
スプリックス 2026年9月期 第3四半期決算レポート:主力の「森塾」伸長と海外・新規事業の改善で大幅増益を達成
StockClub
公開日時: 2026/08/07 11:43
Sentiment Analysis

株式会社スプリックスの2026年9月期 第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)における決算は、主力の個別指導塾「森塾」の順調な拡大に加え、新規・海外事業の利益率改善が寄与し、 売上高・各段階利益ともに前年同期を大きく上回る大幅な増収増益 となりました。
本レポートでは、スプリックスが提示した決算説明資料のデータをもとに、業績の全体像、利益を押し上げた要因、セグメント別の進捗状況、通期計画に対する進捗と季節性の影響、そして今後の成長戦略について多角的に解説します。
1. 2026年9月期 第3四半期 決算概要:大幅な増益を達成
当第3四半期累計期間の連結業績は、売上高が 27,268百万円(前年同期比+9.4%) 、営業利益が 1,468百万円(前年同期比+92.8%) 、EBITDAが 2,225百万円(前年同期比+50.2%) 、親会社株主に帰属する純利益が 899百万円(前年同期比+115.6%) となりました。

スライド解説:決算概要の重要性
上記のスライドは、当期の連結業績ハイライトを数字で直感的に示す重要なデータです。前年同期と比較して、売上高が2,352百万円(+9.4%)増加したのに対し、 営業利益は約1.9倍(+92.8%)へと急拡大 しています。 この要因として、主力のスプリックス単体(「森塾」等)における生徒数の堅調な増加に伴う売上伸長に加え、国際基礎学力検定「TOFAS」をはじめとする海外事業や新規事業の利益率改善が大きく寄与したことが挙げられます。湘南ゼミナールにおいては新規開校に伴う先行投資コストが発生しているものの、計画通りの推移であり、グループ全体として非常に高い収益性の改善が見られます。
2. 営業利益前年比+92.8%を支えた構造と差異分析
営業利益が前年同期比で約2倍となった背景には、売上増加による利益押し上げ効果が、施設費や人件費などの固定費増加を十分に吸収した構図があります。

スライド解説:売上高・営業利益の差異分析(前年同期比)の背景
上記スライドのウォーターフォール図は、営業利益が761百万円から1,468百万円へと706百万円増加したプロセスの詳細を表しています。 具体的には、スプリックス単体の増収効果が +1,984百万円 の増益要因となりました。これに対して、校舎ネットワーク拡大や人件費改定等に伴い、施設費(△298百万円)、人件費(△502百万円)、広告宣伝費(△117百万円)、その他費用(△381百万円)といった販売管理費の増加が生じました。 しかし、新規事業投資・研究開発費の減少( +128百万円 )や、湘南ゼミナールにおける増収効果( +368百万円 )などがプラスに働き、差し引きで大幅な増益を達成しています。成長投資を継続しながらも収益化フェーズへ移行しつつあることがうかがえます。
3. セグメント別業績および主要KPI(生徒数・校舎数)の推移
スプリックスの事業領域は、「森塾」「湘南ゼミナール」「河合塾マナビズ」、そして「その他(教育関連サービス・基礎学力事業)」に分かれています。各セグメントの動向は以下の通りです。
① 森塾セグメント(主力の個別指導塾)
- 売上高 : 15,078百万円(前年同期比+12.1%)
- 営業利益 : 3,938百万円(前年同期比+22.0%)
- 生徒数 : 55,793人(前年同期比+8.0%, +4,129人)
- 校舎数 : 260校舎(前年同期比+19校舎) 新開校が順調に進むとともに、公式アンバサダー(長浜広奈さん)のタイアップ施策や口コミを通じた集客が奏功し、生徒数・業績ともに極めて堅調に推移しています。
② 湘南ゼミナールセグメント(集迎指導塾)
- 売上高 : 6,722百万円(前年同期比+3.5%)
- 営業利益 : 274百万円(前年同期比△104百万円)
- 生徒数 : 18,870人(前年同期比+2.4%, +438人)
- 校舎数 : 203校舎(前年同期比+5校舎) 小学生向けコンテンツの拡充やマーケティング強化により小学生の生徒数が過去最高を更新するなど生徒数は増加しました。一方で、新規開校に伴う先行費用の発生により営業利益は一時的に前年を下回っていますが、中長期的な生徒基盤の拡大に向けた計画的な施策です。
③ 河合塾マナビズセグメント(現役高校生向けフランチャイズ)
- 売上高 : 2,210百万円(前年同期比+6.5%)
- 営業利益 : △14百万円(前年同期比+23百万円の改善)
- 生徒数 : 4,878人(前年同期比+3.3%, +155人)
- 校舎数 : 52校舎(前年同期比+1校舎) KPI管理およびオペレーションの徹底強化により全学年で生徒数が増加し、売上増とともに赤字幅が縮小しています。
④ その他セグメント(IT自立学習・オンライン・基礎学力等)
- 売上高 : 3,256百万円(前年同期比+12.6%)
- 営業利益 : △542百万円(前年同期比+403百万円の大幅改善) 「自立学習RED」(211教室)やオンライン個別「そら塾」、ダンススクール「PiNKs(旧:東京ダンスヴィレッジ)」のほか、海外での「TOFAS」事業の拡大が寄与し、大幅な営業損失の削減を実現しました。
4. 通期計画に対する進捗率と学習塾特有の「季節性」
通期連結業績予想に対する第3四半期時点の進捗状況は以下のようになっています。
- 売上高 : 進捗率 71.8% (実績 27,268百万円 / 予想 38,000百万円)
- 営業利益 : 進捗率 61.2% (実績 1,468百万円 / 予想 2,400百万円)
- EBITDA : 進捗率 63.6% (実績 2,225百万円 / 予想 3,500百万円)
- 親会社株主に帰属する純利益 : 進捗率 64.3% (実績 899百万円 / 予想 1,400百万円)
一見すると、3Q時点での営業利益進捗率61.2%は75%(3/4経過時)を下回っているように見えますが、これは事業構造上の 季節性(シーズナリティ) に起因するものです。

スライド解説:営業利益(進捗率の季節性)のポイント
学習塾業界における収益構造を理解するうえで、このスライドは非常に重要です。スプリックスの業績は、夏期講習や新学期の本格化に伴う季節要因から、 第1四半期(10-12月)および第4四半期(7-9月)に利益が偏重する特性 を持っています。 過去の3Q累計進捗率の推移(2023年3Q:10.0%、2024年3Q:14.7%、2025年3Q:47.6%)と比較しても、今期の 61.2% という進捗率は過去数年の中でも非常に高い水準であり、通期目標達成に向けて計画比プラスで極めて順調に進捗していることを証明しています。
5. 今後の成長戦略とグローバル展開の加速
スプリックスは、「 学習塾事業の堅実な成長 」を土台としつつ、「 基礎学力事業のマネタイズ本格化・グローバル展開 」を掲げています。
- 多店舗展開モデルの深化(戦略1) 「森塾」を中心とした実績ある個別指導のノウハウ・オペレーションの仕組み化をさらに進め、既存校舎の生徒数密度向上と新規出店を継続します。
- 基礎学力事業のグローバル展開(戦略2)
国際基礎学力検定「TOFAS」やAIタブレット教材「DOJO」を軸としたグローバル施策が本格化しています。
- エジプト : 教育・技術教育省等と教育・人材育成分野における包括的な協力のためのMOU(基本合意書)を複数締結。
- 米国 : サンディエゴ郡YMCA傘下のRancho Family YMCAとSTEM教育プログラム提供に関するパートナー契約を締結。
- 国内デジタル認証 : デジタル認証サービス機構およびインフォザイ anと共同で、デジタル版認定証「オープンバッジ」の試行運用を導入。
まとめ
2026年9月期 第3四半期の決算は、主力の個別指導塾「森塾」が安定した増収増益基盤を構築する中で、これまで先行投資を行ってきた海外・新規事業(TOFAS等)が利益貢献を開始したことで、 営業利益が前年同期比約2倍という大きな業績改善 を果たす結果となりました。学習塾特有の四半期偏重を踏まえると第4四半期での更なる利益乗せが期待され、グローバル教育IT企業としての成長ストーリーを着実に歩んでいます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。