
株式会社L is B 2026年12月期 第2四半期決算ディープダイブレポート
StockClub
公開日時: 2026/08/14 09:52
Sentiment Analysis

1. 概要と事業基盤の再確認
株式会社L is B(証券コード: 145A) は、建設業をはじめとする「現場」で働く人々や企業に向けた 現場向けDXプラットフォーム を提供するITソリューション企業です。主力プロダクトである現場向けビジネスチャット 「direct(ダイレクト)」 を中心に、現場作業に特化したアプリ群やAI機能を展開しています。
現場における業務は、PCの利用頻度が低く、書類作成や写真管理などの手書き・アナログ作業が大きな負担となっています。同社はこれらの課題に対し、スマートフォンやタブレット単体で業務が完結するコミュニケーション基盤を提示し、顧客の 行動変容(イノベーション) を支援しています。
現在では 10,000社超 の企業現場で利用されており、スーパーゼネコンや大手建設会社、さらには鉄道・インフラ・物流・自治体・金融機関に至るまで、幅広い現場DXインフラとしての地位を確立しています。
2. 2026年12月期 第2四半期 業績ハイライト
2026年12月期 第2四半期累計期間における業績は、主力事業の順調な拡大と連結子会社の貢献により、 前年同期比で大幅な増収増益 を達成しました。

スライド解説:業績概況と進捗率の重要性
上記のスライドは、当第2四半期累計実績および通期業績予想に対する進捗状況を提示したものです。本スライドが重要な理由は、売上高・各段階利益の双方が 前年同期比で高い成長率 を示している点に加え、通期予想に対する進捗率が 過去のトレンドと比較しても非常に高い水準 で推移している事実を明確に示しているからです。
具体的には以下の数値が示されています:
- 売上高 : 1,371百万円 (前年同期比 +33.4% )
- 売上総利益 : 854百万円 (前年同期比 +27.5% )
- 営業利益 : 151百万円 (前年同期比 +63.1% )
- 経常利益 : 133百万円 (前年同期比 +62.3% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 112百万円 (前年同期比 +84.7% )
通期予想(売上高2,823百万円、営業利益266百万円)に対する進捗率は、売上高が 48.6% 、営業利益が 56.6% に達しており、営業利益進捗率は過去2年の水準(2025年12月期2Q累計: 45.8%、2024年12月期2Q累計: 31.3%)を大きく上回る好調な進捗を見せています。
3. 「direct」の価格改定と収益基盤の強化
同社は、サービス品質の維持・向上および運営基盤の更なる強化を目的に、主力サービスである 「direct」の利用料金改定 を実施しました。
価格改定の主な内容
- 改定内容 : 利用料金の 20%増額
- 改定時期 : 2026年4月1日より適用
- プラン別料金(月額) :
- ベーシックプラン: ¥6,000 → ¥7,200
- プラスプラン: ¥12,000 → ¥14,400
- プレミアムプラン: ¥27,500 → ¥33,000
- マックスプラン: ¥50,000 → ¥60,000
この価格改定の影響は、2026年12月期第2四半期の財務指標から順次反映されており、ARPU(ユーザー平均単価)の向上および ストック収益の質的向上 に大きく寄与しています。
4. 現場AI機能の進化と安全性の確立
同社グループのDXプラットフォームは、単なるチャットツールから 「現場でのAI活用インターフェース」 へと進化を遂げています。特に、先端技術の導入と運用の安全性を両立させる取り組みが進行しています。

スライド解説:現場AI機能「directアシスタント」とAIMS認証
上記スライドは、新機能 「directアシスタント」の先行トライアル開始 と、その背景にある高度なAIガバナンス体制を示しています。このスライドが重要とされる理由は、企業の生成AI導入において最大の懸念点である 「セキュリティと信頼性」 を客観的な第三者認証によって担保し、他社との決定的な差別化要因を構築した点にあります。
同社は、日本品質保証機構(JQA)初となる AIMS(AIマネジメントシステム)認証 (ISO/IEC 42001)を取得しました。国際規格に基づいた安全なAI運用体制の下で提供される「directアシスタント」には、以下の特長があります:
- ナレッジ化 : 日々のトークでのやりとりを流出させず、組織の貴重な 資産・知識 として蓄積・活用。
- 即時導入可能 : アカウントの追加費用なしで全社員がすぐに使用でき、導入コストの壁を解消。
- 安心・安全の担保 : AIMS認証取得により、セキュリティ基準の厳しい大企業でも安心して採用可能。
現場での具体的なAI活用例として、 「持ち込み工具の自動チェック」 や**「過去の労災事例のクラウド自動検索・共有」** などが挙げられ、現場の安全衛生と生産性向上に直結する機能が拡充されています。
5. 売上高推移とストック・ショット収益構造の分析
売上高の定常的な成長と、それを支える収益構造について分析します。

スライド解説:売上高の四半期推移とストック売上の堅調性
上記スライドは、2021年1Qから2026年2Qまでの四半期別売上高の推移および内訳(ストック自社サービス、OEM、人材派遣、ショット等)を視覚化したものです。このスライドが極めて重要である理由は、同社の収益構造が 高水準のストック売上 に支えられつつ、グループ会社の連結化によって 多層的な成長軌道 を描いていることが一目で確認できるからです。
当第2四半期(2026年2Q単体期)の売上高は 706百万円 (前年同期比 +37.4% )に達しました。売上内訳のポイントは以下の通りです:
- ストック売上の堅調な拡大 : 自社サービス(direct等)の売上高は 402百万円 まで成長しており、収益の土台を強固に固めています。
- M&A・連結効果 : 株式会社システム・エムズ および IU BIM STUDIO株式会社 の連結が加わったことで、BIM技術者派遣や受託開発などの新たな収益ラインが上乗せされています。
- ストック比率の推移 : 連結ストック売上比率は 88.9% 、L is B単体では 96.3% と、引き続き極めて高いストック性を維持しています。
また、顧客企業のDX対応が深まるにつれ、チャット導入にとどまらず 「個別のDXコンサルティング」 や**「AI活用のための個別開発案件」** (ショット売上)の依頼が増加傾向にあります。これにより、ストックとショットの双方が相乗的に拡大するサイクルが形成されています。
6. 通信難地域への対応とグループシナジーの進展
① Starlink Directへの対応
建設現場や山間部、災害被災地など、従来の携帯基地局の電波が届かない「圏外エリア」においても、スマートフォン向け衛星通信サービス 「Starlink Direct」 に対応することで、「direct」でのテキストメッセージ送受信や現場写真の共有を可能にしました。これにより、 企業のBCP(事業継続計画)ソリューション としての価値が大幅に高まっています。
② 連結子会社の状況
- システム・エムズ : 既存顧客との取引が継続し、前年同水準(26/12期2Q累計売上高109百万円、営業利益19百万円)で順調に推移。
- IU BIM STUDIO : 26/12期2Q累計売上高 203百万円 、営業利益 22百万円 を計上。のれん償却費(22百万円)を吸収し、通期でも のれん償却費を上回る営業利益 を計上する見通しです。建築設計から施工・メンテナンスに至るBIMプロセスの課題解決力を強化しています。
- directX Ventures1号ファンド : B2B ITやフィールドワーカー向けプロダクトを手掛けるスタートアップ 8社への投資を実行 し、中長期的な事業シナジー創出を推進しています。
7. 業績ハイライトと今後の成長戦略まとめ
2026年12月期 第2四半期決算から見えてくるL is Bの成長ストーリーは、以下の要素によって集約されます。
- 収益性の向上 : 「direct」の20%料金改定および高利潤率なストック売上の拡大により、連結営業利益は前年同期比 +63.1% 、調整後営業利益は同 +131.4% (75百万円)と大幅な利益率改善を達成。
- AIとガバナンスの融合 : 国内初の AIMS認証(ISO/IEC 42001) 取得による圧倒的な信頼性を武器に、「directアシスタント」の導入展開を推進。
- 利用シーンの拡張 : Starlink Direct対応 による圏外・災害時通信の確保、および BIMソリューション の獲得による設計・施工・保全全般へのアプローチ拡大。
- OEM展開の拡大 : 自治体向け「LoGoチャット」(全国8割以上の自治体・1,555自治体で利用)や信金業界向け「しんきんdirect」など、特定業界向けOEM基盤の水平展開が着実に進展。
同社は、現場の泥臭い課題に向き合う使いやすさを核としながら、AI技術や衛星通信、BIMといった先端テクノロジーを融合させることで、現場DX領域における独自のプラットフォームポジションをさらに強固なものにしています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。