
【深掘り分析】スカラ(4845)2026年6月期 通期決算レポート:DXストック収益の拡大とTCG事業の過去最高益、来期売上100億円超へ
StockClub
公開日時: 2026/08/14 11:26
Sentiment Analysis

1. エグゼクティブサマリー:2026年6月期の業績ハイライト
株式会社スカラ(証券コード:4845)が発表した 2026年6月期通期連結業績 は、売上収益が 8,533百万円 (期初計画比97.0%)、営業利益が 522百万円 (期初計画比83.0%)で着地しました。
主力の DX事業 におけるSaaSのストック収益拡大およびコスト最適化が進んだことに加え、 TCG(トレーディングカードゲーム)事業 が過去最高業績を記録するなど主力事業は好調に推移しました。一方で、人材事業における就活早期化の影響や、4Q(第4四半期)に発生した M&A関連等の一時的費用 、インキュベーション事業の先行コスト発生などが重なり、連結営業利益は計画に対して未達となりました。
しかしながら、ストック収益基盤の強化( ARR 28.14億円 達成)や新規M&Aの実行、全社的な AI(Claude)導入 による業務効率化など、中長期的な収益基盤の整備は着実に進展しています。 2027年6月期 においては、売上収益 10,100百万円 (前年比+18.4%)、営業利益 850百万円 (前年比+62.6%)と大幅な増収増益を見込んでいます。
2. 2026年6月期 通期連結業績の解剖と要因分析
2026年6月期の業績について、セグメント別の計画達成状況および増減要因を詳細に確認します。

上記スライドは、2026年6月期通期におけるグループ全体および主要4事業(DX事業、人材事業、TCG事業、インキュベーション事業)の実績値と計画値の対比を示したサマリーです。このデータから以下のポイントが読み取れます。
- DX事業 :売上収益は 4,419百万円 (達成率89.3%)と未達になったものの、営業利益は 446百万円 (達成率109.0%)と 計画値を大きく超過 しました。SaaS事業におけるコスト最適化とAI活用の推進が利益率向上に寄与しています。
- TCG事業 :売上収益は 2,804百万円 (達成率113.5%)、営業利益は 353百万円 (達成率100.9%)となり、 売上・利益ともに計画を達成し過去最高を更新 しました。物価高や各種コスト増加に適応した柔軟な販売戦略および積極買取が奏功しています。
- 人材事業 :売上収益 1,127百万円 (達成率98.0%)、営業利益 165百万円 (達成率87.3%)となり、計画をやや下回りました。就職活動の早期化に伴い、27卒会員の獲得数が想定を下回ったことが主因です。
- インキュベーション事業 :売上収益 182百万円 (達成率73.1%)、営業利益 ▲58百万円 となりました。M&A事業においてグループ内案件を前倒しで優先したことや全社的なリソース配分による影響を受けています。
四半期別の推移を辿ると、1Q〜3Qまでは計画を上回る進捗を見せていたものの、 4QにおいてM&A等の加速に伴うアドバイザリー費用やシステム投資などの一時的コストが発生 したことで、最終的な営業利益が着地計画を下回る結果となりました。
3. セグメント別パフォーマンスと重要KPIの分析
各事業の具体的な成長シナリオとKPIの推移について分析を深めます。
(1) DX事業:ストック収益への構造転換とAI活用
DX事業はスカラグループの収益の柱であり、月額固定収入である ストック収益構造への転換 が急速に進んでいます。

上記スライドは、DX事業における MRR(Monthly Recurring Revenue:月次定常収益) 、ARR(Annual Recurring Revenue:年次定常収益) 、および 顧客アカウント数 の四半期推移を示した重要データです。
- MRRおよびARRの継続的成長 :MRRは2025年4Qの 2.13億円 から、2026年4Qには 2.34億円 へと右肩上がりで成長しています。これに伴い、年間換算のストック収益を示すARRも2025年4Qの 25.57億円 から2026年4Qには 28.14億円 へと拡大しました。
- 顧客アカウント数の動向 :顧客アカウント数は2026年4Q時点で 1,311アカウント となっており、前年同期比で +110アカウント の増加を記録しています。アカウント数の着実な積み上がりがストック収益の土台を強固にしています。
さらに、自治体向けの「ふるさと納税事業」や中央省庁向けの事務局システム、行政連携SaaS群(SCOM×エッグ)の導入拡大が継続しており、フロー案件からストック型ビジネスへのシフトが順調に進展していることが確認できます。
(2) TCG事業:高い顧客エンゲージメントと高単価化
TCG事業(スカラプレイスが運営する「遊々亭」等)は、市場の拡大背景を捉えて飛躍的な成長を遂げました。 会員数は2026年4Q末時点で 354,573人 に達し、月間平均PV数も 1,700万PV超 を維持しています。特筆すべきは 購買単価の上昇 であり、2025年1Qの8,091円から2026年4Qには 10,476円 へと成長し、 1万円の大台を突破 しました。豊富な在庫確保とまとめ買い需要の創出が単価上昇の要因となっています。
(3) 人材事業:新卒採用市場の変化への対応
アスプラやギアリメイクを通じた新卒・中途採用支援を展開する人材事業では、女子学生向けキャリア支援「女子キャリ」などの会員数が大幅に伸長しました。一方で、新卒採用市場全体の早期化に対して27卒会員の獲得が遅れたため、同社では 28卒会員の獲得活動を3月に前倒しして開始 するなど、市場構造変化への即座な適応を図っています。
4. 戦略的トピックス:M&Aと全社AI基盤構築
スカラは中長期的な成長の加速に向け、積極的な M&A投資 と生成AIの全面導入 を実行しています。
① M&A戦略の実行(HATO社およびテラ社)
2026年7月1日付けでトレーディングカードのリユースショップ「トレカサンライズ」を展開する 株式会社HATO を完全子会社化(孫会社化)しました。これにより、遊々亭のEC会員(35万人)とHATO社の実店舗(7店舗)を融合させた オムニチャネル展開 を推進します。 さらに、2026年9月には全国約2,500店舗の通信ショップ向けにPOSサービス等を提供する 株式会社テラ の株式80%を取得する予定であり、DX・AIソリューションの店舗展開を加速させます。
② 全社AI活用基盤「Claude」の導入
スカラでは、全社員を対象に先進的なAIモデルである Claudeの導入 を進めています。社内業務プロセスの効率化にとどまらず、DX事業におけるBPO業務の自動化や、既存SaaSプロダクトへのAI組み込み(FAQ自動生成、ナレッジ分類など)を推進しており、グループ全体の生産性向上と高付加価値化を図っています。
5. 2027年6月期の業績予想と成長ストーリー
スカラグループは、2027年6月期において大幅な業績拡大を見込んでいます。

上記スライドは、2027年6月期における通期連結業績予想と主要財務指標を示しています。
- 売上収益 :前年比 +18.4% 増の 10,100百万円 (100億円の大台突破を目指す)
- 営業利益 :前年比 +62.6% 増の 850百万円
- Non-GAAP営業利益 :前年比 +61.0% 増の 850百万円
- 1株当たり配当金 :前期の17.0円から 18.0円 (+1.0円増配)への拡充を予定
セグメント別の計画では、DX事業の売上収益が 5,980百万円 (前年比+35.3%)、営業利益が 560百万円 (前年比+25.6%)と全体を強力に牽引する見込みです。新規サービス展開に加えてテラ社のM&A寄与が期待されます。また、人材事業もリソース改善と拠点拡大により営業利益 190百万円 (前年比+15.2%)を目指します。TCG事業においても、HATO社のM&A効果の精査を進めつつ、既存ECと実店舗の相乗効果による増益(営業利益 400百万円 、前年比+13.3%)を想定しています。
6. 総合まとめ
スカラの2026年6月期決算は、一時的なM&A関連コスト等により営業利益計画には届かなかったものの、 DX事業のストック収益拡大(ARR 28.14億円) やTCG事業の過去最高益 など、基礎的収益力の力強い成長を示す内容となりました。
2027年6月期に向けた 「売上100億円超・営業利益8.5億円」 という高い目標設定は、これまでに仕込んできたストック構造への転換、M&Aによるシナジー創出、そして全社的なAI基盤の活用が本格的に収益へと寄与し始めるプロセスを反映しています。
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