
【決算詳細レポート】テスホールディングス 2026年6月期決算と成長戦略の全貌:蓄電池EPCの急激な拡大とストック収益基盤の進捗
StockClub
Published: Aug 14, 2026, 11:32 AM
Sentiment Analysis

テスホールディングス株式会社(証券コード: 5074)の2026年6月期通期決算資料に基づき、同社の業績成果、セグメント別動向、受発注状況、ならびに今後の成長戦略について詳細にまとめました。本レポートでは、投資家が重視すべき10の主要トピックを中心に、決算の全体像をわかりやすく解説します。
1. 2026年6月期 連結業績サマリ:大幅な増収増益を達成
テスホールディングスの2026年6月期連結業績は、売上高・各利益項目ともに前年同期を大きく上回る極めて好調な決算となりました。

上記のスライドは、2026年6月期の連結業績実績とその計画達成度を明確に示しています。当期の連結売上高は 51,217百万円 (前年同期比 +39.6% )、営業利益は 5,326百万円 (前年同期比 +109.0% )、経常利益は 3,834百万円 (前年は経常損失△641百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は 2,123百万円 (前年同期比 +936.6% )となりました。
事前に修正・公表されていた業績予想に対しても、売上高達成率 100.4% 、営業利益達成率 104.4% 、当期純利益達成率 118.0% と、全ての主要利益目標をオーバー達成して着地しています。主要指標である ROEは4.5% 、ROICは2.5% へと好転し、年間配当は期末一括で 9.54円 の実施となりました。
2. 経常利益における前年同期比での大幅改善要因分析
前期の経常赤字から当期に 3,834百万円 の経常利益へと劇的な回復を遂げた背景には、複数の利益押し上げ要因が存在します。
- 売上総利益の増加 :事業規模の拡大に伴い、売上総利益が前年同期比で +3,466百万円 増加しました。
- デリバティブ評価損の減少 :ヘッジ会計の適用に伴い、前期に重荷となっていたデリバティブ評価損が大幅に縮小し、 +1,661百万円 の改善寄与となりました。
- 持分法投資損失の減少 :持分法適用会社に関連する損失の発生が抑えられ、 +406百万円 のプラス要因となりました。
- 為替影響 :+461百万円 のプラス影響を受けました。
一方で、バイオマスEPC不採算案件による影響(△502百万円)、人員増加に伴う人件費の増加(△303百万円)、株主優待制度導入に伴う費用(△94百万円)、および新会社連結化等に伴う支払利息の増加(△428百万円)といったマイナス要因を吸収し、大幅な黒字化を達成しました。
3. フローとストックを循環させる独自のビジネスモデル
テスホールディングスは、顧客のエネルギー課題を解決する総合ソリューション企業として、2つの補完的な事業モデルを展開しています。
- エンジニアリング事業(フロー型) :省エネ設備や再生可能エネルギー(再エネ)設備の設計・調達・施工(EPC)を手掛け、案件ごとに大きな売上を計上するフロービジネス。
- エネルギーサプライ事業(ストック型) :再エネ発電所の運営・売電(FIT/FIP/オンサイトPPA)、O&M(運用・保守)、電気の小売供給、バイオマス燃料供給などにより、長期的かつ安定的な収益を積み上げるストックビジネス。
エンジニアリング事業で獲得した顧客基盤や完工案件に対して、エネルギーサプライ事業でO&M受注や電力供給につなげる「 循環型ビジネスモデル 」を確立している点が同社の強みです。
4. エンジニアリング事業の業績とサブセグメント内訳
エンジニアリング事業の当期業績は、売上高 22,197百万円 (前年同期比 +32.8% )、売上総利益 4,593百万円 (前年同期比 +96.5% )と、大幅な増収増益を記録しました。
内訳をみると、 省エネEPC(受託型) は工事進捗が高水準であった前年同期の反動で売上高こそ減少(4,976百万円)したものの、コージェネレーションシステム等の高粗利案件が貢献し、利益率は高く維持されました。一方、 再エネEPC(受託型) は蓄電池システム案件の急速な増加により売上高 15,079百万円 (前期は8,438百万円)、売上総利益 2,078百万円 (前期は895百万円)と激増しました。また、 再エネEPC(開発型) も静岡菊川蓄電所などの系統用蓄電所案件が順調に進捗し、増収増益に寄与しました。
5. 受注動向と蓄電池シフト:受注残高の94.5%が蓄電池案件
同社の今後の成長ポテンシャルを測るうえで最も顕著な動きを見せているのが、エンジニアリング事業の受注動向です。

上記のスライドは、受注高および受注残高の急速な拡大と、その内訳の劇的な変化を示しています。2026年6月期の通期受注高は 42,625百万円 (前年同期比 188.8% )と跳ね上がり、期末の受注残高も 43,304百万円 (前年同期比 189.3% )に達しました。
特に注目されるのは受注残高の内訳構成です。全受注残高43,304百万円のうち、なんと 94.5%(約409億円) を蓄電池 関連案件が占める結果となりました。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統の安定化に向けた系統用蓄電所需要や、既存太陽光発電所への蓄電池併設(FIP転換)需要が急増しており、同社がこの市場ニーズを確実に捉えていることが数値に表れています。
6. 大口受注解約事案の背景と業績への影響
同社は、2026年8月に系統用蓄電所(受託型EPC)に関する大口受注(約40億円)の解約を発表しました。本件は熊本県球磨郡錦町における系統用蓄電所(出力約25MW、容量約100MWh)プロジェクトです。
解約理由として、受注先が一般送配電事業者へ申し込んでいた 系統連系に係る工事費負担金が当初想定を大幅に上回ったこと 、および工事が長期化する見通しとなったことで、受注先においてプロジェクトの事業性確保が困難と判断されたためです。なお、本解約は同社の設計・調達・施工に起因するものではなく、すでに 2027年6月期の連結業績予想に織り込み済み となっています。また、現時点で他の受注案件において同様の工事費負担金高騰による解約リスクは発生していないと説明されています。
7. エネルギーサプライ事業の拡大と収益基盤の安定化
ストック収益を担うエネルギーサプライ事業は、売上高 29,019百万円 (前年同期比 +45.4% )、売上総利益 5,824百万円 (前年同期比 +13.9% )と着実に成長しています。
成長の牽引役となったのは 再エネ発電 セグメントです。前期に本格稼働を開始した「佐賀伊万里バイオマス発電所」の通期稼働に加え、「福岡みやこメガソーラー発電所」の連結子会社化、ならびにオンサイトPPA案件の稼働開始が寄与し、売上高は前年の11,126百万円から 19,651百万円 へと大幅に増加しました。バイオマス燃料供給事業についても、佐賀伊万里向けのPKS(ヤシ殻)輸出量増加により堅調な推移を見せています。
8. 再エネ発電容量の推移とオンサイトPPAモデルの進捗
同社が保有・運営に関わる再エネ発電設備の容量は年々拡大を続けています。

上記のスライドは、同社グループにおける再エネ発電設備容量の推移を示したグラフです。2026年6月期末時点における発電容量の合計は 412.7MW (連結子会社保有分 383.5MW 、出資先保有分 29.2MW )に達しました。設備の内訳は、太陽光発電所が 137件・約358.9MW 、バイオマス発電所が 3件・約53.8MW となっています。
特に、顧客企業の屋根等に太陽光発電設備を設置して電力を供給する オンサイトPPAモデル は、2026年6月期において新たに 12.1MW(供給先9件) の供給を開始しました。これにより、オンサイトPPAの供給実績は合計 約70.0MW(60件) まで積み上がっており、さらに今後 29.9MW(6件) の供給開始予定案件を抱えるなど、長期安定的なストック収益源として着実に拡大しています。
9. 資源循環型バイオマス燃料(EFBペレット)事業の実証
中長期的な持続可能性と燃料調達の多角化に向けた取り組みとして、インドネシアの連結子会社(PT PTEC RESEARCH AND DEVELOPMENT)において、アブラヤシの空果房(EFB: Empty Fruit Bunch)などの農作物残渣を原料とした「 EFBペレット 」製造実証工場の竣工式を実施しました。
本実証工場は敷地面積約11,000㎡、年間生産量約1万トン(見込み)の規模を持ち、廃棄されていた未利用資源を高付加価値なバイオマス燃料へ転換する技術と供給プロセスを実証するものです。同社は本取り組みを通じ、環境負荷低減とバイオマス燃料の安定調達基盤の確立、さらには大規模な商業化を目指しています。
10. 2027年6月期の業績予想および中長期経営計画の進捗
最後に、2027年6月期の連結業績予想および今後の経営戦略についてです。
- 2027年6月期 業績予想 :
- 売上高: 64,000百万円 (前年同期比 +25.0% )
- 営業利益: 4,700百万円 (前年同期比△11.8%)
- 経常利益: 2,900百万円 (前年同期比△24.4%)
- 当期純利益: 1,800百万円 (前年同期比△15.2%)
- 1株当たり配当予想: 9.60円 (安定配当の継続方針)
2027年6月期は、豊富な蓄電池EPCの受注残高を背景に 売上高25%増 という大きなトップライン成長を見込んでいます。利益面で一時的な前年比マイナス予想となっているのは、中長期経営計画「TX2030」の達成に向け、施工管理技術者をはじめとする 積極的な人員増強 や各種成長投資を加速させるためです。なお、京都府における開発案件等は現時点でスケジュールが未確定であるため、業績予想には織り込まれておらず、確定次第の上振れ要素として位置づけられています。
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