
【決算深掘り】フジ住宅(8860)2027年3月期 第1四半期決算:過去最高レベルの受注残高699億円を確立、ストック収益70%を誇るバランス経営の全貌
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公開日時: 2026/07/31 10:41
Sentiment Analysis

フジ住宅(8860)2027年3月期 第1四半期 決算ディープダイブレポート
フジ住宅株式会社の2027年3月期第1四半期(2026年4月〜2026年6月)決算が公表されました。前年同期に大型分譲マンションの引き渡しが集中した反動減や人件費・支払利息等の増加により、前年同期比では一時的な減収減益となったものの、 通期連結売上高1,450億円(過去最高目標) に対する進捗は極めて順調であり、すでに通期目標の 81.2%にあたる売上高が確定または見込み(受注残高・ストック収入) となっています。
本レポートでは、公表された決算説明資料から重要トピックを10項目抽出し、セグメント別の状況や財務構造、今後の成長戦略までを網羅的に解説します。
1. 決算ハイライト:1Q実績と過去最高を更新する受注残高
当第1四半期における連結実績は、 売上高352.78億円(前年同期比4.9%減) 、営業利益20.35億円(同19.2%減) 、経常利益17.15億円(同27.9%減) 、四半期純利益11.16億円(同30.4%減) となりました。
一見すると減収減益の決算ですが、これは前年同期に大型分譲マンションの引き渡しが集中していたための反動減が主因であり、会社側の事前の事業計画通りに概ね着地した内容です。

上記のスライドは、直近5期の第1四半期業績推移および主要な財務指標をまとめたものです。このスライドが極めて重要な理由は、 「損益計算書上の減収減益」と「先行指標である受注契約残高の急増」の対比 が明確に示されている点にあります。
売上高・各階層利益は前年同期を下回ったものの、将来の売上高の原資となる 受注契約残高は前年同期比18.5%増の699.80億円 に達し、第1四半期末として 過去最高水準を更新 しました。不動産販売事業は引き渡し基準を採用しているため四半期ごとに収益の偏りが発生しますが、先行指標である受注残高が大きく積み上がっていることは、今後の業績に対する強固な裏付けとなっています。
また、自己資本比率は 30.1% と健全なラインである30%台をしっかりと維持しており、財務の健全性を担保しながら積極的な事業展開を継続していることが確認できます。
2. 通期業績予想の公表と達成見通しの確度
期初時点では、中東情勢の緊迫化に伴う建築資材の供給不安や引き渡し時期への影響を見極めるため通期予想を未定としていましたが、供給環境の概ねの正常化を受け、今回 通期業績予想を公表 しました。
- 売上高 : 1,450.00億円 (前期比4.8%増・ 過去最高予想 )
- 営業利益 : 91.00億円 (前期比9.7%増)
- 経常利益 : 70.00億円 (前期比0.1%増)
- 当期純利益 : 46.00億円 (前期比3.3%減)
売上高1,450億円の達成見通しについては、極めて高い確度で計画が組み立てられています。
- 第1四半期連結売上高 : 352億円(進捗率 24.3% )
- 受注契約残高のうち当期売上予定分 : 553億円(貢献度 38.1% )
- 7月以降の賃貸及び管理の売上予定分 : 273億円(貢献度 18.8% )
これらを合計すると 1,178億円(通期目標の81.2%) が既に確実視される範囲にあります。残りの272億円についても、建売住宅や完成済み分譲マンション、中古住宅の短期回転販売、土地有効活用事業の追加受注により、十分に達成可能と見込まれています。
3. セグメント別業績の分析:明暗とストックの力強い下支え
各セグメントの動向を見ると、同社が掲げる「バランス経営」の強みが鮮明に表れています。

上記スライドは、各事業セグメントの売上高およびセグメント利益の対前年同期増減と構成比を示したものです。このデータが意味する最大のポイントは、 特定セグメントの反動減を他セグメントの成長でカバーする事業構造(相互補完体制) が機能している点にあります。
具体的には、分譲住宅セグメントが前年同期比44.1%減の78.30億円、利益比78.0%減の2.12億円と大きく落ち込んだ一方で、 住宅流通セグメントが売上高103.56億円(前年同期比52.6%増)、セグメント利益5.10億円(同126.3%増)と急拡大 しました。
さらに注視すべきは、 「土地有効活用」と「賃貸及び管理」の2事業を合わせたセグメント利益構成比が70.0%(17.51億円) に達している点です。景気変動の影響を受けにくいストック型・安定型の事業が全体の利益の大半を創出しているため、分譲マンションの引き渡し時期による四半期業績のブレを吸収できる安定的な収益体質が構築されています。
セグメント別の詳細状況
- 分譲住宅セグメント
- 自由設計住宅 は引き渡し戸数が154戸(前年同期比13.5%増)と順調。一方、 分譲マンション は引き渡しが31戸(前年同期は190戸)と激減したため大幅な減収減益となりました。ただし、今期の分譲マンション竣工引き渡しは 下期に集中(3棟/253戸) しているためであり、受注自体は極めて堅調です。
- 住宅流通セグメント
- 中古住宅需要の高まりを受け、戦略的な在庫積み増しが奏功。中古マンションの販売戸数は306戸(同24.4%増)、中古一戸建ても41戸(同78.3%増)と飛躍的に拡大しました。買取再販事業における圧倒的な仕入れ・販売ノウハウが業績を大きく牽引しています。
- 土地有効活用セグメント
- 個人投資家向け一棟売賃貸アパート(「フジパレス」シリーズ)やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の建築請負を展開。売上高は78.96億円(同3.2%増)と堅調であり、管理体制を含めた高い集客力により高稼働率( 97.8% )を維持しています。
- 賃貸及び管理セグメント
- 賃貸管理戸数は40,932戸 (前年同期比2,330戸増)、 サ高住の運営棟数は289棟 (前年同期比15棟増・ 全国No.1 )へと順調に拡大。売上高88.86億円(同7.7%増)、セグメント利益10.66億円(同5.7%増)と、毎期着実に積み上がるストック収益源として機能しています。
4. 受注契約残高の分析:未来の業績を約束する過去最高水準
フジ住宅の成長可能性を推し量る上で最も注目すべき指標が 「受注契約残高」 です。

このスライドは、各セグメントにおける受注契約残高の推移と前年同期比の伸びを精細にまとめたデータです。なぜこのスライドが重要かと言えば、 すべてのセグメントにおいて前年同期比で受注残高が増加している という事実を示しているからです。
全社合計の受注契約残高は 699.80億円(前年同期比18.5%増・109億円増加) となり、第1四半期末として過去最高を達成しました。
- 分譲住宅 : 316.44億円 (前年同期比 +36.3% )
- 引き渡しが下期へシフトしている分譲マンションの受注が積み上がり118.95億円(同+84.6%)となったほか、自由設計住宅も194.63億円(同+18.0%)と非常に力強い足元受注を示しています。
- 住宅流通 : 56.46億円 (前年同期比 +24.2% )
- 土地有効活用 : 309.66億円 (前年同期比 +1.8% )
- 一棟売賃貸アパートの受注契約残高は106棟(前年同期比15棟増)と順調に推移しており、通期で前期を上回る売上計上が見込まれます。
このように、すべての部門で案件が順調に積み上がっていることが、今期・来期の業績に対する大きな安心感に繋がっています。
5. 経営指標・財務戦略と株主還元政策
財務面と株主還元についても、同社の堅実かつ意欲的な姿勢が示されています。
- 財務健全性の維持 : 用地仕入れや在庫確保の強化に伴い、有利子負債が増加したことでネットD/Eレシオは 1.63倍 (前期末1.58倍から0.08Pt上昇)とわずかに上昇しました。しかし、自己資本比率は 30.1% をキープしており、安全性を高次元で保ちながらレバレッジを効かせた資金運用を行っています。
- ROEとPBRに関する考え方 : 2026年3月期のROEは 8.4% と資本コスト(想定)を上回っているものの、PBRは 0.51倍 と1.0倍を下回る水準にとどまっています。同社では、土地有効活用や賃貸管理といった高効率・高安定事業への投資を集中させるとともに、IR活動の強化を通じて市場評価の向上を目指しています。
- 配当政策(累進配当方針) : 安定配当を基本方針とし、2024年3月期に導入した 累進配当政策 を継続しています。2027年3月期の 1株当たり年間配当金は32円(中間16円・期末16円) を予定しており、配当性向は 24.9% を見込んでいます。また、株主優待制度の実施や自己株式取得など、総合的な株主還元を推進しています。
6. まとめと今後の注目ポイント
フジ住宅の2027年3月期第1四半期決算は、前年同期の大型物件引き渡しの反動による減収減益という見た目の数字以上に、 ビジネスモデルの堅牢性と将来の成長基盤が強固であることを立証する内容 でした。
今後の注目ポイント :
- 下期における分譲マンションの引き渡し集中による業績急回復の展開
- 高利回り・高需要が続く中古住宅買取再販(住宅流通)の拡大ペース
- 管理戸数4万戸超を基盤としたストック収益(賃貸及び管理)の積み上がり
- 過去最高水準にある受注残高(699.80億円)の確実な売上化
地域密着型の「バランス経営」と「ストック事業の強化」という独自の戦略により、同社が掲げる過去最高売上高1,450億円の達成に向けた進捗状況が引き続き注視されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。