
AIブームで高まる新興国株のボラティリティ
Forbes
公開日時: 2026/08/05 21:15
Sentiment Analysis
AI(人工知能)ブームが、一部の個別銘柄だけでなく、新興国株式市場全体のボラティリティ(価格変動率)上昇につながっている可能性が指摘されています。特に、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子、SKハイニックスといった半導体関連企業の株価変動が、新興国市場全体に影響を与えていると考えられます。
Forbesに寄稿したLongTail Alphaのファウンダー兼CIOであるVineer Bhansali氏は、以前から一部の個別株、例えばマイクロン・テクノロジー(MU)などのオプション市場における高いインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される将来の価格変動期待値)に注目していました。これは、レバレッジ(証拠金取引やレバレッジ型ETFなど)によって増幅された「バイモーダル(二極化)」な市場心理、すなわち、極端に良い結果と極端に悪い結果のどちらかに大きく振れる可能性を織り込んだ価格形成が起きていると分析していました。
こうした個別株のボラティリティ上昇は、しばしばマクロ経済全体に波及する兆候となり得ます。Bhansali氏は、新興国市場の代表的なETFであるiシェアーズ MSCI エマージング・マーケット・インデックス・ファンド(EEM)のインプライド・ボラティリティが、米国大型株ETFであるSPDR S&P 500 ETF Trust(SPY)と比較して急上昇していることを示すチャートを引用しています。このEEMとSPYのインプライド・ボラティリティの比率が、2000年のITバブル崩壊直前に見られた水準に近づいていると指摘しています。
EEMの組入上位銘柄を見ると、TSMC、サムスン電子、SKハイニックスが上位を占めています。これらはいずれもAIモデルの性能向上に不可欠な半導体、特にファウンドリ(半導体受託製造)やメモリ分野のリーダー企業です。EEMは、組入資産の約27%が台湾、約20%が韓国に偏っており、これらの国々の株式市場、特にTSMCやサムスン電子、SKハイニックスといった主力企業の株価が、AI需要を背景に急騰し、同時に高いボラティリティ(年率換算で50%~100%の範囲)を記録していることが、EEM全体のボラティリティ上昇の主因となっていると分析しています。
一方で、バンガード FTSE エマージング・マーケッツ ETF(VWO)のような他の新興国ETFは、韓国や上記3社へのエクスポージャーがEEMに比べて小さいため、ボラティリティも相対的に低い水準にとどまっています。Bhansali氏は、投資家がより高いボラティリティを持つEEMを選ぶ理由について、AIブームへの期待と、それに伴うリスクの両方を織り込んでいるためではないかと推測しています。
AIブームがもたらす恩恵を享受しようとする動きが、新興国市場、特に半導体関連企業への資金流入を加速させていますが、同時にそのボラティリティを高め、市場全体のリスクを高めている可能性が示唆されています。今後、このバイモーダルな市場心理が、より広範なマクロ市場にどのように影響していくのか、注視が必要です。
Source: Forbes
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