
FIG 2026年12月期第2四半期決算ディープダイブレポート:主力のIoT・ペイメントが牽引し大幅増益、オートメーション事業の拡大が拓く成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/08/07 10:49
Sentiment Analysis

1. エグゼクティブサマリー&業績ハイライト
FIG株式会社(証券コード: 4392)の 2026年12月期第2四半期累計業績 は、主力のIoT・ペイメント事業を担う モバイルクリエイト株式会社 が全体を強く牽引し、さらに成長領域である 株式会社REALIZE の順調な拡大が寄与したことで、 前年同期比で大幅な増収・増益 を達成しました。
- 売上高 : 7,516百万円 (前年同期比 +13.7% 、+907百万円)
- 売上総利益 : 2,164百万円 (前年同期比 +7.5% 、+150百万円)
- 営業利益 : 582百万円 (前年同期比 +48.5% 、+190百万円)
- 経常利益 : 577百万円 (前年同期比 +50.8% 、+194百万円)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益 : 365百万円 (前年同期比 +10.6% 、+35百万円)
通期計画(売上高14,000百万円、営業利益1,000百万円)に対する進捗率は、 売上高で53.7% 、営業利益で58.2% 、経常利益で57.8% と、期初計画を上回るペースで順調に進捗しています。売上高の伸長に加え、販管費の抑制・効率化が進んだことで、営業利益率が前年同期の5.9%から 7.7%へ上昇 し、収益性の向上が顕著に表れた決算となりました。
2. 主要グループ会社別の動向と要因分析
FIGグループの業績は、主要な子会社3社(モバイルクリエイト、REALIZE、ケイティーエス)の事業展開によって構成されています。
① モバイルクリエイト(主力・業績牽引)
- 売上高 : 3,245百万円 (前年同期比 +22.7% 、+599百万円)
- 売上総利益 : 1,246百万円 (前年同期比 +21.3% 、+218百万円) タクシー配車システム、マルチ決済端末(ペイメント)、バス運行管理サービスなど、移動体通信・IoTインフラ領域の各サービスが好調を維持しました。安定したストック収益基盤の上振れと新規端末導入の双方が寄与し、グループ全体の増収増益を主導しました。
② REALIZE(成長領域・ロボット&オートメーション)
- 売上高 : 2,659百万円 (前年同期比 +19.2% 、+429百万円)
- 売上総利益 : 487百万円 (前年同期比 +19.3% 、+78百万円) 製造業における人手不足や自動化ニーズの高まりを追い風に、搬送ロボットや製造装置等の需要を確実に獲得しました。中東情勢の影響等による一部自動車関連案件の設備投資先送りが発生したものの、半導体関連をはじめとする各種自動化ソリューションが伸び、力強い増収増益を記録しました。
③ ケイティーエス(再成長フェーズ・構造改革中)
- 売上高 : 975百万円 (前年同期比 △17.1% 、△201百万円)
- 売上総利益 : 203百万円 (前年同期比 △35.7% 、△113百万円) ホテル向けマルチメディアシステムやIoT基板製造を手掛けるケイティーエスは、依然として減収減益の厳しい環境が続いています。しかしながら、現在は営業体制の見直しや、収益性の高い事業構成へのシフトを進める「再成長フェーズ」として改革を推進中です。
3. 営業利益の増減要因と収益構造の分析
第2四半期における営業利益(582百万円)の前年同期比+190百万円増益に関する構造分析は以下の通りです。

上記のウォーターフォールチャートに示す通り、営業利益の増益を後押しした最大の要素は モバイルクリエイトによる売上総利益の増加(+218百万円) です。これに REALIZEの利益貢献(+78百万円) が加わり、ケイティーエスの減益(△113百万円)やその他領域の減少(△33百万円)を十分にカバーしました。
さらに重要なポイントとして、 販管費の減少(+39百万円、前年同期比△2.4%) が挙げられます。売上高販管費率は前年同期の24.5%から 21.0%(当2Q単体では21.5%) へと明確に改善しており、売上増に伴う限界利益の増加がそのまま営業利益へと結実しやすい 高効率な収益構造 へと進化を遂げています。
4. 財務基盤の強化とストック型(サブスク)収益の積み上げ
財務構造の大幅な改善
2026年6月末時点の貸借対照表では、資産合計が前年末比+1,456百万円の 17,096百万円 となった一方、有利子負債は△1,138百万円減少して 2,165百万円 に縮小、転換社債(500百万円)の処理も完了しました。純資産は+2,549百万円増の 11,412百万円 へと大きく拡大し、 自己資本比率は55.8%から66.1%へと10.3ポイント上昇 しました。財務健全性は急速に高まっています。
中長期成長の柱となる「サブスク売上高」

FIGの事業モデルにおける強みは、単発の機器販売だけでなく、継続的な利用料収入を得る IoT・ペイメントのサブスクリプション(ストック)型ビジネスモデル にあります。上記グラフが示すように、2012年以降、買収や事業ポートフォリオ見直しを進めながらも一貫してストック収益の拡大を続けています。
2026年第2四半期時点で 2,173百万円 を積み上げており、 2026年通期予想で4,700百万円 、2028年計画では5,250百万円 を目指しています。この強固なリカーリングレベニュー(継続収入)が、景気変動に対する高い耐性と安定したキャッシュフローの源泉となっています。
5. 事業トピックスと今後の成長戦略(先端技術・新市場)
FIGグループは「装置メーカーから、自動化ソリューションメーカーへ」の進化を掲げ、AI・半導体・ロボティクスを掛け合わせた先進的なソリューションの開発を進めています。

① ロボット・オートメーション領域の取り組み
- AI半導体向けGPU自動着脱装置 : 台湾企業と共同開発を行い、台湾工場における量産工程向けの試験運用を実施中です。品質評価工程での自動化を実現する本装置は、すでに 国内大手メーカーからの受注を獲得 しており、今後の量産フェーズでの本格寄与が期待されます。
- 製薬工場向けサンプリングロボット : 中外製薬工業株式会社宇都宮工場のバイオ原薬製造棟において、自社開発のサンプリングロボット 「MoMa-SLIM」 が導入されました。自律走行ロボット(AMR)とロボットアームを融合させ、毎日行われる環境用水の検体採取業務を自動化することで、製薬業界の省人化・品質保証強化に寄与しています。
② ドローン&新市場開拓
- 有線給電ドローン「R-7」 : テザーケーブル経由で電源供給と通信を行うことで、 48時間連続飛行 を実現するドローンを開発。「Japan Drone 2026」にて初展示され、激甚災害時の遠隔映像監視や大型インフラ点検、自治体の防災・警備用途での活用が進められています。Starlink(衛星通信)やネットワークRTKへの対応により、通信不感地帯での高度な運用が可能です。
- ホテル・観光市場への決済端末展開 : ホテル管理システム「HOTEL SMART」を展開する株式会社xxx(エイジィ)と連携し、マルチ決済端末 「PT-630」 を東京都秋葉原のホテルへ初導入しました。API連携により全国の宿泊施設への横展開を推進しています。
- モビリティ・公共交通への展開 : 大阪シティバスの停留所へ サイネージ付きスマートバス停(150台) の導入・運用を開始。訪日外国人対応や災害時・運行情報の即時通知を可能にし、他地域への展開も加速させています。
6. 総括と今後の見通し
FIGの2026年12月期第2四半期決算は、 モバイルクリエイトを軸とした安定したサブスク収益基盤の伸長 と、 REALIZEを中心とした製造業・先端産業向け自動化ソリューションの成長 が見事に噛み合った内容となりました。
構造改革を進めるケイティーエスの再成長や、AI半導体・製薬・ドローンといった高付加価値分野でのソリューション社会実装が進むことで、中期経営計画(2026年12月期〜2028年12月期)の達成に向けた事業基盤は確実に固まりつつあると言えます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。