
【決算分析】エフアンドエム(4771)2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート
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公開日時: 2026/08/03 11:35
Sentiment Analysis

【決算分析】エフアンドエム(4771)2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート
バックオフィス支援サービスや中小企業向けコンサルティング、クラウド型人事労務ソフトを展開する株式会社エフアンドエム(証券コード:4771)の2027年3月期 第1四半期決算が開示されました。本レポートでは、公表された決算説明資料に基づき、同社の業績推移、セグメント別の成長要因、主要KPIの進捗、および中期経営計画に向けた成長戦略を包括的に解説します。
1. 2027年3月期 第1四半期 連結業績ハイライト
当第1四半期における連結業績は、主力各セグメントでの会員数の着実な増加に加え、コンサルティング事業での補助金採択報酬が寄与したことにより、 大幅な増収増益 を達成しました。
- 売上高 : 5,264百万円(前年同期比 +24.6% )
- 売上総利益 : 3,424百万円(前年同期比 +23.0% )
- 営業利益 : 797百万円(前年同期比 +82.4% )
- 経常利益 : 813百万円(前年同期比 +81.8% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 514百万円(前年同期比 +84.8% )
- EBITDA : 1,381百万円(前年同期比 +50.8% )

業績サマリーの解説とポイント
上記のスライド(連結業績サマリー)は、同社が当期において非常に力強いスタートを切ったことを示しています。売上高は前年同期から1,040百万円増加し、 売上高成長率24.6% を記録しました。営業利益率は前年同期の10.3%から 15.1%へ大幅に上昇 しており、売上増に伴うオペレーティング・レバレッジの効果が顕著に表れています。
1株当たり当期純利益(EPS)についても、前年同期の18.82円から 34.77円 へと大幅に跳ね上がっており、株主価値の創出が順調に進んでいることが確認できます。
2. 営業利益の増減要因分析と財務基盤
連結営業利益が前年同期の437百万円から797百万円へと360百万円増加した背景には、明確な収益・費用構造の変化が存在します。
利益増減の主な要因
- 売上高の拡大効果(+1,040百万円) : 会員基盤の拡大と補助金採択報酬の獲得が最大の増益要因となりました。
- 人件費の増加(▲268百万円) : 営業部門を中心に人員が前年同期比で57名増加したこと等により費用が増加しました。
- 業務委託料および支払手数料の増加(▲367百万円) : 事業拡大に伴い外部リソースの活用やシステム関連費用(業務委託料▲193百万円、支払手数料▲174百万円)が増加しました。
- 減価償却費および広告宣伝費の増加(▲172百万円) : 開発投資の進行による減価償却費(▲123百万円)やプロモーション費用(▲49百万円)が発生しました。
積極的に営業人員を拡充しつつも、それを上回るスピードで増収を果たすことで、 増益幅+82.4% を実現しています。
財務の健全性
当第1四半期末の総資産は19,705百万円(前期末比▲936百万円)となりましたが、流動負債の減少等により純資産は15,493百万円へと堅調に積み上がっています。 自己資本比率は78.6% と極めて高い水準を維持しており、将来の成長投資に向けた十分な財務余力を有しています。
3. セグメント別業績および主要KPIの状況
同社の事業は主に「アカウンティングサービス事業」「コンサルティング事業」「ビジネスソリューション事業」の3大セグメントで構成されています。
(1) アカウンティングサービス事業
個人事業主や法人向けに記帳代行等の会計サービスを提供する本セグメントは、安定した収益基盤を提供しています。
- 売上高 : 1,177百万円(前年同期比 +12.0% )
- 営業利益 : 349百万円(前年同期比 +18.6% 、営業利益率 29.7% )
- 会員数 : 117,377名(生保チャネル:107,429名、その他チャネル:9,948名)
生命保険チャネルにおける研修のオンライン化やインサイドセールスの導入により、フィールドセールスが商談に専念できる体制が構築され、会員数の拡大に繋がりました。また、 記帳処理のAIカバー率が93.4% に達しており、業務効率化による高い粗利益率・利益率を裏付けています。
(2) コンサルティング事業
中小企業向けバックオフィス支援「F&M Club」を柱とするセグメントです。
- 売上高 : 2,342百万円(前年同期比 +29.2% )
- 営業利益 : 781百万円(前年同期比 +58.2% 、営業利益率 33.3% )
- F&M Club会員数 : 15,132社(前年同期比で堅調増)
組織体制を従来の「新規営業」「顧客フォロー」の役割分担型から地域ごとの「一気通貫体制」へ移行したことで、契約継続率が向上しました。さらに、ものづくり補助金や大規模成長投資補助金などの 採択報酬として440百万円が計上 されたことが利益を大きく押し上げました。 また、2026年7月には 三菱UFJ銀行との業務媒介契約「F&M Club for MUFG」 を締結。全国237の提携金融機関との連携を強化し、中堅・中小企業のバックオフィス課題解決に深く食い込んでいます。
(3) ビジネスソリューション事業
クラウド型人事労務ソフト「オフィスステーション」を展開する、同社の成長ドライバーです。
- 売上高 : 1,648百万円(前年同期比 +33.6% )
- 営業利益 : ▲23百万円(前年同期の▲40百万円から赤字幅縮小)
- 「オフィスステーション」会員数 : 58,054ユーザー(企業:54,314、士業:3,740)

「オフィスステーション」主要指標の解説
上記スライドは、ビジネスソリューション事業のコア指標を示しています。SaaS型ビジネスにおいて最も重要な指標である MRR(月次定常収益)は489百万円 、ARR(年換算定常収益)は58.72億円 に到達しました。過去数年間の売上高 CAGR(年平均成長率)は37.0% と非常に高い成長スピードを維持しています。
解約率(churn rate)についても、労務1.01%、給与明細1.32%、勤怠1.82%、年末調整1.01%、士業向けPro 0.32%と 極めて低い水準 に抑えられています。新規獲得のための営業人件費等の先行投資により四半期営業利益は若干の赤字(▲23百万円)となっていますが、ストック収益の蓄積が極めて順調であるため、中長期的な収益化フェーズに向けた理想的な成長軌道を描いています。 さらに、社労士業務に特化した 生成AIツール「SRAISE」のリリース や、税理士向け「AI研究会」(456事務所が加入)など、最新テクノロジーを用いた付加価値向上策も推進されています。
4. 通期計画と中期経営計画(FY2026〜FY2028)の進捗
同社は、第1四半期の好実績を踏まえ、通期および中期経営計画の達成に向けて着実な進捗を見せています。
2027年3月期(通期)計画
- 売上高 : 24,694百万円(前期比 +18.7% )
- 営業利益 : 4,156百万円(前期比 +7.7% )
- 当期純利益 : 2,875百万円(前期比 +1.7% )
通期計画に対する第1四半期の進捗率は、売上高で21.3%、営業利益で19.2%となります。同社の業績は例年、下期(特にQ3・Q4)に比重が高まる傾向があるため、Q1時点での営業利益797百万円達成は極めて良好な進捗と言えます。

中期経営計画(3カ年計画)の解説
上記スライドは、2026年3月期から2028年3月期までの 3カ年計画における業績および各サービスの会員数目標 の推移を示したものです。
同社は、最終年度である 2028年3月期に「売上高300億円」「営業利益60億円」 という高い目標を掲げています。これを支える主要KPIの計画は以下の通りです。
- 会計サービス会員数 : FY2026実績 113,502 → FY2027予算 117,288 → FY2028計画 120,000
- エフアンドエムクラブ会員数 : FY2026実績 14,817 → FY2027予算 18,867 → FY2028計画 20,000
- オフィスステーションユーザー数 : FY2026実績 56,335 → FY2027予算 67,272 → FY2028計画 70,000
当Q1終了時点で、オフィスステーションは既に58,054ユーザー、F&M Clubは15,132社に達しており、中経の初年度・2年目として必要な顧客基盤の拡大が順調に進行していることが視覚的に理解できます。
5. 総括と今後の注視ポイント
エフアンドエムの2027年3月期 第1四半期決算は、 全セグメントでの会員数拡大 と補助金報酬等のスポット収益の重なり により、売上高・営業利益ともに前年同期を大きく上回る好決算となりました。
今後注目されるポイント
- ストック収益(ARR/MRR)のさらなる積み上がり : 「オフィスステーション」および「F&M Club」の契約数が想定通りのペースで増加し、ビジネスソリューション事業の損益分岐点通過がいつ頃になるか。
- 大手金融機関との提携成果 : 三菱UFJ銀行をはじめとする提携金融機関(237行庫)経由での顧客獲得ペースと、それに伴うクロスセル・アップセルの進捗。
- 生成AI領域での差別化戦略 : 社労士向け「SRAISE」や税理士向け「AI研究会」などの取り組みが、単価アップや解約率低減、新規会員獲得にどのようなシナジーをもたらすか。
同社は「サービスの水道哲学」を掲げ、バックオフィス支援業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。強固な顧客基盤と高利益率なストックビジネスモデルを背景に、中期経営計画(売上高300億円・営業利益60億円)に向けた足固めが着実に進んでいることが確認できる決算内容でした。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。