
ラウンドワン 2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート:国内既存店の好調と新施策が牽引する成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/08/10 10:11
Sentiment Analysis

1. 決算概要と国際財務報告基準(IFRS)への移行背景
株式会社ラウンドワン(証券コード: 4680)の 2027年3月期 第1四半期決算 (2026年4月1日〜2026年6月30日)は、主力の国内事業における既存店売上高の好調および各種新施策の奏功により、前年同期比・計画対比ともに 力強い業績向上 を示す結果となりました。
同社グループは、財務情報の比較可能性向上と経営効率化を目的として、 2025年3月期より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用 しています。本決算資料における数値はIFRSに基づいて作成されており、従来の日本基準との連続性を考慮しつつ、グローバルな評価に耐えうる財務基盤の開示が行われています。
2. 第1四半期業績ハイライト:計画対比での大幅な上振れ達成
2027年3月期第1四半期の連結業績は、 売上収益513.7億円 (前年同期比+18.2%)、 営業利益63.3億円 (前年同期比+4.3%)、 当期利益33.6億円 (前年同期比-1.1%)となりました。稼働月数の増加や国内既存店の堅調な推移が売上増に大きく寄与しています。
特に注目されるのは、事前に公表されていた会社計画に対する進捗状況です。以下のスライドは、第1四半期における計画と実績の対比を示しています。

スライド分析:計画対比のポイント
上記スライドのデータから明らかなように、第1四半期実績は計画を大きく上回る推移を見せています。
- 売上収益 :計画476.4億円に対し実績 513.7億円(計画比+7.8%、+37.3億円増)
- 営業利益 :計画54.1億円に対し実績 63.3億円(計画比+17.0%、+9.1億円増)
- 売上高営業利益率 :計画11.4%に対し実績 12.3% へ上昇
部門別に見ると、すべての主力部門(ボウリング+8.2%、アミューズメント+8.8%、カラオケ・飲食+10.4%)で計画を超過達成しました。費用面では、アミューズメント関連の景品費や人件費、支払手数料などの増加があったものの、トップライン(売上高)の伸びが吸着し、営業利益率は 12.3% と計画比で +0.9ポイント改善 しました。
3. 国内セグメントの動向と主力部門の好調要因
国内における店舗売上は極めて好調に推移しています。第1四半期の 国内全店売上収益は285.4億円 (計画比+5.2%)、 国内既存店前年対比売上高は+16.1% と高い伸び率を記録しました。
部門別の国内既存店前年対比推移は以下の通りです:
- ボウリング部門 :+11.6% (計画比+3.5%)
- アミューズメント部門 :+20.1% (計画比+8.9%)
- カラオケ部門 :+14.0% (計画比-0.3%)
- スポッチャ部門 :+12.5% (計画比+0.6%)
特にアミューズメント部門の伸び(+20.1%)が際立っており、店舗全体の増収を強力に引き上げています。ボウリングやカラオケ、スポッチャも含め、全般的なレジャー需要の回復と店舗施策の相乗効果が表れています。
4. 成長の核となる新コンセプト「とれすぎ〜のアイランド」とDX施策
アミューズメント部門の劇的な成長を裏付けているのが、クレーンゲームエリアにおける新たな取り組み 「とれすぎ〜のアイランド」 です。

スライド分析:「とれすぎ〜のアイランド」の重要性と実績
上記スライドは、2026年2月より順次導入が進められているクレーンゲームの新エリア「とれすぎ〜のアイランド」の概要と業績への影響を示しています。
- コンセプト :従来のIPフィギュア・ぬいぐるみ中心のエリアとは異なり、 「獲れやすさ」と「お得感」 を前面に押し出した食品・日用品中心の構成。原価率は従来エリアの約2倍と高く設定されていますが、幅広い顧客層(ファミリー層やビギナー層)の獲得に成功しています。
- 導入進捗と成果 :第1四半期(7月末時点)までに 86店舗へ導入完了 。導入店舗におけるクレーンゲーム全体の売上高は 前年対比+35% と大幅な増収を達成しており、計画前提であった+30%を上回る成果を出しています。
また、同社は単なる販促施策にとどまらず、 徹底したDX(デジタルトランスフォーメーション) による店舗オペレーションの最適化を図っています。
- フロント・接客のデジタル化 :受付精算機のセルフ化や案内業務のアシスタントデジタル化により、スムーズな受付と省人化を実現。
- バックエンドのスマート化 :シフト自動作成ツール「アールシフト」の全店導入、スマホバーコード読み取りによる棚卸作業の効率化。
- 今後の展開 :専用アプリによる事前予約・決済機能の実装、受付精算機の多言語化を推進し、インバウンド需要への対応と待ち時間ゼロの顧客体験を目指しています。
5. グローバル展開と新成長ドライバー:米国市場と「Round One Delicious」
ラウンドワンの成長戦略において、 米国市場の拡大 と新業態の開発 は極めて重要な役割を担っています。
(1) 米国セグメントの展開とジャパニーズフードホール
2026年7月末時点で、同社は 米国にて59店舗 を展開しています。米国市場における新たな差別化戦略として、 「ジャパニーズフードホール」の併設店舗 を開設・展開しています。日本国内で高い評価を得ているラーメン、うどん、たこ焼きなどの人気和食店を集結させたフードホールを従来のエンタメ施設(アミューズメント、ボウリング等)に隣接させることで、集客力の最大化を図っています。
(2) 新プロジェクト「Round One Delicious」
さらに、その他セグメントにおける新規取り組みとして 「Round One Deliciousプロジェクト」 が進められています。これは、ミシュランや各種ガイドで最高評価を獲得した本物の日本食(鮨、日本料理、中華、天ぷら等)をユニット化し、北米を中心とする海外へ出店する試みです。
- 出店計画 :2027年3月期第3四半期よりラスベガスおよびロサンゼルスにて1・2ユニット目の出店を開始し、2028年3月期にかけてニューヨーク等へ拡大予定。
- 事業規模(1店舗あたり) :投資額約140万ドル、年間集客目標4,000人、 年間売上目標300万ドル 、客単価約750ドルを見込む高付加価値型の事業モデルです。ラスベガスの「Las Vegas Blvd店」やロサンゼルスの「LA West Hollywood店」など、世界的な観光・富裕層拠点での出店が予定されています。
6. 中長期の損益推移と2027年3月期 通期計画
同社が描く中長期的な業績成長の軌跡と、2027年3月期の通期連結計画を確認します。

スライド分析:長期的な損益推移と収益性の進化
上記スライドは、2020年3月期から2027年3月期計画に至るまでの店舗数、売上収益、各種利益指標の推移を一覧化したものです。
- 業績の拡大基盤 :期末店舗数は2020年3月期の144店舗から、 2027年3月期計画では172店舗 まで増加する見通しです。
- 売上高・営業利益の成長 :売上収益は2020年3月期の1,047億円から、 2027年3月期計画では2,190億円 へと倍増以上の規模を目指します。営業利益も 330億円 、営業利益率15.1% と高い収益性を維持する計画です。
- 資本効率(ROE/ROIC) :2027年3月期計画において、 ROIC(投下資本利益率)は12.0% 、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は20.5% と極めて高い資本効率が目標として掲げられています。
パンデミックの影響を受けた2021年・2022年3月期の赤字局面を完全に脱却し、クレーンゲーム増台やコラボ施策、新店舗の積極展開を通じて強固な高収益構造を確立していることがデータから読み取れます。
7. キャピタルアロケーションと株主還元方針
2027年3月期の資金配分計画(キャピタルアロケーション)においては、成長投資と株主還元のバランスが重視されています。
- 営業キャッシュ・フロー :696億円 の創出を見込む。
- 設備投資(OUT) :新規出店および既存店への最新機器導入などの更新投資として 420億円 を計画。
- 有利子負債返済・利息支払(OUT) :借入金返済やリース債務支払い等に 414億円 を充当。
- 株主還元(OUT) :47億円 を配当に充当予定。
配当方針としては、 1株あたり年間18.0円(四半期配当4.5円×4回) を維持・実施する計画であり、期初計画の当期利益に対する 配当性向25%前後 を目安としています。
まとめ
ラウンドワンの2027年3月期第1四半期決算は、 国内既存店売上の強いモメンタム と**「とれすぎ〜のアイランド」などの新施策による単価・客数の引き上げ** が噛み合い、計画を大幅に超過達成する良好なスタートとなりました。
今後は、国内におけるDX投資による収益性のさらなる磨き上げに加え、米国でのフードホール併設型の大型複合エンタメ店舗の出店、さらには「Round One Delicious」を通じた高付加価値フードビジネスへの挑戦など、国内外で多角的な成長軸を推進していく計画となっています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。