
【FPG 2026年9月期 第3四半期決算】主力リースファンド事業が業績を強力に牽引、税制改正を乗り越える中長期成長ストーリーを徹底解剖
StockClub
公開日時: 2026/07/30 10:07
Sentiment Analysis

株式会社FPG(証券コード: 7148)の 2026年9月期 第3四半期(2025年10月〜2026年6月)決算 は、主力のリースファンド事業が過去最高の販売ペースを記録して全体業績を力強く牽引する一方、国内不動産ファンド事業も税制改正の影響から回復歩調を強める結果となりました。
本レポートでは、決算説明資料から読み取れる 10の重要トピック を軸に、同社の足元の業績、セグメント別の詳細、そして今後の成長戦略と税制改正への対応方針について多角的に分析・解説します。
1. 2026年9月期 第3四半期決算ハイライトと進捗状況
2026年9月期 第3四半期累計の連結業績は、 売上高514.1億円 (前年同期比43.3%減)、 営業利益176.1億円 (同8.6%減)、 経常利益176.4億円 (同12.6%減)、 親会社株主に帰属する四半期純利益121.0億円 (同12.0%減)となりました。
一見すると前年同期比で減収減益に見えますが、これは事業特性上の会計処理に起因するものです。国内不動産ファンド事業では不動産売却額そのものを売上高として計上するのに対し、リースファンド事業では組成・販売の手数料額を売上高として計上します。当期はリースファンド事業の比率が高まったことで売上高の表面上の数値が減少していますが、利益面での進捗率はきわめて順調です。

上記の連結業績スライドが示す通り、修正通期業績予想に対する各利益指標の進捗率は 営業利益76.1% 、経常利益77.2% 、親会社株主に帰属する当期純利益78.0% に達しており、第3四半期時点で目標ラインの75%を超過しています。 売上高経常利益率は34.3% (前年同期は22.3%)へ大幅に上昇しており、収益性の高い事業構造が維持されていることが伺えます。
2. リースファンド事業:過去最高の販売額を記録し業績を牽引
全社業績を牽引したのが、同社の第1の柱である リースファンド事業 です。第3四半期累計の売上高は 253.7億円 (前年同期比23.6%増)、売上総利益は 223.0億円 (同29.3%増)と大幅な増収増益を達成しました。通期予想に対する進捗率も売上高89.0%、売上総利益90.6%と極めて高い水準にあります。
特に注目すべきは、投資家からの圧倒的な需要を背景とした 出資金販売額の伸び です。

このスライドから読み取れる通り、第3四半期(4-6月)単体の出資金販売額は 751億円 となり、 四半期ベースでの過去最高額を更新 しました。第3四半期累計の出資金販売額も 1,833.0億円 (前年同期比8.3%増)に達し、通期予想2,105.1億円に対して 87.1%の進捗率 を記録しています。航空機や船舶、コンテナなどのオペレーティング・リースに対する法人投資家の繰延ニーズおよび運用ニーズが依然として極めて強固であることが立証されています。
3. 大型JOLCO案件の獲得と案件パイプラインの拡充
リースファンド事業の好調を支える大きな要因の一つが、グローバルな海運大手との強固な信頼関係に基づく 大型JOLCO(日本型オペレーティング・リース)案件 の組成力です。
2026年6月には、Ocean Network Express(ONE)社を賃借人とする国内造船所建造の 13,700TEU型新造コンテナ船4隻 を対象とした大型案件を受注しました。このうち2隻の販売を第4四半期に開始し、残る2隻も翌期にかけて順次販売する計画です。ONE社向けのJOLCO案件は累計10隻に達しており、安定した大型シリーズ案件の供給ラインが確立されています。さらに、これらの船舶は環境負荷を低減する先進設計(メタノール・アンモニア燃料転換対応、CO2回収装置対応)が施されており、優れた環境貢献と投資家の経済合理性を両立させています。
また、第4四半期には大型海運案件を中心に 2,000億円超の新規組成 を行う計画であり、通期での組成額は過去最高となる 5,785億円 を見込んでいます。
4. 個人向け新商品「F.bit」の好調な展開
同社は法人向けを中心とした従来のリースファンドに加え、個人投資家層の開拓を目的とした 個人向け航空機小口化商品「F.bit」 を展開しています。
「F.bit第1号」は発行口数を大幅に上回る応募を集め、抽選による即時完売を記録しました。この好調な実績を受け、2026年8月3日より「F.bit第2号」(IAGグループ傘下のスペイン最大級LCCであるブエリング航空を賃借人とする案件)の申込を開始しています。富裕層個人に対する新しい資産運用スキームとしての浸透が進んでおり、顧客基盤のさらなる拡大が期待されます。
5. 国内不動産ファンド事業:販売の回復と旗艦物件の組成
第2の柱である 国内不動産ファンド事業 は、税制改正大綱発表後の市場の見極め動きの影響を受け、第3四半期累計の売上高は 255.7億円 (前年同期比61.5%減)、売上総利益は 42.2億円 (同40.2%減)にとどまりました。進捗率は売上高で48.6%、売上総利益で47.8%となっています。
しかし、月次推移を見ると底打ちからの回復傾向が顕著です。月別販売額(申込ベース)は 4月16.9億円、5月24.0億円、6月28.7億円 と右肩上がりに拡大しています。
案件組成の面では、2026年6月末に表参道メインストリートのプライム立地に位置する 「FPGリンクス表参道V」を439億円で組成 しました。LVMHグループの「ロロ・ピアーナ」やスイス高級時計「タグ・ホイヤー」が入居する超優良フラッグシップ物件であり、これにより通期の組成予想734億円を達成(751億円)しました。さらに第4四半期には白金台物件の一棟売却(7月末売買契約締結予定)を予定しており、通期計画の達成に向けた販売の積み上げが進んでいます。
6. 海外不動産ファンド事業の再始動
第3の柱である 海外不動産ファンド事業 については、市場環境の変化を踏まえ案件厳選を行ってきた結果、第3四半期累計の売上高・売上総利益は0.4億円にとどまっていました。しかし、 約2年ぶりに新規組成の本格検討を再開 しており、通期予想57億円に向けた案件パイプラインの構築が進められています。
7. 税制改正への対応方針と中長期成長戦略
投資家にとって最も関心の高いトピックの一つが、 令和8年度税制改正大綱を踏まえた取組方針 です。
今回の税制改正により、不動産小口化商品における建物・土地の相続税評価方法が見直され、従来の「固定資産税評価額・路線価」から「通常の取引価額に相当する金額」への評価移行が提示されました。

上記のスライドで解説されている通り、評価方法の見直しによって従来の約7〜8割におよぶ圧縮効果は抑えられるものの、 「貸付事業用宅地等の小規模宅地等の特例(50%減額)」は引き続き適用可能 であり、相続対策における有用性は依然として維持されます。
同社は顧客やパートナー(会計事務所・地方銀行等)への丁寧な理解促進を進めると同時に、プライム立地の大型物件組成や運用ニーズ対応型商品、開発案件の推進を実施しています。これにより 2027年以降は再び成長軌道に回帰し、売上高1,000億円水準への復帰 を目指すという明確なロードマップを描いています。
8. 危機対応力(回復力と成長力)の歴史的トラックレコード
同社は創業以来、数々の税制改正や世界的な経済危機を乗り越えて事業構造を進化させてきた実績を持ちます。
- 2005年 リース関連税制改正 → 新商品開拓と市場信認の獲得によりリースファンドのリーディングカンパニーへ
- 2008年 リーマンショック / 2011年 東日本大震災 → 航空機案件の組成開始など対象資産の多角化
- 2020年 コロナ危機 → 航空機需要減退に対し海運(船舶・コンテナ)大型案件へシフト、さらに第2の柱として 国内不動産ファンド事業 を急成長させる
- 2020年 海外不動産税制改正 → 個人向けから法人向けスキームへの転換
- 令和8年 税制改正 → 運用型・開発型商品への多様化とプライム立地厳選による再成長戦略
環境変化が生じるたびに柔軟に事業モデルを順応させ、新たな成長の柱を構築してきた歴史は、同社の組織的な強みとなっています。
9. 財務基盤とコーポレート・ガバナンス体制
財務面においては、第3四半期末の 純資産合計が601.5億円 となり、前年度末比で29.7億円増加しました。棚卸資産(商品出資金・組成用不動産等)の回転率を高く維持しつつ、適切な手元資金と借入金を組み合わせた機動的な資金調達体制を整えています。
ガバナンス体制においては、 取締役7名中5名が独立社外取締役 であり、さらに 7名中3名が女性取締役(うち1名は外国人) で構成されています。監査役3名も全員が独立社外監査役であり、高い独立性と多様性を兼ね備えた意思決定・監督構造が構築されています。
10. 結論と今後の注目ポイント
2026年9月期 第3四半期決算を通じて、FPGの業績は リースファンド事業の強烈な伸び によってしっかりと支えられていることが明確になりました。
今後の注目ポイントは以下の通りです。
- 第4四半期におけるリースファンドの組成・販売ペース : 2,000億円超の大型組成計画と、販売目標達成に向けた推移。
- 国内不動産ファンドの売上積み上げ : 白金台物件の一棟売却および表参道V等の小口化商品の販売加速具合。
- 税制改正を受けた新スキーム・新商品の投入動向 : 2027年以降の売上高1,000億円再復帰に向けた具体的取り組みの進展。
同社は強固な収益基盤と高い危機対応力を武器に、変化する環境の中で着実な成長を模索しています。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。