
【深掘決算解説】リンクアンドモチベーション 2026年12月期 第2四半期決算:ストック収益の拡大と新プロダクト投入が導く中長期成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/08/10 09:51
Sentiment Analysis

株式会社リンクアンドモチベーション 2026年12月期 第2四半期決算 ディープダイブレポート
組織・人事コンサルティングおよびモチベーションクラウド事業を展開する 株式会社リンクアンドモチベーション (証券コード: 2170)の2026年12月期 第2四半期決算は、主力であるコンサル・クラウド事業や人材紹介事業の順調な拡大に加え、過年度に完全子会社化したグループ会社の業績寄与により、 売上収益・売上総利益ともに前年同期比で大幅な増収 を達成しました。さらに、新プロダクトの力強いスタートを切ったことで、主力サービス「モチベーションクラウド」の月会費売上計画を上方修正するなど、中長期的な成長に向けたモメンタムが一段と高まっています。
本レポートでは、発表された決算資料から重要な10のトピックを抽出し、同社の業績サマリ、セグメント別動向、組織力(人的資本経営)、中長期成長戦略「2030年計画」、ならびに株主還元方針について総合的に解説します。
1. 業績ハイライトと損益計算書の分析
2026年12月期 第2四半期累計期間における連結業績は、売上収益、売上総利益が著しく伸長し、営業利益においても先行投資や新規連結化に伴う販管費増を吸収して前年同期を上回る結果となりました。

上図の連結損益計算書が示す通り、 売上収益は22,269百万円(前年同期比+11.7%) 、売上総利益は12,596百万円(前年同期比+14.6%) と、二桁の成長を実現しています。利益面では 営業利益が3,234百万円(前年同期比+2.2%) となり、通期業績予想に対する 進捗率は51.3% と、計画に対して極めて順調な推移を見せています。
営業利益の増加幅が売上総利益の増加率に対して限定的である背景 には、将来の成長加速に向けた人件費やシステム・オフィス関連費、販売関連費といった販売管理費の積極的な投下があります。具体的には、2025年2Q以降に完全子会社化したUnipos株式会社をはじめとするグループ3社の費用が新たに加わったこと(販売管理費合計は9,347百万円、前年同期比+19.9%)が主な要因ですが、これはトップライン拡大に向けた構造的かつ計画的な投資と捉えられます。
2. セグメント別の詳細動向
同社の事業は「組織開発Division」「個人開発Division」「マッチングDivision」の3つで構成されています。それぞれのセグメントにおける成果と課題は以下の通りです。
① 組織開発Division(注力事業の牽引)
- 売上収益 : 8,772百万円(前年同期比+14.6%)
- 売上総利益 : 6,095百万円(前年同期比+14.4%) 主力である「コンサル・クラウド事業」において、「モチベーションクラウド」のストック収益が底堅く推移(売上収益7,008百万円、前年同期比+9.2%)。また、「IR支援事業」においても、2025年2Q以降に完全子会社化した2社による粗利率の高い動画配信サービスの貢献があり、 IR支援事業の売上総利益は前年同期比+48.6%(967百万円) と劇的な伸びを記録しました。
② マッチングDivision(高成長ドライバー)
- 売上収益 : 10,909百万円(前年同期比+13.4%)
- 売上総利益 : 5,389百万円(前年同期比+17.8%) 外国籍人材と自治体等を結ぶ「ALT配置事業」が堅調に拡大(売上収益7,693百万円、前年同期比+9.0%)したことに加え、「人材紹介事業」が大きく跳ね上がりました。特に 「OpenWorkリクルーティング」の売上高は2,164百万円(前年同期比+39.3%) に達し、グループ全体の収益向上を力強く牽引しています。
③ 個人開発Division(構造改革の途上)
- 売上収益 : 2,892百万円(前年同期比▲6.3%)
- 売上総利益 : 1,299百万円(前年同期比▲11.7%) 「学習塾事業」については在籍者数および顧客単価の向上により増収増益(売上収益473百万円、前年同期比+17.7%)を果たしたものの、「キャリアスクール事業」において既存教室の在籍者数が減少した影響を受け、セグメント全体としては減収減益となりました。
3. 独自の「人的資本経営」とグループ組織力
同社は、自社が提唱する「人的資本経営」を自ら体現することを経営の核に据えています。事業戦略と組織戦略を対等に捉え、人的資本のリターンとしての 「生産性」の最大化 を目指しています。
具体的には、国内最大級のデータベースをもとに試算される 「エンゲージメント・レーティング」 を主要指標(KPI)として運用しています。2026年の想定データでは、グループ主要法人のほぼ全てが最高水準である 「AAA」または「AA」ランク を維持しており、2025年に完全子会社化したUnipos社(AA)やイー・アソシエイツ社(Aへの向上)においてもエンゲージメントの改善が着実に進んでいます。高度な組織エンゲージメントが、中長期的な高収益構造の基盤となっています。
4. 中長期成長戦略「2030年計画」とARR成長方針
同社は、中長期的な企業価値向上に向けた指針として 「2030年計画」 を掲げています。

このスライドは、同社が目指す中長期の成長軌道と、それを裏付ける ARR(年間定常収益)の成長方針 を視覚化した重要なロードマップです。2025年の営業利益目標42億円、ARR75億円を起点とし、 2030年には営業利益150億円(約3.5倍)、ARR240億円(約3倍) という極めて高い目標を設定しています。
この高い目標を達成するための成長エンジンとして、以下の戦略が提示されています:
- 既存サービスの拡大(横展開と垂直展開) : 「モチベーションクラウド エンゲージメント」を、従来の主要顧客であった大手企業だけでなく 中堅企業や自治体 へと拡大。製造業(パナソニック、ブラザー工業等)、建設業(竹中工務店、大成建設等)、エネルギー・運輸(JR九州、JR西日本等)といった多様な基幹産業での新規契約数が加速しており、自治体向け支援実績も 9庁を含む26組織 に拡大しています。
- 新規サービスの拡大(製品ラインナップの変革) : 開示ニーズに対応する「診断」領域から、組織課題を直接解決する 「変革」領域 へサービスを多角化。2026年4月にリリースされた採用支援サービス 「モチベーションクラウド エントリーマネジメント」は、サービス開始わずか3ヶ月でARR 2億円を突破(205百万円) する極めて順調な立ち上がりを見せました。また、2026年8月にはAIがマネジメント業務を自律支援する新プロダクト 「モチベーションクラウド マネジメント」 を投入し、製品ポートフォリオのさらなる深化を図っています。
- グローバル展開の推進 : アジア5カ国(シンガポール、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン)を中心に営業活動を強化し、海外における月会費売上は 前年比約260%と急成長 。海外の組織診断データも20万人を突破しており、「グローバルな人的資本経営プラットフォーム」としての基盤整備が進んでいます。
5. モチベーションクラウド月会費売上計画の上方修正と株主還元
新プロダクトの順調な立ち上がりと既存サービスの堅調な成長を受け、同社は モチベーションクラウドの月会費売上計画の上方修正 を発表しました。

上記スライドの通り、2026年4Q末における「モチベーションクラウド」の月会費売上計画は、従来の7.0億円から 7.3億円(前年比116.4%)へ増額 されました。2020年4Q末(約2.0億円)からの推移を見ても明らかなように、美麗な右肩上がりのストック収益基盤が形成されており、同社の収益の安定性と成長性の両立を物語っています。
さらに、資本効率の向上と株主還元の強化においても積極的な姿勢を示しています:
- 配当金方針 : 四半期配当制度を導入しており、2026年12月期第2四半期配当は1株あたり4.1円(年間配当予想16.4円)と、 過去最高水準の継続的な増配傾向 を維持しています。
- 自己株式の取得 : 2026年7月31日時点で、取得株数ベースで47.01%、取得総額ベースで54.11%の進捗を見せており、機動的な資本政策を実行中です。
- 株主優待制度の拡充 : ベース金額を 10%増額 し、保有株数や保有期間に応じて最大年間44万円分の優待品を進呈する制度変更を実施しました。
- M&A・資本提携 : SELF株式会社を株式交換により 完全子会社化 するための基本合意書を締結。同社のAI技術「SELFBOT」をモチベーションクラウドに融合させることで、プロダクト価値と生産性の飛躍的向上を狙っています。
まとめ
リンクアンドモチベーションの2026年12月期 第2四半期決算は、単なる短期的な業績向上にとどまらず、 「2030年計画(営業利益150億円・ARR240億円)」に向けた着実なステップ を踏んでいることを示す内容となりました。
売上高・売上総利益の二桁増、新プロダクト「エントリーマネジメント」の迅速なARR立ち上がり、それに伴う「モチベーションクラウド」月会費計画の上方修正は、同社のストック型ビジネスモデルが強固に機能している証左です。先行投資による販管費の増加を適切にコントロールしつつ、AI技術の取り込み(SELF社の完全子会社化検討やAIマネジメント機能のリリース)や海外展開を進めることで、今後も人的資本経営のリーディングカンパニーとしてのポジションを強化していく動きが注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。