
メルカリ (4385) FY2026.6 通期決算ディープダイブレポート:最高益更新と「売上二桁成長」への回帰、ならびにAI-Native化がもたらす中長期成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/08/05 10:07
Sentiment Analysis

概要と決算の全体像
株式会社メルカリ (証券コード: 4385)の FY2026.6通期決算 は、売上収益・コア営業利益ともに第3四半期に上方修正した業績予想をさらに上回り、 過去最高を更新 する力強い結果となりました。主力の Marketplace事業 の成長再加速に加え、 Fintech事業 の大幅な増益、さらには US事業 の黒字定着と全セグメントにおいて事業基盤が一段と強化されています。
本レポートでは、決算資料から抽出した主要な 10の重要トピック (過去最高業績、売上二桁成長への回帰、中期目標の前倒し達成、Marketplaceの再加速、安心安全施策の成果、Fintechの拡大と与信管理、US事業の黒字拡大、AI-Native化による生産性向上、FY2027.6業績見通し、中長期成長戦略)を軸に、同社の決算の全体像と今後の成長シナリオを詳細に解説します。
1. 連結業績ハイライトと中期計画の進捗
FY2026.6通期において、メルカリの 売上収益は2,292億円(前年同期比 +19%) 、コア営業利益は441億円(前年同期比 +60%) に達しました。期初時点の予想(売上収益2,000〜2,100億円、コア営業利益280〜320億円)から大きく上振れて着地しています。

スライド解説: 連結業績予想の達成状況(PAGE 3)
このスライドは、FY2026.6における業績の軌跡と着地点を端的に示しています。期初予想から第3四半期での上方修正を経て、最終的に 売上収益2,292億円、コア営業利益441億円 と、修正後の上方目標値をも超える着地となりました。特に重要なのは、売上収益が FY2023.6以来となる「二桁成長(前年同期比 +19%)」へ回帰 した点です。単なるコスト削減による増益ではなく、トップライン(売上高)の伸びを伴った 質の高い成長 を実現していることが可視化されています。
また、中期方針における「コア営業利益CAGR 25%以上」という目標を、計画より 1年前倒し(2年目のFY2026.6)で達成 したことも示されており、グループ全体の収益創造能力が飛躍的に高まっていることが伺えます。
2. ガイダンス達成状況とセグメント別分析
グループを支える主要3事業(Marketplace、Fintech、US)のすべてにおいて、期初・修正ガイダンスを達成または上回る成果を上げました。

スライド解説: 連結業績予想及び事業別ガイダンスの達成状況(PAGE 11)
この実績一覧表は、同社がいかに全方位で事業計画を精度高く、かつ上回る形で遂行したかを実証しています。 Marketplace事業 ではGMV成長率が当初想定(+3-5%)を大幅に超える YoY +15% に達し、コア営業利益も 429億円 とレンジ上限(390億円)を突き抜けました。 Fintech事業 もコア営業利益が 91億円(前年比+46億円) と高成長を牽引し、 US事業 もブレイクイーブン目標に対して 20億円の黒字 を着実に計上しています。全事業が揃って「増収・増益」かつ「過去最高益」を達成した構造が読み取れます。
(1) Marketplace事業(国内フリマプラットフォーム)
- GMV・ユーザー基盤 : 通期GMVは 1兆2,856億円(YoY +15%) に拡大し、月間アクティブユーザー数(MAU)は 2,400万人 を突破しました。「超メルカリ市」などの大型マーケティング施策の奏功、エンタメ・ホビーカテゴリの需要捕捉、安心・安全な取引環境の構築が相乗効果を生みました。
- 安心・安全への取り組み : 「全額補償サポートプログラム」 や**「メルカリ鑑定センター」** の設立など、取引不安を解消する施策を展開。これにより、取引に関する問い合わせ発生率は2年前の0.49%から 0.35%へと低下 し、全額補償の48時間以内完了割合も 92.6% へと劇的に改善しました。
- 越境取引の伸長 : 注力領域である越境取引(Cross-border)のGMVは 1,122億円(全体の約9%) に達し、グローバル層からの強い需要を取り込んでいます。
(2) Fintech事業(メルペイ・メルカード)
- 売上収益と利益の飛躍 : 売上収益は 651億円(YoY +29%) 、コア営業利益は 91億円(YoY +103%) と倍増しました。
- クレジットカード(メルカード)と債権残高 : 「メルカード」の発行枚数は 632万枚 を突破。独自のAI与信モデルを活用した適切なリスク評価と段階的な与信枠拡張により、 債権残高は3,581億円(YoY +44%) へ拡大しながらも、11か月回収率は 99.4% という極めて高い水準を維持しています。
(3) US事業(米国フリマプラットフォーム)
- 黒字化定着と成長へ : GMVは 8億1,000万ドル(YoY +11%) 、売上収益は 407億円(YoY +12%) 、コア営業利益は 20億円(YoY +107%) となりました。規律ある投資管理(ブレイクイーブン維持)を実行しながら、コア体験の強化や送料値引きキャンペーン、エンタメ・ホビー需要の取り込みにより、GMVの二桁成長を実現しました。
3. 生産性革新を牽引する「AI-Native化」の成果
メルカリは「AI-Native Company」への変革を掲げ、全社的な生産性向上とプロダクト革新を進めています。
- 業務効率化と創出時間 : 全従業員のAIツール利用率 100% を達成。年間 49.5万時間分 の生産性向上を実現し、さらに 77万時間 の余剰時間創出余地を特定しました。
- 開発力の加速 : エンジニア1人あたりの開発量はAI導入前(FY2024.6比)で 7.6倍 に急増。AIによる出品サポート機能(出品完了率向上)やレコメンデーション精度向上など、プロダクトへの直接的な還元が進んでいます。
4. 今後の業績予想と中期成長ストーリー(FY2027.6の見通し)
中期経営計画の最終年度となる FY2027.6 に向け、同社はさらなるトップライン成長と中長期投資の両立を目指しています。

スライド解説: FY2027.6 連結業績予想(PAGE 28)
このスライドは、メルカリが次年度に示す強気かつ堅実な成長ガイダンスを表しています。売上収益は 2,600億〜2,900億円(YoY +13〜27%) 、コア営業利益は 450億円以上(YoY +2%以上) を見込んでいます。利益予想に関しては、先行投資の不透明感を考慮して下限値(450億円以上)での開示としており、状況に応じて上期以降に上方修正を検討する柔軟な姿勢をとっています。3年CAGRで見ても売上収益+12〜16%、コア営業利益+34%以上という高い水準を維持する計画です。
セグメント別のFY2027.6事業方針
- Marketplace : GMV成長率YoY +10-15% 、コア営業利益450億円以上 を目指す。AIエージェントを活用したUI/UX刷新、エンタメ体験の強化、自社越境取引の本格拡大を進める。
- Fintech : コア営業利益100億円以上 を目指し、グループ第2の収益の柱として確立。ロイヤルティプログラムを通じた決済・与信残高の積み上げを図る。
- US : GMV成長率YoY +10%以上 とブレイクイーブンの維持 (黒字拡大)を両立させ、独自ポジションを強固にする。
まとめ:本決算のポイントと今後の要注目点
メルカリのFY2026.6決算は、 「増収増益の達成」「売上二桁成長への回帰」「主要3事業すべての過去最高益更新」 という、極めて堅調な内容となりました。
- 収益基盤の多角化 : 国内Marketplace依存からの脱却が進み、Fintechが利益の第2の柱として完全に立ち上がったこと、US事業が黒字構造を確立したことが強みとなっています。
- AI活用による競争優位性 : 開発スピード7.6倍向上やCS・不正検知の自動化など、AI-Native化が実効的なコスト構造改善と機能強化に寄与しています。
- 次年度への期待 : FY2027.6に向けて売上収益最高2,900億円を見込む中、成長投資と利益創出のバランスをどのように舵取りしていくかが、中長期的な企業価値向上における重要な注視点となります。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。