
株式会社リップス (373A) 2026年8月期 第3四半期決算ディープダイブレポート:メンズビューティ市場の成長を牽引する戦略と展望
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公開日時: 2026/07/16 10:29
Sentiment Analysis

株式会社リップス(証券コード: 373A)は、男性向けヘアサロンを源流とし、美容感度の高い若年男性に認知された「LIPPS」ブランドの男性向け化粧品の企画・開発・販売、およびサロンフランチャイズ事業を展開しています。2026年8月期第3四半期決算は、同社の成長戦略と市場におけるポジショニングを明確に示す内容となりました。
2026年8月期 第3四半期業績ハイライトと通期進捗
2026年8月期第3四半期(2025年9月1日~2026年5月31日)の 累計売上高は3,399百万円 となり、通期予想の4,748百万円に対し概ね順調に進捗しています。特に、主力の 商品事業は累計で3,116百万円 を計上し、20代の顧客層を中心に継続的な購入が続いていることが示されています。一方、サロンフランチャイズ事業は累計で283百万円となりました。
営業利益は累計で522百万円、営業利益率は15.4%を記録しました。コスト構造を見ると、広告宣伝・販売促進費は計画通り消化され、商品カテゴリごとのプロモーションが積極的に実施されています。また、事業拡大に向けた人材投資や組織力向上にも注力しており、第3四半期末までに16名の人材が入社しています。外部環境としては、中東情勢の緊迫化による原油・ナフサ由来原材料の価格改定や供給不足問題が指摘されていますが、当期の業績への影響は限定的であると判断されています。
これまでの売上高の推移を見ると、同社が着実に成長を続けてきたことがわかります。特に2022年8月期以降、売上高は大きく伸長しており、その勢いが継続していることが示唆されます。

この「決算のポイント」スライドは、 第3四半期までの業績の全体像と、今後の成長ドライバー、そして外部リスクへの対応 を簡潔にまとめています。特に、売上高の推移グラフは、同社の成長軌跡を視覚的に捉える上で非常に重要です。通期予想に対する進捗状況が「概ね順調」と評価されている点、そしてシャンプー&トリートメントが次の成長の柱として期待され、その配荷が拡大している点が、今後の事業展開を理解する上で鍵となります。また、原材料価格高騰リスクへの言及は、事業運営におけるコスト管理の重要性を示唆しています。
セグメント別詳細分析と成長ドライバー
商品事業においては、チャネル別の動向が注目されます。第1四半期および第3四半期には卸小売チャネルで商品の棚替えが発生したものの、 EC販売の伸長が全体売上を牽引 し、販売全体では前年並みの水準を維持しました。これは、多様な販売チャネルを効果的に活用する同社の戦略が奏功していることを示しています。特に、Amazon、楽天、ZOZO、自社ECサイトといったプラットフォームを通じた販売が、顧客接点の拡大に貢献しています。
シャンプー&トリートメント事業は、今後の成長の柱として位置づけられています。現在、約12,000店舗の小売店への配荷を達成しており、インフルエンサー施策やコラボレーション企画を通じて新規顧客の獲得を目指しています。昨年10月に発売された「フェイススタイリングシリーズ」のミニサイズ展開や、人気インフルエンサーを起用した広告掲載など、 新商品投入とマーケティング施策が積極的に展開 されています。
同社の過去の財務実績を見ると、売上高、経常利益、純資産・ROEともに着実な成長を遂げてきたことが明らかです。特に、ヘアワックスの拡販がトップラインの成長を牽引してきた歴史があり、これが現在のブランド基盤を築いています。

このスライドは、 同社の過去の財務パフォーマンスの軌跡 を明確に示しており、その成長の堅実性を裏付ける重要なデータです。売上高が継続的に増加しているだけでなく、経常利益もそれに伴って伸長していることは、事業の収益性が維持されていることを示唆します。また、純資産の増加とROEの推移は、 資本効率の改善と企業価値の向上 への取り組みを反映しています。特に、2022年8月期以降の急成長は、同社の事業戦略が市場に受け入れられ、具体的な成果に結びついていることを物語っています。
2026年8月期通期業績予想と要因
2026年8月期の通期業績予想では、 売上高4,748百万円(前期比+7.7%) を見込む一方で、 営業利益705百万円(前期比△25.7%)、経常利益705百万円(前期比△25.0%)、当期純利益489百万円(前期比△24.9%)と増収減益 が予想されています。
この増収減益の背景には複数の要因があります。商品事業では、新規配荷の落ち着きや新商品リリース間の事業年度であることから、売上高の伸びが鈍化すると見込まれています。また、既存商品の新規顧客獲得策やマーケティング費用が増加する計画です。サロンフランチャイズ事業は、業界全体の人材流動化の影響を受け、売上高が前期比△20.6%の減収となる見込みです。さらに、中長期的な事業拡大を目指した組織体制強化のため、全社的に人件費が前期比22.0%増加するなど、 先行投資に伴う費用増 が利益を圧迫する主な要因とされています。
財務状況については、第3四半期末時点で 自己資本比率91.0% と高い水準を維持しており、健全な財務基盤が確認できます。
中長期成長戦略と2030年売上高100億円目標
同社は、 2030年に売上高100億円 という野心的な目標を掲げ、メンズビューティ市場の「スタンダード」となることを目指しています。この目標達成に向け、以下の4つの成長戦略の柱を推進しています。
- スタイリング剤のシェア拡大: コア事業であるスタイリング剤の維持・強化を最優先とし、「マットハード」や「ザ・グロス」を軸に、美容感度の高い層から初心者、高価格帯から低価格帯まで幅広いターゲット層へのアプローチを強化します。メンズヘアワックス市場におけるブランドシェアのさらなる拡大を目指します。
- シャンプー&トリートメントのシェア拡大: 男性向け美容系シャンプー市場は未確立であり、女性・ユニセックスブランド利用の男性への販売拡大を狙います。小売店への配荷を約7,000店舗拡大する余地があり、スタイリング剤との同時購入を促すプロモーションを展開します。
- スキンケア、メイクアップ商品の拡大: ECチャネルを中心に、中価格帯の男性スキンケア市場での商品認知度向上とリピート顧客の囲い込みを目指します。2025年10月には「印象をスタイリングする。肌も。」をコンセプトとしたスキンケア新商品を発売しており、サロン・ECを中心としたプロモーションを強化します。
- 新規事業領域への拡大(M&Aを含む): お客様のライフスタイルに合わせた「カッコつけたい」という価値提供のため、サロンサービスやコスメ商品を通じて提供できる新たな事業機会を探索し、M&Aも視野に入れています。

この「メンズビューティのスタンダードとしての成長」スライドは、 同社の長期的なビジョンと、それを実現するための具体的な戦略フェーズ を明確に示しています。2030年売上高100億円という目標は、同社の成長意欲の高さを示すものであり、その達成に向けた4つの戦略の柱は、 既存事業の深掘りから新規領域への拡大まで、多角的なアプローチ を計画していることを物語っています。特に、スタイリング剤をコアとして、シャンプー&トリートメント、スキンケア・メイクアップへと商品領域を広げ、最終的には新規事業やM&Aを通じてメンズビューティ市場の「スタンダード」を目指すというロードマップは、同社の持続的な成長ストーリーを理解する上で不可欠な情報です。
成長を支える投資と株主還元
中長期的な成長投資の方向性として、同社は 人的資本への先行投資 、コミュニケーション施策などマーケティングコストの継続的投下 、周辺プロダクトの開発検討 、そして 新規事業領域への拡大(M&Aを含む) を挙げています。これらは、持続的な成長を実現するためのケイパビリティ向上と、ブランド価値の確立に向けた戦略的な投資と位置づけられます。
株主還元については、2026年8月期より 株主優待制度を新設 することを発表しました。これは、8月末時点の株主名簿に記載された100株以上保有の株主に対し、自社ECサイトで利用できる5,000円分のクーポンコードを贈呈するというものです。配当については、中長期的な事業拡大と財務の健全性を優先する段階であるとし、具体的な実施時期は未定とされています。
結論
株式会社リップスは、メンズビューティ市場という成長分野において、 強力なブランド力と明確な成長戦略 を持つ企業です。2026年8月期第3四半期決算は、通期予想に対し順調な進捗を示しつつも、中長期的な成長に向けた先行投資が利益を一時的に圧迫する見込みです。しかし、スタイリング剤を核とした既存事業の強化、シャンプー&トリートメントやスキンケア・メイクアップといった周辺領域への拡大、そして新規事業探索を含む多角的な成長戦略は、 2030年売上高100億円目標達成への道筋 を具体的に示しています。健全な財務基盤と積極的な投資姿勢は、今後の持続的な成長を支える要素となるでしょう。株主優待制度の新設は、株主への感謝とエンゲージメント強化の一環と位置づけられます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。