
株式会社マクアケ(4479)2026年9月期 第3四半期決算分析:過去最高の取扱高・プロジェクト単価を更新し、通期業績予想を大幅上方修正
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公開日時: 2026/07/28 09:53
Sentiment Analysis

株式会社マクアケの2026年9月期第3四半期決算は、 四半期取扱高および売上高で過去最高を更新 し、非常に堅調な成長を証明する内容となりました。主力サービスであるアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」において、AIガジェットや高機能家電をはじめとする大型プロジェクトが相次ぎ誕生したことが業績を強力に牽引しています。
本レポートでは、決算資料から読み取れる10の重要トピックを軸に、同社の業績ハイライト、KPIの推移、費用構造、そして通期業績予想の上方修正や中期経営計画の進捗について、詳細に解説します。
1. 3Q業績ハイライト:大幅な増収増益と過去最高の取扱高
2026年9月期第3四半期(3Q単体)の業績は、 売上高1,579百万円(前年同期比+21.6%) 、営業利益276百万円(前年同期比+74.3%) となりました。第3四半期累計(1Q-3Q)で見ても、 売上高4,392百万円(前年同期比+31.1%) 、営業利益844百万円(前年同期比+101.0%) と、大幅な増収増益を達成しています。
この業績成長の根底にあるのが、プラットフォーム上の総合取引指標である 取扱高の記録的な拡大 です。

上記のグラフが示す通り、2026年9月期第3四半期の取扱高は 6,216百万円(前年同期比+27.2%、前四半期比+21.7%) に達し、四半期ベースとしての 歴代最高額を更新 しました。これまで4,000百万円〜5,000百万円台で推移していた四半期取扱高が、一気に60億の壁を突破した背景には、大型・高単価プロジェクトの創出とサポーター(購入者)の強い購買意欲が挙げられます。
2. 最重要KPIの構造分解:プロジェクト単価の著しい上昇
同社の主力事業における月次応援購入金額(=取扱高)は、 「月中アクティブプロジェクト件数」×「月次プロジェクト単価」 に分解されます。3Qにおける各KPIの動向は以下の通りです。
- 月中アクティブプロジェクト件数 :1,055件(前年同期比+2.5%)
- 月次プロジェクト単価 :188万円(前年同期比+22.2%)

このスライドは、同社の成長メカニズムを理解するうえで最も重要なデータのひとつです。プロジェクト件数が1,055件と堅調な横ばい〜微増で推移しているのに対し、 プロジェクト単価が188万円と過去最高額を大幅に更新 していることが分かります。
単価急上昇の背景には、ガジェット・家電ジャンルを中心とした獲得施策の成功と、AI技術を活用したプロジェクト分析(Makuake Insight)等によるターゲット層への精度高いアプローチが功を奏している点があります。件数を無理に追うのではなく、1件あたりのプロジェクト価値を高める戦略が見事に結実しています。
3. ヒットプロジェクトの動向:歴代応援購入額の記録更新
3Qにおいて特筆すべきは、 プラットフォーム全体の歴代記録を塗り替える超大型プロジェクト が複数誕生したことです。
- 「Rokid スマートAIグラス」 :7,413人のサポーターから 6億3,673万円 の応援購入を集め、Makuakeにおける歴代応援購入金額1位の記録を約5年ぶりに更新しました。
- 家庭用プロジェクター「Elfin Flip」 :公開1時間で5,000万円、24時間で2億円を突破し、Makuake史上最速で5億円を突破。最終的に 歴代1位の記録をさらに塗り替える 快挙を達成しました。
これらの事例は、単なる資金調達の場にとどまらず、「先端テクノロジーや次世代デバイスを世の中に初お披露目する(Debut)最優良なマーケティングプラットフォーム」としての位置づけを強固にしたことを示しています。
4. 顧客基盤の広がり:大手ナショナルブランドと地方・SDGs案件
同社プラットフォームの活用領域は、新興スタートアップや中小企業から、大手ナショナルブランドへも広がっています。
- 中小・スタートアップ企業 :AIスマートリング(6,813万円)や完全ワイヤレス高圧洗浄機(1億9,453万円)など、自社の強みであるAIガジェットや高機能家電分野が大きく伸びています。
- 大手企業(ナショナルブランド) :NTTドコモ 、ミズノ 、ロゴスコーポレーション 、西川 などが新事業・新カテゴリ創出の場として定着。新規事業のリスクを抑えつつ、顧客の反響をダイレクトに検証する手段として浸透しています。
- 地域創生・SDGs :1150年の歴史を持つ「京都祇園祭」を守るクラウドファンディングや、サステナブルな日本酒、未利用資源(いよかんの皮など)を活用したアップサイクル商品など、共感度の高いSDGs関連プロジェクトの多様化も進んでいます。
5. 収益性・コスト構造および先行投資の状況
収益構造においては、売上高に対するテイクレート(手数料率等)および販管費のマネジメントがポイントとなります。
- テイクレートと売上総利益 :3Qのテイクレートは 27.9% と超大型プロジェクト創出に伴う調整で前四半期比で微減となったものの、取扱高の急増により 売上総利益は1,143百万円(前年同期比+19.1%) と順調に成長しました。
- 販管費の動向 :3Qの販管費は 867百万円(前年同期比+8.2%) となりました。評価制度改定に伴うベースアップや人件費増(403百万円)および開発保守費の増加が要因ですが、トップラインの伸びがこれを上回ったことで高い営業利益率( 17.5% )を維持しています。
- 戦略的先行投資 :データ基盤整備、Makuakeの新機能開発、AIを活用した「Makuake Insight」の機能強化などに積極投資を実施。3Qに予定していた投資の一部が4Qへ時期ずれしたことも、3Qの営業利益上振れに寄与しています。
6. PDGサイクル(Plan-Debut-Growth)の深掘りと展開
マクアケは単なるクラウドファンディング事業から、商品の企画から拡販までを一気通貫で支援する 「共感循環プラットフォーム(PDGサイクル)」 への進化を図っています。
- Plan(企画) :新商品開発支援ツール「Makuake Insight」にAI機能を搭載。AIチャットボットが事業者のヒアリングを行い、蓄積された生活者の生の声を分析・抽出することで、開発の意思決定をサポートします。
- Debut(デビュー) :Makuake上での先行販売に加え、「Makuake GINZA TOUCH LOUNGE」(ソフトバンク銀座)などのリアルな体験型ポップアップを開催。オフラインでの体験価値最大化を図っています。
- Growth(拡販) :「Makuake STORE 楽天市場店」の運用を強化。特設ページ「Diggly」の開始や「楽天ショップ・オブ・ザ・マンス」の受賞など、テストマーケティング終了後の一般販売ルートとしての成果が着実に拡大しています。
7. 通期業績予想の大幅な上方修正
第3四半期までの極めて好調な業績進捗を受け、同社は 2026年9月期の通期業績予想の上方修正 を発表しました。

上方修正後の主要な数値計画は以下の通りです。
- 取扱高 :20,700百万円(前期比+17.3%) ※過去最高見込み
- 売上高 :5,400百万円(前期比+18.0%)
- 営業利益 :670百万円 〜 800百万円(前期比+49.8% 〜 +78.9%)
- 経常利益 :670百万円 〜 800百万円(前期比+41.0% 〜 +68.3%)
- 当期純利益 :590百万円 〜 700百万円(前期比+44.9% 〜 +71.9%)
前期に引き続き売上高・利益ともに 2桁成長 を実現する見通しであり、特に営業利益はレンジ下限でも前期比約1.5倍、上限では約1.8倍となる大幅な増益計画となっています。
8. 中期経営計画の「1年前倒し」達成見通しと今後の展望
現在進行中の中期経営計画(2025年9月期〜2027年9月期)において、同社は最終年度(2027年9月期)の目標として 売上高52億円、営業利益7億円 を掲げていました。
しかし、今回修正された2026年9月期の通期予想(売上高54億円、営業利益6.7億〜8.0億円)により、 中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成することが視野に入った 状況です。これに伴い、同社は通期着地を見極めつつ、新たな成長イメージや次期計画の策定を進めています。
まとめ
株式会社マクアケの2026年9月期第3四半期決算は、大型・高単価案件の成功による 取扱高とプロジェクト単価の過去最高更新 、PDGサイクルによるプラットフォーム価値の向上 、そして 通期業績予想の上方修正と中計目標の1年前倒し達成の可能性 など、非常にポジティブなトピックが揃った内容となりました。下期においても競争力強化に向けた先行投資を継続しながら、持続的な成長軌道を歩んでいます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。