
【2026年度第1四半期 決算深掘り】大和証券グループ本社、全部門での大幅増収増益により経常利益は前年同期比2倍の880億円を達成
StockClub
公開日時: 2026/08/03 11:44
Sentiment Analysis

大和証券グループ本社が発表した 2026年度第1四半期(2025年4月〜6月期)決算 は、中期経営計画の最終年度として非常に力強いスタートを切る結果となりました。市場不確実性が存在する環境下においても、活発化する企業および投資家のアクティビティを的確に捉え、 全ての事業セグメントにおいて大幅な増収増益 を達成しています。
本レポートでは、公表された決算資料に基づき、業績の全体像、各セグメントの詳細、ベース利益の推移、ならびに今後の成長戦略について詳しく解説します。
1. 決算ハイライト:主要経営指標の推移と全体像
まず、グループ全体の連結業績概要を確認します。 当第1四半期における 純営業収益は2,203億円(前年同期比+42.0%) 、経常利益は880億円(前年同期比+101.5%) 、親会社株主に帰属する純利益は564億円(前年同期比+80.6%) となり、大幅な増収増益を記録しました。年換算の ROE(自己資本利益率)は12.7% へと急上昇しています。

【上記スライドの重要性とデータの背景】
上記スライド(決算ハイライト)は、 今回の決算における最大の成果が一目で把握できる最も重要な資料 です。特に注目すべきは、主要セグメントであるウエルスマネジメント(WM)部門、アセットマネジメント(AM)部門、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング(GM&IB)部門の全てが前年同期比で大幅な利益成長を果たしている点です。 さらに、本資料の最後にも触れられている通り、 オリックス銀行の全株式取得(子会社化)を完了 しており、第2四半期以降の連結業績への取り込みによるさらなる業績底上げ効果が期待される構造となっています。
2. ベース利益の構造改革と拡大ペース
大和証券グループでは、市況変動の影響を受けにくい安定的な収益構造への転換を目指し、 「ベース利益(WM部門、証券AM、不動産AMの経常利益合計)」 の拡大を重要な経営目標(KPI)として掲げています。
当第1四半期における ベース利益は628億円(前年同期比+83.8%、前四半期比+15.5%) に達しました。これは中期経営計画の目標値である 年間1,500億円を大きく上回るペース で進捗しており、収益基盤の質的な転換が着実に行われていることを示しています。

【上記スライドの重要性とデータの背景】
上記スライド(連結経常利益とベース利益の推移)は、 グループの収益安定性と中長期的な成長ストーリーを裏付けるコア・データ です。過去数年間のグラフ推移を見ると、四半期ごとのベース利益が右肩上がりに拡大していることが確認できます。特にWM部門での残高ベース収益の増加や、AM部門での運用資産拡大が積み上がり、連結経常利益(880億円)の大部分を安定的なベース利益(628億円)が支える健全な構図が定着しつつあります。
3. セグメント別業績の詳細分析
ここからは、各セグメントにおける取り組みと実績について掘り下げます。
(1) ウエルスマネジメント(WM)部門
WM部門の 純営業収益は882億円(前年同期比+40.3%) 、経常利益は372億円(前年同期比+88.9%) となりました。

【上記スライドの重要性とデータの背景】
WM部門のスライドは、 「貯蓄から投資へ」というトレンドにおいて大和証券がどのように資産を集め、収益化しているか を示しています。良好な株式市場環境を追い風にエクイティ売買代金が拡大したほか、インフレ対策ニーズの受け皿として ラップ口座サービスや株式投資信託への資金流入が加速 しました。結果として、顧客資産残高に基づく 「残高ベース収益」は358億円 となり、過去最高を更新しています。残高ベース収益による固定費カバー率は125.7%まで上昇しており、堅固なコスト耐性を構築しています。
- 大和証券(WM本部) : ラップ口座サービスの契約資産残高は 6兆7,650億円(過去最高) を記録。株式投信の販売額も5,822億円と高い水準を維持しています。
- 大和ネクスト銀行 : 大和証券との連携による預金獲得が進み、預金残高は 5.3兆円 に拡大。政策金利の上昇局面にともない利鞘が拡大し、資金収益等・経常利益ともに大幅な増益(経常利益72億円、同+66.7%)を達成しました。
(2) アセットマネジメント(AM)部門
AM部門の 経常利益は303億円(前年同期比+105.5%) と過去最高を更新しました。
- 証券AM(大和アセットマネジメント等) : 良好な運用パフォーマンスと資金流入により、公募投資信託の運用資産残高が 43兆円 を突破(過去最高)。経常利益は 157億円(同+109.0%) と倍増しました。
- 不動産AM : AUM(運用資産残高)の積み上げが進み、 2030年度目標であったAUM 1.8兆円を前倒しで達成 (当期末1.81兆円)。物件売却益やREITからの収益も貢献し、経常利益は98億円(同+41.8%)を維持しています。
- オルタナティブAM : 一部投資先のエグジットによるキャピタルゲインの計上により、経常利益は 48億円 (前年同期の赤字から黒字化)へと急回復しました。
(3) グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング(GM&IB)部門
GM&IB部門の 純営業収益は765億円(前年同期比+53.6%) 、経常利益は227億円(前年同期比+354.0%) と顕著な伸びを示しました。
- GM(グローバル・マーケッツ) : 日本株・外国株ともに機関投資家およびWM顧客のフローが好調に推移。市場ボラティリティを捉えたポジショニング運営が奏功し、エクイティ収益が 287億円(前年同期比+84.0%) へと大幅伸長しました。
- GIB(グローバル・インベストメント・バンキング) : 大型POやCBなどのエクイティ案件(JX金属、日本航空、アドバンテスト等)や、社債・ベンチマーク債などのデット案件を獲得。M&Aアドバイザリーにおいても大型クロスボーダー案件や組織再編案件が貢献し、経常利益は 32億円(同+262.4%) となりました。
4. コスト構造、海外ビジネス、財務基盤の状況
収益が急拡大する一方で、コスト管理と財務の健全性についても安定した推移を見せています。
- 販売費・一般管理費(販管費) : 当四半期の販管費は 1,428億円(前四半期比+3.3%、前年同期比+20.0%) となりました。業績連動型の賞与や人件費改定(賃上げ)、取引増加に伴う支払手数料が増加したものの、収益の伸び(純営業収益前年比+42.0%)を下回る水準にコントロールされています。
- 海外ビジネス : 経常収支は 131億円の黒字(前年同期比+244.7%) と過去最高を更新。欧州市場ではM&Aが底堅く推移する一方、米国やアジア・オセアニア地域でのエクイティ収益拡大が全体を強力に牽引しました。
- 財務基盤 : 連結総資産は 39兆8,672億円 、純資産は 2兆773億円 となりました。バーゼルIII規制に基づく連結総自己資本規制比率は 20.06% 、連結Tier1比率は 20.00% と、法令規制基準を大きく上回る高い財務健全性を維持しています。
5. 総括と今後のポイント
2026年度第1四半期の大和証券グループ本社の決算は、 「資産運用立国」の追い風を受けた顧客アクティビティの向上 と、同社が推進してきた ストック型ビジネス(ベース利益)へのシフト が見事に噛み合った結果と言えます。
今後に向けた注目点としては、以下の要素が挙げられます。
- オリックス銀行連結化による相乗効果 : 第2四半期からの業績連結に伴い、預金基盤やローン資産の取り込みが金融・WMビジネスにどのようなインパクトを与えるか。
- ベース利益の拡大スピード継続性 : 過去最高水準にあるファンドラップや投信の残高拡大が今後も持続し、年間目標1,500億円をどの程度上振れて着地するか。
- 市場環境への対応 : 国内外の金利動向や株式市場のボラティリティ変化に対し、GM部門およびWM部門が柔軟に対応し高水準の収益を維持できるか。
全体の成長ストーリーと各事業のKPI推移は極めて順調であり、中期経営計画の達成に向けた確固たる進捗を示す決算内容であったと言えます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。