
リビン・テクノロジーズ 2026年9月期 第3四半期決算解説:M&Aによるリアル事業参入とデジタル事業の再生に向けた取り組み
StockClub
公開日時: 2026/08/14 11:09
Sentiment Analysis

リビン・テクノロジーズ株式会社(証券コード: 4445)の2026年9月期 第3四半期決算は、 主力のデジタル事業における顧客数減少 の影響を受けた一方で、 大型M&Aを通じた「住生活リアル事業」への進出 によって売上高の増収を確保する展開となりました。一方で、買収に伴う一事的なアドバイザリー費用やリアル事業の初期コストが膨らみ、利益面では前年同期比で大幅な減益となっています。
本レポートでは、当四半期の業績トピックス、新規セグメントの動向、主力事業のKPI推移、株主還元政策および上場維持基準への対応まで、重要なポイントを包括的に網羅して解説します。
1. 2026年9月期 第3四半期 連結業績ハイライトと通期進捗
当第3四半期連結累計期間における業績は以下の通りです。
- 連結売上高 : 28億2,659万円 (前年同期比 +4.8% )
- 連結営業利益 : 1億9,285万円 (前年同期比 -50.4% / 49.6%の水準)
- 連結経常利益 : 1億7,791万円 (前年同期比 -52.8% / 47.2%の水準)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益 : 8,066万円 (前年同期比 -68.6% / 31.4%の水準)

上記の業績ハイライトが示す通り、 連結売上高は前年同期比で増収を達成 したものの、 営業利益以下の各段階利益は大幅な減益 となりました。増収の主因は、2026年4月1日付で子会社化した株式会社シンエイおよび株式会社LIGコーポレーション(3か月分)の業績が加わったことによるものです。既存のデジタル事業単体では減収傾向となりましたが、グループ全体での事業ポートフォリオ拡充によって売上高を補い、単四半期(3Q単体)としても過去最高の売上高(1,093百万円)を更新しました。
一方、利益面を大きく圧迫した主な要因は、 M&A取得に伴うアドバイザリー費用等(3,910万円)の計上 および新規連結子会社の初期コスト、ならびに主力事業における利益率の落ち込みです。
通期業績予想(売上高40億7,000万円、営業利益2億9,000万円)に対する進捗率は、 売上高が69.4% 、営業利益が66.5% となっており、第4四半期での巻き返しが焦点となります。
2. セグメント区分の変更と「住生活リアル事業」の新規連結
当第3四半期連結会計期間より、従来の単一セグメントから 「住生活デジタル事業」 と**「住生活リアル事業」** の2セグメント体制へと報告セグメントの変更が行われました。

セグメント別の状況は以下の通りです。
- 住生活デジタル事業
- 売上高 : 25億7,784万円 (前年同期比 -4.5% )
- セグメント利益 : 2億7,286万円 (前年同期比 -29.9% )
- 不動産プラットフォーム『リビンマッチ』等の主力サービスを含みます。売上高・利益ともに前年同期を下回る厳しい推移となりました。
- 住生活リアル事業
- 売上高 : 2億4,968万円
- セグメント利益 : ▲4,091万円 (営業赤字)
- 水回りリフォーム大手である株式会社シンエイおよび株式会社LIGコーポレーションの株式を取得・子会社化したことで新設されたセグメントです。当期は3か月分の業績が反映されており、事業統合にかかる先行費用等から赤字での立ち上がりとなっています。
- 調整額
- セグメント利益調整額 : ▲3,910万円 (子会社取得のためのアドバイザリー費用)
デジタルによる集客力と、リアルな施工・リフォーム事業を組み合わせる「住生活ソリューション事業体」への進化を目指す戦略的転換期にあることが読み取れます。
3. 主力事業「住生活デジタル事業」のKPI推移と課題
同社の成長エンジンである「住生活デジタル事業」の収益力を推し量る上で最も重要なKPIが、 「月間平均クライアント数(稼働ベース)」 と**「ARPU(1クライアントあたり月間平均営業収益)」** です。

上記のスライドデータが示す通り、 月間平均クライアント数は減少傾向が継続 しています。2025年9月期2Q時点での2,240社をピークに減少し、当第3四半期では 1,974社 (前四半期比で67社減)と2,000社を割り込む水準まで低下しました。新規クライアントの獲得営業において苦戦が続いていることが大きな課題です。
一方で、 ARPU(単価)は139,264円 と、前四半期(141,665円)からは若干低下したものの、過去の推移と比較すると高水準を維持しています。単価維持・向上施策が一定の成果をあげているものの、加盟店数の減少をカバーしきれていない状況が浮き彫りとなっています。
4. 業績回復に向けた重点施策とトピックス
このような課題に対し、同社では以下の重点施策と新規取り組みを推し進めています。
- 『リビンマッチ』の再成長軌道化 : 新規獲得営業の強化とともに、契約成約率の向上を図る 『売主取次サービス』 (成約見込み度の高い案件のみを加盟店に取次ぐ仕組み)の提供を2026年6月より開始しました。
- 第2・第3の柱の育成 : 建築DXや外壁塗装DX(『ぬりマッチ』等)への人的資本投資を実施し、営業体制の強化と教育を徹底しています。
- 新規サービスの立ち上げ : ユーザー向けに伴走支援を行う『不動産売却ご相談デスク』の開設や、底地特化型ポータル『底地解決ナビ』におけるエリア独占型ブランディングサービスの提供など、ニッチ領域での差別化を推進しています。
- M&AとPMIの実施 : 子会社化したシンエイおよびLIGコーポレーションの統合(PMI)を進め、グループシナジーの創出を狙います。
5. 株主還元政策・資本戦略および上場維持基準への対応
株主還元および株式の流動性向上のため、積極的な資本施策が実行されています。
- 自己株式の取得状況
- 取得上限: 総数 420,000株 / 総額 9億円(期間: 2025年11月19日〜2026年9月18日)
- 2026年7月31日時点の実績: 取得株式数 223,000株 (進捗率 53.1%)/ 取得価額 約4.00億円 (進捗率 44.5%)
- 株式分割および株主優待制度の変更
- 2026年5月11日を基準日とし、 1株につき2株の割合で株式分割 を実施しました。
- 投資金額のハードルを下げることで投資家層の拡大を図りつつ、優待基準(年間15,000円分のデジタルギフト等)の調整を行っています。
- 上場維持基準に関する方針
- 自己株式取得の進捗に伴い、 東京証券取引所グロース市場の上場維持基準(流通株式時価総額・流通株式比率等)に抵触する可能性 が示唆されています。
- 仮に基準不適合となった場合の選択肢として、重複上場している 名古屋証券取引所メイン市場への単独上場移行についても検討を行う方針 が提示されています。
6. 総括と今後の展望
リビン・テクノロジーズの2026年9月期 第3四半期決算は、 既存デジタル事業の顧客数低迷とM&A関連費用の計上により一時的に利益が大きく押し下げられる 厳しい局面となりました。
しかしながら、 水回りリフォーム等の「リアル事業」獲得による事業基盤の拡大 や、 『売主取次サービス』等のプロダクト改善 、株式分割や自己株買いを通じた株主還元 など、中長期的な企業価値向上に向けた構造改革が平行して進められています。今後は、子会社の早期黒字化・シナジー発現と、デジタル事業における新規クライアント数の反転増加が達成できるかが注視されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。