
INCLUSIVE Holdings 2027年5月期第1四半期決算解説:経営構造改革とAI実装で切り拓く2028年度黒字化への軌跡
StockClub
公開日時: 2026/08/13 11:39
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INCLUSIVE Holdings株式会社(証券コード: 7078)は、2026年8月13日に 2027年5月期 第1四半期決算 を発表しました。同社は現在、従来の労働集約的なメディア事業依存から脱却し、 「食・宇宙・地域創生」 を中心とした高付加価値かつスケール可能な事業構造への劇的な転換を図っています。
本レポートでは、発表された決算補足資料を基に、同社の収益構造改善の成果、セグメント別の進捗状況、AI技術の全社的実装戦略、そして決算期変更に伴う将来の見通しについて網羅的かつ詳細に解説します。
1. 経営改革の全貌と転換ストーリー
同社はこれまで、メディア領域を中心とした労働集約型・低利益率なビジネスモデルを展開していましたが、現在は抜本的な経営改革を推進しています。不採算案件の戦略的撤退を進めると同時に、経営リソースを 「SaaS型自治体DX」「IP創出」「高付加価値EC」 といった高利益率な領域へ集中させています。

スライド解説:経営改革の骨子
このスライドは、同社が推し進める改革の「ビフォー・アフター」を端的に表した極めて重要な概念図です。旧体制における 「メディア依存・労働集約型」「低利益率・高固定費」 という課題に対し、改革体制では 「感性×AI(需要予測・自動最適化)」 という技術的軸軸を導入し、 「宇宙(GovTech)・食・地域創生」 へと成長領域を絞り込んでいます。単なるコスト削減にとどまらず、プロダクトのデジタル実装により 高利益率でスケーラブルな事業構造へと再構築 している点が、本改革の中核といえます。
2. 2027年5月期 第1四半期 連結業績ハイライト
第1四半期(2026年4月1日〜2026年6月30日)の連結業績は、減収となったものの 損益構造の劇的な改善 が確認される結果となりました。
- 売上高 : 1,009百万円 (前年同期比 △26百万円 / △2.5% )
- 営業損益 : △121百万円 (前年同期比 +67百万円改善 )
- EBITDA : △98百万円 (前年同期比 +67百万円改善 )
- 親会社株主に帰属する当期純損益 : △69百万円 (前年同期比 +72百万円改善 )
売上高の減少は、メディア関連の不採算案件を戦略的に縮小・撤退したことによる計画通りの減収です。一方で、抜本的なコスト削減施策と全社的なAI戦略導入が寄与し、 営業利益・EBITDA・純利益のすべての段階で大幅な赤字幅縮小(約6,700万〜7,200万円の改善) を達成しました。通期計画に対しても当初の想定に沿った順調な推移を見せています。
3. セグメント別業績と主要事業のトピックス
同社の主要セグメントにおける第1四半期の業績および戦略進捗は以下の通りです。
(1) ブランドコンサルティング事業
- 売上高 : 560百万円 (前年同期比 △18.3% )
- セグメント利益 : 47百万円 (前年同期は △109百万円の赤字 、+157百万円の改善 )
メディア業界全体の低迷による影響を最小限に抑えるべく、不採算なメディア案件からの戦略的撤退を推進したため減収となりました。しかし、利益率の高いブランドコンサルティング大型案件が堅調に推移したことや、固定費・原価の抑制が功を奏し、 セグメント損益は大幅な黒字化 を実現しました。
(2) 食関連事業
- 売上高 : 446百万円 (前年同期比 +27.7% )
- セグメント利益 : △27百万円 (前年同期比 +44百万円改善 )
「下鴨茶寮」を中心とする食関連領域では、需要予測やデジタルマーケティングへの AI活用施策 が早期に結実し、EC事業が極めて好調に推移しました。また、本店営業や海外富裕層をターゲットとした実店舗事業も顧客ニーズを捕捉し増収に寄与しました。原料調達の見直しによる原価率改善など徹底した効率化が進み、 セグメント損失は前年同期から大幅に縮小 しています。
(3) 宇宙関連事業(GovTech・農業DX)
- 売上高 : 1.9百万円 (前年同期は 0円 )
- セグメント利益 : △8.2百万円 (前年同期比 △1.2百万円 )
地方自治体向けに衛星データコンサルティングや農地管理支援を行う「宇宙関連事業」は、前期の先行投資フェーズから 本格的な有償マネタイズフェーズ へ移行しました。

スライド解説:LAND INSIGHT 圃場DXの全国展開
本スライドは、同社が推進する宇宙関連事業のコアプロダクト 「LAND INSIGHT(圃場DX)」 の劇的な成長ペースを示しています。農業行政における現地調査の手間を衛星データとAI解析で省力化する本サービスは、前年度通期の取り組み実績(130市町村)を 第1四半期のみ(124市町村)でほぼ達成 する驚異的なスピードで拡大しています。有償導入市町村数も 63市町村 まで急増しており、さらに 1,000市町村への提案 が進んでいます。単なる実証実験を脱し、ストック型かつ標準的なSaaS型自治体DXとしての全国展開が加速していることを証明する重要データです。
4. 全社AI特化戦略と「AOIプロジェクト」の推進
同社はすべての事業領域において 「感性×AI」 を共通基盤として実装するロードマップを掲げています。第1四半期においては、食関連事業における 「下鴨茶寮 AOIプロジェクト」 が発表されました。
このプロジェクトは、顧客の行動データや外部データを自律的に収集・分析し、 需要予測、在庫の最適化(生産管理)、データ起点での商品開発 に還元する一連のAIデータ基盤です。フェーズ1として2026年8月のリリースが予定されており、これにより食領域でのEC売上拡大と粗利益率の向上が一段と加速することが期待されています。
さらに、宇宙関連事業での 衛星データAI自動解析 や、 全社バックオフィス業務の自動化・ガバナンスモニタリング など、全社横断的にAIを導入することで、人的リソースを最小化しながら業績を拡大できるスケール可能な経営構造を作り上げています。
5. 決算期の変更と通期業績予想の見通し
同社は、グループ全体の事業年度末を従来の3月31日から 5月31日へ変更 しました。これにより、 2027年5月期は14ヶ月間の変則決算 (2026年4月1日〜2027年5月31日)となります。
決算期変更の目的は、グループ内の決算期を統一して事業運営を効率化することに加え、子会社(特に年末年始商戦等の影響を受ける食関連事業など)の 季節要因による業績偏重の影響を平準化・最適化 し、的確な投資判断を行うためです。
2027年5月期(14ヶ月変則決算)連結業績予想
- 売上高 : 5,918百万円
- 調整後EBITDA : △114百万円
- 営業損益 : △176百万円
- 経常損益 : △148百万円
- 親会社株主に帰属する当期純損益 : △167百万円
14ヶ月間の変則期間となることで、売上高は従来12ヶ月予想比で約10.9億円の上乗せとなる一方、構造改革に伴う費用計上等を織り込みつつも、実質的な営業損益・経常損益の改善トレンドは維持される見通しです。
6. 黒字化へのマイルストーンと中期ビジョン
同社は、構造改革の先に明確な黒字化シナリオを描いています。

スライド解説:黒字化へのマイルストーン
このスライドは、同社が 2028年5月期における通期黒字化 を達成するためのステップを示したタイムラインです。
- 2027年5月期 1Q : 不採算案件の整理と構造改革の完遂(達成済み)
- 2027年5月期 2Q : グループ全社へのAIツール導入・自動化によるコスト最適化
- 2027年5月期 3Q : AI改革の成果を活かした季節商戦での利益最大化
- 2028年5月期 : 14ヶ月変則決算を経て、 持続的な高利益体質による通期黒字化 の実現
このように、段階を踏んで収益基盤を固め、2028年度の黒字転換に向けた具体的なロードマップが明確に提示されています。
7. まとめ
INCLUSIVE Holdingsの2027年5月期第1四半期決算は、売上規模の追求から 「収益性と高付加価値化」へと舵を切った構造改革の成果 が鮮明に表れた決算となりました。
不採算メディア事業の縮小に伴う過渡的な減収はあるものの、 各利益指標の大幅な改善 、ブランドコンサルティング事業の黒字化 、「LAND INSIGHT」の自治体向け爆発的普及 、そして 「下鴨茶寮 AOIプロジェクト」をはじめとする全社AI実装 など、次の成長フェーズに向けた打ち手は着実に進捗しています。
14ヶ月間の変則決算期を通じて経営基盤の再構築を完了させ、 2028年5月期の通期黒字化 に向けた収益体質の強化が今後どのように実を結んでいくかが注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。