株主に帰属する当期純利益が 前期比1.7%増の102億2,300万円 となりました。

業績データの背景と要因分析
上記の決算サマリースライドが示す通り、売上高と純利益は過去最高を記録し、期初計画(売上高1,330億円、営業利益130億円、純利益93億円)に対しても全項目で達成を果たしました。1株当たり当期純利益(EPS)は 369.5円 に達し、自己資本利益率(ROE)は 9.0% を確保しています。配当金については、前期実績から5円増配となる 年間100円 を予定しており、株主還元も強化されています。
営業利益の前期比6億6,700万円の減益要因としては、増収に伴う売上総利益の増加(+13億2,500万円)があったものの、主に以下の要因が重石となりました。
- 売上総利益率の低下(▲13億2,000万円) : 原材料価格の高騰や製品ミックスの変動
- 販管費の増加(▲6億9,700万円) : 人件費の増加、および新工場稼働に伴う減価償却負担の増加
- 四半期推移の特性 : 第1四半期(営業利益率4.9%)から期末にかけて収益性が急改善し、第4四半期単体では売上高390億9,100万円、営業利益48億6,600万円(営業利益率12.4%)と力強い回復を見せました。
2. セグメント別の事業動向と収益性分析
主力のパッケージングプラント事業が増収増益を牽引した一方、メカトロシステム事業および農業用設備事業は増収減益となりました。

① パッケージングプラント事業(売上構成比 62.0%)
- 売上高 : 840億4,100万円(前期比 +4.9% )
- 営業利益 : 132億3,900万円(前期比 +5.3% 、営業利益率 15.8% )
- 事業概況 : 食品用プラント(調味料充填システム等)や飲料無菌充填システムの一部減少があったものの、高付加価値な 薬品・化粧品用プラント(注射薬シリンジ充填システム、点眼剤充填システム、化粧品充填システム) が大きく伸長しました。高水準な営業利益率(15.8%)を維持し、全社収益の強固な柱となっています。
② メカトロシステム事業(売上構成比 28.8%)
- 売上高 : 389億9,700万円(前期比 +3.3% )
- 営業利益 : 17億8,100万円(前期比 ▲23.9% 、営業利益率 4.6% )
- 事業概況 : 半導体製造システムにおいて、AIサーバーやデータセンター需要を背景とした 光通信モジュール用ボンダ が極めて好調に推移しました。医療機器分野では部品不足解消に伴い北米向け等が増加したものの、前連結会計年度に発生した一部部品の耐久性問題に対する無償交換費用(追加コスト)が発生したことが利益を圧迫しました。
③ 農業用設備事業(売上構成比 9.3%)
- 売上高 : 125億7,400万円(前期比 +12.6% )
- 営業利益 : 5億2,000万円(前期比 ▲50.1% 、営業利益率 4.1% )
- 事業概況 : 柑橘類や野菜類向け選果選別プラントの需要を取り込み2桁増収を達成しました。しかし、一部の大型プラント案件で採算性が低下したことに加え、新本社工場の完成に伴う 減価償却費の増加 が利益を大幅に押し下げました。
3. 地域別動向・受注環境・財務基盤
地域別売上高
- 国内売上高 : 802億7,100万円(前期比 +6.1% 、構成比 59.2%)
- 海外売上高 : 553億4,200万円(前期比 +3.7% 、構成比 40.8%) 海外では、中国向けが飲料無菌充填システムを中心に 前期比21.0%増(155億600万円) と急拡大しました。北米向けは医療機器が増加したものの飲料プラント案件の端境期により13.8%減となりましたが、中長期的な海外展開は着実に進展しています。
受注高と受注残高の推移
- 受注高 : 1,328億8,800万円(前期比 +10.4%) と全セグメントで伸長(パッケージング +5.2%、メカトロ +12.5%、農業用 +38.9%)。
- 受注残高 : 904億5,400万円(前期比 ▲2.9%) と豊富なバックログを維持しており、次期の売上基盤は強固です。
財務状態とキャッシュフロー
- 総資産 : 1,732億8,000万円(前期末比 +138億5,400万円)。売上債権や有形固定資産の増加、投資有価証券の時価評価増が寄与。
- 純資産 : 1,190億9,100万円(自己資本比率 68.7% )。極めて健全な財務体質を保持。
- キャッシュフロー : 営業CFは+52億8,000万円を確保。森本第3機械工場の完成および建設中の3工場契約時金等により 設備投資額は80億200万円 (有形固定資産取得支出42億円等)に達し、将来の生産力拡大に向けた積極投資期にあります。
4. 中期経営計画2027の進捗状況と将来展望
同社は、創業100周年(2031年3月期)に向けた長期構想「2030年ビジョン(売上高2,000億円)」の中間ステップとして、「中期経営計画2027」を進めています。

中計2年目の総括と最終年度(2027年6月期)計画
上記のスライドにある通り、中計2年目の2026年6月期は、売上高1,356億円(中計目標1,380億円に対して僅差)、営業利益130億円(同140億円)と概ね計画水準を維持しています。特に戦略目標である海外売上高は 553億円 を記録し、2年目目標(550億円)を前倒しで達成しました。
最終年度となる 2027年6月期の目標 は以下の通り設定されています。
- 連結売上高 : 1,500億円
- 連結営業利益 : 160億円 (営業利益率 10.7% )
- ROE : 10%以上
- 海外売上高 : 600億円 (海外比率40%)
- 株主還元 : 配当性向 30%以上 、機動的な自社株買い
5. 成長を加速させる戦略的取り組み
- アセプティック事業の革新(ZHAプロジェクト)
- 設計・生産・営業・サービスの4部門横断でCD(コスト破壊)を推進。新型2段殺菌システムの拡販やモジュール標準化により、短納期・省スペース・低コスト提案を強化。
- 次世代プラットフォーム「SHoPS」と「MIRAIテックラボ」
- IT/OT/フィジカル領域を垂直・水平統合するスマートファクトリー基盤「SHoPS」の展開。
- 社内に次世代先端技術R&D施設「MIRAIテックラボ」を新設し、フィジカルAI、ヒューマノイドロボット、協働ロボットを活用した 2030年無人化生産ラインの実現 を目指す。
- 新市場・新事業創出
- 固液混合分散システムや、自家細胞バンク向け自動細胞培養システムの受注獲得など、再生医療・バイオ領域への事業ドメイン拡大。
6. 総括
澁谷工業の2026年6月期は、コスト高や一時的な追加費用の発生を吸収しつつ、過去最高の売上と純利益を叩き出した底堅い決算となりました。次期(2027年6月期)は、豊富な受注残高、半導体・医薬向け需要の追い風、新工場の本格稼働効果を背景に、中計目標である 売上高1,500億円・営業利益160億円 の達成を射程に捉えています。中長期の無人化スマートファクトリー化やバイオ医療領域への布石も含め、今後の展開が注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。