
【決算深掘り】ピアズ(7066)2026年9月期 第3四半期決算:増収と過去最高益の更新、新会社「NAJIM works」始動による事業構造改革の全貌
StockClub
公開日時: 2026/08/14 12:23
Sentiment Analysis

株式会社ピアズ(証券コード: 7066)の 2026年9月期 第3四半期累計決算 に関する決算資料をもとに、業績ハイライト、通期計画に対する進捗状況、財務構造の推移、グループ再編を通じた中長期成長戦略、および株主還元策について網羅的に解説します。
1. 連結業績ハイライト:売上高・経常利益が過去最高を更新
2026年9月期 第3四半期累計(2025年10月1日〜2026年6月30日)の連結業績は、売上高および中間段階の利益指標において極めて高い成長を示す結果となりました。
- 売上高 : 54億9,800万円 (前年同期比 +22.1% )
- 売上総利益 : 16億100万円 (前年同期比 +22.4% )
- 営業利益 : 3億9,600万円 (前年同期比 ±0.0% )
- EBITDA : 6億1,700万円 (前年同期比 +12.8% )
- 経常利益 : 4億6,500万円 (前年同期比 +28.8% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 2億5,800万円 (前年同期比 -18.9% )
業績の要因分析
売上高および売上総利益は、主力の店舗向けセールスプロモーション支援やオンラインセールス事業の順調な拡大、ならびにM&Aによってグループに加入した子会社の貢献により、前年同期比で 20%を超える高い伸び を見せました。
営業利益に関しては前年同期並みとなりましたが、これは積極的なM&Aに伴う のれん償却費の増加 (固定資産ののれん残高は8億3,400万円へ増加)等を吸収した結果であり、事業の現金創出力を示す EBITDAは6億1,700万円(+12.8%) と堅調に増加しています。
経常利益は一時的な投資関連利益の計上もあり、前年同期比 +28.8% の4億6,500万円と大幅な増益を達成しました。一方、当期純利益が減少している理由は、過去の繰越欠損金の解消に伴い法人税等の税金費用が発生・増加したことによるものであり、税引前当期純利益ベースでは 前年同期比+24.8%の増益 となっています。
2. 修正後通期連結業績予想に対する進捗率と財務基盤
当第3四半期累計時点における修正後通期業績予想に対する進捗状況は、多くの利益項目で計画を上回るまたは高水準なペースで推移しています。

進捗率スライドの重要性とその解釈
上のスライドは、2026年9月期の修正後通期予想に対する第3四半期累計実績の達成度を示したものです。売上高は通期予想78.0億円に対して 5,498百万円(進捗率70%) となっていますが、同社の業績は第4四半期に向けて売上が重なる傾向があることや、利益項目の先行進捗状況を踏まえると順調な推移といえます。
利益面では、営業利益予想4.45億円に対して 3.96億円(進捗率89%) 、EBITDA予想7.00億円に対して 6.17億円(進捗率88%) と、第3四半期時点で8割台後半〜9割近くに達しています。さらに、経常利益においては通期予想4.25億円に対して 4.65億円(進捗率109%) となり、すでに 通期計画を超過達成 しました。なお、経常利益の超過部分には一時的な投資関連利益が含まれており、これを除いた場合の実質的な進捗率は 約93% となりますが、いずれにせよ通期目標に対する達成確度は非常に高い状況にあります。
貸借対照表(B/S)と財務健全性の向上
財務基盤においても改善が進んでいます。2026年6月末時点の総資産は42億6,800万円となった一方、流動負債および固定負債の圧縮(負債合計は前期末比2億5,600万円減の14億4,100万円)が進みました。 これにより、純資産合計は28億2,700万円へと積み上がり、 自己資本比率は前期末の61.9%から66.2%へ(+4.3ポイント)上昇 しました。M&Aを積極的に活用しながらも、有利子負債のコントロールと内部留保の蓄積を進めたことで、将来の成長投資に向けた十分な 資金余力(キャパシティ) を確保しています。
3. グループ再編:新会社「NAJIM works」の始動と事業シナジー
ピアズグループは、持続的な成長と経営効率の更なる向上を目指し、グループ内の構造改革および組織再編を断行しています。

グループ再編スライドの解説と狙い
ピアズは2026年10月1日付(2027年9月期初)で、連結子会社である 株式会社Qualiagram および 2Links株式会社 の2社を統合し、新会社 「株式会社NAJIM works(ナジムワークス)」 を立ち上げる計画を発表しました。
この再編は単なるコスト削減や管理の一本化にとどまらず、 「テクノロジーの先進性」と「生活者向けサービス運用力」の融合 を狙った戦略的なアプローチです。
- Qualiagram : コミュニケーションAI、AIオペレーター、AIアバター接客UIなどの AI実装・対話設計力 を強みとする。
- 2Links INC. : 「知っトクコンテンツ」「ゼロからAI」など、シニア層をはじめとする生活者向けの デジタルコンテンツ運営・収益基盤 を保有する。
これら2社を統合することで、AIプロダクトの開発(「つくる」機能)だけでなく、現場での導入支援、人材教育、カスタマーサポート、継続利用の定着化(「つかいこなす」支援)までを 一気通貫で提供できる統合体 が形成されます。サービスコンセプトである「新しい体験を、日常になじむかたちへ。」のもと、AIソリューションの社会実装を強力に推進する体制が整えられます。
4. NAJIM worksの成長戦略:toCからtoB・toGへの市場拡張
新会社「NAJIM works」の立ち上げに伴い、提供サービスおよびターゲット市場の明確な拡大戦略が提示されています。

成長戦略スライドの解釈:3領域(toC, toB, toG)での展開
上のスライドは、NAJIM worksがターゲットとする TAM(獲得可能な最大市場規模) と領域別のアプローチ、ならびにデジタルコンテンツ事業の収益成長イメージを表しています。
- toC(生活者向け)領域 : 約3,620万人の65歳以上シニア層やネット未利用層を主な対象とし、NTTドコモの「dバリューパス」内で複数のコンテンツを運営するほか、シニア向けAI導入支援「ゼロからAI」などを展開。安定した顧客接点と収益源を確保します。
- toB(法人向け)領域 : 従業員300人以上の企業(約1.5万社)を対象に、店舗や受付のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。AI接客ソリューション「MANAMI」は、 大阪・関西万博などでの案内業務 として採用実績を作っており、AIアバターやオペレーター需要の取り込みを進めます。
- toG(自治体・公共向け)領域 : 全国約1,700自治体を対象とし、デジタルデバイド(情報格差)対策や自治体DXの重点取組事項に対応。高齢者向けデジタル活用支援などの行政委託事業へ参入します。
これまでBtoCで培った質の高い運用・サポートノウハウをBtoBおよびBtoGへ展開することで、単体のデジタルコンテンツ・AI関連事業の業績は、一時的な個室ブース事業譲渡の影響を乗り越え、 前年を上回る着地および中長期的な拡大軌道 を描く計画となっています。
5. 株主還元策の強化:自社株買いの完了と累進配当方針
ピアズは、事業成長への投資と並行して、株主価値の向上に向けた 積極的な株主還元策 を遂行しています。
1億円規模の自己株式取得を完了
資本効率の向上(EPS・ROEの改善)と機動的な資本政策の遂行を目的として、2026年3月23日〜4月7日の期間で 約1億円(取得総額99,959,200円、取得株式数178,200株) の自社株買いを実施し、予定通り取得を完了しました。
累進配当の導入と配当方針
同社は株主還元の安定性を高めるため、 「累進配当(減配を行わず、配当の維持または増配を目指す方針)」 を基本方針として掲げています。
- 配当性向の目安 : 30%以上を視野に入れる。
- 1株当たり配当金の推移 : 2023年9月期の8.34円から、2024年9月期は15.92円、2025年9月期は普通配当13.50円+記念配当2.50円の計16.00円と着実な増加傾向にあります。2026年9月期においても安定した配当の継続が方針として明確に示されています。
6. 総括と今後の見通し
ピアズの2026年9月期 第3四半期決算は、売上高・経常利益ともに過去最高を更新し、通期予想に対する進捗も極めて良好であることが確認されました。
既存の通信業界向け店舗支援事業で盤石な盤面を維持しつつ、M&A戦略による事業領域の拡大、および 「Qualiagram」と「2Links」の統合による「NAJIM works」の立ち上げ によって、AIとコンテンツを融合させた高付加価値型のDXソリューション企業へと変貌を遂げつつあります。自己資本比率66.2%に象徴される健全な財務構造と、自社株買いや累進配当方針に示される株主重視の姿勢を両立させており、今後の新会社始動によるグループシナジーの創出と他業界(toB/toG)への展開スピードが注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。