
【決算深掘り】アップガレージグループ 2027年3月期 第1四半期決算分析:リユース需要拡大と施策の奏功で過去最高業績を達成
StockClub
公開日時: 2026/08/03 11:41
Sentiment Analysis

株式会社アップガレージグループの 2027年3月期 第1四半期決算 (2026年8月3日発表)は、リユース市場の需要拡大と前事業年度に出店した新店舗の売上寄与、ならびに収益性改善施策の定着により、第1四半期として 過去最高の売上高および営業利益 を記録する極めて好調な決算となりました。
本レポートでは、同グループの第1四半期業績ハイライト、損益構造、事業セグメント別の詳細な状況、そして通期予想と今後の成長戦略について総合的に解説します。
1. 2027年3月期 第1四半期 業績サマリー
第1四半期の連結業績は、売上・各段階利益ともに前年同期を大きく上回る大幅な増益を達成しました。
- 売上高 : 3,969百万円 (前年同期比 +17.5% )
- 売上総利益 : 1,653百万円 (前年同期比 +20.2% 、粗利益率 41.6% )
- 営業利益 : 263百万円 (前年同期比 +55.1% 、営業利益率 6.6% )
- 経常利益 : 274百万円 (前年同期比 +71.7% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 181百万円 (前年同期比 +91.2% )
主力の リユース業態 において、カー用品・バイク用品の中古品需要が引き続き拡大していることに加え、前期にオープンした直営・FC新店の売上寄与が業績を強力に牽引しました。また、前期下期から実施した FCロイヤリティの値上げ効果 も利益面で大きく寄与しています。
以下のグラフは、過去数年間の四半期ごとの売上高と営業利益の推移を示したものです。

【スライド解説:売上高・営業利益 四半期推移(PAGE_4)】
このスライドは、同グループの業績が季節変動を伴いながらも 中期的に右肩上がりの成長曲線 を描いていることを明確に示しています。自動車用品業界は一般的に冬用タイヤ需要などが高まる第3四半期・第4四半期(下期)に売上・利益が偏重する季節的特徴を持ちます。しかし、2027年3月期第1四半期(1Q)の売上高 3,969百万円 および営業利益 263百万円 は、1Q単体として 過去最高水準 に達しました。前年同期(170百万円)と比較して営業利益が +55.1% と跳ね上がっており、ベースとなる収益力が着実に底上げされていることが見て取れます。
2. 損益構造・販管費および営業利益の増減分析
第1四半期における利益率の向上とコスト構造について分析します。
売上総利益率と営業利益率の改善
売上総利益率(粗利益率)は前年同期の40.7%から 41.6% へ**+0.9ポイント** 改善しました。買取販売力の強化や取付メニューの拡充、新品タイヤ・用品価格の上昇に伴う中古リユース品の販売単価上昇が粗利益率の押し上げに貢献しています。その結果、営業利益率も前年同期の5.0%から 6.6% へ**+1.6ポイント** 上昇しました。
販管費のコントロール
販管費合計は前年同期の1,205百万円から 1,389百万円 へ**+15.3%(+183百万円)** 増加しました。主な増加要因は以下の通りです。
- 人件費 : 663百万円(前年同期比 +105百万円 / +18.8% )… 2026年4月の新卒社員41名入社および店舗拡充に伴う人員増
- 地代家賃 : 154百万円(前年同期比 +25百万円 / +20.0% )… 新店オープンに伴う拠点増
人件費や新店出店費用により販管費の金額自体は増加したものの、大幅な増収効果によって 販管費率は前年同期の35.7%から35.0%へと0.7ポイント改善 しており、適切な費用コントロールが機能していることが窺えます。
営業利益の増減要因分析
営業利益が前年同期の170百万円から263百万円へと +93百万円増益 となった内訳は以下の通りです。
- 直営店 : +200百万円 (前期オープンの新店寄与および既存店の好調)
- フランチャイズ(FC) : +54百万円 (リユース需要拡大とロイヤリティ値上げ効果)
- 流通卸売 : △9百万円
- その他 : +31百万円
- 販管費の増加 : △183百万円 (新卒採用・新店等による人件費・物件費の増)
直営店とFCの利幅拡大が販管費の増加を十分に吸収し、全体として大幅増益を達成する構造となっています。
3. セグメント別動向①:リユース業態の強固な成長
同グループの売上高の約60%を占める リユース業態 (「アップガレージ」「ライダース」「サイクルズ」「ツールズ」等)は、非常に強いモメンタムを維持しています。
リユース業態の売上高内訳(百万円)
- 店舗売上(直営) : 1,803百万円 (前年同期比 +23.6% )
- フランチャイズ関連 : 366百万円 (前年同期比 +19.1% )
- EC手数料・WEB広告 : 64百万円 (前年同期比 +10.0% )
- 海外EC : 36百万円 (前年同期比 +11.2% )
- USA事業 : 74百万円 (前年同期比 +84.7% )
- リユース業態計 : 2,491百万円 (前年同期比 +20.4% )
店舗KPIの動向
直営店の 既存店売上高は前年同期比108.5% と極めて好調で、 16か月連続で前年同月実績を上回る 記録を達成しています。直営店の 客単価も13,510円 (前年同期12,450円)と着実に上昇しています。 また、FC関連においても 既存店売上高107.5% 、全店売上高110.7% と好調で、ロイヤリティ改定効果と相まってFC事業全体の収益力を高めています。
以下のスライドは、アップガレージチェーン全体の四半期売上高および買取金額の推移を示したものです。

【スライド解説:リユース業態 チェーン合計四半期推移(PAGE_11)】
このスライドは、直営店とFC店を合わせた 「アップガレージチェーン全体」の生態系の拡大 を示しています。1Qのチェーン合計売上高は前年同期比 +13.7%の6,896百万円 、チェーン合計買取金額は前年同期比 +7.6%の1,689百万円 に達しました。リユースビジネスにおいて「買取」は将来の販売仕入そのものであり、買取金額の右肩上がりの推移は 今後の販売規模拡大を担保する先行指標 となります。消費者側の節約志向や環境意識の高まりを受け、リユース品に対する需要と供給の双方が持続的に成長していることが確認できます。
4. セグメント別動向②:流通卸売業態の安定成長
売上構成の約40%を占める 流通卸売業態 も着実な拡大を続けています。
流通卸売業態の売上高内訳(百万円)
- タイヤ流通センター : 501百万円 (前年同期比 +8.1% )
- ネクスリンク(受発注プラットフォーム) : 976百万円 (前年同期比 +16.3% )
- 流通卸売業態計 : 1,478百万円 (前年同期比 +13.4% )
「タイヤ流通センター」は新規加盟が4店舗増加し、卸売売上が順調に推移しました。また、自動車関連事業者向けの受発注プラットフォームである「ネクスリンク」は、既存取引先の取引金額拡大および新規加盟店の獲得が進み、売上高は前年同期の839百万円から976百万円へと二桁成長を記録しました。
なお、ネクスリンクの取引拡大に伴い、流通卸売業態全体の売上総利益率は前年同期の10.9%から 9.0% へと低下していますが、これは取扱高の拡大によるプロダクトミックスの変化によるものです。
5. 通期業績予想・成長戦略および株主還元
2027年3月期 通期業績予想と進捗状況
グループは、通期の連結業績予想を据え置いています。
- 売上高 : 17,000百万円 (前期比 +10.5% )
- 営業利益 : 1,400百万円 (前期比 +26.8% )
- 経常利益 : 1,420百万円 (前期比 +25.7% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 910百万円 (前期比 +16.5% )
季節要因により業績は下期偏重となる構造ですが、1Q時点の売上高進捗率は通期予想に対して23.3%、 上期予想(7,741百万円)に対して51.3% となっています。営業利益においては、直営店新規出店の時期が期ずれした影響もあり、 上期予想(407百万円)に対する進捗率が64.6% に達しており、極めて順調なスタートを切ったと言えます。
以下のスライドは、通期業績予想の全体像と主要指標をまとめたものです。

【スライド解説:2027年3月期 業績予想(PAGE_22)】
本スライドは、同グループの通期成長ストーリーと資本効率目標を示しています。今期は売上高17,000百万円(+10.5%)、営業利益1,400百万円(+26.8%)を見込んでおり、継続的な二桁増益計画を掲げています。さらに重要な点として、 ROE(自己資本利益率)16.7% 、ROIC(投融資資本利益率)15.0% という高水準の資本効率目標が設定されていることです。直営7店舗・FC10店舗の新規出店計画や、アメリカ(USA)事業での通年寄与・収益化を進めることで、資本コストを明確に上回るリターンを創出する計画となっています。
出店計画と重点施策
年間での店舗網拡大計画は以下の通りです。
- 直営店 : 7店舗新規出店(1Q実績 0店舗)
- FC店 : 10店舗新規出店(1Q実績 2店舗)
- タイヤ流通センター : 30店舗新規加盟(1Q実績 4店舗)
- サイクルズ : 3店舗新規出店
- USA拠点 : 1店舗新規出店(通期3店舗体制へ)
また、法人買取の強化(1Q前年同期比147.8%)や新卒採用41名の即戦力化など、循環型ビジネスモデルの効率化と人的資本の強化を図っています。
株主還元方針(配当予想)
資本コストや株価を意識した経営(PBR・PER向上策)の一環として、株主還元を積極的に強化しています。
- 2027年3月期 予想年間配当金 : 1株当たり 42.5円 (前期実績 36.5円から +6.0円の増配 )
- 配当性向目標 : 中期経営計画に基づき 40.0% への段階的引き上げを目指す(今期予想配当性向 37.0% )
- 上場以来の連続増配 を継続する方針
株主優待の充実やサステナビリティ委員会の運営、IR活動の強化等を通じて市場との対話を深め、PERの向上ならびに企業価値の最大化を目指す姿勢が示されています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。