
【LIFULL 2026年9月期 第3四半期決算】主力事業の力強い成長とAI活用で営業利益を大幅上方修正、株主還元も大幅拡充
StockClub
公開日時: 2026/08/13 10:01
Sentiment Analysis

株式会社LIFULL(証券コード: 2120)の2026年9月期 第3四半期決算は、主力の「HOME'S関連事業」が牽引する形で 売上収益・営業利益ともに前年同期比で拡大 を達成し、極めて順調な推移を見せました。これに伴い、通期の営業利益および当期利益、配当予想の 大幅な上方修正 が発表されています。
本レポートでは、決算補足資料に示された10の重要トピックを軸に、足元の業績ハイライト、収益構造の分析、セグメント別動向、ならびに中期経営計画の進捗と株主還元策について詳しく解説します。
1. 第3四半期累計の連結業績サマリー
2026年9月期 第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)の連結業績は、以下の通り 増収増益 となりました。
- 売上収益 : 219.83億円 (前年同期比 +4.4% )
- 営業利益 : 32.39億円 (前年同期比 +7.9% )
- 親会社の所有者に帰属する当期利益 : 21.26億円 (前年同期比 ▲51.8% / ※海外事業リストラによる一時要因を除いた実質前年比 +41.8% )
主力の「HOME'S関連事業」において、積極的な営業活動による加盟店舗数(顧客数)の増加と単価(ARPA)の向上が同時に進み、11四半期連続での増収を維持しています。前期に実施された海外事業のリストラ(非継続事業化)の影響を除いた実質的な継続事業ベースでは、高い利益成長率を実現しています。
2. 通期業績予想の修正:営業利益を期初計画から大幅に上方修正
第3四半期までの好調な業績推移と収益性の改善を受け、同社は 2026年9月期の通期業績予想を修正 しました。
- 売上収益予想 : 293.00億円 (期初予想比 ▲1.4%、前期比 +4.2% )
- 営業利益予想 : 39.00億円 (期初予想比 +30.0% 、前期比 +2.2% )
- 当期利益予想 : 25.00億円 (期初予想比 +31.6% )
売上収益に関しては、主力のHOME'S関連事業が計画を超えて堅調に推移し上方修正(265.00億円へ増額)されたものの、地方創生関連をはじめとするその他の新規事業における一部販売計画の遅延を反映し、連結全体ではやや下方修正(▲4.00億円)となりました。 しかしながら利益面では、HOME'S関連事業の増収に伴う粗利益の増加に加え、グループ子会社との連携強化や全社的な AI活用の推進による販管費抑制 が大きく寄与し、通期営業利益予想が期初計画の30.00億円から 39.00億円へ30.0%上方修正 されています。
営業利益の上方修正に関する詳細な要因の内訳と背景は、以下のスライドに分かりやすく整理されています。

スライド17の解説と重要性
このスライドは、 「なぜ売上収益の微減(連結全体)にもかかわらず、営業利益が大幅に増益するのか」 という疑問に対する明確な回答を示しています。 期初予想(30.00億円)から修正予想(39.00億円)へと至る +9.00億円の増益要因 として、以下のブレイクダウンが示されています。
- HOME'S関連の増収効果による粗利増 : +0.50億円
- 販管費の期初計画からの抑制差異 : +6.80億円 (広告宣伝費・営業費で+1.70億円、人件費関連等で+4.20億円、採用強化費用で+0.90億円の抑制・効率化)
- 一時費用の精査・見直し : +1.70億円
特に注目すべきは、単にコストを削減しただけでなく、 「期初に計画していた成長投資(採用・プロモーション・AI等)を順調に実施した上で」 販管費の効率化を達成している点です。全社的なシチズンデベロッパーの育成やAIレシピの共有など、業務プロセスへの AI導入が生産性向上に直結 し、販管費の抑制に効果を発揮していることが、高い利益率(修正後の営業利益率 13.3% )の実現に繋がっています。
3. 主力「HOME'S関連事業」の概況と主要KPIの動向
同社の屋台骨である「HOME'S関連事業」の第3四半期累計におけるセグメント実績は、 売上収益 200.41億円 (前年同期比 +4.5% )、 セグメント利益 36.26億円 (同 +5.8% )となりました。
事業成長の基盤となっているのは、プラットフォーム上の 顧客数(加盟店舗等) とARPA(顧客あたり平均売上) の双方における持続的な成長です。

スライド23の解説と重要性
このスライドは、LIFULL HOME'Sの事業価値を測る上で最も本質的なKPIである 「顧客数」と「ARPA」の3年間推移 を示した極めて重要なデータです。
- 顧客数(9ヶ月平均) : 34,089社 (前年同期の33,113社から +2.9% 増加し、 過去最高を更新 )
- ARPA(9ヶ月平均) : 65,325円 (前年同期の64,347円から +1.5% 上昇)
ポータルサイト型ビジネスにおいて、「顧客数の拡大」と「単価(ARPA)の上昇」を同時に達成することは極めて重要です。営業体制の強化によって新規の不動産事業者の加盟が拡大していると同時に、需要が極めて好調な 売買領域を中心に利用機能・サービスの活用が進んだこと が単価上昇の要因となっています。 さらに、賃貸不動産情報スマホサイトでのユーザー評価No.1や、新築分譲マンション/一戸建て掲載物件数No.1などの外部評価を獲得していることが、加盟店の集客効果を高め、エコシステムを強固にしています。
また、同セグメントに含まれる不動産投資領域の 「健美家」 においても営業強化が進み、投資物件掲載数が 9万件以上で国内No.1 となり、LIFULL HOME'Sとの顧客基盤の共有(併用顧客約5%)によるグループシナジーが加速しています。
4. 株主還元の拡充:配当予想の増額と総利回り約7.0%の達成
業績の底固さと通期利益予想の上方修正に伴い、株主還元策についても大幅な拡充が発表されました。

スライド19の解説と重要性
このスライドは、投資家にとって最も関心が高い 「株主還元姿勢の強化」 を集約した内容となっています。
同社は「配当性向30%を継続」という明確な方針を掲げており、通期の当期利益予想の上方修正を受けて、通期配当予想を従来の5.21円から 1株当たり 6.72円へ上方修正(+29.0%の増額) しました。
さらに、今回の決算期から新設された 株主優待制度 (4,000株以上・1年以上継続保有の株主を対象に、年間合計30,000円分のデジタルギフト「デジコ」等を贈呈)を合算すると、株主還元全体の利回りは以下の水準に達します。
- 想定配当利回り : 3.3%
- 想定優待利回り : 3.7%
- 想定総利回り : 約 7.0% (※2026年7月31日終値203円を基準に算出)
業績向上による本業の収益成長を、配当の増額と優待制度を通じてダイレクトに株主へ還元する姿勢が鮮明に打ち出されています。
5. 中期経営計画(2026年9月期〜2028年9月期)のアクション進捗
同社は現在、3カ年中期経営計画の初年度(2026年9月期)を走らせています。中長期的に目指す姿として 「グループシナジーを最大化し、住領域×AIでNo.1に」 を掲げ、2028年9月期に 売上収益 350〜400億円 、営業利益 55〜60億円(営業利益率 15%超) を目指しています。
初年度である今期は「スタートダッシュの1年」と位置付けられており、以下の3つの戦略領域において 計画通りの先行投資 が進められています。
- 人材の採用強化 : 営業人員・開発人員の採用が概ね計画通り進行。
- 最適な広告宣伝 : 自社集客の強化を継続し、プロモーションと営業施策の連動が良好に機能。
- AIの活用 : 従業員育成プログラムの強化(非エンジニアのAI利用促進)や役員向け教育の実施により、全社的な業務革新を推進。
これらの投資は、今期以降の売上・利益として順次回収される計画となっており、足元の販管費抑制効果に見られるように、すでに収益性の向上という成果を出し始めています。
まとめ
LIFULLの2026年9月期 第3四半期決算は、主力事業である「HOME'S関連事業」の強固な基盤(顧客数・ARPAの伸長)に加え、全社的なAI活用とグループ連携による収益構造改革が着実に進展していることを示す内容となりました。
連結営業利益の 期初予想比+30.0%となる上方修正(39.00億円) 、ならびに配当増額と優待新設を合わせた 総利回り約7.0% という還元施策は、中期経営計画の達成に向けた初年度の力強いスタートダッシュを裏付けています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。