
【LOIVE 2027年3月期 第1四半期決算】大規模出店によるトップライン30%台成長と将来利益獲得に向けた戦略的投資フェーズの全貌
StockClub
公開日時: 2026/08/07 10:28
Sentiment Analysis

1. はじめに:決算の全体像と主要サマリー
株式会社LOIVE(証券コード: 352A)の2027年3月期第1四半期(1Q)決算は、 売上高が前年同期比+32.0%増の31.91億円 と大幅な成長を達成し、四半期ベースで 過去最高の売上高 を更新しました。一方で、 営業利益は▲2.25億円 (前年同期は▲0.93億円)の赤字となりましたが、これは過去最高ペースとなる 1Qのみで36店舗の新店出店 および 新卒社員214名を含む375名の採用 に伴う先行投資コストが集中したためであり、会社計画通りの順調な進捗となっています。
新規出店による初期コストを除いた 既存店ベースの営業利益は前年同期比で着実に積み上がって おり、会員基盤の拡大と顧客単価(LTV)向上施策が奏功しています。本レポートでは、1Q決算の数値、要因分析、ピラティス事業の寡占化戦略、そして来期(2028年3月期)に向けた成長ストーリーを詳細に解説します。
2. 業績ハイライト:売上高急拡大と戦略的先行投資
2027年3月期1Qにおける主要財務数値は以下の通りです。
- 売上高 : 3,191百万円(前年同期比 +32.0% / +773百万円)
- 売上総利益 : 1,015百万円(前年同期比 +36.8% / +272百万円)
- 販管費 : 1,240百万円(前年同期比 +48.5% / +405百万円)
- 営業利益 : ▲225百万円(前年同期差 ▲132百万円 )
- 経常利益 : ▲264百万円(前年同期差 ▲135百万円 )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : ▲93百万円(前年同期差 ▲1百万円 )
売上総利益率は31.8% と前年同期(31.0%)から0.8ポイント向上しました。一方で、積極的な店舗展開に伴う広告宣伝費や採用・人件費の増加により販管費率が33.8%から38.9%へ上昇し、営業赤字幅が拡大しました。ただし、上期業績予想に対する 売上高進捗率は46.9% に達しており、出店が集中する1Qの特性を考慮すると、極めて想定通りの進捗といえます。
3. 営業利益のウォーターフォール分析と既存店の収益力
1Qの営業赤字の要因と、潜在的な収益力を理解する上で極めて重要なデータが営業利益のウォーターフォール分析です。

【スライド解説:PAGE 5の重要性】
このスライドは、2026年3月期1Qから2027年3月期1Qへの 営業利益変動要因 を視覚的に分解したものです。一見すると営業赤字が▲0.93億円から▲2.25億円へと膨らんだように見えますが、その背景には明確な構造的理由が存在します。
- 既存店の強い利益貢献 : 主力であるピラティス事業において、2025年3月期以前に出店した既存店が +3.13億円 、2026年3月期に出店した店舗が +1.37億円 の黒字貢献を果たしています。
- 新規出店コストの影響 : 2027年3月期1Qにおける新規出店に伴う直接コスト・先行投資費用は 合計▲3.02億円 (事業部広告宣伝費、採用コスト、新店SV人件費等)にのぼります。
- 出店なしの場合の実質利益 : この 新規出店コスト(302百万円)を排除した既存店ベースの営業利益は+77百万円 となり、前年同期(▲93百万円)から 実質+1.70億円の大幅な増益構造 にあることが分かります。
つまり、1Qの営業赤字は事業の悪化によるものではなく、将来の収益源となる 新店を過去最高ペースで仕込んだことによる一律の先行投資結果 であることが証明されています。
4. 会員数推移とセグメント別の状況
店舗網の拡大に伴い、全社基盤となる会員数は堅調に拡大しています。
- ホットヨガ事業「ロイブ(loive)」 : 会員数は 3.4万人 で安定して推移しており、会社全体の売上・利益の強固な土台となっています。
- ピラティス事業「pilates K」 : 店舗拡大とともに会員数が急増しており、2027年3月期1Q末時点で 5.3万人に到達 しました。
全社店舗数は 合計236店舗 (ホットヨガ69店舗、ピラティス159店舗、サーフフィット2店舗、レディースジム3店舗、シニア事業3店舗)となり、特にピラティスKの成長が全体を力強く牽引しています。
5. 四半期業績推移と通期見通し:戦略的季節性と四半期イメージ
同社の出店計画と営業利益推移には明確な戦略的季節性があります。

【スライド解説:PAGE 11の重要性】
このスライドは、2027年3月期の方針である 「寡占化戦略」 と、それに伴う 四半期ごとの営業利益推移計画 を示しています。
- 1Q集中出店と2Q以降の黒字化 : 同社はピラティス市場での優位性を確固たるものにするため、通期出店計画71店舗のうち、 約半数に相当する36店舗を1Qに集中オープン させました(前期1Q〜3Q累計の37店舗と同等の規模)。そのため1Qは営業赤字となりますが、 2Q、3Q、4Qはすべて黒字化 する計画となっています。
- 通期業績予想の達成に向けたロードマップ : 早期に出店を完了させることで、期中を通じて会員数を積み上げ、2Q以降の収益化を最大化させる構造をとっています。これにより、通期で 売上高145.70億円(前年比+27.6%)、営業利益2.70億円 の目標達成を目指しています。
6. ピラティス事業の寡占化戦略と地方都市への優先出店
ピラティス事業(pilates K)においては、競争が激化する首都圏だけでなく、 「地方都市」への積極的な先行出店 を推進しています。
1Qに新規出店した34店舗のうち、 24店舗は地方都市へ出店 されました。地方都市は他社が参入しづらい一方で競合が少なく、出店後の顧客定着率や将来的な利益率が高くなる傾向があります。他社との出店数の差を広げ、市場シェアを一気に獲得する 「寡占化戦略」 を加速させています。
これを支えているのが、同社独自の 人財育成力と採用競争力 です。インストラクターを 全社直営・正社員 で雇用し、わずか1ヶ月でデビュー可能な教育メソッドを確立。全国転勤が可能な総合職社員比率が 50.9% (603名/1,184名)と高いため、地方都市への迅速な大量出店を可能にしています。
7. 集客効率改善とLTV向上施策(長期契約・物販)
マーケティング面および顧客単価(LTV)施策においても顕著な成果が見られます。
- 新規集客とCPAの沈静化 : 1Qの月間集客数は前年同月比 +67% と高い伸びを見せました。一方で、市場の加熱感が落ち着きを見せたことで、顧客獲得単価(CPA)の前年同月比はピーク時の3.6倍から 1.3倍にまで低下・落ち着き を見せており、集客効率が改善しています。
- 長期契約プランの拡大 : LTV向上に直結する長期契約プランの新規契約割合が 62.9% に上昇(前4Qは55.8%)。これにより平均継続必須期間は 9.6ヶ月 に伸び、解減率の抑制とストック収入の安定化に寄与しています。
- 物販売上の伸長 : オリジナル美容商品やプロテイン等の物販強化により、1Q物販売上高は 前年同期比+49%増の1.74億円 (物販売上比率5.4%)と大幅に拡大しました。
8. 中長期成長ロードマップ:2028年3月期に向けた戦略的位置づけ
同社の業績を評価する上で最も重要な視点は、今期(2027年3月期)を 「将来の利益爆発に向けた投資フェーズ」 と位置づけている点です。

【スライド解説:PAGE 9の重要性】
このスライドは、2025年3月期から2028年3月期にかけての 売上高・営業利益の推移と中長期の位置づけ を示した極めて重要な図表です。
- 今期(27/3期)の位置づけ : 寡占化を完成させるための 「戦略投資期」 であり、大量出店と広告投下を行うため表面上の通期営業利益は2.70億円にとどまります。しかし、新店コストを除いた 既存店ベースの営業利益は16.20億円 まで拡大する見通しです。
- 来期(28/3期)の利益拡大期 : 27/3期までに投資した大量店舗が順次黒字化・収益刈り取り期に入るため、2028年3月期には 営業利益10億円以上(既存店ベースでは20億円以上) という飛躍的な利益成長を計画しています。
このロードマップにより、現在の営業赤字や減益予想が持続的な成長に向けた計画的な先行投資であることが分かります。
9. 新規HR事業と事業モデルの優位性
同社は既存のスタジオ運営にとどまらず、新たな成長軸の育成と高効率な事業モデルの構築を進めています。
- 新規HR事業の立ち上げ : 自社で実証した女性人材育成ノウハウやパーパスマネジメントモデルを社外へ展開するHR事業を開始。1Q売上高は 7.4百万円 、累計導入社数123社・受講者数237名(経営者比率57%)に達しています。ダイレクト広告費0円(紹介・SNS中心)で展開する 高利益率モデル です。
- 高効率なブティック型モデル : 65〜80坪の小規模店舗×グループレッスン形式により、初期投資を3,500万〜4,500万円に抑制。 店舗段階の売上総利益率は43.1% と高く、ピラティスKの 想定投資回収期間は2.8年 という優れたユニットエコノミクスを実現しています。
10. まとめと今後の注目ポイント
株式会社LOIVEの2027年3月期1Q決算は、 1Q集中大量出店に伴う先行投資型の営業赤字 となったものの、トップラインの30%超成長、既存店利益の着実な積み上がり、CPAの安定化、長期契約率の向上など、 経営計画に対して極めて良好かつ順調な進捗 を示しました。
今後の注目ポイントとしては、以下の点が挙げられます。
- 2Q以降の計画通りの黒字化達成 : 1Qに出店した36店舗の立ち上がりと、2Q以降の営業利益の黒字転換プロセス。
- 通期71店舗出店の進捗と地方都市でのシェア拡大 : 競合の少ないエリアでの優位性確保。
- 2028年3月期の営業利益10億円超に向けた既存店収益力の積み上げ : LTV向上施策の継続的成果。
先行投資期を経て、来期の本格的な利益拡大期へと向かう同社の成長ストーリーと戦略的実行力が注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。