
全保連(5845)2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート:最高益更新と通期予想・配当の上方修正に見る成長ストーリー
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公開日時: 2026/08/14 11:48
Sentiment Analysis

全保連株式会社(東証スタンダード:5845)の2027年3月期第1四半期決算は、売上高・営業利益ともに 過去最高を更新 し、堅調な進捗を見せました。これに伴い、同社は2026年7月29日付で 通期業績予想および期末配当予想の上方修正 を発表しています。
本レポートでは、決算資料から読み取れる重要トピックを10の論点に集約し、同社の事業環境、財務健全性、成長戦略、および今後の展望について詳細に解説します。
抽出された10の重要トピック
- 第1四半期の業績ハイライト(最高益の更新)
- 通期業績予想および期末配当予想の上方修正
- MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)とのシナジー効果
- 強固な財務基盤と高水準の資本効率(ROE 38.5%)
- 求償債権(不良債権予備軍)の削減と高い安全性
- 業界トップクラスの収益性を示す(調整後)EBITDAマージン(31.4%)
- 外部環境(破産・倒産増加傾向)に対する厳格な債権管理
- 営業基盤の着実な拡大(協定会社拠点数・契約件数の増加)
- DX・業務電子化による生産性向上と経費削減
- 顧客基盤の強化と長期的な企業価値向上策
第1章:第1四半期業績ハイライトと通期予想の上方修正
2027年3月期第1四半期において、全保連は連結売上高 6,690百万円 (前年同期比2.8%増)、営業利益 1,120百万円 (同19.5%増)、経常利益 1,116百万円 (同19.6%増)、四半期純利益 751百万円 (同22.7%増)を計上しました。売上高および各段階利益のすべてで 第1四半期として過去最高を更新 しています。

スライド選定理由とデータ背景(スライド1)
上記の決算ハイライトスライドは、同社の現在の業績のモメンタムと株式市場における評価の変化をひと目で把握できる重要な資料です。 損益計算書においては、売上高の拡大とともにコスト構造の変化が挙げられます。信用コストの平準化等の影響により売上原価が増加(2,011百万円)したものの、業務効率化や経費削減によって販売費及び一般管理費が前年同期の3,793百万円から 3,558百万円へと大幅に減少 しました。この結果、営業利益率は前年同期の14.4%から 16.7%へ拡大 しています。 また、通期予想に対する第1四半期時点での営業利益進捗率は 28.0% に達しており、好調な滑り出しを見せています。株価も堅調に推移し、時価総額は 312億円 (2026年7月31日時点)と過去最高に到達しました。
この好調な第1四半期業績を踏まえ、同社は2026年7月29日に通期業績予想および配当予想の増額修正を開示しました。

スライド選定理由とデータ背景(スライド3)
この業績予想および配当予想の修正スライドは、同社の今期の着地見通しと株主還元姿勢を示す最も重要なデータの一つです。 通期売上高予想は27,416百万円に据え置かれたものの、営業利益は当初予想の3,530百万円から 4,000百万円(+13.3%増) 、経常利益は3,532百万円から 4,000百万円(+13.2%増) 、当期純利益は2,524百万円から 2,800百万円(+10.9%増) へと引き上げられました。1株当たり当期純利益も96円46銭から 107円00銭 へ増加します。
この上方修正の要因としては以下の点が挙げられます:
- MUFGとのシナジー推進 :優良先との取引集中および「三菱UFJカードプラン」などの高付加価値商品の推進。
- 信用コストの抑制 :審査高度化および回収体制の強化により、求償債権残高の減少トレンドが定着したこと。
- デジタル化による経費削減 :IT・AIを活用した業務効率化により、販売管理費が想定以上に削減されたこと。
業績の上方修正に伴い、期末配当予想も当初の48.00円から6.00円増額され、 年間1株当たり54.00円(前期実績は40.00円) に修正されました。配当増額率は 12.5% となり、業績還元に対する積極的な姿勢が示されています。
第2章:財務基盤の健全性と業界トップクラスの収益性
家賃保証業界においては、景気動向や倒産件数の変化に伴う信用リスクの管理が経営の核となります。現在、裁判所の司法統計では個人再生・破産件数が増加傾向にあり、東京商工リサーチ(TSR)のデータでも企業倒産件数が増加傾向を示しています。このような環境下で、同社は強固なリスク管理体制を誇っています。

スライド選定理由とデータ背景(スライド4)
この安全性と収益性を比較したスライドは、全保連が同業他社に対してどのような競争優位性と財務的安全性を持っているかを客観的数値で示しています。
主要な指標の解説:
- 売上高対比求償債権比率(24.7%) : 求償債権とは、家賃の立替払いによって生じる債権であり、いわば「不良債権予備軍」です。他社(A社〜D社)の同比率が40%〜90%台で推移しているのに対し、同社は 24.7% と極めて低い水準に抑えられています。これは審査の精度が高く、未収金の発生自体が少ないことを意味します。
- 求償債権対比貸倒引当率(58.9%) : 発生した求償債権に対してどれだけ手厚く引当金を積んでいるかを示す指標であり、同社は 58.9% という非常に高い水準を確保しています。他社と比較しても圧倒的なカバー率であり、将来的な貸倒リスクに対する十分な備えがなされています。
- (調整後)EBITDAマージン(31.4%) : 現金創出力と実質的な収益力を示す(調整後)EBITDAマージンは 31.4% を記録しており、業界トップ水準の高収益構造を堅守しています。
貸倒リスクに対する管理精度を表す指標として、同社の「早期入金控除後30日期間代位弁済率」は 0.44% と良好な水準を維持しており、「代位弁済回収率」も前年同期比+0.56pt改善して 96.99% に達しています。高度な審査と回収プロセスが、同社の高い健全性を支える要因となっています。
また、バランスシート面でも現預金 9,484百万円 を保有し、実質無借金経営を継続しています。自己資本比率は 33.0% 、ROE(自己資本利益率)は年換算ベースで 38.5% に達しており、資本効率と安全性の両立が達成されています。
第3章:営業基盤の拡大とDX(電子化)の推進
同社の成長を牽引する基礎データとして、協定会社拠点数や契約件数の拡大が挙げられます。
- 協定会社拠点数 :59,068拠点(2025年6月末比+4,407拠点、 +8.1% )
- 累計家賃債務保証契約件数 :456.5万件(同+25.5万件、 +5.9% )
- 保有契約件数 :196.0万件(同+1.1万件、 +0.6% )
不動産会社等との提携ネットワーク(協定会社拠点数)が着実に広がっており、これが新規契約件数の安定的な増加につながっています。
さらに、同社は業務のデジタル化(DX)を強力に推進しています。Web保証申し込み・契約システム「 Z-WEB2.0 」の導入拠点数は 21,752拠点 となり、総協定会社拠点数の 36.8% に達しました(前年同期からは8,027拠点増、約1.6倍に拡大)。 これに伴い、以下の通り電子化率が大幅に向上しています:
- 電子申込率 :47.9% (前年同期比+9.4pt)
- 電子契約率 :26.4% (前年同期比+5.3pt)
申し込みの約半数が電子化されたことで、審査の迅速化や事務負担の軽減が進み、販管費の抑制や顧客利便性の向上に大きく寄与しています。
第4章:成長戦略と長期的な企業価値向上策
同社は単なる家賃保証にとどまらず、賃借人のライフスタイル全体をサポートするサービス展開を進めています。会員数 約8.0万人 を抱えるライフサポートプラットフォーム「 YUiPASS 」を通じて、クレジットカード決済、引越し、家電・家具のレンタルや美容機器など、入居前後における多様なサービスを提供しています。これにより賃借人との継続的な接点を創出し、LTV(顧客生涯価値)の最大化と顧客基盤の強化を図っています。
組織・ガバナンス面での主な取り組みは以下の通りです:
- 本社移転 :2026年12月21日付で「那覇ポートビル」へ本社を移転予定。交通利便性の向上や働きやすい環境整備により、優秀な人材の獲得と社内コミュニケーションの活性化を目指します。
- ガバナンスの強化 :2026年6月に監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会の監督機能強化と意思決定の迅速化を図っています。
- 株主還元とIR活動の充実 :個人投資家向け説明会の積極的な開催や、配当の上方修正を通じて株主価値の向上に取り組んでいます。長期計画としては、 4年後の時価総額目標として669億円 を掲げています。
結論および全体のまとめ
全保連の2027年3月期第1四半期決算は、過去最高益の更新と通期業績・配当予想の上方修正という、きわめて良好な進捗を示しました。
- 業績・効率性 :販管費の削減と高付加価値商品の展開により営業利益率が向上し、ROEは 38.5% と極めて高い水準です。
- リスク管理 :求償債権比率の低さと高い引当率( 58.9% )、高水準の回収率( 96.99% )により、倒産増加等の外部環境変化に対しても盤石な財務耐性を保持しています。
- DX・構造改革 :Z-WEB2.0の普及による電子申込率( 47.9% )の向上など、生産性向上の取り組みが実を結んでいます。
MUFGグループとの連携深耕やデジタル化による効率化、強固な顧客基盤を背景に、同社が目指す長期的な成長ストーリーと企業価値向上の取り組みが順調に進展していることが確認できる決算内容となっています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。