
長谷工コーポレーション 2027年3月期 第1四半期 決算分析レポート:完成工事利益率の劇的改善と受注大幅増が牽引する成長ストーリー
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公開日時: 2026/08/07 10:03
Sentiment Analysis

エグゼクティブ・サマリー
長谷工コーポレーションの2027年3月期第1四半期決算は、 売上高・各段階利益ともに前年同期を大幅に上回る非常に力強い増収増益 となりました。連結売上高は3,121億円(前年同期比9.2%増)、営業利益は299億円(同46.0%増)、経常利益は305億円(同58.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は213億円(同68.5%増)に達しています。
主力の建設事業における 完成工事総利益率の著しい改善(13.2%から17.7%へ+4.5ポイント拡大) に加え、不動産事業における高額分譲マンションの引き渡し、さらに米国本土における投資案件の売却に伴う海外事業の黒字化が業績を強力に押し上げました。単体受注高も2,488億円(同93.8%増)と大幅な伸びを示しており、通期予想に対する進捗率も極めて順調です。
1. 業績ハイライトと損益構造の分析
第1四半期の連結業績は、期初計画を上回るペースで推移しています。増益の主要因は、本業である建設事業における採算性の向上と、不動産開発事業における利益確定が同時に発現した点にあります。

上のスライドに示されている通り、通期予想(売上高1兆3,800億円、経常利益1,050億円、純利益660億円)に対する第1四半期の進捗率は、 経常利益で29.0%、純利益で32.3% に達しています。一般に建設・不動産業界は下期(特に第4四半期)に物件引き渡しが偏重する季節的特徴を有しますが、第1四半期時点で3割前後の高い進捗を示したことは、今期の業績達成に向けた強固な基盤を証明しています。
売上総利益は518億円(同24.3%増)となり、売上総利益率は前年同期の14.6%から 16.6%へと2.0ポイント改善 しました。販売用及び一般管理費は219億円(同3.4%増)と適正にコントロールされており、営業利益率も7.2%から 9.6%へ(+2.4ポイント) 大幅に上昇しています。
2. 建設事業の収益性改善と驚異的な受注動向
建設事業における最も顕著な成果は、工事採算性の劇的な改善です。第1四半期の完成工事高は1,534億円(前年同期比0.3%減)とほぼ横ばいでしたが、完成工事総利益は272億円(同34.1%増)へと激増しました。
単体の完成工事総利益率は 17.9%(前年同期は12.6%) に達し、施工効率の向上や仕入コストコントロール、採算性を重視した受注戦略が確実に結実しています。

受注面においても突出した実績を記録しました。単体受注高は前年同期の1,283億円から 2,488億円(前年同期比93.8%増) へと倍増に近い拡大を見せています。分野別では、本業である 民間分譲マンションが1,997億円(同66.9%増) と全体を牽引したほか、 賃貸マンション・社宅等が413億円(前年同期は3億円) と大きく貢献しました。
受注の質を示す指標も極めて高い水準を維持しています。
- 設計施工比率:99.9% (長谷工独自の特命・特長を活かした一貫体制)
- 特命受注比率:87.9% (顧客との深い信頼関係に基づく非競合受注)
- 1件当たり受注高(民間分譲):100.1億円 (前年同期の90.1億円から大型化が進展)
大型案件としては、「(仮称)東村山市野口町計画(591戸)」「(仮称)相模原市緑区西橋本二丁目(500戸)」などの大規模マンション施工を確実に獲得しており、中長期的な施工手持ち工事の積み上げが進んでいます。
3. 不動産関連事業・分譲マンション市場の動向
不動産売上高は1,272億円(前年同期比23.7%増)、不動産売上総利益は175億円(同16.9%増)となり、増収増益に貢献しました。
分譲マンション事業では、都心部を中心とする高額物件の順調な引き渡しが進んだことが寄与しています。第1四半期の売上戸数は281戸(売上高278億円)ですが、通期の売上予定戸数1,600戸(売上高1,100億円)に対して 契約進捗率は63.5% (2026年6月末時点)と非常に高い水準を確保しています。
また、将来の供給基盤となる売上予定時期の内訳を見ると、2028年3月期(約1,600戸)、2029年3月期以降(約3,800戸)と、合計約6,700戸に及ぶ豊富なパイプラインが既に確保されています。リノベーション事業や収益不動産の売却事業においても安定した成果を上げており、不動産ポートフォリオの多角化が進んでいます。
4. ストック型ビジネスと海外事業の進展
安定収益源である 管理運営事業(ストックビジネス) は、極めて堅実な推移を見せています。
- 分譲マンション管理戸数:447,959戸 (2026年6月末)
- 賃貸マンション管理戸数:127,004戸
- 社宅管理代行戸数:67,947戸
新築マンション供給を通じた管理戸数の自然増が続いており、将来にわたって安定したストック収益を生み出す構造が堅持されています。
一方、 海外事業 においては大きな構造変化が見られました。第1四半期の海外事業経常利益は 9億円の黒字(前年同期は6億円の赤字) へと転換しました。これは、米国本土における賃貸集合住宅投資案件の売却が計画通り実現したことによるものです。ハワイでの大型複合開発(エヴァ計画)を着実に推進しつつ、米国本土ではライトアセット型のビジネスモデルへの移行を進めており、資金効率の向上とリスク分散を図る戦略が実行されています。
5. 財務健全性と資産ポートフォリオの最適化
財務面においても、バランスシートの引き締まりと健全性の維持が確認できます。
2026年6月末時点の総資産は1兆3,531億円(前期末比647億円減)となりました。現金預金の回収や完成工事未収入金の減少に伴う自然減ですが、不動産・海外投資の残高は8,317億円(同120億円増)となり、収益不動産や戸建事業への戦略的投資が継続されています。
有利子負債残高は4,185億円(同65億円減)に抑制され、 D/Eレシオは0.73倍 と健全な水準をキープしています。純資産は利益積立金の積み上がりにより5,706億円に増加し、 自己資本比率は42.1%(前期末比+2.4ポイント) へと向上しました。資本効率と財務安全性度のバランスが取れた財務構造と言えます。
6. セグメント別業績の総合分析
セグメント別のパフォーマンスを整理すると、本決算の特性がより一層明瞭になります。

- 建設関連事業 :売上高2,350億円(同3.7%増)、営業利益232億円( 同50.6%増 )。工事利益率の大幅な向上により、グループ全体の利益増を牽引する最大の原動力となりました。
- 不動産関連事業 :売上高598億円(同18.6%増)、営業利益69億円( 同12.2%増 )。高額物件の引き渡しと仲介・リノベーションの積増し分が着実に寄与しました。
- 管理運営事業 :売上高375億円(同0.4%減)、営業利益17億円(同3.9%減)。原材料費や人件費の上昇によるコスト高を吸収しつつ、ほぼ横ばいの安定した利益を維持しています。
- 海外事業 :売上高12億円(同14.8%減)、営業利益+持分法投資損益等8億円( 前年同期は7億円の赤字 )。米国本土案件の売却利益により四半期黒字化を達成しました。
総括と今後の展望
長谷工コーポレーションの2027年3月期第1四半期決算は、 建設事業における収益性の劇的改善、特命・設計施工比率の高さを背景とした圧倒的な受注力、不動産事業の高利益率引き渡し、海外事業の黒字化 という複数のプラス要因が合致した極めて優秀な内容となりました。
特に、単体受注高2,488億円(前年同期比93.8%増)という数字は、中長期的な施工ボリュームの裏付けとなり、今後の業績安定性を強固なものとしています。通期計画に対する進捗ペースも申し分なく、同社が掲げる成長ストーリーは着実に実行段階へと移っています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。