
【新日本科学 2027年3月期 第1四半期決算】非臨床CROの海外受注が牽引しQ1売上高は過去最高を更新、上期業績予想の上方修正を発表
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公開日時: 2026/08/05 09:55
Sentiment Analysis

【新日本科学 2027年3月期 第1四半期決算】非臨床CROの海外受注が牽引しQ1売上高は過去最高を更新、上期業績予想の上方修正を発表
株式会社新日本科学(証券コード: 2395)は、2026年8月5日に 2027年3月期 第1四半期決算 を発表しました。主力の 非臨床CRO事業 における欧米顧客を中心とした強固な受注動向と前期からの「期ずれ」案件の売上計上が寄与し、第1四半期として売上高・受注高ともに 過去最高 を更新しました。さらに、これらを背景として 2027年3月期 第2四半期(累計)の連結業績予想の上方修正 も合わせて開示されています。
本レポートでは、決算説明資料に基づき、業績ハイライト、収益構造、セグメント別の詳細、受注状況、そして設備投資や今後の経営戦略まで、多角的な視点から中立的にまとめ・解説します。
1. 2027年3月期 第1四半期 業績ハイライト
当第1四半期(2026年4月1日〜2026年6月30日)の連結業績は、前年同期比で大幅な 増収・黒字転換 を達成しました。概要は以下の通りです。
- 売上高 : 78.6億円 (前年同期比 +21.5% / +13.9億円)
- 営業利益 : 5.2億円 (前年同期は▲3.4億円の赤字 → 黒字化 / +8.6億円)
- 経常利益 : 14.3億円 (前年同期比 +177.9% / +9.2億円)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 10.6億円 (前年同期比 +308.6% / +8.0億円)

決算ハイライトの要因と背景解説
上記スライドが示すように、第1四半期の売上高は 78.6億円 に達し、第1四半期として 過去最高 を記録しました。営業利益についても、前年同期の赤字から 5.2億円 へと急回復を見せています。
利益面における前年同期比の大幅な改善要因としては、主に以下の3点が挙げられます。
- 「期ずれ」案件の売上計上 : 前期(2026年3月期)中に完了・売上計上を予定していたCRO事業の複数案件が当第1四半期にずれ込み、当期の売上高および利益を押し上げたこと。
- 施設稼働率の上昇 : 主力の非臨床CRO事業における受託拡大に伴い、試験施設の稼働率が向上し、収益性が改善したこと。
- トランスレーショナルリサーチ(TR)事業の経費の下期シフト : TR事業における研究開発費や事業経費の発生タイミングが第2四半期以降に繰り越されたこと。
また、経常利益については 持分法による投資利益 (新日本科学PPD等から 8.3億円 を計上)や為替差損益の改善(1.7億円の益)がプラスに寄与し、 14.3億円 (前期比約2.8倍)へと大きく拡大しました。
2. 収益構造と事業セグメント別の状況
連結全体の増収増益を支えるセグメント別の詳細な損益状況を分析すると、同社の成長基盤である CRO事業の強靭さ が際立っています。
① CRO事業(非臨床および臨床)
- 売上高 : 75.37億円 (前年同期比 +21.9% )
- 営業利益 : 15.38億円 (前年同期比 +100.0% )
- 営業利益率 : 20.4% (前年同期 12.4% から +8.0pt 向上)
- 持分法投資利益(臨床) : 8.30億円 (うち、新日本科学PPDが7.18億円)
- 事業利益(営業利益+持分法利益) : 23.68億円 (前年同期比 +58.5% )
非臨床事業では増収に伴い固定費負担が軽減され、営業利益率が 20.4% と大幅に改善しました。また、合弁会社である 株式会社新日本科学PPD を中心とする臨床CRO事業も順調に拡大しており、当第1四半期の持分法投資利益は 7.18億円 と、第1四半期として 過去最高 を更新しました。臨床側の従業員数も1,130人に到達し、国内トップクラスの体制が構築されています。
② トランスレーショナルリサーチ(TR)事業
- 売上高 : 59百万円 (前年同期比 +25.5%)
- 営業利益 : ▲9.66億円 (前年同期は▲11.01億円)
TR事業では、子会社Satsuma Pharmaceuticalsにおける経鼻片頭痛薬 「Atzumi™」 の米国市場展開に向けた取り組みを推進しています。米国マーケットにおいては、パートナーリング交渉と自社販売体制の準備を並行して実施しており、前期に発生したFDA承認に関する製剤製造費用が一巡したことで、前年同期比では赤字幅が若干縮小しました。
③ メディポリス事業・米国不動産事業・その他
- メディポリス事業 : 売上高 2.37億円、営業利益 16百万円(発電事業における減価償却費増により営業利益は前年同期比減)
- 米国不動産事業 : 売上高 49百万円、営業利益 ▲28百万円
3. 非臨床CRO事業の受注動向とグローバル展開
同社の今後の業績を占う上で最も重要な指標である 非臨床事業の受注・問い合わせ動向 は、非常に力強い推移を見せています。
受注高と受注残高の推移
- 第1四半期 受注高 : 99.6億円 (前年同期比 +23% / +18.6億円)※第1四半期として 過去最高
- 受注残高 : 440.6億円 (前期末比 +31.4億円 )※過去最高を更新
- 海外受注比率 : 53.2% (前年同期の 38.8% から大幅上昇)

受注状況スライドの背景と重要性解説
上記スライドは、2022年3月期第1四半期から2027年3月期第1四半期までの 非臨床事業における四半期別受注高および受注残高(円ベース) の長期的な遷移を示しています。このグラフが示す通り、同社の海外受注高は 5年CAGR(年平均成長率)26% という高い成長率を維持しています。
特に注目される点は以下の通りです。
- 海外受注の拡大が全体を牽引 : 当第1四半期の受注高99.6億円のうち、 海外からの受注が半分以上の53.2% を占めています。要因分析(スライド23参照)によると、国内受注が試験開始前キャンセル等により前期比▲3.0億円減少したものの、 欧米市場が+12.2億円、アジア市場が+9.4億円 と大きく増加し、国内の減少を十分に補って余りある伸びを見せました。
- 受注残高の積上げ : 受注残高は前年同期末の361.1億円から 440.6億円 へと 79.5億円増加 しました。豊富な受注残高の積み上がりは、今期および来期以降の売上高の安定的な計上を強固に裏付けるものとなっています。
欧米顧客層の質と高いリピート率
欧米市場における受注拡大の質的背景として、同社の顧客基盤の強さが挙げられます(米ドルベース受注高の5年CAGRは 21% )。
- 顧客属性 : 欧米受注高の 76%が上場顧客 (グローバルメガファーマ 5%、上場バイオテック 71%)で構成されており、世界売上高上位25位以内の製薬企業のうち 15社と契約または具体的な問い合わせ を有しています。
- リピーター率 : 欧米受注高の 99%がリピーター顧客 で構成されています。これは、同社が提供する非臨床試験の高品質なデータ、NHP(新世界サル・旧世界サル等の霊長類)試験における高い技術水準および安定供給体制が、グローバル顧客から極めて高く評価されていることを示しています。
4. 2027年3月期 業績予想の修正と戦略的投資
第1四半期の好調な進捗を受け、同社は 第2四半期(累計)上期業績予想の上方修正 を発表しました。
上期業績予想の修正内容

業績予想修正スライドの解説
上記スライドの通り、2026年5月11日に開示された期初予想に対し、上期業績予想が全項目で上方修正されました。
- 売上高 : 165.9億円 → 171.5億円 (+5.5億円上方修正 / 前期比 +16.1% )
- 営業利益 : 4.6億円 → 12.4億円 (+7.7億円上方修正 / 前期比 25.1倍 )
- 経常利益 : 19.4億円 → 29.8億円 (+10.4億円上方修正 / 前期比 +83.6% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 11.6億円 → 19.1億円 (+7.5億円上方修正 / 前期比 +80.6% )
上方修正の背景として、主力のCRO事業が計画を上回るペースで順調に推移していること、施設稼働率向上に伴う利益率改善が見込めること、さらにTR事業の経費計上が下期にずれる見通しとなったことが挙げられます。
通期業績予想および為替想定
一方、 通期連結業績予想については期初予想(売上高380.0億円、営業利益30.0億円)が維持 されています。これは、下期におけるTR事業の経費計上のタイミングや、海外情勢・為替変動リスクなどを慎重に見極めるためと考えられます。
- 想定為替レート : 1米ドル = 150.00円
- 為替感応度(年間) : 1円の円安変動につき、売上高 +1.00億円 、営業利益 +70百万円 のプラス影響
キャパシティ拡大に向けた戦略的投資(EU実験棟など)
同社は、急増する欧米顧客を中心とした海外需要に対応するため、 積極的な戦略的投資 を継続しています。
- 人財の大幅強化 : 連結社員数はFY3/23末の1,208人から段階的に増加し、FY3/27末には 1,676人 (CRO事業 1,337人)を見込んでいます。2026年6月末時点の新卒採用も150人となり、人材基盤の強化が進んでいます。
- 設備投資計画 : FY3/27の年間設備投資額は 110.8億円 (うちCRO事業NHP繁殖以外に78.4億円、NHP繁殖に21.4億円)を計画しています。
- 「EU実験棟」の着工 : 世界最高水準のNHP実験施設となる 「EU実験棟」 の建設に着手しており、2026年6月30日には地鎮祭が執り行われました。 2027年秋頃の完成 を目指しており、完成後は海外顧客向け試験キャパシティがさらに飛躍的に拡大する見通しです。
5. まとめと今後の焦点
新日本科学の2027年3月期第1四半期決算は、 主力の非臨床CRO事業が欧米バイオテックやグローバル製薬企業からの需要を確実に捉え、売上高・受注高ともにQ1として過去最高を更新 するという力強い結果となりました。
今後の注目点・焦点としては以下の項目が挙げられます。
- 海外受注の継続性 : 欧米およびアジア市場での高いリピート率(99%)と過去最高水準にある問い合わせ・見積提出件数を背景とした、今後の受注獲得ペース。
- 「EU実験棟」等の設備投資進捗 : 2027年秋完成に向けたEU実験棟の建設と、それに伴う将来的なキャパシティ増強・収益寄与の動向。
- TR事業における「Atzumi™」の米国展開 : パートナーリング契約の進展および自社販売体制構築の進捗スピード。
- 通期業績の着地 : 上期上方修正を踏まえた上で、下期の経費発生タイミングや為替動向に伴う通期予想の修正有無。
新日本科学は、新たな経営体制(永田会長CEO・平間社長COO体制)のもと、グローバル最高水準のCROサービス基盤の拡充を推進しており、今後の事業展開が引き続き注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。