
【深掘り解説】スペースマーケット(4487)2026年9月期第2四半期決算:トップライン増収と「OS型プラットフォーム」への進化戦略
StockClub
Published: Aug 14, 2026, 11:16 AM
Sentiment Analysis

株式会社スペースマーケット(証券コード: 4487)の 2026年9月期 第2四半期決算 (2026年1月〜6月)について、決算資料のデータを基に多角的な分析を行い、業績推移、KPIの動向、経営施策および中長期の成長ストーリーを詳細にまとめました。
なお、同社は 2026年度より決算期を12月決算から9月決算へ変更 しており、今期(2026年9月期)は2026年1月〜9月の 9か月間の変則決算(移行期) となっています。本レポートでは、この決算期変更の影響を踏まえつつ、同社の事業進捗と成長の質を読み解きます。
1. 2026年1〜6月累計 業績ハイライトと進捗状況
2026年1月〜6月累計期間における同社の業績は、主力の時間貸しプラットフォーム「SPACEMARKET」の需要拡大およびグループ会社の成長が寄与し、 売上高・取扱高ともに前年同期比で大幅な増収 を達成しました。
- 売上高 : 1,385百万円 (前年同期比 +25.0% )
- 全社総取扱高 : 3,838百万円 (前年同期比 +18.5% )
- 営業利益 : 45百万円 (前年同期比 -39.5% )
- 当期純利益 : 56百万円 (前年同期比 -31.5% )
- EBITDA : 115百万円 (前年同期比 -18.1% )

上記のサマリシートが示す通り、 トップラインは25.0%増 と力強い成長を維持しています。営業利益および当期純利益が前年同期比で減少している主な要因は、中長期的なプラットフォーム基盤強化に向けた 成長投資やプロダクト開発費、機能改修費を先行して計上 したことによるものです。短期的な利益追求に偏らず、将来の持続的成長を見据えた投資を計画通りに実行している姿が伺えます。
また、変則9か月決算(2026年1月〜9月)における 通期業績予想 (売上高2,221百万円、営業利益134百万円、当期純利益113百万円)に対する進捗率は、 売上高が62.4% 、全社総取扱高が61.5% 、当期純利益が50.2% と、通期目標の達成に向けて着実なペースで進捗しています。
2. 四半期(4-6月期)推移と成長のアクセル
四半期(2026年4月〜6月会計期間)単体での業績を見ると、売上高は 666百万円 (前年同期比 +16.2% )、マーケットプレイスGMVは 1,562百万円 (前年同期比 +11.7% )となりました。

四半期別の売上高推移(上記スライド)を確認すると、コロナ禍以降も 一貫して高い売上高成長率 を維持していることが分かります。特に、単なるオーガニックな成長にとどまらず、 M&A(株式会社クルトン、株式会社エミーナ、株式会社システリアなどの連結化) や、マーケットプレイス外の周辺事業(施設予約管理サービス「Spacepad」や自社運営代行など)の拡大が全体成長を力強く牽引しています。
四半期(4-6月)の営業利益は ▲16百万円 の赤字(前年同期は▲4百万円の赤字)となりましたが、これは主に後述する「安心・安全」な利用環境を整備するためのプロダクト開発や、新ブランド展開に伴う 先行費用 が集中したためです。
3. マーケットプレイスの主要KPI分析
プラットフォームの基礎体力を示すマーケットプレイスの各種KPIも着実な伸びを見せています。
- 月間利用スペース数合計 : 70.4千SP (前年同期比 +12.3% )
- パーティーやイベントだけでなく、 ビジネス利用 (会議、テレワーク、研修)や スポーツ・フィットネス利用 、撮影用途など、利用ニーズの幅が広がったことで供給・需要双方が拡大しました。
- 月間GMV/SP(スペース単価) : 45.3千円 (前年同期比 -1.4% )
- 利用用途の多角化に伴い小規模スペースやビジネス・個室利用が増加した影響で単価は微減となったものの、稼働スペース数の拡大がこれをカバーしています。
- GP(グループ)運営スペース数 : 1,456件 (前年同期は1,238件)
- 子会社を通じたスペースプロデュース事業(SPACE MOLE、Crewtone、SMILE+等)のノウハウ活用により、高品質な直営・運営代行スペースの供給体制が増強されています。
- 1人当たり取扱高 : 51百万円 (前年同期比 +12.1% )
- 従業員数(75名)を最適に維持しながら取扱高を伸ばしており、 組織の生産性向上 が進んでいます。
4. 経営重要課題としての「安心・安全」施策と新ブランド展開
スペースシェア市場の普及に伴い、無人運営に起因する近隣トラブルや不正利用の防止、利用品質の保全が業界全体の重要な課題となっています。同社では「安心・安全」を最優先経営課題に掲げ、テクノロジーを活用した対策を連続でリリースしています。
- 第1弾:マイナンバーカードによる公的個人認証(JPKI)の導入(2026年5月)
- オンライン取引におけるなりすましや不正利用を防止するため、デジタル庁の認証アプリと連携した本人確認機能をリリース。ホスト・ゲスト双方の信頼性を飛躍的に高めています。
- 第2弾:入退室時の状態報告機能(2026年7月)
- 清掃不備やトラブルの発生状況をサービス内で即時写真報告・記録できる仕組みを構築。問題の早期発見と公平な取引環境を提供しています。
- 新ブランド「チェリッシュスタジオ byスペマ」等の展開(2026年7月)
- 運営品質のばらつきを解消するため、独自の品質基準を満たしたパートナーと共同でブランドを構築。渋谷・表参道エリアの15拠点からローンチし、高品質カテゴリでの需要獲得と差別化を推進しています。
5. 成長戦略:「場所」から「体験」へ、OS型プラットフォーマーへの進化
同社が掲げる中長期のビジョンは、単なる「場所の貸し借りを行うマッチングサイト」から、 スペースシェア領域におけるインフラ基盤(OS)へ進化すること です。

上記のスライドは、同社が目指す市場構造の変化と戦略的価値を明快に表しています。
- 需要の多様化・細分化 : 従来の会議・宴会用途から、 「推し活」「フィットネス」「ポップアップストア」「インバウンド体験」 など、特定の目的に特化した体験空間へのニーズが急速に広がっています。
- インフラの進化(テクノロジーによる無人運営の確立) : スマートロックによる遠隔解錠 、eKYC(本人確認) 、自治体DX(公共施設の予約管理DX) などのテクノロジーを組み合わせることで、無人かつ安全な運営を低コストで実現しています。
- OS型プラットフォームの構築 : 多様なニーズと多様なアセット(空き家、店舗、公共施設)をテクノロジーで統合管理し、予約・集客から決済・運営・IoT管理までを一気通貫で提供。他社が模倣できない深いロックインとデータ蓄積による参入障壁を構築しています。
この「OS型プラットフォーム」の基盤の上に、高収益が見込める用途別ブランド(アプリケーション)を量産投入していくことで、事業の拡大スピードを再加速させる戦略です。
6. 通期予想と2030年に向けた中長期財務目標
同社は、事業基盤の拡大と周辺領域への展開を推進し、 2030年9月期に売上高100億円 を目指すという財務目標を掲げています。
- 2025年12月期実績 : 売上高 25.6億円
- 2030年9月期財務目標 : 売上高 100億円
この目標達成に向け、以下の重点施策を掲げています:
- 検索品質の改善・アプリUXの強化 : コンバージョン率の向上
- トリプルメディア運用による集客力強化 : マーケティング効率の追求
- CX(顧客体験)の徹底強化 : ゲスト・ホストのロイヤルティ向上
- ブランド構築による認知拡大 : カテゴリトップの地位固め
- ホストとの共創としてのM&A / 周辺領域への拡大 : 空間プロデュース事業や施設管理SaaS(Spacepad)のスケール
テレワークの定着や人口減少に伴う空き家・空き店舗の増加(2023年時点で空き家率13.8%・900万戸)という社会的背景も、同社の提供するスペース活用ソリューションにとって追い風となっています。
まとめ
2026年9月期第2四半期におけるスペースマーケットは、 売上高+25.0%増 という強固なトップライン成長を維持しながら、決算期の変更や「安心・安全」を高める先行投資を着実に実行した決算であったと評価できます。
単なるマッチングプラットフォームを超え、無人運営テクノロジーや品質管理ブランドを統合した 「OS型プラットフォーム」 への進化を図ることで、2030年の売上高100億円達成に向けた成長ストーリーを着実に歩んでいます。
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