
【イボキン 2026年12月期中間期決算】営業利益は前年同期比135.2%増と大幅伸長/金属スクラップ高値や高難易度解体案件の進捗が寄与
StockClub
公開日時: 2026/08/10 10:23
Sentiment Analysis

株式会社イボキン(証券コード: 5699)の 2026年12月期中間期決算 が発表されました。本レポートでは、開示された決算説明資料に基づき、同社の中間期業績ハイライト、利益増減要因、セグメント別の詳細、財務構造、ならびに三井物産との戦略的業務提携をはじめとする今後の成長戦略について詳しく解説します。
1. 2026年12月期 中間期業績ハイライト
当中間会計期間における連結業績は、売上高が 4,905百万円(前年同期比6.1%増) 、営業利益が 434百万円(前年同期比135.2%増) 、経常利益が 430百万円(前年同期比120.6%増) 、親会社株主に帰属する中間純利益が 287百万円(前年同期比60.3%増) となりました。売上高の堅調な拡大に加え、主要利益項目が前期から大きく伸長する結果となっています。
主たる要因として、 鉄スクラップ相場が前年同期比で概ね19%高い水準 で推移したことや、解体事業において高難易度大型案件の施工が着実に進展したことが挙げられます。前期(2025年12月期)に実施した株式会社ミツエの子会社化に伴う負ののれん発生益の反動や、設備投資に伴う借入利子の増加といった要因を吸収し、大幅な営業増益を達成しました。
以下は、同社の過去数年間にわたる業績推移および当期の通期予想を示したグラフです。

スライド解説(業績推移)
上記スライド(ページ4)は、イボキンの2021年12月期から2026年12月期中間期までの 連結売上高(セグメント別内訳) と連結経常利益 の推移を可視化した重要なデータです。 売上構成を見ると、同社は「解体事業」「環境事業」「金属事業」の3軸で展開しており、過年度において売上高100億円規模まで拡大してきた背景が読み取れます。特に注目すべきは、 2026年12月期の中間期時点で経常利益430百万円 に達しており、通期計画である 経常利益778百万円 に対して極めて順調な進捗を見せている点です。売上高についても通期予想10,500百万円に向け、金属事業を中心に力強い推移を見せています。
2. セグメント別の事業状況と要因分析
同社の事業は 「解体事業」「環境事業」「金属事業」 の3つのセグメントに分かれています。中間期における各セグメントの動向は以下の通りです。
① 解体事業(売上高: 1,133百万円 / 前年同期比 20.0%減)
新規着工案件の伸び悩みにより 減収 となりました。しかしながら、利益面では前年同期に特定案件で多額の工事原価を計上していた反動に加え、 高難易度の大型解体案件が順調に進捗 したことで 増益 を確保しています。超大型解体専用重機等の機動的な活用が利益率の向上に貢献しました。
② 環境事業(売上高: 1,133百万円 / 前年同期比 13.9%増)
産業廃棄物処理受託の取扱量および再生資源販売量がともに堅調に推移し 増収 を達成しました。一方で、前年同期に有価物を多く含む高利益率の廃棄品処理大型案件が突発的に発生していた反動等により、セグメント利益としては 減益 となっています。
③ 金属事業(売上高: 2,638百万円 / 前年同期比 19.3%増)
取扱量自体は一部軟調な場面があったものの、 鉄スクラップ価格が前年同期を上回る高水準 で推移したことや、 銅スクラップ価格の上昇 が著しい追い風となり、売上高全体の53.8%を占める主力事業として 大幅な増収増益 を達成しました。
3. 営業利益の増減要因分析
営業利益が前年同期の184百万円から434百万円へと +250百万円(+135.2%) 急増した背景には、事業ごとの明暗とコスト構造の変化が存在します。

スライド解説(営業利益の増減要因分析)
上記スライド(ページ7)は、営業利益の変動要因をウォーターフォールチャート形式で示しています。本決算の収益構造の強みを理解する上で非常に重要です。 減益要因としては、事業拡大に伴う 従業員増加による労務費の増加(△19百万円) 、超大型解体用重機の追加導入等に伴う 減価償却費の増加(△40百万円) 、および 販管費の増加(△71百万円) が挙げられます。しかし、これらのコスト増を遥かに上回る 増収・粗利改善要因(+374百万円) が利益を大きく押し上げました。スクラップ相場の高騰と解体案件における採算性向上が、投資コストを吸収して余りある利益創出力を発揮したことを示しています。
4. 財務状況とバランスシートの特徴
2026年12月期中間期末における総資産は 8,395百万円 (前期末比290百万円増)となりました。
- 流動資産 : 現金及び預金が 2,275百万円(前期末比602百万円増) へ大幅に増加しました。これは設備投資の一段落や、完工時精算の大型案件の完工に伴う売上債権(受取手形・売掛金等)の回収が進んだことが主因です。
- 固定資産 : 有形固定資産が3,540百万円(前期末比140百万円減)となり、資産の効率的運用が進められています。
- 負債・純資産 : 銀行借入れの返済を進めた結果、固定負債は1,421百万円(前期末比177百万円減)へ縮小しました。純資産は 5,392百万円 (前期末比245百万円増)となり、 自己資本比率は64.2% と引き続き強固な財務健全性を維持しています。
5. 通期業績予想と株主還元方針
2026年12月期 通期業績予想
通期の連結業績予想につきましては、期初公表計画を据え置いています。
- 売上高 : 10,500百万円(前期比 4.9%増)
- 営業利益 : 800百万円(前期比 24.4%増)
- 経常利益 : 778百万円(前期比 17.0%増)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 524百万円(前期比 12.4%減)
下期の見通しとして、企業による生産活動や設備更新の需要は徐々に回復に向かうと想定されています。市況面では、脱炭素の流れから中長期的に電炉化への傾斜によるスクラップ需要増が予想されるものの、短期的には現在の価格水準を維持・推移するものと見込んでいます。
株主還元(配当方針)
同社は、安定配当の継続を基本としつつ、将来の事業展開と財務体質強化に必要な内部留保の充実を勘案する方針をとっています。2026年12月期の 1株あたり年間配当金は32.0円 (予想)としており、前期・前々期と同水準の安定配当を予定しています。
6. 中長期の成長戦略とトピックス
イボキンは、解体・環境・金属の3事業による ワンストップサービス を強みとしており、解体事業を「成長エンジン」、環境・金属事業を「安定した経営基盤」と位置付けて事業拡大を図っています。主要なトピックスは以下の通りです。
① 三井物産株式会社との戦略的業務提携(MOU締結)
中長期的な成長ストーリーにおいて極めて重要な足がかりとなるのが、大手総合商社である 三井物産との業務提携 です。

スライド解説(三井物産との業務提携)
上記スライド(ページ15)は、金属スクラップの安定供給システム構築に向けた 三井物産との戦略的業務提携(MOU) の概要を示しています。 この提携により、イボキンは 三井物産グループおよびその顧客基盤が保有する大型解体案件への参画が可能 となります。さらに、単なるスクラップの回収・資源化にとどまらず、土壌改質事業を含む静脈産業分野への展開支援や、解体案件から発生する金属スクラップを大手鉄鋼メーカーへ効率的・安定的に供給するための共同研究を開始しています。同社の解体・リサイクル技術と総合商社の広範なネットワークが融合することで、大規模な受注獲得と収益基盤の刷新が期待されます。
② 施工体制および技術開発の強化
- 超大型建機・杭抜き工法の開発 : 従来工法では撤去が難しかった地下杭に対し、超大型重機を活用した独自の 杭抜き工法を開発(特許出願中) 。安全性と効率性を高めたことで引き合いが急増しています。2025年9月には 超大型解体専用重機2号機 の導入を完了し、難易度の高い大型工事の対応能力をさらに高めています。
- ミツエの子会社化シナジー : 兵庫県内での施工体制強化やアスベスト除去工事の内製化を推進しています。
③ 拠点拡大と人材確保
- 阪神地区における新工場開設計画 : 大阪市住之江区に約900坪の工場用地を取得済みであり、 2027年度中の開業を目指して準備 を進めています。阪神事業所(尼崎市)の高稼働状態に対応し、大阪南部エリアのカバーとたつの市工場との連携を図ります。
- 外国人体人材の採用 : 人手不足が懸念される施工・運輸分野において、インドネシアからの海外人材の採用を実施。2026年度中に計16名規模まで拡大し、ダイバーシティの確保と施工体制の安定化を目指します。
まとめ
2026年12月期中間期のイボキンは、スクラップ市況の好揚と解体事業の技術力・施工力を背景に、 営業利益が前年同期比で2倍以上となる大幅増益 を達成しました。 今後は、自社での拠点開設や重機投資に加え、 三井物産との提携深化 や新工場の開設(2027年度予定) などを通じ、解体から資源リサイクルに至る「知識集約型産業」へのシフトを進めていく計画です。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。