
六甲バター 2026年12月期中間期決算:主力チーズの好調とミツヤ連結で増収も、原材料・為替逆風で通期利益を下方修正。新中計と株主還元拡充へ
StockClub
Published: Sep 10, 2026, 09:52 AM
Sentiment Analysis

六甲バター 2026年12月期第2四半期(中間期)決算ディープダイブ
エグゼクティブサマリー
- 中間期業績実績 :売上高は 269億600万円 (期初計画比+1.5%)、営業利益は 7億8,500万円 (同▲28.6%)となり、 期初計画比で増収減益 で着地。
- 事業動向 :主力「ベビーチーズ」やTVCMを展開した「チーズデザート6P」が市場平均を大きく上回る好調を維持。完全子会社化したミツヤグループとのシナジーも発現し売上を牽引。
- 利益圧迫要因 :中東情勢緊迫化等による包装資材の価格高騰(平均10%以上の上昇)や、想定を10円以上上回る大幅な円安進行、人件費・労務費の増加が利益を押し下げ。
- 通期計画修正 :売上高550億円を据え置く一方、包材高騰や円安継続、7月の熊本工場被災影響を織り込み、通期営業利益を 15億円 (当初計画23億円から▲34.8%)へ 下方修正 。
- 資本政策・株主還元 :下限配当20円・ 配当性向40%以上 への方針変更、自己株式取得(約12億円)の実施、株主優待拡充(QUOカード1,000円追加)など還元姿勢を大幅に強化。
1. 2026年12月期 中間期連結業績の概況
六甲バターは2025年12月期第4四半期より連結決算へ移行しており、今期中間期は新たな連結体制下での進捗が注目されました。実績は、売上高が期初計画を上回ったものの、コスト環境の急激な悪化を受けて利益面では計画未達の着地となっています。

中間期の実績データ概要
- 売上高 :26,906百万円 (計画比 +406百万円 / +1.5%)
- 営業利益 :785百万円 (計画比 ▲315百万円 / ▲28.6%)
- 経常利益 :831百万円 (計画比 ▲169百万円 / ▲16.9%)
- 親会社株主に帰属する中間純利益 :613百万円 (計画比 ▲87百万円 / ▲12.4%)
- 売上高営業利益率 :2.9% (計画比 ▲1.3pt)
営業外損益においては、受取利息配当金(138百万円)や為替差益(90百万円)のプラス要因があった一方、関連会社支援費用(95百万円)や支払利息(75百万円)が発生しました。また、特別利益として投資有価証券売却益(19百万円)を計上しています。
2. セグメント別動向とプロモーション施策の成果
チーズ事業:主力カテゴリが市場をアウトパフォーム
チーズ事業の売上高は 21,257百万円 (計画比+227百万円)と堅調に推移しました。家庭用では主力ブランドが極めて強い引き合いを見せ、業務用でも外食チェーンや給食ルートでの新規開拓が進展しました。
- ベビー4P :前年同期比 117.8% (市場全体は同110.3%)と市場を大幅に上回る伸びを記録。
- チーズ全体 :前年同期比 111.2% (市場全体は同104.9%)とシェア拡大を継続。
- チーズデザート6P :4月に実施したTVCM放映期間中の売上が前年同期比 127.0% と急拡大し、放映後も112.1%と高い水準を維持。
一方で、セグメント利益は 597百万円 (計画比▲93百万円)となりました。前年実施の価格改定効果があったものの、想定以上の円安と資材高騰が響きました。
ナッツ事業:ミツヤグループとのシナジー発現
2025年11月に完全子会社化した株式会社ミツヤおよび株式会社千成堂(ミツヤGR)との販売チャネル融合が2026年3月より本格化し、売上高は 5,578百万円 (計画比+178百万円)と好調に推移しました。豆菓子・ナッツ製品が西日本およびBtoC向けに伸長しています。 ただし、セグメント利益は 174百万円 (計画比▲226百万円)と計画を下回りました。輸入原材料費の高騰や円安影響を強く受けたことが主因です。
3. 財務基盤とキャッシュフローの構造変化
中間期末における総資産は 59,706百万円 (前期末比▲1,236百万円)、純資産は 32,519百万円 (同▲806百万円)となりました。 自己資本比率は54.5% (前期末54.7%)と高水準の健全性を維持しています。
特筆すべきは 営業活動によるキャッシュ・フローが+7,652百万円 と大幅な資金流入を記録した点です。これは大口帳合先との契約見直しに伴い売上債権の回収サイトが短期化したこと(売上債権減少+6,541百万円)が大きく寄与しています。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は 10,443百万円 (前期末比+6,528百万円)へ大幅に積み上がりました。
4. 2026年12月期 通期業績予想の下方修正と要因分析
足元のコスト環境の変化を受け、同社は通期の利益予想を下方修正しました。

通期業績予想の修正内容
- 売上高 :55,000百万円 (据え置き、前期比+27.0%)
- 営業利益 :1,500百万円 (当初予想2,300百万円から ▲800百万円 / ▲34.8% )
- 経常利益 :1,600百万円 (当初予想2,200百万円から ▲600百万円 / ▲27.3% )
- 親会社株主に帰属する当期純利益 :1,400百万円 (当初予想1,500百万円から ▲100百万円 / ▲6.7% )
下方修正の背景と要因
- 中東情勢悪化に伴う包材・資材価格の上昇 :フィルムや段ボール等の包装資材が平均10%以上高騰。
- 為替前提の見直し :想定為替レートを足元の円安水準へ見直したことによる調達コスト増。
- 子会社工場の生産停止 :2026年7月に発生した熊本地震により、ナッツ事業を担う株式会社千成堂の工場が一時生産停止となり利益を圧迫。
純利益の下落幅が相対的に軽微なのは、政策保有株式の見直しに伴い7月に実施した投資有価証券売却益 474百万円 を特別利益に織り込んでいるためです。
5. 成長戦略の進捗と中長期ビジョン
外部環境の悪化に対処しつつ、同社は「ビジョン2030」および「中期経営計画2027」に基づく構造改革を着実に進めています。
① 海外展開の加速(QBBアジア)
アジアNo.1のプロセスチーズメーカーを目指し、ベトナムの製造・販売拠点「QBB ASIA CO., LTD.」の工場建設を2026年7月に着工しました。 2027年下期の完成・稼働開始 を予定しており、中計期間目標として 年率30%以上の成長 、2027年に売上約20億円 を掲げています。
② 国内収益改善施策と高付加価値商品展開
- 価格改定の実施 :コスト上昇に対応するため、2026年9月より一部商品について価格改定を実施。
- 新カテゴリ育成 :秋の新商品として「ひとくちチーズデザート宇治抹茶」「Q・B・B 6Pチーズ ピザポテト味」などを投入するほか、アレルゲンフリー需要を捉える「PLANT MADE(植物性チーズ代替品)」のラインナップを拡充。
- 販促強化 :9月より人気お笑い芸人を起用した新コンセプト「いつものQ・B・B」プロモーションを開始し、11月にはチーズデザートのテレビCMを再放映。
③ 中期経営計画2027の目標
第1ステージ最終年度となる2027年12月期において、売上高 620億円 、営業利益 43億円 、ROE 8%以上 の達成を目指しています。足元の利益下振れに対しては、高付加価値投資の加速と価格転嫁によりキャッチアップを図る方針です。
6. 資本効率の向上と株主還元の大幅拡充
六甲バターは資本コストや株価を意識した経営を加速させており、株主還元方針の実質的な拡充を公表しました。

株主還元・資本政策の主要ポイント
- 配当方針の改定 :安定配当の継続に加え、「 下限配当1株=20円 」および「 配当性向40%以上 」の指標を導入。
- 自己株式の取得 :2026年5月29日にToSTNeT-3を通じて 11億9,500万円 の自社株買いを実施完了。
- 株主優待制度の拡充 :従来の自社製品進呈等に加え、「 1年以上・100株以上保有の株主に対して1,000円分のQUOカード 」を追加。
- 政策保有株式の縮減 :4月および7月に取引先・金融機関の保有株式を順次売却し、資本効率の改善と成長投資資金の確保を推進。
まとめ
2026年12月期の中間期は、主力の「ベビーチーズ」や「チーズデザート」、連結化したナッツ事業が堅調な需要を捉えてトップラインを拡大させた一方、資材価格高騰や為替の円安進行、自然災害といった複合的なコスト要因により利益計画の下方修正を余儀なくされました。 今後は、9月以降の価格改定の浸透度、ベトナム工場の立ち上げによる海外展開の具体化、ミツヤグループとのシナジー深化、そして強化された株主還元策を通じた資本効率の向上が注目されます。
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