
【Smile Holdings 2027年3月期 第1四半期決算】WITHグループ完全子会社化で事業規模は倍増へ、本業収益力の向上で過去最高益を達成
StockClub
Published: Aug 14, 2026, 12:26 PM
Sentiment Analysis

はじめに:Smile Holdingsの2027年3月期第1四半期決算の全体像
株式会社Smile Holdings(証券コード: 7084)は、2027年3月期第1四半期決算において、売上高・EBITDA・営業利益のすべてで 第1四半期として過去最高 を記録しました。本決算期は、同社にとって大型M&Aである WITHホールディングスの完全子会社化 (2026年5月8日完了)および新規事業である 産後ケアホテル「Villa Mom 東京・有明」の開業 (2026年6月22日オープン)が重なる、極めて重要なターニングポイントにあたります。
まずは、第1四半期(1Q)の主要数値をまとめた以下のハイライトスライドをご覧ください。

スライド(ページ3)の重要性と数値背景の解説
このスライドは、Smile Holdingsの足元の経営状況と規模拡大の定量的インパクトを一目で示しているため、本決算報告の中で極めて重要な役割を果たします。 1Qにおける実績数値を見ると、 売上高は37.3億円(前年同期比110%) 、EBITDAは3.3億円(前年同期比131%) 、営業利益は1.4億円(前年同期比206%) となっており、増収・増益幅ともに非常に大きな伸びを見せています。
注目すべきは、この1Qの損益計算書(P/L)には WITHグループの業績がまだ連結されていない (未連結)という点です。つまり、従来のSmile Holdings単体の事業基盤において、 保育園事業における充足率の向上 や徹底した費用コントロール が奏功し、自力で収益性を飛躍的に高めた結果として過去最高益を達成しています。
また、スライド下部に示されている 運営施設数184施設(前年同期比+103施設) 、児童数10,856人(前年同期比207%) という数字には、6月末時点で貸借対照表(B/S)上に連結されたWITHグループの基盤が反映されています。これにより、同社の事業基盤が物理的・定員的に 倍増規模へと拡大 したことが明確に示されています。
トピックス分析:経営基盤を飛躍させる2つの重要施策
本決算期において、Smile Holdingsの今後の成長ストーリーを決定づける2つの重大トピックスが存在します。
1. WITHホールディングスの完全子会社化
2026年5月8日に完全子会社化が完了した WITHホールディングス は、100施設・5,571人の児童数を抱える大型保育事業者です。この子会社化により、同社の運営施設数は従来の84施設から一挙に184施設へと増大しました。 損益面では、 第2四半期(2Q)よりP/L連結が開始 される予定です。これにより、売上高および利益水準は文字通り 倍増規模のスケールアップ を果たすことになります。
2. 高付加価値・高収益モデル「産後ケアホテル Villa Mom 東京・有明」
2026年6月22日、東京都江東区有明に 産後ケアホテル「Villa Mom 東京・有明」 がオープンしました。全17室の専用設計建築であり、既存のホテル等の転用ではない点が特徴です。 助産師や保育士が24時間常駐する手厚い体制に加え、ミシュラン掲載店のシェフが手がける回復食の提供など、プレップスクールで培ったノウハウを活用した ハイエンド層向けモデル を確立しています。開業当初より想定を上回る予約を獲得しており、同社における 新たな高収益ビジネスモデル としての貢献が期待されています。
業績詳細分析:売上高・各段階利益の推移と補助金依存からの脱却
各財務指標の推移を詳細に確認すると、同社の収益構造の変化が顕著に表れています。
- 売上高の推移(3,739百万円、前年同期比+110.2%) : 保育運営の収益基盤が一段と強化され、 上場以来の連続増収トレンド を維持しています。
- EBITDAの推移(332百万円、前年同期比+131.5%) : 営業利益に減価償却費を加えたEBITDAも過去最高を更新し、 本業による強固なキャッシュ創出力 が維持されていることを物語っています。
- 営業利益の推移(145百万円、前年同期比+206.1%) : 前年同期の70百万円から約2.1倍へと大幅に拡大しました。過去の1Qでは赤字が続いていた時期もありましたが、直近3期連続で黒字発進となり、 利益率の劇的な改善 が定着しています。
- 経常利益の推移(109百万円、前年同期比+148.7%) : 経常利益の推移において極めて重要なのが、 「認可施設開設補助金」への依存からの完全脱却 です。2021年3月期〜2022年3月期には年間13億〜14億円規模の開設補助金(営業外収益)が計上されていましたが、近年はほぼゼロへと移行しています。それにもかかわらず前年同期比で大幅増益を達成したことは、 本業の稼ぐ力による健全な成長フェーズ へ完全に移行したことを示しています。
貸借対照表(B/S)の変容と「のれん」・財務規律の評価
WITHグループの完全子会社化に伴い、同社のバランスシートは劇的な変化を遂げています。以下のB/S推移スライドを参照します。

スライド(ページ12)の重要性と財務構造の解説
このスライドは、大型M&Aに伴う 資産規模の倍増と財務構造の質的変化 を可視化しているため、投資判断や企業評価において極めて重要な意味を持ちます。
2026年3月末時点で 167.01億円 であった総資産は、2026年6月末(1Q末)時点で 347.12億円 へと、 約2倍の規模に拡大 しました。この主因は、固定資産に計上された 117.18億円ののれん (暫定額)および負債の増加(流動負債204.34億円、固定負債81.84億円)です。これに伴い、自己資本比率は36.8%から17.6%へ低下しています。
この大規模なB/S拡大に対する同社の財務規律とのれんに対する考え方は以下の通りです。
- 潤沢な手元流動性の確保 : 資金調達(レバレッジ)を実行しつつも、 51.79億円の現金預金 を維持しており、短期的な財務の安全性・資金繰りは十分にコントロールされています。
- のれん償却期間とキャッシュフロー : のれんの償却期間は 20年 に設定されています。WITHグループが創出する強固な営業キャッシュフローにより、M&Aに伴う借入金返済(年間約12億円)およびのれん償却費を十分にカバーできる計算となっています。
- 低減損リスク構造 : 保育事業は自治体からの委託事業に基づく インフラ型ビジネス であり、市況悪化の影響を受けにくい安定した収益基盤を持ちます。さらに、出店エリアを 首都圏(1都2県) にドミナント集中させており、需要の底堅さから のれんの減損リスクは極めて低い と評価されています。
通期予想に対する進捗率と中長期の「正常収益力」
Smile Holdingsの2027年3月期通期計画に対する進捗状況と、今後の収益見通しについて解説します。
1Q実績における通期予想進捗率は、売上高で 14.7% (37.39億円 / 通期予想255億円)、営業利益で 14.5% (1.45億円 / 通期予想100億円)となっています。一見すると進捗率が低いように映りますが、これには明確な構造的理由があります。
- 理由1 : 通期予想(売上255億円、営業益10億円)は WITHグループの業績を2Qから含めた数値 であるのに対し、1Q実績は WITHグループ未連結(Smile Holdings単体) であること。
- 理由2 : 同社の事業特性として、期後半に向けて収益が拡大する 「下期偏重」の収益構造 であること。
これらを考慮すると、1Qの単体実績ベースで対前期比を上回る進捗を見せていることは、 通期予想達成に向けた極めて順調な滑り出し を意味します。
次に、同社が定義する「正常収益力」を示す以下のスライドを確認します。

スライド(ページ5)の重要性と成長シナリオの解説
このスライドは、一律の決算数値だけでは見えにくい 一時的費用を除外した本来の稼ぐ力(正常収益力) と、翌期(2028年3月期)に向けた中長期の成長シナリオを示している点で非常に重要です。
2027年3月期は、WITHグループの業績寄与が9か月分にとどまるほか、M&Aに伴う 一括性費用4億円 (ファイナンス組成費用2億円、オフィス統合費用2億円)が計上される計画となっています。これらを通過した 2028年3月期(正常収益力フェーズ) の通期予想は以下のようになります。
- 売上高 : 285億円 (2026年3月期比196%)
- EBITDA : 33億円 (2026年3月期比298%)
- 営業利益 : 15億円 (2026年3月期比405%)
- 経常利益 : 11億円 (2026年3月期比314%)
- 当期純利益 : 7億円 (2026年3月期比318%)
2028年3月期にはWITHグループの業績が通年(12か月)寄与し、M&A一括費用もなくなるため、営業利益で15億円規模という 高い収益水準へと飛躍 することが見込まれています。
結論とまとめ
Smile Holdingsの2027年3月期第1四半期決算は、既存事業の充実による 自力での過去最高益達成 と、WITHグループ子会社化および産後ケアホテル開業という 将来に向けた大規模な成長基盤の構築 が同時に進展した決算であったと括ることができます。
第2四半期以降は、WITHグループのP/L連結に伴い、業績の絶対額が大幅にスケールアップする見通しです。拡大したバランスシートとのれんに対する適切な財務管理を図りつつ、下期に向けた利益の上積みが達成できるかが今後の注目ポイントとなります。
本レポートは開示資料の事実情報に基づき客観的に作成されたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。
This content is not intended as investment advice or a recommendation. Any opinions expressed are solely the personal views of each article.