
株式会社ニッカトー 2027年3月期 第1四半期 決算ディープダイブレポート
StockClub
公開日時: 2026/08/03 11:37
Sentiment Analysis

株式会社ニッカトー 2027年3月期 第1四半期 決算ディープダイブレポート
1. エグゼクティブ・サマリー
株式会社ニッカトー(証券コード: 5367) の2027年3月期第1四半期(1Q)決算は、主力の電子部品業界向け需要が大きく回復したことに加え、自動車や重機関連の設備投資需要が堅調に推移したことで、 大幅な増収増益 を達成しました。
当第1四半期の連結業績は、 売上高31億7,500万円(前年同期比30.2%増) 、営業利益4億4,100万円(前年同期比136.4%増) 、経常利益4億7,800万円(前年同期比120.6%増) 、四半期純利益3億3,000万円(前年同期比171.2%増) となり、全ての利益項目で前年同期から倍増以上の顕著な拡大を見せました。
通期業績予想に対する1Q時点の進捗率は、売上高で 28.9% 、営業利益で 40.1% に達しており、中長期的な成長戦略「CONNECT30」の初年度として順調なスタートを切ったことが窺えます。
2. 事業概要とビジネスモデルの強み
ニッカトーは、主に セラミックス事業(売上構成比78%) とエンジニアリング事業(同22%) の2分野を展開しています。
- セラミックス事業 :耐摩耗性、耐熱性、機能性を有する産業用セラミックスの製造・販売。主力製品の粉砕用ボールは、スマートフォンやEV車、5G通信機器の重要部品である 積層セラミックコンデンサ(MLCC) や電池材料の製造工程において、 デファクトスタンダード(業界標準品) として国内主要メーカーから高いシェアを獲得しています。
- エンジニアリング事業 :工業用加熱装置や、温度センサ・計測機器等の設計・製造・販売を行っています。
最先端技術から基幹産業まで、幅広い部品・材料メーカーの生産工程を支える 「製造用部材・プロセステクノロジー」 が同社の強みの源泉となっています。
3. 中期経営計画「CONNECT30」と資本効率向上の取り組み
ニッカトーは、長期的な目指す姿として「“Reliable Company” 時代に必要とされる企業」を掲げ、中期経営計画 「CONNECT30」 を推進しています。
「CONNECT30」の3つの重点戦略
- 製品戦略の見直し (稼ぎ続ける力:不採算製品・商品の見直し、製品ポートフォリオの再編)
- 戦略投資の拡大 (新たな投資:生産効率向上、新技術開発、人的資本投資)
- サステナブル経営の加速 (持続的な成長:環境投資、ガバナンス強化、BCP体制構築)
資本効率・株主価値向上策(ROE・PER目標)
同社はPBRが0.59倍前後(2026年3月末時点)と低位で推移している状況を認識しており、資本効率の改善を最重要課題と位置付けています。
- ROE(自己資本利益率)目標 :8%以上 (2030年度目標:10%)
- PER(株価収益率)目標 :13〜15倍
- 具体的な施策 :収益性向上(原価低減・在庫圧縮)、資本効率改善(政策保有株式の縮小・見直し)、IR活動の強化、安定的な株主還元の拡充を一体的に推進しています。
4. 2027年3月期 第1四半期(1Q)業績ハイライトとP/L詳細
当1Qにおける売上高および各利益の着地状況と通期予想に対する進捗は以下の通りです。

スライドの重要性と背景解説(P/L概要)
上記のスライド(PAGE_11)は、 売上高の伸長が直接的に利益率の劇的な改善をもたらした損益構造 を明確に示しています。 1Q実績の売上高31億7,500万円(対前年同四半期+7億3,600万円)に対し、売上原価率は前年同期の 77.6%から72.9%へ4.7ポイント低下 しました。これは主力のセラミックス事業において受注増に伴う 工場稼働率の上昇 が起因しています。 また、販売費及び一般管理費比率も 14.7%から13.1%へ1.6ポイント低下 した結果、 営業利益率は7.7%から13.9%へ大きく上昇(+6.2pt) しました。通期計画(営業利益11億円)に対する1Q進捗率は 40.1% に達しており、1Q単体として非常に高い収益性を達成したことが示されています。
5. セグメント別業績の深掘り分析
(1) セラミックス事業:主力製品の需要回復と工場稼働率の改善
- 売上高 :24億8,400万円(前年同期比 30.3%増)
- セグメント営業利益 :3億9,100万円(前年同期比 136.2%増)
- セグメント利益率 :15.8%(前年同期は8.7%)
品種別では、電子部品業界の市況上昇を受けて 耐摩耗性セラミックスが16億4,100万円(前年同期比27.4%増) 、熱処理用部材などの 耐熱セラミックスが6億6,000万円(同50.6%増) と大幅に伸長しました。

スライドの重要性と背景解説(セラミックス事業の実績)
上記のスライド(PAGE_13)は、ニッカトーの収益の柱である セラミックス事業の四半期業績推移 を表しています。 注目すべきは、右側のグラフに示された 営業利益率の跳ね上がり(15.8%) です。過去数四半期の利益率(6.6%〜12.6%)と比較しても顕著な高水準となっています。この背景には、同社セラミックスの主な最終需要先である 一般電子部品(マーケット構成比55.4%) の在庫調整が一巡し、需要が本格回復したことに加え、中計で掲げる 不採算製品の見直し やコストコントロールの成果が着実に出始めていることが挙げられます。
(2) エンジニアリング事業:設備投資意欲の継続による増収増益
- 売上高 :6億9,000万円(前年同期比 30.0%増)
- セグメント営業利益 :5,000万円(前年同期比 137.3%増)
- セグメント利益率 :7.3%(前年同期は4.0%)
自動車・重機関連(構成比38.4%)や電子部品・半導体分野を中心とした設備投資の好調を背景に、 計測機器・その他が6億8,000万円(前年同期比33.6%増) と大きく伸び、利益率改善に貢献しました。
6. 営業利益の増減要因分析
前年同期の営業利益1億8,600万円から当期4億4,100万円への増益プロセスは、以下の要因に分解されます。

スライドの重要性と背景解説(営業利益増減要因)
上記のスライド(PAGE_17)のウォーターフォールチャートは、 利益成長を牽引した主要因 を可視化しています。 増益の最大の要因は、 セラミックス事業の売上増による利益押し上げ(+5億7,700万円) であり、エンジニアリング事業の売上増(+1億5,900万円)と合わせて、大きな限界利益を創出しました。 原材料費・エネルギー価格の上昇に伴う売上原価の増加(セラミックス△3億800万円、エンジニアリング△1億1,500万円)や、人件費・研究開発費等による販管費の増加(△5,800万円)といった押し下げ要因があったものの、 それを遥かに上回る売上高の拡大(量効果) によって、営業利益は 前年同期比2.5倍超 に膨らみました。
7. 財務基盤・キャッシュフローおよび株主還元方針
財務状態(B/S)とキャッシュフロー(C/F)
- 資産の状況 :2026年6月末時点の総資産は 191億5,500万円 (前期末比1.6%増)。受注増加に伴う棚卸資産の増加(29億3,300万円)や、投資有価証券の評価増に伴う投資その他の資産の増加(34億6,000万円)が主因です。
- 純資産・自己資本 :純資産は 146億6,400万円 (同3.7%増)となり、強固な財務基盤を維持しています。
- キャッシュフロー :営業活動によるキャッシュフローは前通期で16億7,500万円のプラスを確保しており、投資有価証券の見直しなどを進めつつ、健全な現預金水準(約40億3,400万円)を維持しています。
株主還元(配当予想)
ニッカトーは、適正な利益還元と安定的な配当の維持を基本とし、 配当性向30〜50% を目安としています。
- 2027年3月期 年間配当予想 :1株あたり23円 (前期実績21円から 2円増配 )
- 予想配当性向 :34.4%
業績の拡大を背景に、株主への積極的な還元姿勢を継続しています。
8. 通期業績予想と今後の展望
2027年3月期 通期業績予想
- 売上高 :110億0,000万円(前期比 11.4%増)
- 営業利益 :11億0,000万円(前期比 20.3%増)
- 経常利益 :11億5,000万円(前期比 17.0%増)
- 当期純利益 :8億0,000万円(前期比 15.5%増)
1Q進捗を踏まえた総括と注視点
当第1四半期は、会社側の1Q内部予測(売上高27.5億円、営業利益3.0億円)に対しても、実額で 売上高115.5% 、営業利益147.2% と大きく上振れて着地しました。 通期計画に対する進捗率は営業利益ベースで40%を超えており、極めて順調な推移を示しています。 今後は、スマートフォンやAIサーバー向けを中心とするMLCC需要の回復持続性に加え、原価低減施策の進捗、中計に基づく高付加価値製品の開発やBCP体制の強化などが、持続的な企業価値向上に向けたポイントとなります。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。