
【AViC 2026年9月期 第3四半期決算】エンタープライズ開拓とSpica社連結が牽引し、過去最高の四半期営業利益を達成
StockClub
公開日時: 2026/08/14 12:57
Sentiment Analysis

株式会社AViC(証券コード:9554)の2026年9月期 第3四半期決算は、 主力のエンタープライズ顧客向け受注の順調な拡大 および 新規連結した株式会社Spica(2026年2月よりP/L連結)の業績貢献 により、前年同期比および前四半期比で大幅な増収増益を達成する極めて良好な結果となりました。
本レポートでは、同社が発表した決算資料に基づき、業績ハイライト、収益構造の分析、エンタープライズ顧客の獲得状況、M&Aによるインオーガニック成長戦略、そして今後の見通しについて詳しく解説します。
1. 2026年9月期 第3四半期(3Q)業績ハイライトと進捗状況
2026年9月期第3四半期(3Q単体:2026年5月〜7月期)の業績は、 売上高1,110百万円(前年同期比+59.0%) 、営業利益320百万円(前年同期比+96.6%) 、経常利益312百万円(前年同期比+91.9%) 、親会社株主に帰属する四半期純利益206百万円(前年同期比+85.1%) となりました。

スライド解説:3Q業績(1/2)の重要性
上記スライドは、今四半期の業績全般を包括的に示す極めて重要なデータです。前年同期比(YoY)で売上高が +59.0% 、営業利益が +96.6% と急成長を遂げているだけでなく、前四半期比(QoQ)でも売上高 +7.2% 、営業利益 +15.9% と持続的な成長を示しています。 さらに注目すべきは 営業利益率の向上 です。前年同期の23.4%から 28.9%(+5.5ポイント) へと大幅に改善しており、トップラインの成長がそのまま利益率の向上へと直結する「クオリティ・グロース」の実現を実証しています。2Qに計上されたSpica社取得に伴う一過性費用(M&A関連費用約80百万円)の計上が完了したことも、利益率の急回復に寄与しています。
また、通期計画に対する進捗率は、 売上高で74.0% (通期計画4,008百万円に対し累計2,966百万円)、 営業利益で70.6% (通期計画1,127百万円に対し累計795百万円)となっており、2Q実施の上方修正後計画に対して順調なペースで進捗しています。
2. 過去最高を更新した四半期営業利益の推移と要因分析
同社の四半期ごとの業績推移を見ると、成長のモメンタムが一段と加速していることが明確に伺えます。

スライド解説:四半期営業利益推移の背景と意味
上記グラフは、同社の四半期営業利益の過年度からの推移を示したものです。2026年9月期3Qにおける営業利益 320百万円 は、同社にとって 四半期ベースで過去最高益 となります。 この利益拡大の背景には、以下の複数の要因が重なっています。
- エンタープライズ顧客との取引拡大 :大手広告代理店(株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ等)との協業や直接開拓が進み、大型案件の受注が継続。
- スポット案件および予算前倒し執行 :一部顧客におけるスポット案件の計上や、大口顧客による年間マーケティング予算の前倒し執行が寄与。
- Spica社の連結寄与とPMIの順調な進捗 :2026年2月より連結開始したSpica社が社内計画を上回って推移し、グループ全体の利益に貢献。
営業利益のウォーターフォール分析(YoY)によれば、売上高増加に伴う粗利増(+411百万円)が、外注費増(△117百万円)、人件費増(△38百万円)、のれん等償却費増(△27百万円)などの販管費増加分を十分に吸収し、大幅な増益を達成しています。
3. 重視する経営指標と高生産性の維持
AViCは単なる事業規模の拡大だけでなく、 「事業成長と高生産性の両立」 を最重要視した経営手法を徹底しています。
- 社員1人当たり売上高 :3Q累計で 26.7百万円 (前年同期比+41.2%)と非常に高い生産性を維持・向上させています。
- 人員体制の拡充 :2026年4月には新入社員16名が入社するなど、グループ連結での社員数は3Q末時点で 111名(前年同期比+16.8%、+16名) に拡大しました。
人材の育成とテクノロジーの活用を組み合わせることで、新戦力の早期戦力化と高生産性の維持を両立させており、需要増加に対応した供給体制の強化が順調に進んでいます。
4. エンタープライズ顧客向け売上高のトレンド
同社の成長を強力に牽引しているのが、マーケティング予算の大きい 「エンタープライズ顧客」 の開拓です。 3Qにおけるエンタープライズ顧客向け売上高は 前年同期比+54.0% となり、四半期毎のスポット計上タイミングによる変動を含みつつも、趨勢として着実な積み上がりを見せています。 自社開発ツールの活用や科学的な人材育成手法により、特定の個人に依存しない高品質なサービス提供体制を構築していることが、大手顧客からの継続的な支持とリプレイス獲得につながっています。
5. 株式会社Spicaの子会社化とインオーガニック成長戦略
同社は2026年1月、TikTok LIVEにおけるライバーマネジメント事業「like me」を運営する 株式会社Spicaの株式100%を取得 し、子会社化しました(2026年2月よりP/L連結)。

スライド解説:M&Aのストラクチャーとバリュエーションの妥当性
上記スライドは、Spica社子会社化の財務スキームおよびバリュエーション構造を示しています。 本件M&Aのポイントは以下の通りです。
- 規律あるバリュエーション :株式取得価額15億円に対し、対象会社のNet Cash 3.5億円を差し引いたEV(企業価値)は11.5億円。Spica社の2026/4期実績ベースのEBITDA(365百万円)に対する EV/EBITDA倍率は約3.1倍 と、極めて規律ある水準で実行されています。
- 財務健全性の維持 :買収資金15億円は全額銀行借入により充当されましたが、実行後も Net Debt/EBITDA △0.6倍 、Net D/Eレシオ △0.3倍 、純資産比率 50% と、実質無借金状態かつ高い健全性を維持しています。エクイティ・ファイナンスを伴わずに実行されたため、既存株主の株式希薄化も発生していません。
- 会計処理と償却 :発生したのれん等無形固定資産の計上額は11.8億円で、償却期間は11年。一過性費用は2Qに計上済みであり、今後はのれん償却費を吸収した上で通期の利益に寄与する見込みです。
このM&Aにより、デジタルマーケティング(BtoB)領域に加え、クリエイター・エコノミー(BtoC)領域への事業ポートフォリオ多角化が実現し、両社のノウハウを融合させた「動画マーケティング・エコシステム」の構築が進められています。
6. 生成AI環境下の市場認識とAViCの強み・成長シナリオ
昨今、生成AIやGoogleの「AI Overviews」の台頭により、デジタルマーケティング業界の変化が注目されていますが、同社はこれを脅威ではなく 「自社の提供価値を際立たせる追い風」 と位置付けています。
- 市場環境の変化 :プラットフォームの多様化やCookie規制、AI技術の進展により、広告主が直面するマーケティング環境は急速に複雑化・高度化しています。これにより、自社のみで最適判断を行う難易度が上がっています。
- 同社の競合優位性 :単なる局所的な施策最適化やプロダクト提供にとどまらず、顧客の最終的な事業成果(ビジネスドライブ)に直結するKPIを設計・追求する 「プロフェッショナルな戦略パートナー」 としてのニーズが高まっています。
こうした環境下で、同社はオーガニック成長(既存顧客へのクロスセルやリプレイス獲得)と、Spica社やリアレーション社などのインオーガニック成長(M&A)を組み合わせることで、 「クオリティ・グロース(高い利益率を維持・向上させながらの事業成長)」 を追求しています。
総括
2026年9月期 第3四半期決算において、AViCはエンタープライズ顧客の着実な成長とM&Aの成功により、過去最高の四半期営業利益(320百万円)を達成しました。強固な財務基盤(B/S)と借入余力を維持しながら、事業拡大と高生産性を両立させる経営手法が順調に機能しており、今後も持続的な企業価値向上が期待される決算内容となりました。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。