
【アズーム 2026年9月期 第3四半期決算】受託台数・ARRともに過去最高を更新!AI活用による生産性向上と中期経営計画2030への成長ストーリー
StockClub
公開日時: 2026/07/30 09:56
Sentiment Analysis

株式会社アズーム(証券コード:3496)の2026年9月期 第3四半期決算資料より、業績の全体像、主要KPIの推移、独自のAI活用戦略、および中長期的な成長ビジョンについて総合的にまとめました。
主力である月極駐車場のサブリース事業を中心にストック収益が順調に積み上がっており、過去最大の採用コストやオフィス増床コストを吸収しながら 大幅な増収増益 を達成しています。
1. 2026年9月期 第3四半期 業績ハイライトと進捗状況
アズームの2026年9月期 第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)の連結業績は、主要財務指標のすべてにおいて前年同期を大きく上回る極めて堅調な推移を示しました。
- 売上高 : 122億6,500万円 (前年同期比 +26.4% )
- 売上総利益 : 50億4,200万円 (前年同期比 +25.4% )
- 営業利益 : 21億5,100万円 (前年同期比 +26.6% )
- 経常利益 : 21億4,400万円 (前年同期比 +26.7% )
- 親会社株主に帰属する四半期純利益 : 15億2,900万円 (前年同期比 +26.8% )
通期連結業績予想に対する進捗率は、売上高で 72.1% 、営業利益で 68.3% 、四半期純利益で 69.5% となっています。サブリース事業は物件獲得後に契約が積み上がるストック型の特性を持つため、下期にかけて収益認識が加速する構造にあります。第3四半期時点で過去最大の採用コスト等を消化しつつこの進捗率を確保していることは、計画達成に向けた順調な着地を示唆しています。

上記のスライドは、第3四半期実績と通期予想、およびその進捗率を一覧化したものです。売上高・営業利益ともに 前年同期比で約26%増 という高い成長率を維持しており、営業利益率も 17.5% と高水準をキープしています。受託拡大に伴う先行コスト(保証賃料や人件費)が発生する中で、ストック収益の拡大がしっかりと利益に結実していることが読み取れます。
2. 駐車場サブリース事業の成長と主要KPI(受託台数・稼働率・ARR)
同社の主軸事業である遊休資産活用事業の「駐車場サブリースサービス」は、分譲マンションやオフィスビルなどの附置義務駐車場を中心に受託台数を急速に拡大させています。
受託台数と稼働率の推移
第3四半期末時点の月極駐車場受託台数は 42,432台 に達し、当四半期(3Q単体)のみで 2,546台の純増 (今期累計では 7,051台の純増 )を記録しました。急激な受託台数の拡大局面においても、稼働台数は39,530台(QoQ +2,247台)まで増加し、 期末稼働率は93.2% と高い水準を維持しています。
ARR(年間定常収益)の伸び
ストック型収益の指標となる ARR(Annual Recurring Revenue)は167億8,500万円 に達し、前年同期比で +31.2% 、前四半期比(QoQ)でも +4.2% と右肩上がりの成長を続けています。この167億円を超えるストック収益基盤が、翌四半期以降の安定した業績の土台となります。
駐車場紹介サービスと保証委託サービス(株式会社鉄壁)
- 駐車場紹介サービス : 自社ポータルサイト「カーパーキング」を経由した累計問い合わせ件数は 351,346件 と過去最高を更新。サブリース契約の稼働率を高める強力な集客エンジンとして機能しています。
- 賃料保証委託サービス(鉄壁) : サブリース契約の増強やポータルサイト利用拡大に伴い、保証委託契約数は 28,023件 を突破し、安定的なストック手数料収入の増加に寄与しています。
3. AIプロダクト「SYNAPSE」による営業生産性の劇的な向上
アズームの成長を牽引する最大の戦略的要素が、社内AI基盤 「SYNAPSE(シナプス)」 の活用による営業生産性の向上です。
同社は事業拡大に伴い、過去最大規模(約100名)の採用活動を展開し、リーシング営業部門を中心に組織を大幅に強化してきました。通常、大量採用は新人の教育コストや一時的な生産性低下を招きますが、同社ではAIテクノロジーを現場に組み込むことでこの課題を克服しています。

上記のスライドは、入社1年以内の営業担当者における 「1人あたり平均成約台数」 の推移を示したものです。2025年3月時点での「6.54台」から、2026年3月(本格導入後)には 「10.09台」へ飛躍的に向上 しています。
「SYNAPSE」は、顧客対応の自動化や最適なマッチング提案、営業活動データの可視化を支援するツールです。これにより、新任担当者の独り立ちまでの期間が大幅に短縮され、 未経験者でも短期間で高い成果を出せる体制 が整備されました。この生産性向上が、受託台数の大量獲得と高稼働率の維持を同時に達成する原動力となっています。
4. セグメント別業績および営業利益増減要因の分析
セグメント別業績
- 遊休資産活用事業 : 売上高 120億6,200万円 (YoY +26.4% )、セグメント利益 21億2,900万円 (YoY +24.4% )。サブリースサービスのストック収益拡大が主因です。
- ビジュアライゼーション事業 : 売上高 2億600万円 (YoY +26.1% )、セグメント利益 2,400万円 (前年同期差 +3,500万円 となり黒字幅拡大)。CGパース関連の受注回復に加え、ラボ型オフショアCG制作の拡大や効率化が奏功しています。
前年同期比での営業利益増減要因
第3四半期の営業利益は、前年同期の16億9,800万円から21億5,100万円へと +4億5,300万円の増益 となりました。その内訳は以下の通りです。
- プラス要因 :
- 賃料収入の増加: +18億8,000万円
- 手数料収入の増加: +3億8,900万円
- その他サービス関連(粗利増): +1億1,500万円
- グループ子会社の営業利益: +1億5,700万円
- マイナス要因(先行投資・原価増) :
- 駐車場オーナー等への支払賃料増加: △15億2,900万円
- 人件費・採用コスト増: △4億3,100万円
- オフィス賃料・増床移転コスト: △1億1,100万円
受託物件の獲得に伴う「支払い賃料」や、将来の成長のための「人材採用費」「オフィス増床費」といったコストを積極的に投入しながらも、それを大幅に上回る賃料・手数料収入を獲得する 強い収益創出力 が示されています。
5. 中期経営計画「2030」に向けた成長ロードマップと株主還元
アズームは、2026年9月期を初年度とする新しい中期経営計画(FY2026-FY2030)を推進しています。

上記のスライドは、2030年9月期に向けた売上高および営業利益の成長計画を示したロードマップです。
中期経営目標の数値指標(2030年9月期)
- 売上高 : 500億円 (2025年9月期実績134億円からの5年 CAGR 30% )
- 営業利益 : 125億円 (同26.1億円からの5年 CAGR 37% )
- 営業利益率 : 25%
- 月極駐車場受託台数 : 12万台以上
- ROE(自己資本利益率) : 40%の水準を維持
AI活用(プロジェクトSYNAPSE)による業務効率化と人員増強を組み合わせることで、事業のスケールメリットを最大化し、利益率を18.5%(今期予想)から25%へと引き上げる計画です。
株主還元方針(配当・DOE)
- 配当予想 : 2026年9月期の年間配当予想は 1株当たり126円 (前期比 20円の増配 、中間63円・期末63円)。
- 還元方針 : DOE(連結株主資本配当率)20%以上 の水準維持を掲げ、原則として減配を行わない 累進配当 を実施する方針です。
まとめ
アズームの2026年9月期 第3四半期決算は、 サブリース契約の順調な積み上げ(受託台数4.2万台・ARR 167.8億円) と、 AIツール「SYNAPSE」導入による営業生産性の向上 が噛み合い、コスト先行投資をこなして大幅な増収増益を達成した内容と言えます。
今後は受託台数のさらなる拡大とともに、AIを活用したオペレーションの高速化を進め、2030年に向けた売上高500億円・営業利益125億円という野心的な目標の実現に向けた取り組みが注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。