
メドレー(4480)2026年12月期 第2四半期決算ディープダイブ:大幅増益と利益予想の上振れ傾向、AIネイティブ戦略と新たな株主還元方針を徹底解説
StockClub
公開日時: 2026/08/13 11:02
Sentiment Analysis

株式会社メドレーの 2026年12月期 第2四半期決算 は、主力事業である「人材プラットフォーム(人材PF)」および「医療プラットフォーム(医療PF)」の双方が好調に推移し、売上高・各段階利益ともに高い成長率を達成した四半期となりました。売上高は前年同期比 +21% の124.93億円 、営業利益は前年同期比 +59% の25.13億円 、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比 +116% の15.60億円 に達しています。
本レポートでは、今回公表された決算資料の主要10トピック(業績ハイライト、各セグメントのKPI推移、AIネイティブ戦略、通期予想に対する進捗、株主還元方針の変更など)を軸に、同社の現在地と中長期の成長ストーリーを詳細に解説します。
1. 2026年第2四半期 連結業績サマリ:売上高・利益ともに力強い成長
2026年第2四半期累計の連結業績は、売上高・総利益・EBITDA・各段階利益のすべてで前年同期を大幅に上回る好決算となりました。

上記の連結業績サマリから確認できるように、売上高は前年同期の103.25億円から 124.93億円(前年同期比+21%) へと拡大しました。売上総利益(粗利益)も 82.14億円(同+23%) と堅調に伸びています。さらに特筆すべきは利益率の改善であり、 EBITDAは32.35億円(同+43%) 、営業利益は25.13億円(同+59%) 、経常利益は27.41億円(同+74%) 、当期純利益は15.60億円(同+116%) と、下に行くほど増益率が高まる構造となっています。
この大幅増益を牽引した背景には、主力の人材PF事業における増収効果に加え、広告宣伝費の効率化やオペレーションの最適化が進んだことがあります。全社の EBITDAマージンは26% に達し、前年同期から +4pt改善 しました。
2. 人材プラットフォーム(人材PF)事業:高い成長性と50%のEBITDAマージンを維持
人材PF事業は、医療ヘルスケア分野における人材採用システム「ジョブメドレー」や「グッピー」、オンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」などを展開しています。当第2四半期の売上高成長率は前年同期比 +22%(96.50億円) となり、前年同期の成長率(+14%)から一段と加速しました。
本セグメントの強みは、極めて高い収益性にあります。当四半期における 人材PFのEBITDAマージンは50% に達し、高い成長率と高マージンの両立を実現しています。季節性として第2四半期に売上高が偏重する傾向(第2四半期偏重)があるものの、前年同期のEBITDAマージン(48%)からさらに +2pt向上 しており、圧倒的な収益基盤としての存在感を示しています。
3. 人材PFの主要KPI:顧客事業所数46.6万件、スカウト通数+23%と拡大継続
人材PF事業の成長を支えているのが、顧客事業所数と求職者(従事者)会員数の持続的な拡大です。
- 顧客事業所数 :前年同期から +3.5万件(+8%) 増加し、 46.6万事業所 に達しました。全国の医療・介護・保育・美容等の事業所全体(約115.5万事業所)に対する顧客化率は 約40% まで高まっています。
- 従事者会員数 :ジョブメドレーの会員数は前年同期比 +20% の333万人 へと増加(これに加え、グループ化したグッピーの会員数が60万人存在)。
- スカウト通数 :事業者が求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」の活用が進み、スカウト通数は前年同期比 +23% の461万件 へと伸長しました。
医療ヘルスケア領域における人材偏在が深刻化する中、成功報酬型かつダイレクトリクルーティング機能を備えた同社のプラットフォームに対する需要は引き続き強固です。
4. 医療プラットフォーム(医療PF)事業:新収益モデルへの転換と強固な導入基盤
医療PF事業では、医療機関向けクラウド型電子カルテ・レセプトソフト「CLINICS」「MALL」「MEDIXS」「DENTIS」や、患者向けアプリ「melmo」などを提供しています。当第2四半期の売上高は前年同期比 +19% の25.96億円 となり、利用医療機関数は前年同期比 +5% の2.3万件 (カバー率約9%)に拡大しました。
当四半期の 医療PFのEBITDAマージンは0% (前年同期は2%)となりましたが、これは受注の調整やAIネイティブプロダクトの開発・先行投資、広告宣伝費の投下によるものであり、下期以降は黒字化が見込まれています。同社は現在、単なるSaaSの月額利用料モデルから、AI関連機能の課金や決済手数料等を組み合わせた 「サブスクリプション+トランザクション型」 の収益モデルへの転換を意図的に推進しており、同売上指数は前年同期比 +20% と順調に成長しています。
5. 医療現場を革新するAI機能の拡充:カルテ・文書作成時間を約80%削減
医療PF事業における最大の成長ドライバーとして注目されるのが、AI技術を活用した業務効率化ソリューションです。

上記のスライドは、クラウド診療支援システム「CLINICS」に搭載されたAI機能の負荷軽減効果を示したものです。2025年11月より提供が開始された 「AI要約アシスト」 (診察中の会話をAIが自動要約)に加え、2026年8月からは 「AI文書アシスト」 (患者情報や検査結果を参照し、紹介状などの医療文書の下書きを自動生成)の提供が開始されました。
このAI機能の導入により、従来のAI未導入環境において 1日あたり約120分(カルテ入力約90分+医療文書作成約30分) かかっていた作業時間が、 約24分(カルテ入力約20分+医療文書作成約4分) にまで短縮されます。実に 約80%の負担軽減(1日あたり約96分の時間創出) を実現するという画期的なデータが示されています。医師や医療スタッフの作業負担を大幅に削減することは、医療機関におけるプロダクト導入の強い動機付けとなり、ARPU(顧客平均単価)の引き上げにも直結します。
6. 病院DXの本格化:「MALLクラウド」のAIネイティブ開発
政府が推進する「医療DX令和ビジョン2030」や電子カルテの標準化・クラウド化の波を受け、同社は病院・有床診療所向け電子カルテ「MALL」の AIネイティブ版「MALLクラウド」 の開発を加速させています。
2026年第2四半期以降、開発リソースを本プロダクトへ優先的に配分し、従来のオンプレミス版の販売を段階的に縮小しています。第3四半期からパイロットユーザーの募集を開始し、 2027年12月期(FY27)からの本格販売 を予定しています。国の政策支援(クラウドネイティブ型電子カルテへの助成等)を追い風に、病院DX市場でのシェア拡大を目指す戦略です。
7. 2026年12月期 通期業績予想に対する進捗:利益項目で上振れ可能性が濃厚
通期業績予想に対する上半期(H1)の実績と進捗率は以下の通りです。
- 売上高 :通期予想 464.00億円に対し、H1実績 226.83億円(進捗率 49%)
- 売上総利益 :通期予想 290.00億円に対し、H1実績 138.19億円(進捗率 48%)
- EBITDA :通期予想 58.00億円に対し、H1実績 38.66億円(進捗率 67%)
- 営業利益 :通期予想 29.50億円に対し、H1実績 24.46億円(進捗率 83%)
- 経常利益 :通期予想 32.50億円に対し、H1実績 28.02億円(進捗率 86%)
- 当期純利益 :通期予想 18.00億円に対し、H1実績 14.97億円(進捗率 83%)
売上高の進捗率は49%と計画通り(前年同期50%)に着地している一方、 EBITDA進捗率67% 、営業利益進捗率83% 、当期純利益進捗率83% と、利益項目においては期初予想を大幅に上回るペースで進捗しています。下期においても後半に向けて四半期売上高成長率が加速(Q3:+25〜30%前後、Q4:+30%前後)する見込みであり、通期の利益項目における上振れの可能性が高い状況となっています。
8. 新中期目標(FY29売上高1,000億円)へ向けた順調な軌道
同社は2024年2月に新中期目標として 「2029年12月期(FY29)売上高1,000億円、EBITDA 200億円」 を掲げています。この目標達成には FY23からFY29にかけて年平均成長率(CAGR)+30% が必要とされます。
2026年12月期の通期売上高予想(464億円、前年比+26%)は、この中期ロードマップに沿った着実な進捗を示しています。M&Aを含めた機動的な事業拡大と既存プロダクトのARPU向上により、目標の早期達成に向けた成長軌道を維持しています。
9. 資本配分および株主還元方針の抜本的アップデート:配当中心の還元へ移行
今回の決算発表における最大のハイライトの一つが、資本配分および株主還元方針の大きな改定です。

上記のスライドにある通り、同社はこれまで利益成長やフリー・キャッシュ・フロー(FCF)の拡大フェーズに向けて積極的な事業投資を行ってきましたが、FCFおよび利益の創出能力が安定的に高まったことを確認し、還元方針をアップデートしました。
具体的には、従来の「機動的な自己株式取得」中心の手法から、 「配当を主軸とした業績連動型の還元手法」 へと変更されました。
- 初回配当の実施 :今期末(2026年12月期末)より配当を開始する予定です。初配として 1株あたり18円 、配当性向30%を目安 とした方針を打ち出しました。
- 自己株式の消却 :発行済株式総数の5%を超える部分の自己株式について消却を実施する方針が定められました。
事業投資やM&Aによる成長機会の獲得を優先しつつも、創出したキャッシュを適切に株主へ還元する姿勢を鮮明にしています。
10. 総括と今後の見通し
2026年12月期 第2四半期決算を通じて、メドレーは 「主力のนี่人材PFにおける高成長・高収益の継続」 と**「医療PFにおけるAIを軸とした新収益モデルの確立」** という2つの成長エンジンが力強く機能していることを示しました。
特に、AI機能による医療現場の作業時間80%削減という定量的成果や、病院DX領域での「MALLクラウド」の展開は、中長期的な競合優位性をさらに強固にする要素です。また、通期利益予想の上振れ期待が高まる中、配当性向30%を目安とする初の配当方針を打ち出したことは、同社が「キャッシュ創出・利益拡大フェーズ」へ本格的に移行したことを象徴しています。今後も両事業のシナジー拡大とAI技術の社会実装を通じた持続的な企業価値向上が期待されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。