
And Doホールディングス(3457)2026年6月期決算ディープダイブレポート
StockClub
公開日時: 2026/08/14 10:13
Sentiment Analysis

1. 2026年6月期 連結業績の全体像と決算サマリー
And Doホールディングスの2026年6月期通期連結業績は、 売上高49,617百万円(前期比23.4%減) 、営業利益1,120百万円(前期比57.3%減) 、経常利益1,120百万円(前期比61.9%減) 、親会社株主に帰属する当期純利益1,452百万円(前期比38.0%減) となりました。
同社は現在、成長性と資本効率を高めるための 「事業ポートフォリオ再構築」 を強力に推進しています。その一環として、事業譲渡(リフォーム事業等)や収益構造の見直し(ハウス・リースバック事業の縮小・ファンド流動化)を進めており、これらの影響によって売上高・利益ともに大幅な減収減益の着地となりました。

上記の 決算サマリー スライドは、今期の業績全体と事業構造改革の過渡期における定量データを集約したものです。このスライドが極めて重要な理由は、 単なる業績悪化ではなく、中長期的な資本効率向上と財務健全化に向けた意図的な事業再構築のプロセス を示している点にあります。
期初計画(売上高55,000百万円、営業利益2,900百万円)と比較すると下振れ着地となりましたが、その主な要因としては以下の点が挙げられます:
- HLB(ハウス・リースバック)ファンドへの資産譲渡の一部未実現 および過年度まで実施した大型案件の反動。
- 在庫健全化に向けた長期滞留在庫の集中処分 (利益率の低下要因)。
- 不動産売買事業における営業人材補強の先行投資 および新規仕入・在庫積上げのスケジュール後ろ倒し。
- ノンコア事業(リフォーム事業等)の縮小・譲渡による売上剥落。
一方で、ストック型ビジネスである フランチャイズ事業の堅調な推移 や、 金融事業(リバースモーゲージ保証)の拡大 、さらには 販売費及び一般管理費の大幅な削減(前期比19.0%減の9,651百万円) など、事業基盤の質的転換は着実に進展しています。
2. 財務体質の改善と在庫健全化・資本効率向上への取り組み
同社は、資本回転率の向上とバランスシートの圧縮を最優先課題の一つとして掲げています。2026年6月期末における 総資産は67,798百万円(前期末比4,174百万円減) となり、負債の圧縮が進みました。特に 有利子負債は前期末から36.7億円削減 され、 D/Eレシオは2.3倍(前期末比0.3倍改善) 、自己資本比率は28.0%(前年同期の25.6%から2.4ポイント上昇) と、財務健全性が大幅に向上しています。
特に不動産売買事業における在庫管理においては、開発に時間を要する多区画の大型案件を縮小し、回転率の高い 中古住宅買取再販や小型案件へシフト する戦略を徹底しました。

上記の 不動産売買事業の在庫保有期間(区画数構成比) スライドは、同社の在庫健全化策が具体的にどのような成果を生んでいるかを示す決定的なデータです。このスライドの背景・意味合いを深く分析すると、 長期滞留在庫の解消に向けた取り組みが数値として明確にあらわれていること が分かります。
具体的な変化は以下の通りです:
- 1年以上保有の長期滞留在庫比率 :2025年6月期末の 33.0% から、2026年6月期末には 26.1%へ6.9ポイント低下 。
- 仕入決済後半年未満の新鮮な在庫比率 :26.6%から31.5%へ上昇 。
- 在庫保有期間の中央値 :2025年6月期末の 293日 から、2026年6月期末には 214日へと79日間短縮 。
このように、過去の滞留在庫を今期中に評価処分・売却推進したことで、一時的に営業利益率は押し下げられたものの、 商品在庫の入替・健全化が完了 しました。これにより次期以降の資本回転率およびROIC(投下資本利益率)の改善に向けた準備が整ったと整理できます。
3. セグメント別業績の状況と成長戦略
各セグメントの業績動向および取り組みの詳細は以下の通りです。
① フランチャイズ事業(高収益な安定基盤)
- 売上高 :3,324百万円(前期比3.5%増)
- 営業利益 :1,928百万円(前期比0.4%増)
- 営業利益率 :58.0% (極めて高い利幅を維持)
- 累計加盟店舗数 :733店舗(前期末比8店舗増)、 新規開店店舗数 :111店舗(前期比32.1%増) 加盟店の立ち上げが順調に進み、月会費やシステム料などのストック収入が堅調に推移しました。都市部を中心とした重点強化エリアを設定し、新規獲得を強化しています。
② 不動産売買事業(成長ドライバーと中古住宅シフト)
- 売上高 :35,246百万円(前期比10.8%減)
- 営業利益 :1,713百万円(前期比32.7%減) 大型案件処分の減調や人材投資負担により減益となったものの、注力している 中古住宅買取再販 の売上高は 9,954百万円(前期比12.4%増) 、売却件数は 349件(前期比14.1%増) と伸長しました。住宅系売上高における 中古住宅比率は31.7%(前期の29.0%から上昇) となり、回転型ビジネスへの移転が進んでいます。また、営業人員は期中平均で59.3名から91.1名へと大幅に拡充されました。
③ 金融事業(リバースモーゲージ保証の順調な拡大)
- 売上高 :641百万円(前期比13.8%増)
- 営業利益 :262百万円(前期比46.3%増)
- 営業利益率 :40.9% 提携金融機関の開拓(世田谷信用金庫等、都内信用金庫の過半数となる12金庫と提携)が進み、 リバースモーゲージ保証残高は35,344百万円 へと大きく拡大。高利益率な事業として全体業績に貢献しています。
④ ハウス・リースバック事業(規模適正化と構造転換)
- 売上高 :9,595百万円(前期比50.7%減)
- 営業利益 :889百万円(前期比60.7%減) 自社保有からファンド活用型への転換、および資産圧縮を進めた結果、計画どおり縮小・適正化のプロセスを進めています。
4. キャッシュ・フローと株主還元(配当政策)
同社は事業再構築に伴う仕入ペースの見直しや資産売却を進めた結果、 フリー・キャッシュ・フローは5,652百万円のプラス (営業CF:5,836百万円、投資CF:-183百万円)を確保しており、手元資金の流動性はきわめて潤沢です。

上記の 株主還元(配当推移) スライドは、同社の株主重視の姿勢と資本政策の意思を表す重要な資料です。このスライドの意義は、 業績が減益着地となった過渡期においても、期初計画通りの配当水準を維持し、株主還元姿勢を明確に示していること にあります。
主要な配当指標は以下の通りです:
- 2026年6月期 1株当たり配当金(予想) :46.00円 (前期の45.00円から1.00円増配の計画を維持)
- 配当性向(予想) :63.2% (基本方針である「配当性向30%以上」を大きく上回る水準)
同社は将来の成長投資(不動産仕入や人材投資)と株主還元のバランスを考慮しつつも、安定した配当の継続を掲げており、投資家に対する還元意識の高さを示しています。
5. 今後の見通しと2030年に向けた中長期成長ストーリー
2026年6月期は、滞留在庫の処分やノンコア事業の整理など、 「負の遺産の膿出し」と「事業ポートフォリオ再構築」を完遂した過渡期の1年 であったと言えます。
今後は以下の成長ストーリーが期待されます:
- 不動産売買事業における仕入・販売の加速 :人員補強(営業人員90名超体制)の成果が本格化し、健全化された中古住宅在庫を軸に回転率と売上高の回復を図る。
- FC店舗網と金融保証のストック収益拡大 :FC加盟店733店舗のネットワークを活かしつつ、リバースモーゲージ保証残高の積み上げによる高利益率ストックの拡充。
- 資本効率(ROIC・ROE)のV字回復 :2030年6月期目標として 「ROIC 6%以上」 を掲げ、資産圧縮と利益率向上を通じて企業価値の極大化を目指す。
事業構造改革を一巡させた同社が、次期以降どのような軌道修正と再成長を描くのかが今後の注目点となります。
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