
ジグザグ (340A) 2026年5月期 通期決算ディープダイブレポート
StockClub
公開日時: 2026/07/16 10:18
Sentiment Analysis

ジグザグ(証券コード: 340A)は、2026年5月期の通期決算において、売上高は過去最高を更新し、主要KPIも順調に推移しました。一方で、来期は戦略的な先行投資を計画しており、一時的に利益率が低下する見込みです。本レポートでは、同社の決算内容、成長戦略、そして今後の見通しについて詳細に分析します。
I. 2026年5月期 通期業績ハイライトと要因分析
2026年5月期の通期業績は、 売上高が15.0億円(前年同期比+6%) と過去最高を更新しました。しかし、 営業利益は2.9億円(前年同期比-10%) 、純利益は2.3億円(前年同期比-19%) となり、利益面では前年を下回る結果となりました。これは、主に米国の関税政策変更による一時的な消費マインド低下や、中東情勢緊迫化による原油価格高騰、DDP(関税元払い方式)対応などの外部環境要因が影響したと説明されています。売上高の進捗率は92%、営業利益の進捗率は88%でした。
地域別の売上高動向を見ると、 海外売上高比率は95% を占めており、その大部分はアジアと北米が牽引しています。北米市場では米関税政策変更の影響で一時的な減速が見られましたが、アジア地域は引き続き堅調な成長を維持しています。
同社の主要KPIである 月間Activeショップ数は1,335(前年同期比+22%) 、月間リピートカスタマー数は6,306(前年同期比+6%) と、いずれも前年同四半期比で継続的に増加しており、事業基盤の拡大を示しています。
これまでの売上高と営業利益の推移は以下のグラフで示されています。
このグラフは、 売上高が継続的に成長している一方で、営業利益は変動があること を示しています。特に2025年5月期第4四半期から2026年5月期第2四半期にかけて外部環境の影響を受けましたが、第3四半期、第4四半期には回復傾向に転じています。直近の2026年5月期第4四半期の売上高は 4.1億円と過去最高を更新し、前年同期比+19%の成長 を達成しました。営業利益も80百万円と高い収益性を維持しています。
主要KPIの推移も継続的な成長を示しています。
このスライドは、 月間リピートカスタマー数と月間Activeショップ数が着実に増加していること を明確に示しています。リピートカスタマー数の増加は、顧客ロイヤルティの向上と継続的な売上貢献を示唆し、Activeショップ数の増加は、同社のサービスがより多くの事業者に採用され、プラットフォームの規模が拡大していることを意味します。これらのKPIの成長は、将来の売上高成長の重要なドライバーとなると考えられます。
II. 収益構造と主要KPIの連動
ジグザグの収益は、主に 取扱高(GMV)とテイクレート(手数料率) によって構成されます。GMVを成長させるためには、ショップのファン増加、海外販売に取り組むショップ数の増加、そしてリピートカスタマー数とActiveショップ数の増加が重要であると説明されています。
取扱高(GMV)の詳細を見ると、地域別では北米が米関税政策の影響で減速したものの、 アジアは前年同期比+7%と堅調に成長 しています。ショップカテゴリ別では、ANIME&TOYS_GAMESカテゴリが一時的に減少しましたが、これは特定のエンタメ分野への需要が底堅く、一時的な影響と見込まれています。
コスト構造においては、売上高に対する広告宣伝・販促費比率が4%と非常に低い水準に抑えられています。これは、海外からのアクセスがすでに存在するため、 効率的な集客が可能であること を示唆しています。支払手数料は売上高に連動して推移し、人件費はプロダクト開発および管理体制強化を目的とした投資により増加傾向にあります。売上原価は売上高拡大に応じて効率化される構造です。
III. 成長戦略と市場機会
ジグザグは「 世界にファンをつくる 」というビジョンを掲げ、単に海外にモノを売るだけでなく、世界中のカスタマーとショップを「気持ちよく繋ぐ」ことを目指しています。このビジョンを実現するため、同社は「機能」「感情」「行動」の3層構造でサービスを提供しています。
同社がターゲットとする市場は非常に大きく、成長ポテンシャルが高いとされています。
- 日本のECで「買いたいけど買えない」外国人向け市場 : 約8,800億円と推計され、毎年成長しています。
- 越境EC市場 : 10年で8倍成長が予測されており、特にアジア圏を中心に所得水準が向上していることから、海外からの購買力増加が見込まれます。
- 訪日インバウンド市場 : 政府目標である2030年訪日6,000万人に向けて、インバウンド消費は継続的に拡大し、2030年には旅ナカ消費が15兆円に達すると見込まれています。
これらの巨大な市場機会を捉えるため、同社は 「旅マエ強化」「旅ナカ強化」「旅アト集約」 の3つの柱を軸とした成長戦略を推進しています。具体的には、ショップの集客支援、データ活用とShop Successの戦略支援、オフラインとオンラインの接点創出、AIを活用したオペレーション強化、そして人員体制の構築を進めています。
WorldShopping BIZは、海外向けに商品を出すことなく、自社ECをそのまま海外対応にできるという ユニークなポジショニング を確立しており、他社商品と並べて比較されることのない販売機会を提供しています。
IV. 2027年5月期 事業計画と中長期ロードマップ
2027年5月期の事業計画では、 売上高18.0億円(前年同期比+20%) を見込んでいます。一方で、 営業利益は2.12億円(前年同期比-27%) 、営業利益率12% と、一時的に利益率が低下する見込みです。これは、将来の成長に向けた 戦略的な先行投資 を積極的に行うためと説明されています。
来期の事業計画の詳細は以下の通りです。
このスライドは、 2027年5月期の売上高が大幅な成長を見込む一方で、営業利益が一時的に減少する計画 であることを示しています。この利益減少は、既存事業への投資強化や、台湾法人における新規取り組みなどの戦略的先行投資によるものです。これらの投資は、翌期以降に利益として還元されることを想定しており、中長期的な成長を見据えた判断であると説明されています。
先行投資の具体的な内容は、引き続きショップの集客力向上を目指し、インバウンド支援モデルや台湾を起点とした施策を機動的に行うこと、既存事業への投資に加え、本格稼働する台湾法人における新しい取り組みなどが挙げられます。
中長期ロードマップとしては、まず 台湾での実証 を起点とし、短中期では 訪日インバウンド市場である北米・欧州への拡大 を目指します。長期的には、世界のショップとカスタマーをつなぐグローバルなプラットフォームを構築することを目指しています。
特に台湾市場への越境EC支援強化においては、5月に台湾法人を設立し、現地でのポップアップイベント開催やOMO(Online Merges with Offline)戦略を推進しています。これにより、日本のショップのブランドの台湾進出とEC売上拡大を牽引する狙いです。また、ジグザグ台湾とW2株式会社との業務連携を開始し、日系企業の台湾・アジア進出における包括的な支援体制を構築しています。
まとめ
ジグザグは2026年5月期において、売上高を過去最高に更新し、主要KPIも順調に成長を続けています。外部環境による一時的な利益への影響はあったものの、直近四半期では回復基調にあります。2027年5月期は、将来の成長に向けた戦略的な先行投資を行うことで、一時的に利益率が低下する見込みですが、これは中長期的な成長を見据えた積極的な経営判断と位置付けられます。巨大な市場機会を背景に、台湾を起点としたグローバル展開や、旅マエ・旅ナカ・旅アトを強化する戦略を通じて、持続的な成長を目指す方針が示されています。今後の先行投資の効果と、中長期ロードマップの進捗が注目されます。
個別の投資に関する推奨やアドバイスを提供することを意図しておりません。ここで述べられている意見や見解は、あくまでも各記事の個人的見解です。