
TISI(3626)2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート:主力IT・SI領域の好調と受注残高の拡大が支える堅調な成長軌道
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公開日時: 2026/07/30 09:57
Sentiment Analysis

1. エグゼクティブ・サマリー
TISI株式会社の2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月期)決算は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要やIT投資需要の堅調な拡大を確実に捉え、 前年同期比で増収増益 の好決算となりました。
売上高は1,501億1,1百万円(前年同期比7.0%増) 、営業利益は183億4,7百万円(同12.2%増) に達し、 営業利益率は12.2% (前年同期比+0.5ポイント)へ向上しました。また、当期純利益も 144億9百万円(同15.1%増) と大幅な伸びを示しています。
本レポートでは、業績ハイライト、収益構造の分析、セグメント別動向、受注環境、ならびに通期見通しと将来成長戦略について、開示資料に基づいて多角的に解説します。
2. 2027年3月期 第1四半期 業績ハイライトと損益構造
第1四半期における連結業績の概況は以下の通りです。売上高・営業利益・親会社株主に帰属する四半期純利益のすべてにおいて、前年同期を上回る進捗を見せています。

上記のスライドは、当第1四半期の業績ハイライトをまとめたものです。このスライドが示すように、売上高は 1,501億1,1百万円(前年同期比+97億9,4百万円、+7.0%) となり、デジタル変革を中心とした顧客の旺盛なIT投資需要を取り込むことに成功しています。
営業利益側面では、 183億4,7百万円(同+19億9,3百万円、+12.2%) を計上。売上高の伸び率(7.0%増)を上回るスピードで営業利益が拡大(12.2%増)した結果、 営業利益率は12.2% に達しました。
さらに、投資有価証券売却益などの 特別利益28億4,9百万円 を計上したこと等も寄与し、 四半期純利益は144億9百万円(同+15億8,9百万円、+15.1%) となりました。四半期純利益率は 9.6% (同+0.7ポイント)へ上昇しており、最終的な収益性の向上も顕著です。
3. 営業利益要因別増減分析と収益性向上の背景
営業利益の変動要素を細分化すると、増収に伴う利益創出と収益性向上の双方が貢献しています。
- 増収効果(+27.1億円) : 売上拡大に伴う直接的な限界利益の増加が最大の押し上げ要因となりました。
- 収益性改善(+1.1億円) : 高付加価値案件の推進等により、売上高総利益率は 27.6%(前年同期比+0.1ポイント) へ改善しました。なお、不採算案件の影響は ▲1.3億円 発生したものの、全体としての高い粗利率を維持・改善しています。
- 販管費の増加(▲8.4億円) : 継続的な人的投資および研究開発・ソフトウェア投資を含む成長投資に加え、 前年同期比+10億円の報酬投資 (人材確保・処遇改善)を実施したため、販管費が増加しました。具体的には販管費側の成長投資が+1.0億円、施策推進費が+4.1億円、合併関連費用が+1.9億円計上されています。
人件費等のコスト増加要因を増収効果と粗利率向上で吸収し、 営業利益+19.9億円増 を達成した構造は、質の高い案件獲得と生産性向上の取り組みが順調に進んでいることを示しています。
4. 顧客業種別の売上動向
顧客業種別の売上高推移を分析すると、金融分野および産業分野における特定業種、ならびに公共分野が全体を引っ張る形となっています。
- 金融分野(売上構成比 35.8%) :
- カード : 253億9,7百万円(前年同期比+8.5%)
- 銀行等 : 131億3,6百万円(同+11.0%)
- 保険 : 89億2,5百万円(同+10.1%)
- 金融機関全般においてモダナイゼーションやキャッシュレス推進に伴うシステム刷新投資が好調に推移しています。
- 産業分野(売上構成比 54.6%) :
- 組立系製造 : 148億円(同+18.5%)と高い伸びを記録。
- サービス : 439億8,3百万円(同+3.8%)と安定した基盤を形成。
- プロセス系製造 : 131億7,4百万円(同▲2.6%)と一部で反落が見られました。
- 公共分野(売上構成比 7.1%) :
- 公共 : 106億8,1百万円(同+14.8%)と力強い成長を見せました。
5. 主要セグメント別のパフォーマンス
各事業セグメントにおける第1四半期の動向は以下の通りです。

上のスライドは、主要セグメント別の損益状況を一覧化したものであり、事業ごとの収益構造のダイナミクスを理解する上で極めて重要なデータです。
- オファリングサービス :
- 売上高: 398億3,1百万円(前年同期比+9.9%)
- 営業利益: 16億4,3百万円(同▲5.0%) (営業利益率 4.1%)
- 概況 : 基盤系や決済分野のIT投資需要の拡大、海外事業の寄与で増収となった一方、決済分野における先行投資の増加や海外事業の一部収益性低下が影響し、減益となりました。
- BPM(ビジネスプロセスマネジメント) :
- 売上高: 110億5,0百万円(同+3.4%)
- 営業利益: 14億3,7百万円(同+1.0%) (営業利益率 13.0%)
- 概況 : 注力領域であるDX事業を中心に案件獲得が進み、増収増益を維持しています。
- 金融IT :
- 売上高: 258億1百万円(同+9.2%)
- 営業利益: 35億2,8百万円(同+18.4%) (営業利益率 13.7%)
- 概況 : クレジットカード系の根幹顧客に対する深耕や、システムのモダナイゼーションに関連する高付加価値ビジネスが奏功し、大幅な増益(+18.4%)を達成しました。
- 産業IT :
- 売上高: 340億7,7百万円(同+5.3%)
- 営業利益: 62億1百万円(同+21.4%) (営業利益率 18.2%)
- 概況 : サービス業や製造業をはじめとする幅広い業界でのIT投資拡大を取り込み、営業利益率は18.2%に達するなど高い収益性を発揮しています。
- 広域ITソリューション :
- 売上高: 458億5,5百万円(同+4.7%)
- 営業利益: 52億7,1百万円(同+9.0%) (営業利益率 11.5%)
- 概況 : 生損保や医療系、モダナイゼーション案件を軸に需要を拡大させています。
6. 受注環境と将来収益の裏付け(受注高・受注残高)
今後の業績推移を占う上で、受注動向は極めて視認性の高い先行指標です。

上記スライドが示している通り、 期末受注残高は1,725億7,3百万円(前年同期比+9.7%) へと拡大しており、将来の売上基盤が極めて堅固に構築されていることが分かります。
- 当期受注高 : 1,117億円(前年同期比+11.3%) と力強く増加。
- 中でもコアとなる 「ソフトウェア開発」の当期受注高は789億1,9百万円(同+12.5%) と好調です。
- セグメント別では、オファリングサービスの受注高が 271億5,8百万円(同+41.9%) 、産業ITが 279億6,1百万円(同+15.1%) と大きく伸長しました。
- 期末受注残高の構成 : ソフトウェア開発の受注残高は1,181億5百万円(同+12.6%) となり、前年同期から132億円以上積み上がっています。オファリングサービス(同+19.0%)や産業IT(同+12.4%)が受注残高の積み上げを牽引しており、第2四半期以降の業績展開を支える十分なバックログが確保されています。
7. 2027年3月期 通期業績予想と進捗状況
2027年3月期の通期連結業績予想については、期初公表計画からの変更はありません。
- 売上高 : 6,200億円(前期比+3.9%)
- 営業利益 : 810億円(前期比+6.3%)
- 営業利益率 : 13.1%(前期比+0.3ポイント)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 : 570億円(前期比+22.3%)
- 1株あたり当期純利益(EPS) : 271.70円(前期比+32.6%)
- ROE : 17.5%(前期比+3.5ポイント)
中期経営計画(2024-2026)における最重要経営指標である「EPS CAGR 10%」および「ROE 16%超」の達成に向けて計画通りの進捗を見せています。特に、投資有価証券の売却方針に基づく特別利益50億円の織り込みなどにより、当期純利益は前期比で+22.3%の大幅増を見込んでいます。
通期の営業利益増減計画(前期比+47.7億円)においても、+40億円の報酬投資や成長投資(+14.5億円)を織り込みつつ、増収効果(+68.4億円)や高付加価値ビジネス提供による収益性改善(+43.1億円)によって売上高総利益率を 29.0% まで引き上げる計画となっています。
8. 戦略的イニシアチブとAI時代の成長策
TISIは単なる既存ITシステムの運用・開発にとどまらず、生成AIやAI技術の活用を通じた新たな価値創出と事業成長の加速を図っています。
- AI活用の一貫支援ブランド「IntegriA(インテグリア)」 :
- コンサルティング(戦略立案)からAI基盤・モデル開発、組織定着、運用・効果創出までを一貫して支援する体制を構築。
- 200名のAI・データサイエンティストと200名の関連コンサルタントをあわせた 400名超の専門体制 を組織し、エンタープライズ領域におけるAI導入支援を通じて 5年後に売上高100億円 を目指しています。
- 次世代決済プラットフォーム「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」の進化 :
- 決済領域に特化した「Vertical AI」と専門人材・ノウハウを掛け合わせ、ストック型事業の拡大を見据えた高度な決済プラットフォームへと進化させています。
- ステーブルコインやオンチェーン金融、エージェンティックコマース等の先端テーマへのアプローチを強化しています。
9. 結論と総合評価
TISIの2027年3月期第1四半期決算は、金融ITや産業ITを中心とする活発なIT投資需要を背景に、 増収増益と利益率向上を両立させた極めて着実な内容 となりました。
ソフトウェア開発における 受注高(+12.5%)および受注残高(+12.6%)の力強い増加 は、今期の通期業績予想(営業利益810億円)達成に向けた高い透明性を提供しています。さらに、「IntegriA」などのAIシフト策や「PAYCIERGE」の進化といった中長期的な構造改革施策も並行して着実に推進されており、中期経営計画の目標達成に向けた基盤が整っていることが示された決算であったと括ることができます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。