
フィード・ワン 2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート:収益構造改革と「トン当たり利益」拡大が結実し1Q過去最高益を達成
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公開日時: 2026/07/30 09:51
Sentiment Analysis

フィード・ワン株式会社(証券コード: 2060)の2027年3月期第1四半期(1Q)決算は、売上高・各段階利益ともに前年同期を上回り、 1Qとして過去最高益を達成 する非常に堅調な決算となりました。外部環境における原材料コストの不透明感が残るなか、同社が推進してきた「数量拡大型」から 「付加価値・ソリューション型」への事業モデル転換 が奏功し、主力の畜産飼料事業を中心に収益性の改善が大きく進展しています。
本レポートでは、公表された決算補足説明資料に基づき、業績ハイライト、経営方針の変遷、セグメント別の詳細動向、財務基盤、ならびに長期ビジョンまでを統合的に解説します。
1. 2027年3月期 第1四半期 業績ハイライト
同期の連結業績は、売上高が 78,443百万円 (前年同期比+9.0%)、営業利益が 2,140百万円 (同+45.0%)、経常利益が 2,360百万円 (同+26.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益が 1,761百万円 (同+7.6%)となりました。
全社業績を牽引したのは、主力の 畜産飼料事業における収益性改善 と食品事業の黒字化 です。配合飼料の原料価格高騰に対する適切な価格改定の実施、および高付加価値製品の販売増が粗利益率の押し上げに寄与しました。また、現金創出力の指標であるEBITDAは 3,448百万円 (同+20.2%)に達し、通期予想に対する進捗率も27.0%と良好な滑り出しを見せています。
| 項目 | 2026年3月期 1Q | 2027年3月期 1Q | 前年同期比 | 通期予想進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 71,973百万円 | 78,443百万円 | +9.0% | 24.7% |
| 営業利益 | 1,476百万円 | 2,140百万円 | +45.0% | 25.2% |
| 経常利益 | 1,862百万円 | 2,360百万円 | +26.7% | 26.8% |
| 四半期純利益 | 1,637百万円 | 1,761百万円 | +7.6% | 27.1% |
| EBITDA | 2,869百万円 | 3,448百万円 | +20.2% | 27.0% |
2. 経営方針とビジネスモデルの変遷:薄利多売からの脱却
配合飼料業界は元来、原料の大半を海外からの輸入穀物に依存する薄利多売型の装置産業であり、トウモロコシ相場や為替の変動といった外部環境が損益に直結しやすいビジネス構造を有しています。こうした事業特性を踏まえ、同社は従来の売上高追及・販売数量拡大の経営から、 「トン当たり利益」を最重要指標に据えた経営方針 へ大きく舵を切りました。

なぜこのスライドが重要なのか(スライド4の解説)
上記のスライドは、同社の 事業モデル転換のロジックと成長ドライバー を視覚的に解説した最も重要な概念図です。同社は課題であった「外部環境に左右される構造」を克服するため、幼齢期飼料や暑熱対策飼料といった製品性能の差が出やすい高付加価値製品の拡販や、代替原料(昆虫タンパク等)の活用、製造品目削減を通じたコスト削減を推進しています。
右下のグラフが示す通り、畜産飼料のトン当たり利益(経常利益ベース)は、完全統合元年である2015年度の 1,523円/トン から、2025年度には 2,818円/トン へと 約1.8倍に拡大 する見込みです。単なる「量の追求」ではなく「質の高さを伴う利益創出」への転換が進んでいることが、今回の1Q過去最高益達成の根底にあります。
3. セグメント別業績の深掘り分析
各セグメントの業績動向を概観すると、畜産飼料および食品事業が増益を達成し、魚粉高騰の影響を受けた水産飼料事業の減益をカバーする構造となっています。

なぜこのスライドが重要なのか(スライド7の解説)
このスライドは、各事業セグメント(畜産飼料、水産飼料、食品事業、その他)の売上高、セグメント利益、EBITDAの数値を網羅し、 全社業績の構造的バランス を一目で把握できる表です。全報告セグメントで売上高が増加しており、特に主力の畜産飼料事業が堅調な利益成長を支えている構造が明瞭に示されています。
以下に各セグメントの背景要因を詳述します。
(1) 畜産飼料事業:収益性重視の徹底による増益
- 売上高 : 59,012百万円(前年同期比+4.6%)
- セグメント利益 : 2,702百万円(前年同期比+16.6%)
主力の畜産飼料事業では、とうもろこし輸入価格の上昇に伴う価格改定の実施と、販売数量の維持(903千トン、前年同期比+0.2%)により増収となりました。市場全体では鶏用を中心に流通量が増加(+0.6%)した一方、豚・牛用市場は減少傾向にありました。しかし、同社は新製品や代用乳の拡販により豚・牛用飼料の数量を伸ばし、 豚牛比率の向上および新製品の好調 による粗利益の拡大(利益インパクト+574百万円)を実現しました。
(2) 水産飼料事業:魚粉相場高騰による一時的な採算圧迫
- 売上高 : 7,818百万円(前年同期比+50.1%)
- セグメント利益 : 210百万円(前年同期比▲30.4%)
主要魚種の養殖尾数増加を背景に、販売数量は30千トン(前年同期比+62.2%)と大幅に伸長し、売上高も大きく増加しました。しかし利益面においては、 魚粉輸入価格が統計開始以来の最高値圏で推移 したことで原料価格高騰の打撃を受け、粗利益が圧迫されました(利益インパクト▲458百万円)。同社では昆虫タンパク製品や無魚粉飼料などの 魚粉代替製品の拡販 を推進しており、数量要因で+463百万円の利益押し上げ効果を得たものの、全体としては減益となりました。今期2Q(10月)には2回目の価格改定が予定されています。
(3) 食品事業:新工場安定稼働と価格条件見直しによる黒字化
- 売上高 : 11,610百万円(前年同期比+12.2%)
- セグメント利益 : 110百万円(前年同期は▲14百万円の赤字)
鶏卵部門において、鶏卵相場は前年同期比▲7.4%と低下したものの、マジックパール株式会社の新工場(2025年3月に稼働開始)が安定稼働したことによりコスト効率が向上し、大幅な増益(+125百万円)を達成しました。食肉部門においても、豚枝肉相場が高値圏で推移するなか、販売価格条件の見直しを進めたことで利益水準を回復させ、事業全体として 黒字化を達成 しました。
4. 財務基盤とキャッシュ・フローの状況
売上拡大に伴い運転資本が増加したものの、同社の財務健全性は引き続き極めて高い水準を維持しています。
- 総資産 : 2027年3月期1Q末時点で 135,782百万円 (前期末比+2,763百万円)。売上拡大に伴う売上債権の増加等により流動資産が81,325百万円へ拡大しました。
- 自己資本比率 : 前期末の46.4%から 46.1% と、引き続き安全性の高い水準を確保しています。
- DEレシオ : 前期末の0.40から 0.39 に改善し、有利子負債のコントロールが適切に行われています。
- キャッシュ・フロー : 営業活動によるキャッシュ・フローは +2,287百万円 の収入を創出し、現金及び現金同等物期末残高は 11,831百万円 (前期首比+737百万円)と手元流動性を十分に確保しています。
5. 通期業績予想と今後の見通し
現時点において、通期業績予想に変更はなく、当初計画通りに推移しています。
- 売上高 : 317,000百万円
- 営業利益 : 8,500百万円(1Q進捗率 25.2%)
- 経常利益 : 8,800百万円(1Q進捗率 26.8%)
- 当期純利益 : 6,500百万円(1Q進捗率 27.1%)
2Q以降の見通しとして、畜産飼料事業では為替やエネルギーコスト上昇のリスクがあるものの、暑熱対策飼料の拡販等による収益性改善を維持する見込みです。水産飼料事業については魚粉価格の高止まりが継続する予想ですが、魚粉代替製品の積極的な展開と 10月に予定されている価格改定 によって採算の挽回を図ります。食品事業では暑熱による畜産物供給減少に伴う相場高騰の懸念を注視しつつ、採算重視の展開を継続します。
6. 長期ビジョン(2025.3〜2034.3期)と成長ストーリー
同社は、飼料の安定供給という社会的使命を果たしつつ企業価値を飛躍的に高めるため、10年間に及ぶ長期ビジョン「第2フェーズ(2025.3〜2034.3期)」を策定しています。

なぜこのスライドが重要なのか(スライド18の解説)
このスライドは、同社の 今後10年間にわたる長期ロードマップと目指すべき主要財務KPI を一概に示す重要なビジョン・スライドです。過去の「第1フェーズ(経営統合と事業基盤の確立)」を経て、現在は「第2フェーズ(継続的収益力の強化と生産体制の刷新・増強)」の入り口である「1stステージ(2025.3〜2027.3期)」に位置しています。
1stステージの目標値である EBITDA 115億円、ROE 8%以上、ROIC 6%以上 に向け、総投資額約600億円(2025.3〜2030.3期)を計画的に投入しています。さらに、最終年度となる2034.3期には以下の野心的な長期定量目標を掲げています。
- 畜産飼料市場シェア : 20%以上 (現状約15%)
- EBITDA : 160億円以上
- ROE : 10%以上
- ROIC : 8%以上
- 総投資額 : 約800億円 (2025.3〜2034.3期累計)
生産体制の刷新や自動化・省力化投資を進めると同時に、資本効率(ROIC・ROE)を意識した経営を徹底することで、持続的な企業価値向上を狙うストーリーが明確に描かれています。
7. まとめ
フィード・ワンの2027年3月期第1四半期決算は、薄利多売構造からの脱却を目指した「付加価値・ソリューション型」へのシフトが実を結び、 「トン当たり利益」の向上を通じた収益基盤の強化 が順調に進んでいることを実証する結果となりました。
水産飼料における魚粉価格高騰などの外部要因による下振れリスクに対しては、代替原料製品の開発・拡販や適正な価格改定によって柔軟に対応しています。堅健な財務基盤と豊富な営業キャッシュ・フローを原動力として、長期ビジョンに向けた設備投資や資本効率重視の経営手法が着実に浸透しており、今後の成長戦略の実行とその成果が注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。